5月の短歌・和歌 20選  -初夏-

薄紫色の菖蒲の花

5月になると清々しい気候となり、目にする新緑などは鮮やかに感じられるようになります。

そして、日射しも少しずつ強まっていき、初夏という言葉を実感する日も増えてきます。

このページには、5月ならではの風物、光景、心境などが詠み込まれた短歌・和歌を集めました。是非ともゆっくりと鑑賞してみて下さい。

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目次

5月の短歌 10選

それでは、近代(明治)以降の歌で「5月の短歌」としてふさわしいものからみていきましょう。

 

垢じみし 袷の襟よかなしくも ふるさとの胡桃焼くるにほひす

【作者】石川啄木(いしかわ たくぼく)

【補足】「袷」「胡桃」の読み方は、それぞれ「あわせ」「くるみ」です。

 

あるゆふべ 燭とり童雨雲の かなたにかくれ五月となりぬ

【作者】与謝野晶子(よさの あきこ)

【補足】燭とり童(しょくとりわらわ)とは、宵の明星を意味しています。

 

家家に さつき幟のひるがへり しかしてひとり吾が去りゆく

【作者】古泉千樫(こいずみ ちかし)

【補足】「幟」の読み方は「のぼり」です。

 

葉ざくらよ 雨間の雫地をうてり 花どき過ぎてかくはしづけき

【作者】木下利玄(きのした りげん)

【補足】雨間(あまま)とは、雨が止んでいる間のことをいいます。

 

初夏や 日黒しみたる少人は みづは女のごと森に歌ひぬ

【作者】与謝野晶子

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ひそかごと 持つとはいはじ曇り日の 若葉明るく親しきものを

【作者】古泉千樫

 

日もすがら 若葉のうへの曇り空 暮るれば赤き月出にけり

【作者】島木赤彦(しまき あかひこ)

【補足】「日もすがら」は「一日中」という意味です。

 

真昼の日 そらに白みぬ春暮れて 夏たちそむる嵐のなかに

【作者】若山牧水(わかやま ぼくすい)

 

森出でて あをき五月の太陽を 見上ぐる額のなにぞ重きや

【作者】若山牧水

 

病み臥せる 床にさゝんとおぎのりし 菖蒲匂ひ葉根はなかりけり

【作者】正岡子規(まさおか しき)

白い菖蒲の花

 

 

5月の和歌 10選

次に、近代(明治)よりも前の歌で「5月の和歌」としてふさわしいものをみていきましょう。

なお、三十六歌仙については、こちらのページをご覧になってください。

【参考】三十六歌仙とは?

 

いかにせむ 山の青葉になるままに 遠ざかりゆく花の姿を

【現代語訳】どうしようか… 山が青葉になるにつれて、遠ざかってゆく花の(趣きのある)様子を…

【詞書】望山恋花(山を望みて花を恋う)

【作者】俊恵(しゅんえ)

【採録】林葉和歌集(りんようわかしゅう)

 

今更に なに生ひいづらん竹の子の うき節しげきよとは知らずや

【現代語訳】今さら何故(この子は)生まれてきたのだろうか。竹の子の節が多いように、辛い(ことが多い)世の中とは知らないのだろうか…

【題詞】物思ひける時、いときなき子を見てよめる

【作者】凡河内躬恒(おうしこうちのみつね)

【採録】古今和歌集(こきんわかしゅう)

【補足】躬恒は、三十六歌仙の一人です。

 

昨日まで よそに思ひしあやめ草 けふわがやどのつまと見るかな

【現代語訳】昨日まで無縁におもっていた菖蒲草… 今日は私の家の軒先に見ているなあ…

【詞書】屏風に

【作者】大中臣能宣(おおなかとみのよしのぶ)

【採録】拾遺和歌集(しゅういわかしゅう)

【補足】能宣は、三十六歌仙の一人です。

 

けふもけふ あやめもあやめ変らぬに 宿こそありし宿とおぼえね

【現代語訳】今日も(去年と同じ 5月5日の)今日、菖蒲も(々)菖蒲と変わらないのに、家は以前の家と(同じとは)思えないのです

【詞書】年ごろすみはべりけるところはなれて、ほかにわたりて、またの年の五月五日によめる

【作者】伊勢大輔(いせのたいふ)

【採録】後拾遺集

【補足】大輔は、中古三十六歌仙、女房三十六歌仙の一人です。

 

ちりまがふ 花は木の葉にかくされて まれににほへる色ぞともしき

【現代語訳】散みだれる花は木の葉に隠されて、まれに美しく映える色には心が惹かれる

【詞書】余花葉裏稀(余花、葉の裏に稀なり)

【作者】大江千里(おおえのちさと)

【採録】句題和歌(くだいわか)

【補足】千里は、中古三十六歌仙の一人です。

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花ちりし 庭の木の葉もしげりあひて 天照る月の影ぞまれなる

【現代語訳】花が散った庭の木の葉も繁り合って、空に照る月の光(が射すこと)はほとんどない

【作者】曾禰好忠(そねのよしただ)

【採録】新古今和歌集(しんこきんわかしゅう)

【補足】好忠は、中古三十六歌仙の一人の一人です。

 

ほととぎす 此よ鳴きわたれ燈火を 月夜になそへその影も見む

【現代語訳】ほととぎすよ、ここから鳴き渡れ。(そして、)燈火(ともしび)を月の光に擬(なぞら)えて、その姿を見よう

【詞書】掾久米朝臣廣縄の館に田邊史福麻呂を饗する宴の歌

【作者】大伴家持(おおとものやかもち)

【採録】万葉集(まんようしゅう)

【補足】家持は、三十六歌仙の一人です。

 

ほととぎす 初声きけばあぢきなく ぬしさだまらぬ恋せらるはた

【現代語訳】ほととぎすの初声を聴くと、どうしようもなく、相手も定まらない(ような)恋をする気持ちになるなあ、やはり

【詞書】時鳥のはじめて鳴きけるをききて

【作者】素性(そせい)

【採録】古今和歌集、素性集など

【補足】素性は、三十六歌仙の一人です。

 

むかしべや 今も恋しき時鳥 ふるさとにしも啼きて来つらむ

【現代語訳】昔が今も恋しいのか、時鳥(ほととぎす)… (だから)ふるさとに鳴いてやって来たのだろう

【詞書】はやく住みける所にて時鳥の啼けるを聞きてよめる

【作者】壬生忠岑(みぶのただみね)

【採録】古今和歌集、定家八代抄など

【補足】忠岑は、三十六歌仙の一人です。

 

わが宿の そともに立てる楢の葉の しげみに涼む夏は来にけり

【現代語訳】私の家の外に立っている楢(なら)の木の、(その葉の)繁みで涼む夏がやって来た

【作者】恵慶(えぎょう)

【採録】新古今和歌集、続詞花和歌集など

【補足】中古三十六歌仙

葉が繁った楢の木

 


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