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加賀千代女の俳句 100選 -春・夏・秋・冬-

ピンク色の朝顔の花

加賀千代女(かがのちよじょ)は江戸時代の女流俳人で、松尾芭蕉の『奥の細道』が刊行された翌年(元禄 16年=1703年)に生まれています。

「朝顔に つるべ取られて もらい水」が代表的な句として知られていますが、12歳のころから本格的に俳諧を志したといわれる彼女の俳句には、女性らしさや優しさが感じられるものが数多くあります。

このページには、加賀千代女が詠んだ俳句の中から、季語で分けた春、夏、秋、冬の俳句をそれぞれ 25句ずつ、合計で 100句を選びました。是非とも、これらをゆっくりと鑑賞してみて下さい。

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目次

加賀千代女の春の俳句 25選


 春 


 

仰向いて 梅をながめる 蛙かな

【季語】梅、蛙

 

 

うくひすや はてなき空を おもひ切

【季語】うくひす(鶯)

 

 

鴬や 椿落して 迯て行

【季語】鶯、椿

【補足】「迯て行」の読みは「に(逃)げてゆく」です。

 

 

閑かさは 何の心や はるのそら

【季語】はるのそら

【補足】「閑かさ」の読みは「しずかさ」です。

 

 

たんぽぽや 折々さます 蝶の夢

【季語】たんぽぽ 蝶

 

 

地にとどく 願ひはやすし 藤の花

【季語】藤の花

 

 

蝶々の 羽風も尽す 霞かな

【季語】蝶々

 

 

月の夜の 桜に蝶の 朝寝かな

【季語】桜

 

 

何になる 空見すまして 雲雀かな

【季語】雲雀(ひばり)

 

 

初花や 烏もしらすに きのふけふ

【季語】初花(はつはな)

【補足】初花とは、その季節に初めて花が咲くことをいいます。

 

 

春風や いろいろの香を そそのかし

【季語】春風

 

 

春雨や うつくしうなる 物ばかり

【季語】春雨(はるさめ)

 

 

春雪や ふるにもあらず ふらぬにも

【季語】春雪

春の雪と桜の花

 

 

晩鐘を 空におさゆる さくらかな

【季語】さくら

 

 

日はながし 卯月の空も きのふけふ 

【季語】日はながし(=日永)

【補足】「卯月(うづき)」は旧暦 4月の異名です。

【関連ページ】 月の和名(旧暦)は?

 

 

昼の夢 ひとりたのしむ 柳哉

【季語】柳

【補足】「哉」の読みは「かな」です。

 

 

ふたつみつ 飛んで見て飛 蛙かな

【季語】蛙

 

 

水影を くめどこぼせど 朧月

【季語】朧月(おぼろづき)

 

 

結ばふと 解ふと風の やなぎかな

【季語】やなぎ

【補足】「解ふと」の読みは「とこうと」です。

 

 

ものの葉の まだものめかぬ 余寒かな

【季語】余寒

【補足】「ものの葉」とは「様々な草木の葉」、「まだものめかぬ」は「まだ本当のそのもの(=草木の葉)らしくない」という意味です。

 

 

ももの花 我をわすれる 月日かな

【季語】ももの花

 

 

桃の日や 花あとに成 先に成

【季語】桃の日

【補足】三月三日の桃の節句は、雛の節句、女の節句、弥生の節句などとも詠まれます。

 

 

山桜 花のうらこそ 夕日影

【季語】山桜

 

 

山吹や 影も狂はぬ 水の影

【季語】山吹

 

 

わき道の 夜半や明るく 初さくら

【季語】初さくら

【補足】「夜半(よわ)」とは「夜、夜中」の意味を持ちます。

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加賀千代女の夏の俳句 25選


 夏 


 

浮草や 雨のふる日も 常の花

【季語】浮草

【補足】(うきくさ)は、池や沼の水面に浮いて育つ植物の名前です。

 

 

風毎に 葉を吹出すや ことし竹

【季語】ことし竹(今年竹)

【補足】「ことし竹」は若竹と同義で、その年に生えたものであることから名付けられたものです。「毎に」の読みは「ごとに」です。

 

 

風さけて 入日涼しき 菖蒲の日

【季語】菖蒲の日

【補足】入日(いりひ)とは、夕日、落日のことをいいます。また、「菖蒲の日」とは「端午(たんご=旧暦の最初の午の日)」のことです。

 

