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冬の短歌 ベスト20!

冬木立

冬という季節は、厳しい寒さのせいか他の季節と違って苦手とする人も多いかもしれません。しかし、秋から冬へと移っていく時期の、何ともいえない切ないような風景には特別なものを感じることができます。

また冬は、寒さのなかで年の暮れ、お正月といった一年のうちで最も大事な行事がある季節でもあります。

今回は、冬のイメージを持った短歌を集めてみました。是非、これらをしみじみと味わってみてください。

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目次

冬の短歌について

「冬」と関連がない歌もあるかもしれませんが、私が冬を想起するものを選びました。
「字余り」、「字足らず」の歌は選んでいません。
並んでいる順番は、五十音順です。

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冬の短歌 ベスト20

 

朝清め 今せし庭に山茶花(さざんか)の いささか散れる人の心や

【作者】伊藤佐千夫(いとう さちお)

「朝清め」とは、朝の掃除のことです。

 

 

あらたまの 年の若水(わかみず)くむ今朝は そぞろにものの嬉しかりけり

【作者】樋口一葉(ひぐち いちよう)

「あらたまの」は枕詞(まくらことば)で、「年」「月」「日」「春」などにかかります。「若水」は元日の朝に初めて汲む水のことで、「そぞろに」は「なんとなく」の意です。

 

 

いにしへの これの狩場の枯尾花 きたり遊びてひと日暮せり

【作者】中村憲吉(なかむら けんきち)

伊藤佐千夫(いとう さちお)に師事し、斎藤茂吉や島木赤彦らと交流がありました。肺結核のために亡くなりました。

 

 

裏山の 冬木にそそぐさむ時雨(しぐれ)見て ゐる程にいやさびしもよ

【作者】木下利玄(きのした りげん)

時雨とは、降ったり止んだりする雨のことで、主に秋から冬にかけてのものをいいます。「もよ」は強い感動や詠嘆を表わします。

 

 

かれてたつ ただ一もともさびしきは 嵐の庭の尾花なりけり

【作者】樋口一葉

「一もと」とは、草や木などの一本(いっぽん)のことです。尾花は「ススキ」の別名で、見た目が馬などの尾に似ていることから、こう呼ばれます。

ススキの穂

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寒月ガ カカレバ君ヲ シヌブカナ アシタカヤマノ フモトニ住マウ

【作者】井上靖(いのうえ やすし)

井上靖は、1950年に芥川賞を受賞している小説家です。「寒月ガ…」は自伝的長編小説『あすなろ物語』に含まれているもので、「シヌブ」は「シノブ(忍ぶ)」と同じです。

愛鷹山(あしたかやま)は、富士山の南麓にある山です。

 

 

草まくら 時雨ぞ寒きわが友の なさけの羽織いただきて着む

【作者】土田耕平(つちだ こうへい)

島木赤彦に師事しました。歌人であり、童話作家でもありました。18歳のときに両親を失っています。

 

 

こころよき 寝覚なるかも冬の夜の あかつきの月玻璃窓(はりまど)に見ゆ

【作者】若山牧水(わかやま ぼくすい)

玻璃窓とは、ガラス窓のことです。

 

 

寂しくて 布団の上ゆ仰ぎ見る 短日の陽は傾きにけり

【作者】島木赤彦(しまき あかひこ)

歌中の「ゆ」は、「~より」を意味する格助詞(かくじょし)です。

 

 

静まらぬ こころ寂しも枇杷(びわ)の花 咲き篭(こも)りたる園の真昼に

【作者】若山牧水

牧水は、情熱的な恋をしたことでも有名です。

枇杷の木

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白樫(しらかし)の 山茶花のやや茂りたる ちひさき庭の病院のまど

【作者】若山牧水

歌集『秋風の歌』に収められた歌です。

 

 

しらしらと 氷かがやき千鳥なく 釧路の海の冬の月かな

【作者】石川啄木(いしかわ たくぼく)

初出は「しらしらと 氷かがやき千鳥なく 釧路の海も思出にあり」でしたが、後に歌集『一握の砂』において「海の冬の月かな」に改作されました。

 

 

水盤に わが頬をうつす若水を また新しき涙かと見る

【作者】与謝野晶子(よさの あきこ)

水盤とは、陶器・鉄製の底が浅い容器のことで、いけ花などに使います。

 

 

七草の なづなすずしろたたく音 高く起れり七草けふは

【作者】若山牧水

(春の)七草とは、次の7つです。

  • せり
  • なずな
  • ごきょう
  • はこべら
  • ほとけのざ
  • すずな
  • すずしろ

 

 

野の中に 暮るる一つ家いやましに 凩(こがらし)のなかに静もれるかも

【作者】島木赤彦

凩(木枯らし)は、秋から冬にかけて吹く北からの強い風のことです。

木枯らしが吹く野原

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初春の うら白の葉やかけなまし 少し恨みのまじる心に

【作者】与謝野晶子

晶子が亡くなる直前に病床で書いた短歌の草稿が、2014年に発見されています。

 

 

春立つを よろこぶ人に似る霰(あられ) 少し落せる正月の空

【作者】与謝野晶子

「春立つ」とは、「春(の季節)になる、立春になる」という意味です。

 

 

冬枯の 野に向く窓や夕ぐれの 寒さ早かり日は照しつつ

【作者】島木赤彦

赤彦は童謡も手がけ、『赤彦童謡集』『第二赤彦童謡集』『第三赤彦童謡集』を刊行しています。

 

 

身にしみて 寒けかりけり色かへぬ 松にもかよふ木枯のこゑ

【作者】樋口一葉

「寒けかりけり」は、「寒々としている、寒そうだ」の意です。

 

 

やどり木の ちひさき枝葉老松(おいまつ)の こずゑに見えてゆらぐ冬の日

【作者】若山牧水

老松とは、長い年月が経った松のことをいいます。

松の梢

 

【関連ページ】

短歌だけでなく、俳句などからも冬を感じてみてはいかがでしょう。

⇒ 冬の俳句 ベスト20

⇒ 冬の風物詩 50

⇒ 冬の言葉 20

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