水原秋桜子の俳句 100選 -春夏秋冬-

紅梅

水原秋桜子(みずはら しゅうおうし)の俳句に対しては、「万葉調」「抒情的」「明朗」という言葉がよく使われます。

秋桜子は俳句とともに短歌も学んでいたので、そのような表現にもうなずけるものがあります。今回選んだ「青丹よし(あおによし)」ではじまる句などは、特にその感を強くします。

このページには、水原秋桜子が詠んだ俳句の中から、季語で分けた春、夏、秋、冬の俳句をそれぞれ 25句ずつ、合計で 100句を選びました。是非とも、これらをゆっくりと味わってみて下さい。

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目次

水原秋桜子の春の俳句 25選


 春 


 

天わたる 日のあり雪解 しきりなる

【季語】雪解(ゆきげ=雪がとけること)

 

 

淡雪や 春蘭咲ける 石の前

【季語】淡雪、春蘭

 

 

大風を 憂しと籠れば 梅さかり

【季語】梅

 

 

紅梅や 佳き墨おろす 墨の香と

【季語】紅梅

 

 

残雪の 丘に照りいづ 十三夜

【季語】残雪

【補足】十三夜(じゅうさんや)とは、旧暦の十三日の夜のことをいいます。特に、月見をする旧暦 9月13日のことをいいます。

 

 

春泥や 遠く来て買ふ 花の種

【季語】春泥(しゅんでい)

 

 

春蘭や やがて日のさす 雨こまか

【季語】春蘭

 

 

しろじろと 遅き梅あり 薮の中

【季語】梅

 

 

谷深く うぐひす鳴けり 夕霞

【季語】うぐひす

 

 

旅の夜の 茶のたのしさや 櫻餅

【季語】櫻餅(さくらもち)

【補足】「櫻」は「桜」の旧字体です。

 

 

天平の をとめぞ立てる 雛かな

【季語】雛(ひいな、ひな)

 

 

なく雲雀 松風立ちて 落ちにけり

【季語】雲雀(ひばり)

 

 

花の雨 竹にけぶれば 真青なり

【季語】花の雨

真っ青な竹林

 

 

花の香か 黒髪の香か 月おぼろ

【季語】月おぼろ

 

 

花吹雪 散華を宙に ひるがへす

【季語】花吹雪

【補足】「散華(さんげ)」とは、花をまき散らすことをいいます。また、「宙」の読みは「そら」です。

 

 

春雲の 高きに松が 支へあふ

【季語】春雲

【補足】「支へあふ」の読みは「ささえあう」です。

 

 

春の雪 幾日を敷きて 汚れなし

【季語】春の雪

 

 

雛壇や 襖はらひて はるかより

【季語】雛

【補足】「襖(ふすま)はらいて」は「襖を取り払って」の意です。

 

 

雛の日や 桑の古雪 かたくなに

【季語】雛の日

 

 

藤咲きぬ 林あかるく 風あふれ

【季語】藤

 

 

万葉の 古江の春や 猫柳

【季語】猫柳

【補足】「古江(ふるえ)」とは、古びた入り江(いりえ)のことをいいます。

 

 

山吹に さす月ありて 月うすし

【季語】山吹

 

 

行春や 辻に出て売る 遊蝶花

【季語】遊蝶花(ゆうちょうか)

【補足】遊蝶花は「三色菫(さんしきすみれ)」「胡蝶花」「胡蝶菫」とも呼ばれ、近年は「パンジー」の名が広く使われるようになりました。

 

 

行春や 水草のみなる 池の面

【季語】行春(ゆくはる)

 

 

夜桜や 水田の月を みぎひだり

【季語】夜桜

【補足】「水田」の読みは「みずた」です。

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水原秋桜子の夏の俳句 25選


 夏 


 

青葉より ひかりさし入る 狛四体

【季語】青葉

【補足】(こま)とは、「狛犬(こまいぬ=神社に置かれている一対の獅子に似た像)」のことです。

 

 

一面の 古鏡たふとし 朴の花

【季語】朴(ほお)の花 

 

 

いびつ餅 茶筒に新茶 あふれつつ

【季語】新茶

 

 

芥子咲くや けふの心の 夕映に

【季語】芥子(けし)咲く

【補足】「けふ」は「きょう(今日)」のことで、「夕映」の読みは「ゆうばえ」です。

 

 

白樺の 道なりければ 空涼し

【季語】涼し

 

 