 

かたまりし 寒さも出たり 雲の峰

【季語】雲の峰

 

 

こぼれては もとの水なり 紅の花

【季語】紅の花(べにのはな=ベニバナ)

 

 

すずしさや 手は届かねど 松の声

【季語】すずしさ

 

 

蝉の音の 秋へこぼれて 暑さかな

【季語】蝉

 

 

滝の糸 ほそふなる時 せみの声

【季語】せみの声

 

 

たたむには 団扇残りて 夕涼

【季語】団扇(うちわ)、夕涼(ゆうすずみ)

 

 

つまづいて 消つまづいて 飛蛍

【季語】蛍

 

 

照もよし ふるも夏野の 道すがら

【季語】夏野

 

 

葉桜の 昔忘れて すずみけり

【季語】葉桜

葉桜

 

 

花に針 心知りたき 茨かな

【季語】茨(いばら)

 

 

花の香に うしろ見せてや 更衣

【季語】更衣(ころもがえ=衣更え)

 

 

晩鐘に 雫もちらぬ 若葉哉

【季語】若葉

【補足】「雫」の読みは「しずく」です。

 

 

昼かほの おもてはつよし 昼の鐘

【季語】昼かほ(昼顔)

 

 

ほたる火や 山路の往来 おぼつかな

【季語】ほたる火

【補足】「山路」の読みは「やまじ(=山道)」です。

 

 

水影の もろもろ涼し 夏の月

【季語】夏の月

 

 

身にまとふ ものとはみえず 綿の花

【季語】綿の花

 

 

むかしにも 似かよふ影や かきつばた

【季語】かきつばた

 

 

結ぶ手に あつさをほどく 清水哉

【季語】清水

 

 

ものの音 水に入る夜や ほととぎす

【季語】ほととぎす

 

 

夕顔や 午さへ白ふ 見ゆる頃

【季語】夕顔

【補足】「午」の読みは「ひる」です。

 

 

ゆふがおや 物のかくれて うつくしき

【季語】ゆふがお(夕顔)

 

 

ゆふたちの 道よりもなし 日和山

【季語】ゆふたち(夕立ち)

【補足】「日和山(ひよりやま)」とは、船乗りが船を出すか否かを決める際に、日和を見る(=天候を予測する)ために利用した山のことをいいます。

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加賀千代女の秋の俳句 25選


 秋 


 

秋風の 山をまはるや 鐘の声

【季語】秋風

 

 

秋来ぬと 東ながめて をりにけり

【季語】秋来ぬ

 

 

秋立や 風幾たびも 聞直し

【季語】秋立(あきたつ)

 

 

朝顔に つるべ取られて もらい水

【季語】朝顔

【補足】「朝顔の俳句」といえば誰もが思い起こすような、千代女の代表的な句です。しかし、正岡子規は「この句は人口に膾炙する句なれども俗気多くして俳句とはいふべからず(この句は人々に広く知れ渡っている句であるが、俗っぽい気持ちが多く含まれていて、俳句といえるものではない:俳諧大要より)」という評価を下しています。

【関連ページ】 朝顔の俳句 25選

 

 

朝顔や 宵から見ゆる 花のかず

【季語】朝顔

【補足】(よい)とは、日が暮れてからしばらくの間のことをいいます。

 

 

あさがほや まだ灯火の 薄明り

【季語】あさがほ(朝顔)

【補足】「灯火」の読みは「ともしび」です。

 

 

あまりては 月に戻すや 萩の露

【季語】月、萩、露

 

 

笠を置 とこを見ありく 花野哉

【季語】花野

 

 

菊の香や 流れて草の 上までも

【季語】菊

 

 

木陰から 出て日の暮るる 紅葉哉

【季語】紅葉

 

 

九重も 一重に見るや 秋のくれ

【季語】秋のくれ

 

 

琴の音の 我にかよふや 今朝の秋

【季語】今朝の秋

 

 

たち尽す ものはかかしぞ 後の月

【季語】後の月

【補足】後(のち)の月とは、十三夜(じゅうさんや=旧暦の 9月13日の夜)の月の別名です。なお、十五夜(じゅうごや)は旧暦 8月15日の夜です。

後の月

 

