新年の和歌 12選 【現代語訳】付き

金色の扇子と和紙

新年を迎えたときの、清々しくも嬉しいような気持ちには特別なものがあります。

そして、それは万葉集の時代から変わりはないように感じられます。なぜなら、古い時代の和歌を私たちが詠んだときに、その歌を作った人々の気持ちをすんなりと理解できるからです。

そこで今回は、新年の和歌と呼ぶにふさわしいものを集めました。これらはいずれも新年という雰囲気に満ちあふれたものなので、是非とも味わってみて下さい。

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新年の和歌について

新しい年、歳の始めなどのように、新年に関するものが詠まれている和歌を 12首を選び、五十音順に並べました。新年に対する心持ちが見事に表現されたものばかりですので、是非とも鑑賞してみて下さい。

また、新年に関する俳句については、こちらに 30句を集めましたので、あわせてご覧になって下さい。

⇒ 新年の俳句 30選

なお、それぞれの歌には現代語訳を付けましたが、これは私の意訳であることをお断りしておきます。一般的な解釈、通釈とは異なるものもあることを何卒ご了承ください。

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新年の和歌 12選

 

あしひきの 山の木末の寄生とりて 挿頭しつらくは千年寿くとぞ  

【現代語訳】山の木の梢(こずえ)の寄生木(やどりぎ)を取って挿頭(かざし=髪に挿す草花や枝)にしたのは、千年(の世)を祝ってのことです

【作者】大伴家持(おおとものやかもち)

【採録】万葉集(まんようしゅう)

【補足】

  • 「木末」の読みは「こぬれ」
  • 「あしひきの」は「山」にかかる枕詞(まくらことば)
  • 「寄生」の読みは「ほよ」
  • 「寿く」の読みは「ほく」

 

 

あたらしき 年にはあれども鴬の なくねさへにはかはらざりけり

【現代語訳】新しい年ではあるけれども、鶯(うぐいす)の鳴き声までもは変わらないのだなあ

【作者】 詠み人知らず

【採録】拾遺和歌集(しゅういわかしゅう)

 

 

あたらしき 年の始に かくしこそ 千歳をかねてたのしきをつめ

【現代語訳】新しい年の初めには、このように千年にわたって楽しいこと(=祝宴の意)を重ねていこう

【作者】詠み人知らず

【採録】古今和歌集(こきんわかしゅう)

【補足】

  • 「千歳」の読みは「ちとせ」
  • 「こそ」~「つめ(積め)」は係り結び(かかりむすび)
  • 文末の「たのしきをつめ」は「たのしきをめ(終へめ)」の誤記とする説があり、この場合の意味は「楽しいことをやり尽くそう」となります

 

 

新しき 年の始めの初春の けふ降る雪のいや重け吉言

【現代語訳】新しい年の初めの初春の今日、降っている雪のように良いことが重なりますように

【作者】大伴家持

【採録】万葉集

【補足】

  • 「いや」は強め、強調を意味します
  • 「重け」の読みは「しけ」
  • 「吉言」の読みは「よごと」
  • かつては、元旦の雪は豊作の予兆とされていました

南天の実と雪

 

 

新しき 年の初めはいや年に 雪踏み平し常かくにもが 

【現代語訳】新しい年の初めには、毎年、雪を踏みならして、いつもこうして(集まって)いたいものです

【作者】大伴家持

【採録】万葉集

【補足】

  • 「いや年」は「毎年、年ごとに」の意です
  • 「雪踏み平(なら)し」は「雪を踏んで平(たいら)にして」と言う意味で、多くの人が訪れることを示します

 

 

あらたまの 年たちかへるあしたより 待たるるものは鶯のこゑ

【現代語訳】年が(最初に)戻る朝から待たれるものは鶯の声

【作者】素性法師(そせいほうし)

【採録】拾遺和歌集

【補足】

  • 「あらたまの」は「年」にかかる枕詞
  • 次の歌が万葉集にあります
    あらたまの 年ゆきがへり春立たば まづ我が宿に鶯は鳴け(大伴家持)

 

 

あらたまの 年をくもゐに迎ふとて 今日もろひとに神酒たまふなり

【現代語訳】(新しい)年を宮中に迎えるからと、今日多くの人々に神酒(みき)を下さる

【作者】藤原良経(ふじわらのよしつね)

【補足】

  • 「くもゐ」は「雲、大空」の他に「宮中」を意味します

 

 

昨日こそ 年は暮れしか春霞 かすがの山にはやたちにけり 

【現代語訳】昨日年がくれた(ばかりな)のに、春霞(はるがすみ)があ春日の山に早くも立った

【作者】山部赤人(やまべのあかひと)

【採録】万葉集

【補足】

  • もともとは万葉集の「詠み人知らず」の歌でした
    昨日こそ 年は果てしか春霞 春日の山にはや立ちにけり¥

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天皇の 御代万代にかくしこそ 見し明らめめ立つ年のはに

【現代語訳】天皇の御代(みよ=治世)は万代(ばんだい=永遠の意)まで、このように(年賀の)宴(うたげ)をご覧になるのだろう、新しい年の始め(ごと)に

【作者】大伴家持

【採録】万葉集

【補足】

  • 「天皇」の読みには「すめらぎ、すめろぎ、すべらぎ、すめらみこと」等があります

 

 

年暮れぬ 春来べしとは思ひ寝に まさしく見えてかなふ初夢

【現代語訳】年が暮れた。春が来るだろうと思って寝ると、(夢でみたことが)まさしく見えて初夢がかなった

【作者】西行(さいぎょう)

【採録】山家集(さんかしゅう)

 

 

降る雪を 腰になづみて参ゐて来し 験もあるか年の初めに 

【現代語訳】降っ(て積もっ)た雪に腰まで埋まって苦労してやって来た甲斐(かい)があった、年の初めに 

【作者】大伴家持

【採録】万葉集

【補足】

  • 「験」の読みは「しるし」で、「効果、甲斐」の意味です

 

 

正月立つ 春の初めにかくしつつ 相し笑みてば時じけめやも 

【現代語訳】正月の春の初めに、こうして集まって笑っているのは季節外れだろうか(いや、けっしてそのようなことはない)

【作者】大伴家持

【採録】万葉集

【補足】

  • 「正月」、「相し笑みて」の読みは「むつき(睦月)」、「あいしえみて」です
  • 「時じ」は「季節外れの」と言う意味です

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