白蓮の あまたは咲けど 静かなる

【季語】白蓮

 

 

雪渓は 夏日照るさへ さびしかり

【季語】雪渓(せっけい)

 

 

雪渓を あふげばそこに 天せまる

【季語】雪渓

 

 

蝉鳴けり 泉湧くより 静かにて

【季語】蝉

 

 

空たかく 千鳥がすぎぬ 鯉幟

【季語】鯉幟(こいのぼり)

 

 

月照るや 雲より高き 梅雨の山

【季語】梅雨

 

 

月見草 うち伏すままに 丘の雨

【季語】月見草

月見草の花

 

 

月見草 梅雨の川波 かむりけり

【季語】月見草、梅雨

 

 

とぢし門 あはれ菖蒲の かくれなき

【季語】菖蒲(しょうぶ)

 

 

とまり木に 老いける鷲や 青あらし

【季語】青あらし(青嵐)

 

 

初蝉を ききとむ驟雨 はしる中

【季語】初蝉

【補足】「驟雨(しゅうう)」とは、いわゆる「俄雨(にわかあめ)」のことです。

 

 

昼顔や 砂丘けはしき 谷なせる

【季語】昼顔

 

 

蕗生ひし 畦に置くなり 田植笠

【季語】蕗(ふき)、田植

【補足】「畦」の読みは「あぜ」です。

 

 

牧草の 丈なすままに ほととぎす

【季語】ほととぎす

【補足】「丈」の読みは「たけ」です。

 

 

ほととぎす 窓しらみしと おもふより

【季語】ほととぎす

 

 

山川や 青葉の淵を 渡し舟

【季語】青葉

 

 

山の蛾に 窓悉く 灯りけり

【季語】蛾

【補足】「悉く」の読みは「ことごとく」です。

 

 

葭切や ひらけて遠き 湖の景

【季語】葭切(よしきり)

【補足】葭切は鳥の名前で、その鳴き声から「行々子(ぎょうぎょうし)」とも呼ばれます。

 

 

若楓 ゆふかぜ池に吹きつのり

【季語】若楓

 

 

若竹に 緑苔光 うしなへり 

【季語】若竹

【補足】「緑苔」の読みは「りょくたい」です。

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水原秋桜子の秋の俳句 25選


 秋 


 

秋晴や 釣橋かかる 町の中

【季語】秋晴

 

 

雨くらく 晴れても寒く 菊黄なり

【季語】菊

 

 

十六夜や 鉢なる蓮の 露こぼれ

【季語】十六夜(いざよい)

【補足】十六夜とは、旧暦十六日の夜、また、その夜の月のことをいいます。

 

 

稲の香に むせぶ佛の 野に立てり

【季語】稲

【補足】「佛(ほとけ)」は「仏」の旧字体です。

 

 

いわし雲 山塊厚く 空うすし

【季語】いわし雲

 

 

大野分 すぎて法堂 ゆるぎなし

【季語】野分

【補足】野分(のわけ、のわき)とは、秋に吹く強い風、特に台風のことをいいます。また、法堂(はっとう)とは、僧侶が法を説くための寺院内の建物のことです。

 

 

返り花 残月空に また白し

【季語】返り花

【補足】返り花とは、本来とは違った季節に草木の花が咲くことをいい、「帰り花」とも表記されます。

 

 

菊の香や 鶴はしづかに 相寄れる

【季語】菊

 

 

木の間なる 低き池見ゆ けふの月

【季語】けふの月

 

 

切通し 暮れつゝせまる 曼珠沙華

【季語】曼珠沙華(まんじゅしゃげ)

【補足】曼珠沙華とは彼岸花(ひがんばな)のことで、このほかにも死人花(しびとばな)、幽霊花(ゆうれいばな)、地獄花(じごくばな)など多くの別名があります。

 

 

雲騰り 岩肌の峰に 秋日燃ゆ

【季語】秋日

【補足】「騰り」の読みは「あがり」です。

 

 

暗きまま 黄昏れ来り 霧の宿

【季語】霧

【補足】「黄昏れ」の読みは「たそがれ」で、夕暮れと同義です。

山間の立ち込めた霧

 

 

秋水や 蘆にせばまり また広く

【季語】秋水

【補足】(よし、あし)はイネ科の多年草です。

 

 

白菊に 朝露こもり ひかりいづ

【季語】白菊、朝露

 

 

裾ながき 紅葉見あげて 峰の雲

【季語】紅葉

 

