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秋の和歌 20選 【現代語訳】付き

薄紫色の菊の花

秋という季節は、古くから日本人の心をとらえてきました。春が心なしか嬉しい気持ちにさせてくれるのと対照的に、秋には何ともいえぬ物悲しさを感じてしまいます。

そして、人々は秋によって動かされた心を歌に込めて表現してきました。それを私たちが読むときには、大きな共感を持って迎えることができるのです。

このページには、秋の和歌と呼ぶにふさわしいものを集めました。いずれもが秋らしい情緒、雰囲気に満ちあふれたものなので、是非とも味わってみて下さい。

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目次

秋の和歌について

菊、萩、をみなへしなどのように、秋に関した風物などが詠み込まれている和歌を 20首を選び、五十音順に並べました。秋という季節が持つ美しさが見事に表現されたものばかりですので、是非チェックしてみて下さい。

なお、それぞれの歌には現代語訳を付けましたが、これは私の意訳であることをお断りしておきます。一般的な解釈、通釈とは異なるものもあることを何卒ご了承ください。

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秋の和歌 20選

 

秋風の 吹きにし日よりいつしかと 我(あ)が待ち恋ひし君ぞ来ませる

【現代語訳】秋風が吹いた日から、いつか(いつか)と私が待ち焦がれていたあなたが来られました

【作者】山上憶良(やまのうえのおくら)

【採録】万葉集(まんようしゅう) 

【補足】題詞(だいし)に「七夕の歌」とあるので、牽牛(けんぎゅう)を待つ織女(しょくじょ)の気持ちを詠んだ歌と解します。

 

 

秋の菊 にほふかぎりはかざしてむ 花より先としらぬわが身を

【現代語訳】秋の菊が匂っている限りは挿頭(かざし)にしていよう。花より先(に死ぬ)かもしれない我が身を(飾って)

【作者】紀貫之(きのつらゆき)

【採録】古今和歌集(こきんわかしゅう) 

【補足】菊には、次のような別名もあります。

  • 星見草(ほしみぐさ)
  • 千代見草(ちよみぐさ)
  • 霜見草(しもみぐさ)=寒菊

 

 

秋の田の 穂田(ほだ)を雁(かり)がね暗けくに 夜のほどろにも鳴き渡るかも

【現代語訳】秋の穂が出そろった田を、雁が(まだ)暗くて夜が明けるころに鳴き渡っていくなあ

【作者】聖武天皇(しょうむてんのう)

【採録】万葉集 

【補足】「かり」は、「刈り」と「雁」の掛詞(かけことば)です。

 

 

秋の夜の 心をつくすはじめとて ほのかにみゆる夕月夜(ゆふづくよ)かな

【現代語訳】秋の夜の心を尽くす(使い切ってしまう)初めとして、ほのかに見える夕月夜が…

【作者】藤原実家(ふじわらのさねいえ)

【採録】千載和歌集(せんざいわかしゅう) 

【補足】古今和歌集に、詠み人しらずの次の歌があります。

木の間より もりくる月のかげみれば 心づくしの秋は来にけり

 

 

秋萩の ふるえにさける花見れば 本の心は忘れざりけり

【現代語訳】秋萩の古い枝に咲いた花を見ると、(花は)もとの心を忘れなかったのだなあ

【作者】凡河内躬恒(おうしこうちのみつね)

【採録】古今和歌集 

【補足】風雅和歌集(ふうがわかしゅうに)は、藤原惟方(ふじわらのこれかた)の次の歌があります。

秋くれば 萩もふるえにさくものを 人こそかはれもとの心は

萩の花

 

 

秋山に 落つる黄葉(もみちば)しましくは な散り乱(まが)ひそ妹があたり見む

【現代語訳】秋山で落ちてゆく黄葉よ、しばらくは散り乱れないでくれ。妻の(居る)あたりを見たいから

【作者】柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)

【採録】万葉集 

【補足】「な ~ そ」は「~しないでくれ、~してくれるな」という意味になります。

 

 

秋山の あらしのこゑをきくときは 木の葉ならねど物ぞかなしき

【現代語訳】秋の山の嵐の声を聞くときは、(私が)木の葉でなくても物悲しいものだ

【作者】僧正遍昭(そうじょうへんじょう)

【採録】拾遺和歌集(しゅういわかしゅう) 

【補足】写本によっては「こゑ」が「かぜ」となっているものもあります。

 

 

いづこにも ふりさけ今やみかさ山 もろこしかけて出づる月かげ

【現代語訳】どこでも仰ぎ見ているのだろう、今は。三笠山から唐土(もろこし=中国)にかけて出ている月の光を

【作者】源家長(みなもとのいえなが)

【採録】新勅撰和歌集(しんちょくせんわかしゅう) 

【補足】古今和歌集の安倍仲麿(あべのなかまろ)の次の歌は有名ですね。

天の原 ふりさけみれば春日なる 三笠の山に出でし月かも

 

 

