菊の俳句 25選+10句 -星見草-

カラフルな菊の花

菊の花の品種は和菊(わぎく)から洋菊まで数が多く、春の花が桜であるのに対し、秋の花を代表する存在といえるでしょう。

古くには平安時代頃の歌にも登場していますが、江戸時代の元禄期からは特に栽培が盛んになり、多くの俳句にも詠み込まれてきました。

このページには、菊について詠まれた句を集めまてみました。菊の花がある秋の日の光景が目に浮かぶようなものばかりなので、是非ともこれらをチェックしてみて下さい。

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菊の俳句について

黄色い菊の花

」を中心に、「菊人形」「菊枕」「菊日和」などの菊に関連する季語が詠み込まれた句を集めて、先頭の文字の五十音順に並べました。

これらの季語は、すべて秋のものです。

なお、「星見草(ほしみぐさ)」は菊の別名の一つです。他にも「千代見草(ちよみぐさ)」「契草(ちぎりぐさ)」などと呼ばれることもあります。

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菊の俳句 25選

 

秋はまづ 目にたつ菊の つぼみ哉

【作者】向井去来(むかい きょらい)

【補足】

「目にたつ」は「目立つ、人目を引く」の意です。

松尾芭蕉は亡くなる半月ほど前に、次の句を詠んでいます。

白菊の 目に立てゝ見る 塵もなし

 

 

怪しさや 夕まぐれ来る 菊人形

【作者】芥川龍之介(あくたがわ りゅうのすけ)

【補足】

菊人形、衣装を菊の花や葉で細工した等身大の人形で、江戸時代の後期から盛んにつくられるようになりました。

 

 

石頭 やや熱ありぬ 菊枕

【作者】阿波野青畝(あわの せいほ)

【補足】

菊枕(きくまくら)とは、菊の花弁を乾燥させて詰め物にした枕です。漢方では、菊は体の熱を冷ますとされています。

 

 

うつくしく つめたき顔や 菊人形

【作者】西島麦南(にしじま ばくなん)

【補足】

次の句も麦南のものです。

菊人形 泣き入る声の なかりけり

 

 

かき合はす 襟美しき 風の菊

【作者】阿部みどり女

【補足】

みどり女は次の句も残しています。

夕日いま 百株の菊に 沈まんと

女性の着物の衿

 

 

菊白し 菊より白き ゆめ一つ

【作者】三橋鷹女(みつはし たかじょ)

【補足】

もう一句、鷹女の作を紹介します。

にごりなき 心に菊を 咲かしめぬ

 

 

菊の香に きよらに寝たり 朝ちかく

【作者】石田波郷(いしだ はきょう)

【補足】

「きよら」は「きよらか(清らか)」と同義です。

 

 

菊の香や 何も映らず 夜の鏡

【作者】中村汀女(なかむら ていじょ)

【補足】

次の句も汀女が詠んだものです。

働きし 身のさわやかに 夜の菊

 

 

菊の香や 故郷遠き 国ながら

【作者】夏目漱石(なつめ そうせき)

【補足】

菊の香を詠んだ漱石の句をもう一つ。

菊の香や 幾鉢置いて 南縁

 

 

菊の香を やや遠ざけて 消燈す

【作者】石田波郷

【補足】

次に句も波郷のものです。

菊の香や 命惜しみし までにして

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菊日和 美しき日を 鏤めぬ

【作者】星野立子(ほしの たつこ)

【補足】

「鏤めぬ」の読みは「ちりばめぬ」です。

菊日和(きくびより)とは、菊の花が咲く時期の良い天気のことをいいます。

 

 

菊日和 夜はまどかなる 月照りぬ

【作者】水原秋櫻子(みずはら しゅうおうし)

【補足】

「まどか(円)」とは、形が丸いことをいいます。

 

 

銀燭の 燦爛として 菊合

【作者】正岡子規(まさおか しき)

【補足】

銀燭(ぎんしょく)とは「美しい光のともしび」の意で、燦爛(さんらん)は「美しくきらめき輝く様子」をひょうげんする言葉です。

菊合(きくあわせ)とは、左右に分かれて菊花と歌を出し合い、その優劣を競うもので、「菊くらべ」ともいいます。

 

 

月蝕を おそれて菊に 傘しけり

【作者】村上鬼城(むらかみ きじょう)

【補足】

月蝕(げっしょく=月食)は、[ 太陽 - 地球 - 月 ]の配列のときに生じ、地球の影が月にかかって欠けて見える現象です。

 

 

白菊の あしたゆふべに 古色あり

【作者】飯田蛇笏(いいだ だこつ)

【補足】

「あしたゆふべ」は「朝夕」の意で、「古色(こしょく)」とは「古びた色や様子」のことをいいます。

白い菊の花

 

 

白菊や 蒼き夕靄 遠なびき

【作者】日野草城(ひの そうじょう)

【補足】

「靄」の読みは「もや」です。

 

 

しろじろと 花びらそりぬ 月の菊

【作者】杉田久女(すぎた ひさじょ)

【補足】

次の句も久女の句で、菊と月が詠まれています。

白菊に 棟かげ光る 月夜かな

 

 

手燭して 色失へる 黄菊哉

【作者】与謝蕪村(よさ ぶそん)

【補足】手燭(てしょく)とは、手に持つ明かりのことをいいます。

 

 

ぬひあげて 菊の枕の かほるなり

【作者】杉田久女

 

 

旗立てゝ 菊人形の 日和かな

【作者】正岡子規

【補足】

子規は次の句も残しています。

菊を見ず 菊人形を 見る人よ

北条政子の菊人形

 

 

はやくさけ 九日も近し 菊の花

【作者】松尾芭蕉(まつお ばしょう)

【補足】

江戸時代までは、9月9日には菊花酒(日本酒に菊の花を浸したもの)を飲んだり、菊の花を飾ったりする菊の節句が盛んに行なわれていました。

これは、重陽(ちょうよう)あるいは重陽の節句とも呼ばれるものです。

しかし、明治の初期に実施された旧暦から新暦への改暦によって、次第に行事を積極的に行うことが少なくなっていきました。

 ⇒ 菊の節句とは?

芭蕉はまた、次の句も詠んでいます。

草の戸や 日暮れてくれし 菊の酒

 

 

紅菊の 色なき露を こぼしけり

【作者】日野草城

 

 

夜風たつ 菊人形の からにしき

【作者】飯田蛇笏

【補足】

「からにしき(唐錦)」とは、中国から伝わった錦(にしき=織物の総称)をいいます。

 

 

来年の 今日をおもへと 菊白き

【作者】久保田万太郎(くぼた まんたろう)

 

 

欄干に のぼるや菊の 影法師

【作者】森川許六(もりかわ きょりく)

【補足】

影法師(かげぼうし)は本来、人の影のことをいいます。

川の欄干に置かれた黄色い菊の花

 

 


関連ページ


花の季語や、それらが詠み込まれた俳句は次のページにもまとめてあります。もしよろしければご覧になってみてください。

⇒ 花の季語 130とその俳句

 

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