時雨の季語の【一覧】と例句

雨の中の紅葉

秋の終わりから冬の初めに降る時雨は、何とも言えない淋しさを感じさせるものです。

そして、俳句の季語としての時雨は、様々な形で句の中に詠み込まれています。

このページには、時雨に関する季語と、その例句を集めました。時雨が降る頃の風情が感じられるものばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。

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目次

時雨はいつの季語?

時雨とは一般に、秋の終わり~冬の初めの頃の、降ったりやんだりする小雨のことをいいます。

そして、俳句で単に「時雨」と詠まれた場合には冬の季語となります。

しぐれつゝ 紅葉のいろの 盛りかな
(高橋淡路女:たかはしあわじじょ)

この俳句の「紅葉(もみじ)」は秋の季語で、「しぐれ(時雨)」とともに詠まれています。

そして、秋の紅葉の美しさの中に、わずかに感じられる冬の訪れる気配が見事に表現されていると私は感じます。

いろいろの 時雨は過ぎて 冬の雨
 (正岡子規:まさおか しき)

この句が持つ季節感は、淡路女の句の時期よりも後で、秋の気配は消えています。

先に述べたように、時雨は冬の季語で、さらに「冬の雨」が重ねられています。

夢うつゝ 三度は袖の しぐれ哉
 (向井去来:むかい きょらい)

松尾芭蕉(まつお ばしょう)の弟子であった去来が、師の三回忌に詠んだ俳句です。

芭蕉が無くなったのは 1694年11月28日であり、まさに時雨が降るような時期でした。

雨に濡れた石畳と紅葉の葉

 

 

秋時雨 / あきしぐれ

秋の時雨は、次の兼覧王(かねみのおおきみ)の和歌でも詠まれているように、『古今和歌集(こきんわかしゅう)』以来用いられています。

惜しむらん 人の心をしらぬまに 
 秋のしぐれと身をぞふりにける

 

秋しぐれ おちくぼの君が 寝顔見ん

【作者】加藤暁台(かとう きょうたい)

【補足】落窪物語(おちくぼものがたり)は、源氏物語(げんじものがたり)以前に成立したといわれる物語で、作者は不明です。

 

竹売つて 酒手にわびむ 秋時雨

【作者】立花北枝(たちばな ほくし)

 

怒濤より ほかに音なし 秋時雨

【作者】中村汀女(なかむら ていじょ)

【補足】怒濤(どとう)とは、はげしく荒れ狂う大波のことをいいます。

 

 

朝時雨 / あさしぐれ

 

狐火は 消えて野寺の 朝しくれ

【作者】正岡子規

【補足】狐火(きつねび)とは、夜に人が灯していないのに火が燃える現象のことです。野寺(のでら)とは、野の中にある寺のことをいい、山寺(やまでら:山の中にある寺)に対する言葉です。

 

朝時雨 鶲を庭に のこし去る

【作者】加藤楸邨(かとう しゅうそん)

【補足】「鶲」の読み方は「ひたき:鳥の名前」です。

 

 

海時雨 / うみしぐれ

 

球なくて 電柱立てり 海しぐれ

【作者】山口誓子(やまぐち せいし)

海辺に立つ電柱

 

 

片時雨 / かたしぐれ

片時雨とは、ひとところに降る時雨のことをいいます。

 

蟻嶋を ひたせる汐の 片しぐれ

【作者】飯田蛇笏(いいだ だこつ)

 

 

北時雨 / きたしぐれ

北時雨とは、北の方から降ってくる時雨のことです。

 

北しぐれ 馬も故郷へ 向て嘶く

【作者】小林一茶(こばやし いっさ)

 

 

小夜時雨 / さよしぐれ

小夜時雨(さよしぐれ)とは、夜に降る時雨のことです。

 

小夜時雨 煮るもの買うて 戻りけり

【作者】高橋淡路女

 

小夜時雨 生死の外に 坐るかな

【作者】野村喜舟(のむら きしゅう)

 

 

時雨傘 / しぐれがさ

時雨傘は、時雨のときさす傘のことをいいます。

 

時雨傘 ふたたびひらく 水の上

【作者】日野草城(ひの そうじょう)

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露時雨 / つゆしぐれ

露時雨とは、露に覆われて雨が降ったような様子になることをいいます。。また、梢などに付いた露が風に吹かれて時雨のように見えることを言う場合もあります。

 

露しぐれ 檜原松原 はてしなき

【作者】蝶夢(ちょうむ)

 

微熱いま ひく摂理かも 露時雨

【作者】川端茅舎(かわばた ぼうしゃ)

 

露時雨 しぐれんとすれば 日の赤き

【作者】加舎白雄 (かや しらお)

 

東雲や 八十坊の 露しぐれ

【作者】溝口素丸(みぞくち そまる)

 

 

初時雨 / はつしぐれ

その年の冬に初めて降る時雨を初時雨といいます。

 

繋がれし 馬の背高し 初しぐれ

【作者】蝶夢

 

雷落し 松は枯野の 初しぐれ

【作者】内藤丈草(ないとう じょうそう)

 

絶壁に 吹き返へさるる 初時雨

【作者】前田普羅(まえだ ふら)

雨の中の断崖

 

 

春時雨 / はるしぐれ

秋時雨とは違い、春時雨が季語と して用いられるようになったのは、それほど古い時代のことではありません。

 

おもひでの 花は白桃 春しぐれ

【作者】西島麦南(にしじま ばくなん)

 

屋根濡るる それに日当り 春しぐれ

【作者】皆吉爽雨(みなよし そうう)

 

母の忌や 其の日の如く 春時雨

【作者】富安風生(とみやす ふうせい)

 

 

村時雨 / むらしぐれ

村時雨とは、一しきり降る時雨という意味です。

 

羽折かさむ 月にかかれる 村時雨

【作者】杉山杉風(すぎやま さんぷう)

 

あけぼのや 鳥立ち騒ぐ 村時雨

【作者】芥川龍之介(あくたがわ りゅうのすけ)

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夕時雨 / ゆうしぐれ

 夕時雨(ゆうしぐれ)とは、夕方に降る時雨のことです。

 

釣人の 情のこはさよ 夕しぐれ

【作者】与謝蕪村(よさ ぶそん)

 

重箱の 銭四五文や 夕時雨

【作者】小林一茶

 

田の家の 今ともしける 夕時雨

【作者】臼田亞浪(うすだ あろう)

 

水焚や 入江眺めの 夕時雨

【作者】杉田久女(すぎた ひさじょ)

 

青空に 松の翠や 夕時雨

【作者】原 石鼎(はら せきてい)

 

濡れそめて あかるき屋根や 夕時雨

【作者】久保田万太郎(くぼた まんたろう)

 

つけてすぐ なじむ灯であり 夕しぐれ

【作者】久保田万太郎

夕暮れ時の清水寺

 

 

雪時雨 / ゆきしぐれ

雪時雨とは、時雨が降っているうちに雪まじりになることをいいます。

 

肘張つて 蟹茹でらるる 雪時雨

【作者】鈴木真砂女(すずき まさごじょ)

 

北斎の 齢に似たり 雪時雨

【作者】山口青邨(やまぐち せいそん)

 

 

横時雨 / よこしぐれ

横時雨とは、横なぐりに降ってくる時雨のことをいいます。

 

ぬれながら 人ものいはず 横時雨

【作者】正岡子規

 


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