9月の短歌・和歌 20選  -仲秋-

ピンク色の萩の花

9月ともなると、たとえ暑さが残っていても秋を意識せずにはいられません。そして少しずつ、朝晩の風の中にも秋を感じることが多くなってゆきます。

このページには、9月頃の風景が思い浮かぶような短歌と和歌を集めましたので、是非とも鑑賞してみて下さい。

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目次

9月の短歌 10選

まず、近代(明治)以降の歌で「9月の短歌」としてふさわしいものをみていきましょう。

 

秋くさの 千ぐさの園に女郎花 穂蓼の花とたかさあらそふ 

【作者】伊藤左千夫(いとう さちお)

【補足】「女郎花」「穂蓼」の読みはそれぞれ「おみなえし」「ほたで」です。

 

きりぎりす 葛の葉つづく草どなり 笛ふく家と琴ひく家と

【作者】与謝野晶子(よさの あきこ)

【補足】「葛」の読みは「くず」です。

 

雲はいま 富士の高ねをはなれたり 据野の草に立つ野分かな 

【作者】若山牧水(わかやま ぼくすい)

【補足】野分(のわけ、のわき)とは、秋に吹く強い風、大風のことをいいます。

 

鶏頭の 古りたる紅の見ゆるまで わが庭のへに月ぞ照りける

【作者】斎藤茂吉(さいとう もきち)

【補足】「古(ふ)りたる」は「古びた」の意です。また、「庭のへ(辺)に」は「庭のあたりに」という意味です。

 

白桔梗 君とあゆみし初秋の 林の雲の静けきに似て

【作者】若山牧水

【補足】「白桔梗」の読みは「しろききょう」です。

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つぶれ石 あまたもまろぶたをり路の 疎らの薄秋の風ふく

【作者】長塚 節(ながつか たかし)

【補足】「あまたもまろぶ」は「数多く転が(ってい)る」の意です。

 

母となり なほなつかしむ千代紙の たぐひと見ゆる紅萩の花

【作者】与謝野晶子

【補足】千代紙(ちよがみ)とは、色模様が刷られた正方形の和紙のことをいい、折り紙とも呼ばれます。

 

曼珠沙華 茎立しろくなりにけり この花むらも久しかりにし

【作者】北原白秋(きたはら はくしゅう)

【補足】曼珠沙華は彼岸花(ひがんばな)の別名で、他にも死人花(しびとばな)、地獄花(じごくばな)、幽霊花(ゆうれいばな)などと呼ばれることもあります。

 

むさしのの しののをすすきかたよりに なびけば残る有明の月

【作者】正岡子規(まさおか しき)

【補足】有明(ありあけ)とは夜明けのことですが、空に月が残ったまま夜が明けることを意味することもあります。また、「しのの(篠野)」とは、篠(竹の一種)た群がり生えた野原のことをいいます。

 

わが待ちし 秋は来りぬ三日月の 光しづけくかがやきにけり

【作者】古泉千樫(こいずみ ちかし)

【補足】「しづけく」は「静かに」の意です。

夜空に輝く三日月

 

 

9月の和歌 10選

次に、近代(明治)以前の歌で「9月の和歌」としてふさわしいものをみていきましょう。

なお、三十六歌仙については、こちらのページをご覧になってください。

⇒ 三十六歌仙とは?

 

秋きぬと 荻の葉風のつげしより 思ひしことのただならぬ暮

【現代語訳】秋が来た」と萩の葉を吹く風が告げてから思っていたこと、(それは)ただごとではない(=普通ではない)夕暮れ…

【作者】式子内親王(しょくしないしんのう)

【採録】式子内親王集

【補足】 平安時代前期の歌人・貴族で、三十六歌仙(さんじゅうろっかせん)の一人です。

【参考】

秋はなほ 夕まぐれこそただならね 荻の上風萩の下露

 (藤原義孝)

 

秋の夜の あくるも知らずなく虫は わがごと物やかなしかるらん

【現代語訳】秋の夜の明けるのも知らずに鳴く虫は、私のように物悲しいのだろうか

【詞書】是貞のみこの家の歌合のうた

【作者】藤原敏行(ふじわらのとしゆき)

【採録】古今和歌集

【補足】敏行は三十六歌仙の一人です。

 

いづくにか 今宵の月の曇るべき をぐらの山も名をやかふらむ

【現代語訳】(一体)どこで今晩の月が曇るというのか、小倉山も名前を変えることだろう

【作者】大江千里(おおえのちさと)

【採録】新古今和歌集

【補足】平安時代前期の歌人・貴族で、中古三十六歌仙の一人です。

 

いづこにも 草の枕を鈴虫は ここを旅とも思はざらなむ

【現代語訳】どこにでも草の枕を。(でも)鈴虫はここを旅(の宿)と思わないでほしい。

【詞書】家の前栽にすずむしをはなち侍りて

【作者】伊勢(いせ)

【採録】拾遺和歌集

【補足】伊勢は三十六歌仙の一人です。

 

すむ人も なき山里の秋の夜は 月の光もさびしかりけり

【現代語訳】住む人もない山里の秋の夜は、月の光も寂しいことだ…

【詞書】広沢の月を見てよめる

【作者】藤原範永(ふじわらののりなが)

【採録】後拾遺和歌集、金葉和歌集

【参考】

すむ人も なき山里の池のおもは やどる月さへさびしかりけり

 (藤原定頼)

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名にめでて 折れるばかりぞ女郎花 われおちにきと人にかたるな

【現代語訳】名前に惹かれて折り取っただけなのだ、女郎花よ。私が堕落したなどと人に言わないでくれ

【作者】遍昭(へんじょう)

【採録】古今和歌集、遍昭集

【補足】遍昭は六歌仙、三十六歌仙の一人です。

 

荻の葉に かはりし風の秋のこゑ やがて野分の露くだくなり

【現代語訳】萩の葉に吹く(音が)変わった風は秋の声… やがて野分が露を砕いてゆく

【作者】藤原定家(ふじわらのさだいえ、ていか)

【採録】玉葉和歌集

【補足】定家は小倉百人一首の撰者です。

 

三日月の 野原の露にやどるこそ 秋の光のはじめなりけれ

【現代語訳】三日月が野原の露に宿る(=かかる)のが、秋の光の最初のものなのだ

【作者】藤原俊成(ふじわらのとしなり)

【補足】俊成は『千載和歌集』の撰者です。 ⇒ 千載和歌集の歌 5首

 

八重葎 茂れる宿のさびしきに 人こそ見えね秋は来にけり 

【現代語訳】幾重にも葎が茂った寂しい家に、人は訪れないが秋はやって来たのだった

【作者】恵慶法師(えぎょうほうし)

【採録】拾遺和歌集、定家八代抄など

【補足】恵慶は中古三十六歌仙の一人

 

やどりせし 人のかたみか藤袴 わすられがたき香ににほひつつ

【現代語訳】我が家に宿った人の形見か、(この)藤袴。忘れ難い香りを匂わせて…

【作者】紀貫之(きのつらゆき)

【補足】貫之は三十六歌仙の一人です。

白い藤袴の花

 


 関 連 ペ ー ジ 


⇒ 秋の短歌 20選

⇒ 秋の和歌 20選

⇒ 和歌で有名な 20首【保存版】

⇒ 百人一首で有名なのは?

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