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6月の短歌・和歌 20選  -仲夏-

草の葉先に付いた雨の雫

6月には雨が降ることも多く、気持ちが少し沈みがちになることもあります。

しかし、雨に濡れた紫陽花の花などのように、この時期でしか見られない美しいものもあり、それらは和歌や短歌などの文芸作品に詠み込まれてきました。

このページには、6月ならではの風物、光景、心境などが詠み込まれた短歌・和歌を集めました。是非ともゆっくりと鑑賞してみて下さい。

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目次

6月の短歌 10選

それでは、近代(明治)以降の歌で「6月の短歌」としてふさわしいものからみていきましょう。

 

おのが身を いとほしみつつ帰り来る 夕細道に柿の花落つも

【作者】斎藤茂吉(さいとう もきち)

【補足】「いとおしむ」とは、「惜しんで大事にする」という意味です。最後の「も」は、詠嘆の意を表します。

 

梅雨ばれの 光のなかを最上川 濁りうづまき海にうづるかも

【作者】古泉千樫(こいずみ ちかし)

 

梅雨ふかき 小庭の草に簇りて 鳳仙花のくき赤く生ひけり

【作者】中村憲吉(なかむら けんきち)

【補足】「簇りて」「鳳仙花」の読み方は「むらがりて」「ほうせんか」です。

 

友はみな 兄の如くも思はれて 甘えまほしき六月となる

【作者】若山牧水(わかやま ぼくすい)

【補足】「甘えまほしき」は「甘えたい」という願望、希望の意です。

 

枇杷の木に 黄なる枇杷の實かがやくと われ驚きて飛びくつがへる

【作者】北原白秋(きたはら はくしゅう)

【補足】「枇杷」の読み方は「びわ」で、「實」は「実(み)」の旧字体です。

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病みて臥す 窓の橘花咲きて 散りて実になりて猶病みて臥す

【作者】正岡子規(まさおか しき)

【補足】橘(たちばな)は、ミカン科の常緑小高木です。「臥す」「猶」の読み方は、それぞれ「す」「なお」です。

 

世の中の ひとの心にならひけん かはるにはやきあぢさゐの花

【意味】世の中の人の心にならった(従った)のだろう、(色が)変わるのが早い紫陽花(あじさい)の花は

【作者】樋口一葉(ひぐち いちよう)

 

隣人の さ庭にこごる朱のあけの 柘榴のはなも咲くべくなりて

【作者】斎藤茂吉

【補足】庭の前の「さ」は、語調を整えるためのものです。「柘榴」の読み方は「ざくろ」です。

 

六月は 酒を注ぐや香を撒くや 春にまさりて心ときめく

【作者】与謝野晶子(よさの あきこ)

【補足】「撒く」の読み方は「く」です。

 

六月を うしと思ひぬにはか雨 麦の穂にふるらうがはしさに

【作者】与謝野晶子

【補足】「らうがはしさ」は「騒がしさ」という意味です。

雨の中の麦の穂先

 

 

6月の和歌 10選

次に、近代(明治)よりも前の歌で「6月の和歌」としてふさわしいものをみていきましょう。

なお、三十六歌仙については、こちらのページをご覧になってください。

【参考】三十六歌仙とは?

 

あさりせし 水のみさびにとぢられて 菱の浮き葉にかはづ鳴くなり

【現代語訳】(えさを)あさっていた水(面)の水銹(みさび=水渋:みしぶ)に閉じ込められて、菱の浮き葉で蛙が鳴いている

【作者】源俊頼(みなもとのとしより、しゅんらい)

【採録】千載和歌集(せんざいわかしゅう)

【派生歌】みさび江の菱のうき葉にかくろへて蛙鳴くなり夕立の空(藤原良経)

 

紫陽花の よひらの山に見えつるは 葉越しの月の影にやあるらむ

【現代語訳】紫陽花(あじさい)の四片(の葉)が八重(やえ)に見えたのは、葉越しの月の光なのだろうか…

【作者】崇徳院(すとくいん)

【採録】久安百首(きゅうあんひゃくしゅ)

【補足】「山」の読み方はは「やえ」です。

 

いなび野に むらむらたてる柏木の 葉広になれる夏は来にけり

【現代語訳】いなび野に群がって立っている柏(かしわ)の木の葉が広々と(大きく)なっていく夏がやって来たのだなあ…

【作者】源重之(みなもとのしげゆき)

【採録】重之集

 

鶉鳴き 古しと人は思へれど 花橘のにほふこの屋戸

【現代語訳】(ここは)鶉(うずら)が鳴くような古びた所と人は思っているけれども、橘(たちばな)の花が匂うこの家…

【作者】大伴家持(おおとものやかもち)

【採録】万葉集(まんようしゅう)

【補足】家持は、三十六歌仙の一人です

 

思ふこと みなつきねとて麻の葉を きりにきりても祓へつるかな

【現代語訳】思い悩んでいることは皆尽きてしまえと、麻の葉を切りに切ってお祓いをしたのです

【詞書】六月祓をよめる

【作者】和泉式部(いずみしきぶ)

【採録】後拾遺和歌集(ごしゅういわかしゅう)、和泉式部集など

【補足】和泉式部は中古三十六歌仙、女房三十六歌仙の一人です。

【派生歌】思ふことみなつきねとて御祓する河瀬の波も袖ぬらしけり(藤原俊成)

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早苗とる 山田のかけひもりにけり 引くしめなはに露ぞこぼるる

【現代語訳】早苗(さなえ)を取る山田の懸け樋(かけひ=水を引くための樋:とい)が水漏れしてしまった。引いた注連縄(しめなわ)に露がこぼれている

【詞書】山畦早苗といへる心を

【作者】源経信(みなもとのつねのぶ)

【採録】新古今和歌集(しんこきんわかしゅう)、定家八代抄など

 

なが日すら ながめて夏をくらすかな 吹きくる風に身をばまかせて

【現代語訳】長い日ですら、物思いにふけって夏を暮らすのだなあ… 吹いてくる風に身をまかせて…

【詞書】六月はじめ

【作者】曾禰好忠(そねのよしただ)

【採録】好忠集

【補足】好忠は、中古三十六歌仙の一人の一人です。

 

ひかりいづる 葵の影をみてしかば 年へにけるもうれしかりけり

【現代語訳】光で輝く葵の姿形を見ましたので、(私は)年をとっってしまったことも嬉しいのです

【詞書】後一条院幼くおはしましける時、祭御覧じけるに、斎院(いつき)の渡り侍りけるをり、入道前太政大臣いだきたてまつり侍りけるを見たてまつりてのちに、太政大臣のもとにつかはしける

【作者】選子内親王(せんしないしんのう)

【採録】後拾遺和歌集、栄花物語など

 

みそぎする 川の瀬見れば唐衣 ひもゆふぐれに波ぞ立ちける

【現代語訳】禊(みそぎ)をしている川の瀬を見れば、日も暮れて波が立っている

【詞書】六月祓

【作者】紀貫之(きのつらゆき)

【採録】新古今和歌集、貫之集など

【補足】貫之は、三十六歌仙の一人です。なお、唐衣(からころも)は「紐(ひも)」「裁つ(たつ)」など、衣服に関する語にかかる枕詞(まくらことば)です。

 

夕暮れは いづれの雲のなごりとて 花たちばなに風のふくらむ

【現代語訳】夕暮れには、どのような雲の名残りとして、橘の花に風が吹くのだろうか

【詞書】守覚法親王、五十首歌よませ侍りける時

【作者】藤原定家(ふじわらのさだいえ、ていか)

【採録】新古今和歌集など

橘の木に成った実

 

 


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