今よりは 心ゆるさじ月かげの 行方もしらず人さそひけり

【現代語訳】これからは心を許すまい。月の光は行方も分からなくなるように人を誘うから

【作者】藤原家経(ふじわらのいえつね)

【採録】金葉和歌集(きんようわかしゅう) 

【補足】「かげ」は、月・日・灯火などの光の意味があります。

 

 

うちつけに さびしくもあるかもみぢ葉も ぬしなき宿は色なかりけり

【現代語訳】急に寂しくなったことだ。紅葉も主(あるじ)がいなくなった家では色がなくなってしまった

【作者】源能有(みなもとのよしあり)

【採録】古今和歌集 

【補足】詞書には「河原の大臣の身まかりての秋、かの家のほとりをまかりけるに、もみぢの色まだ深くもならざりけるを見て、かの家によみて入れたりける」とあります。この「河原の大臣(おほいまうちぎみ)」とは、源 融(みなもとのとおる)のことを指しています。

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大空に あかぬ心の満ちぬれば 我が身のうちの月かとぞ見る

【現代語訳】大空に、(月をいくら見ていても)飽きない心が満ちたので、私の体の中の月かと(思って)見ている

【作者】九条兼実(くじょうかねざね)

【採録】万代和歌集(まんだいわかしゅう) 

 

 

声たてて 泣きぞしぬべき秋霧に 友まどはせる鹿にはあらねど

【現代語訳】声を立てて鳴いてしまおう。秋の霧で友を見失った鹿ではないけれども…

【作者】紀友則(きのとものり)

【採録】後撰和歌集(ごせんわかしゅう)

 

 

すぎてゆく 秋の日影は朝ごとに うつろふ菊の色に見えけり

【現代語訳】過ぎてゆく秋の日の光は、朝になるたびに褪(あ)せてしまい、(同じように褪せてゆく)菊の(花の)色からも分かるのだ

【作者】藤原公衡(ふじわらのきんひら)

【採録】三位中将公衡卿集(さんみちゅうじょうきんひらしゅう) 

 

 

月みても わがよはすでに久方の あまねくてらせ秋の心を

【現代語訳】月を見て(思うに)、私の人生も既に久しくなって(=長い月日が経って)しまった。広く照らしてくれ、秋の心を

【作者】藤原有家(ふじわらのありいえ)

【採録】建保二年 内裏歌合(けんぽうにねん だいりうたあわせ) 

【補足】「久方の(ひさかたの)」は「あま」に掛かる枕詞(まくらことば)です。

 

 

露だにも 名だたるやどの菊ならば 花のあるじや幾世なるらむ

【現代語訳】(花に付いた)露でさえも名だたる家の菊なので、花の主はどれくらい(長い年月)でいらっしゃるのでしょうか

【作者】藤原雅正(ふじわらのまさただ)

【採録】後撰和歌集 

【補足】伊勢(いせ=三十六歌仙の一人で、歌人・中務の母)の次の歌に対する返歌です。

数しらず 君がよはひをのばへつつ 名だたる宿の露とならなむ

黄色い菊の花

 

 

人の見る ことやくるしきをみなへし 秋霧にのみたちかくるらむ

【現代語訳】人が見ることをつらい(と思う)のだろう、女郎花(をみなえし)は。秋の霧が立つと(姿が)隠れてしまう

【作者】壬生忠岑(みぶのただみね)

【採録】古今和歌集 

 

 

吹きまよふ 野風をさむみ秋萩の うつりもゆくか人の心の

【現代語訳】吹き乱れる野の風が寒く、秋萩(の色)が褪せてゆくのか、人の心のように

【作者】常康親王(つねやすのみこ)

【採録】古今和歌集 

 

 

山里の 物さびしさは荻の葉の なびくごとにぞ思ひやらるる

【現代語訳】山里の物寂しさは、萩の葉のなびくたびに思いやられる

【作者】藤原実頼(ふじわらのさねより)

【採録】後撰和歌集 

 

 

夜もすがら 月をながめて契りおきし そのむつごとに闇は晴れにき

【現代語訳】一晩中月を眺めて約束しました。その(ときの)会話で、(私の心の)闇は晴ました

【作者】源雅定(みなもとのまささだ)

【採録】新後撰和歌集(しんごせんわかしゅう) 

【補足】この歌に対する西行(さいぎょう)の返歌が次のものです。

すむと見えし 心の月しあらはれば この世も闇のはれざらめやは

 

 

をみなへし 秋の野風にうちなびき 心ひとつをたれによすらむ

【現代語訳】女郎花は秋の野風になびいて、心のうちを誰に寄せているのだろうか

【作者】藤原時平(ふじわらのときひら)

【採録】古今和歌集 

 


 関 連 ペ ー ジ 


※いわゆる「有名な和歌」と言われているものは下のページに集めてありますので、そちらも是非ご覧になってみてください。

⇒ 有名な和歌 ベスト20首 【保存版】

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