 

魂たなは 水の味さへ かほりけり

【季語】魂たな

【補足】魂たな(魂棚=霊棚)とは、お盆に先祖の霊を安置して供え物する棚のことで、精霊棚(しょうりょうだな)、盆棚(ぼんだな)とも呼ばれます。

 

 

月の夜は 石に出て啼 きりぎりす

【季語】きりぎりす

【補足】「啼」の読みは「なく(鳴く)」です。

 

 

十日には まさりかほなる 野菊かな

【季語】野菊

【補足】九月九日の重陽(ちょうよう)は菊の節句ともいわれ、菊の花が用いられます。

【関連ページ】 菊の節句とは?

 

 

長き夜や かはりかはりに 虫の声

【季語】長き夜

 

 

なかれても 底しづかなり 水の月

【季語】月

【補足】初句は「流れても」の意です。

 

 

はからずも 琴きく雨の 月見哉

【季語】月見

 

 

はつかりや 通り過して 声ばかり

【季語】はつかり(初雁)

 

 

ひと色の 野菊でしまふ 心こそ

【季語】野菊

 

 

ほしあいを 何とかおもふ 女郎花

【季語】ほしあい(星合)、女郎花

【補足】星合とは、七夕に織女の星と牽牛の星が出会うことをいいます。

 

 

みみたてて うさぎもなにと 秋の暮

【季語】秋の暮

 

 

夕暮れや 都の人も 秋の顔

【季語】秋

 

 

ゆく秋や 持て来た風は 置ながら

【季語】ゆく秋

 

 

蘭の香や 手にうけて見る ものならば

【季語】蘭

紫色の蘭の花

 

 

加賀千代女の冬の俳句 25選


 冬 


 

淡路島 戻る声なき 千鳥哉

【季語】千鳥

 

 

美しう 昔をさくや 冬ぼたん

【季語】冬ぼたん

 

 

髪を結ふ 手の隙あけて こたつかな

【季語】こたつ

 

 

こがらしや すぐに落付 水の月

【季語】こがらし

 

 

水仙花 よくよく冬に 生れつき

【季語】水仙花

 

 

水仙は 香をながめけり 今朝の雪

【季語】水仙、雪

 

 

その中に 唯の雲あり 初時雨

【季語】初時雨(はつしぐれ)

【補足】時雨とは、主に秋から冬にかけての降ったり止んだりする雨のことをいいます。

 

 

竹はまた もてあそぶ也 今朝の雪

【季語】雪

 

 

茶の花や かかる日脚を 咲のばし

【季語】茶の花

【補足】この句の日脚(ひあし)は、「日射し(ひざし)」の意味です。

 

 

つめたさは 目の外にあり けさの雪

【季語】雪

 

 

鳥影を 葉に見てさびし 冬の月

【季語】冬の月

 

 

流れても 底しつかなり 冬の月

【季語】冬の月

 

 

初しぐれ 水にしむほど 降にけり

【季語】初しぐれ

池に降る雨

 

 

はつゆきは 松の雫に 残りけり

【季語】はつゆき

 

 

はつ雪や 子どもの持て ありくほど

【季語】はつ雪

 

 

花となり 雫となるや 今朝の雪

【季語】雪

 

 

春の夜の 夢見て咲や 帰花

【季語】帰花(かえりばな)

【補足】帰花とは、11月頃の暖かい日に、草木が本来の季節とは異なって咲くことをいいます。「返り花」とも表記されます。

 

 

独り寝の さめて霜夜を さとりけり

【季語】霜夜(しもよ)

 

 

二つ三つ まではよまるる ちどり哉

【季語】ちどり

 

 

冬枯や ひとり牡丹の あたたまり

【季語】冬枯

 

 

又咲ふ とはおもはれぬ 枯野かな

【季語】枯野

 

 

まだ重き 寒さは置ず 竹の雪

【季語】寒さ 雪

 

 

松風の ぬけて行たる しぐれかな

【季語】しぐれ(時雨)

 

 

見るうちに 月の影減る 落葉哉

【季語】落葉

 

 

雪の夜や ひとり釣瓶の 落る音

【季語】雪

【補足】釣瓶(つるべ)とは、井戸の水を汲み上げるための桶(おけ)のことです。

夜の雪

 


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