12月の短歌・和歌 20選  -仲冬-

冬木立と青空

12月には寒さも厳しくなり、「冬将軍」といった言葉も耳にするようになります。

そのような気候の中で、一年の締めくくりと新年を迎える準備をしていると、終わりゆく年に対して寂しさを感じることもあります。

このページには、12月特有の風物・光景や心境などが詠み込まれた短歌・和歌を集めましたので、是非とも鑑賞してみて下さい。

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目次

12月の短歌 10選

それでは、近代(明治)以降の歌で「12月の短歌」としてふさわしいものからみていきましょう。

 

大きなる 月にしあるかな冬凪の 空の低きにさし昇りたる

【作者】若山牧水(わかやま ぼくすい)

【補足】冬凪(ふゆなぎ)とは、冬の日に風がやみ海が穏やかになることをいいます。

 

くれて行く 年の道さへみゆるかと おもふばかりにてる月夜かな

【作者】樋口一葉(ひぐち いちよう)

 

この冬を つつがなくしてすぎたらば まことすこやかになりなむものを

【作者】古泉千樫(こいずみ ちかし)

【補足】「つつがなく(恙無く)」とは「無事に、異状なく」という意味です。

 

歳末の 宿人皆國にかへりたり 寂しと言ひぬ君に向ひて

【作者】島木赤彦(しまき あかひこ)

【補足】「國」は「国」の旧字体です。

 

冬枯の 花なき園に飛ぶ蝶の けふの命に嵐ふくなり

【作者】正岡子規(まさおか しき)

【補足】「けふ:旧仮名遣い」は「きょう(今日)」です。

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冬ごもり 茶をのみをれば活けて置きし 一輪薔薇の花散りにけり

【作者】正岡子規

【補足】「活けて」の読みは「けて」です。

 

冬ごもり 日をなつかしみ楽焼の 素焼のもひに今朝薬掛く

【作者】伊藤左千夫(いとう さちお)

【補足】楽焼(らくやき)は陶器の一種で、素焼きの陶器に絵付けをした焼き物のこともいいます。「もひ」とは「器(うつわ)」のことです。

 

冬の空 針もて彫りし絵のやうに 星きらめきて風の声する

【作者】与謝野晶子(よさの あきこ)

 

やうやくに 歳くれむとするこの園に 泰山木をかへり見ゐたり

【作者】斎藤茂吉(さいとう もきち)

【補足】泰山木(たいさんぼく=大山木)は、常緑高木の一種です。

 

わがめづる 庭の小松にこのあした 初雪ふれり芝の小松に

【作者】伊藤佐千夫

【補足】「めづる(愛ずる)」は「気に入っている、好んでいる」の意です。「このあした(朝)」は、今朝(けさ)のことです。

松の木に積もった雪

 

 

12月の和歌 10選

次に、近代(明治)よりも前の歌で「12月の和歌」としてふさわしいものをみていきましょう。

なお、三十六歌仙については、こちらのページをご覧になってください。

関連ページ:三十六歌仙とは?

 

あはれにも 暮れゆく年の日かずかな 返らむことは夜のまと思ふに

【現代語訳】寂しく暮れてゆく年の(残りの)日数… (年が最初に)戻るのは、(一)夜の間のことと思うと…

【詞書】年の暮の心をよめる

【作者】相模(さがみ)

【採録】千載和歌集、続詞花和歌集など

【補足】女流歌人の相模は、中古三十六歌仙の一人です。

【派生歌】

あはれなり 暮れゆく年の日かずかな 老のつもりは八十路あまれば
 (蓮如)

 

かぞふれば わが身につもる年月を 送り迎ふとなにいそぐらむ

【現代語訳】数えれば、私の身に積もる年月だが、送る・迎えるといって何を急いでしまうのだろうか

【詞書】斎院の御屏風に、十二月つごもりの夜

【作者】平兼盛(たいらのかねもり)

【採録】拾遺和歌集、金玉集、和漢朗詠集など

【補足】兼盛は、三十六歌仙の一人です。

 

君来ずは 独りや寝なむ笹の葉の み山もそよにさやぐ霜夜を

【現代語訳】あなたが来ないなら、(私は)一人で寝ることになる。深山がそよそよと音を立てる霜夜を…

【詞書】崇徳院御時、百首歌たてまつりけるに

【作者】藤原清輔(ふじわらのきよすけ)

【採録】新古今和歌集、清輔集、定家八代抄など

 

言問はば ありのまにまに都鳥 みやこのことを我に聞かせよ

【現代語訳】言葉を交わせるなら、ありのままに、都鳥よ。都のことを私に聞かせておくれ

【作者】和泉式部(いずみしきぶ)

【採録】後拾遺和歌集

【補足】和泉式部は中古三十六歌仙女房三十六歌仙の一人です。

 

さびしさに 堪へたる人のまたもあれな 庵ならべむ冬の山里

【現代語訳】寂しさに堪えている人が他にもいればなあ。庵(いおり)を並べ(て住み)たいものだ、この冬の山里で…

【詞書】冬歌よみけるに

【作者】西行(さいぎょう)

【採録】新古今和歌集、西行家集

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忍びづま かへらむ跡もしるからし 降らばなほ降れしののめの雪

【現代語訳】忍んで(会いに)来る人が帰ってゆく(足)跡もわかるようだ。降るならばもっと降ってくれ、東雲(しののめ=夜明けの意)の雪よ…

【詞書】暁雪

【作者】源頼政(みなもとのよりまさ)

【採録】頼政集

 

魂まつる 年のをはりになりにけり 今日にやまたもあはむとすらむ

【現代語訳】(祖先の)魂(=霊)をまつる年の終りになった。今日また、(ご先祖)とお会いするだろうか

【詞書】歳暮の心をよめる

【作者】曾禰好忠(そねのよしただ)

【採録】詞花和歌集

【補足】好忠は、中古三十六歌仙の一人の一人です。

 

外山吹く 嵐の風の音きけば まだきに冬の奥ぞ知らるる

【現代語訳】外山(とやま=人里近くの山の意)に吹く嵐の風の音を聞くと、早くも真冬の寒さを知らされる

【作者】和泉式部

【採録】千載和歌集

 

雪のうちに 今日も暮らしつ山里は 妻木のけぶり心ぼそくて

【現代語訳】雪の中で今日も暮らしている山里は、小枝の(燃える)煙も心細くて…

【詞書】山家雪

【作者】藤原基俊(ふじわらのもととし)

【採録】風雅和歌集、基俊集など

 

ゆく年の 惜しくもあるかなます鏡 みる影さへにくれぬと思へば

【現代語訳】ゆく年が惜しくも感じられる。(よく澄んだ)鏡で見る(自分の)姿さえ暮れてゆくと思えるから…

【作者】紀貫之

【採録】古今和歌集

【補足】貫之は、三十六歌仙の一人です。

手水鉢

 


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