奈良の短歌・和歌 20選 -典麗-

紅葉した吉野山

奈良の吉野山、香具山、三笠山などは、多くの歌人によって古くから和歌などに詠まれてきました。

それらの地名を見聞きすると、遠い昔の時代へと思いを巡らせたくなります。そして、近代の短歌でも「青丹よし 奈良の都 ~ 」といった歌によって語り継がれています。

このページには、美しい奈良の地が詠み込まれている短歌と和歌を集めました。是非ともじっくりと鑑賞してみて下さい。

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目次

奈良の短歌 10

まず、近代(明治)以降の歌で、奈良に関して詠まれたものをみていきましょう。

 

青丹よし 奈良の都に着きにけり 牡鹿鳴てふ奈良の都に

【作者】正岡子規(まさおか しき)

【補足】「青丹よし(あおによし)」は「奈良」に掛かる枕詞(まくらことば)です。「てふ」は「という」の意味です。

 

飛鳥川 あすは知らねど水色に 今日はにほへるあぢさゐの花

【作者】樋口一葉(ひぐち いちよう)

 

春日野の 瑠璃空の下杉が枝に むらさき妙なり藤の垂り花

【作者】木下利玄(きのした りげん)

【補足】瑠璃(るり)は、紫がかった紺色をいいます。垂り花(たりばな)とは、垂れ下がった花という意味です。

 

春日山 しげきがもとを涼しみと 鹿の臥すらむ行きてかも見む

【作者】長塚 節(ながつか たかし)

【補足】「臥す」の読みは「ふす」です。

 

しかなきて かかるさびしきゆふべとも しらでひともすならのまちびと

【作者】会津八一(あいづ やいち)

【補足】漢字を使って表記してみましょう。

鹿鳴きて かかる寂しき夕べとも 知らで灯ともす奈良の町人

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時雨して 奈良はさむけれ御水取 なほ二月堂に行を終らざる

【作者】中村憲吉(なかむら けんきち)

【補足】御水取(おみずとり)とは、3月に奈良の東大寺二月堂(とうだいじにがつどう)で行なわれる法会(ほうえ=ふ仏教の儀式)です。

 

露じもの しげくもあるかと言ひながら わがのぼりゆく天の香具山

【作者】斎藤茂吉(さいとう もきち)

 

東大寺 二王の門を静かなる うす墨色にぬらす秋雨

【作者】与謝野晶子(よさの あきこ)

 

葉を喰めば 馬も酔ふとふ春日野の 馬酔木が原の春過ぎにけり

【作者】若山牧水(わかやま ぼくすい)

【補足】「喰めば(=食べると)」「馬酔木(=常緑低木の名前)」の読みは、それぞれ「はめば」「あせび」です。

 

三笠山 さ青の尾上に立つ鹿の かぼそき姿天にして見つ

【作者】北原白秋(きたはら はくしゅう)

【補足】さ青(さお)は、「青」に語調を整えるための「さ」を付けたものです。

新緑につつまれた三笠山

 

 

奈良の和歌 10

次に、近代(明治)以前の歌で、奈良に関して詠まれたものをみていきましょう。

 

あをによし 奈良の都は古りぬれど もとほととぎす鳴かずあらなくに

【現代語訳】奈良の都は古めかしくなったけれど、なじみのホトトギスが鳴かないということはない…

【作者】大伴家持(おおとものやかもち)

 

色はみな 空しきものをたつた川 もみぢ流るるあきもひととき

【現代語訳】色はみな儚い(はかない)もの… 竜田川を紅葉が流れる秋も一時(のもの)…

【作者】藤原定家(ふじわらのさだいえ)

 

思ひやる 心や花にゆかざらむ 霞こめたるみよしのの山

【現代語訳】思いやる(私の)心は花に届かないのだろうか、霞が込めている吉野の山…

【作者】西行(さいぎょう)

【補足】山家集

 

春日野の 若菜つみにやしろたへの 袖ふりはへて人のゆくらん

【現代語訳】春日野の若菜を摘みにゆくのか、(美しく)白い色の袖を振りつつ人が行くようだ

【作者】紀貫之(きのつらゆき)

【補足】古今和歌集

 

雲はるる 雪のひかりや白妙の 衣ほすてふ天の香久山

【現代語訳】雲が晴れて雪の光が… (美しく)白い衣を干すという天の香久山(かぐやま)…

【作者】藤原良経(ふじわらのよしつね)

【補足】百人一首にも収録されている、持統天皇(じとうてんのう)の次の歌が有名です。

春過ぎて 夏来にけらし白妙の 衣ほすてふ天の香具山

 

これぞこの 奈良のみやこの花盛り こり重なりて匂ふしらくも

【現代語訳】これだ、この奈良の都の花盛り… (それが)寄り集まって匂う(ような)白雲…

【作者】藤原俊成(ふじわらのとしなり)

 

とぶとりの 飛鳥の里のほととぎす 昔のこゑに猶や鳴くらむ

【現代語訳】飛鳥の里のほととぎす、昔の(ままの)声で相変わらず鳴いているのだろう…

【作者】藤原良経

 

春雨の ふるのみ山の花見にと 三笠の山をさしてこそゆけ

【現代語訳】春雨の降る山の花見をしに、三笠の山を目指して行きなさい

【作者】曽禰好忠(そねのよしただ)

 

ふるさとの みかさの山はとほけれど 声は昔のうとからぬかな

【現代語訳】ふるさとの三笠の山は遠いけれど、(耳にする)話は昔のままで、よそよそしくはない…

【作者】藤原兼輔(ふじわらのかねすけ)

【補足】後撰和歌集

 

我が宿の 雪につけてぞふる里の 吉野の山は思ひやらるゝ

【現代語訳】私の家の雪を見るにつけて、ふるさとの吉野の山(の雪)は思いやられるなあ…

【作者】大中臣能宣(おおなかとみのよしのぶ)

【補足】拾遺和歌集

吉野山の満開の桜

 


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