 

遠山の 奥の山見ゆ 蕎麦の花

【季語】蕎麦(そば)の花

 

 

波立てて 霧来る湖や 女郎花

【季語】女郎花(おみなえし)

 

 

野の池に 湧き湧く水も 秋日和

【季語】秋日和(あきびより)

 

 

はたはたの 羽音ひまなし 月待てば

【季語】はたはた

【補足】「はたはた」とは、昆虫・バッタのことです。

 

 

星祭 山霧下りて 更けにけり

【季語】星祭

 

 

山の端を 夜鷹の飛べり 後の月

【季語】後の月

【補足】後(のち)の月とは、旧暦の 9月13日の月のことをいいます。

 

 

山紅葉 明けて一天 瑠璃なりき

【季語】山紅葉

【補足】「瑠璃」の読みは「るり」です。少し紫みを帯びた青色のことです。

 

 

夕月の たへにも繊き 案山子かな

【季語】案山子(かかし)

【補足】「たへ(妙)」とは、何ともいえないほど美しい様子を表現する言葉です。また、「繊き」の読みは「ほそき(=細き)」です。

 

 

夢さめて おどろく闇や 秋の暮

【季語】秋の暮

 

 

竜胆や 月雲海を のぼり来る

【季語】竜胆(りんどう)

青い竜胆の花

 

 

水原秋桜子の冬の俳句 25選


 冬 


 

青丹よし 寧楽の墨する 福寿草

【季語】福寿草

【補足】「青丹よし(あおによし)」は「寧楽(なら=奈良)」に掛かる枕詞(まくらことば)です。

 

 

沖の鴨 一夜に浦を うづめけり

【季語】鴨

 

 

寒の月 白炎曳いて 山をいづ

【季語】寒の月

【補足】「曳いて」の読みは「ひいて(=引いて)」です。

 

 

寒梅の 下なる桶に 鯉ひとつ

【季語】寒梅

 

 

北風や 梢離れし もつれ蔓

【季語】北風

【補足】「蔓」の読みは「つる」です。

 

 

山茶花の 暮れゆきすでに 月夜なる

【季語】山茶花(さざんか)

 

 

時雨れつつ かしこむ神の 草枕

【季語】時雨れ(しぐれ)

 

 

蒼天に 日輪坐る 枯野かな

【季語】枯野

【補足】日輪(にちりん)は太陽の別名です。また、月の別名は月輪(がちりん)です。

 

 

月いでて 遠き落葉の かがやきぬ

【季語】落ち葉

 

 

月さすや 枯野にのこる 夕茜

【季語】枯野

 

 

照りいでぬ 光背なれば 時雨冷ゆ

【季語】時雨

 

 

庭の鶴 ほとりを歩む 焚火かな

【季語】焚火(たきび)

 

 

薄氷の このごろむすび 蓮枯れぬ

【季語】蓮枯れ

枯れた蓮

 

 

葉の面に 凍れる雪や 花八ツ手

【季語】花八ツ手

 

 

福寿草 十花燦たる 鉢一つ

【季語】福寿草

【補足】「(さん)」とは、輝いてあざやかな様子、きらびやかで美しいさまを表現する言葉です。

 

 

冬菊の まとふはおのが ひかりのみ

【季語】冬菊

 

 

冬紅葉 常見る松を 高くしぬ

【季語】冬紅葉

 

 

冬紅葉 はさめる森へ 畝むかふ

【季語】冬紅葉

【補足】「」の読みは「うね」で、畑に物を植えるために土を盛り上げた部分をいいます。

 

 

古町の 篁垂るる 小春かな

【季語】小春

【補足】小春(こはる)は旧暦 10月の別名で、小六月(ころくがつ)ともいいます。

 

 

星空を 闇とは見せつ 酉の市

【季語】酉(とり)の市

【補足】酉の市は 11月の酉の日に行なわれるお祭りです。

 

 

牡丹雪 小やみもなくて 初芝居

【季語】初芝居

 

 

紅葉散る 水は瀬となり 瀧と落つ

【季語】紅葉散る

【補足】「瀧」は「滝」の旧字体です。

 

 

夕千鳥 潮泡と潟に そひのぼる

【季語】千鳥

 

 

よどみなく 童女うたふや 手毬唄

【季語】手毬唄

手毬の置物

 

 

夜の雪の 田をしろくしぬ 鴨のこゑ

【季語】雪 鴨

 


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