ページが見つかりませんでした – ジャパノート -日本の文化と伝統を伝えるブログ- https://idea1616.com Thu, 28 Mar 2024 08:31:06 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=4.9.25 101179951 冬桜の俳句 30選 -ふゆざくら- https://idea1616.com/fuyuzakura-haiku/ Sat, 23 Mar 2024 06:03:26 +0000 https://idea1616.com/?p=28452 冬桜

桜は春の花といった印象が強いものですが、冬に花を咲かせる品種もいくつかあります。

そして、「冬桜」は俳句において冬の季語でもあり、多くの作品に詠み込まれてきました。

このページには、「冬桜」が詠まれた俳句を多く集めました。冬の厳しい寒さの中で可憐に咲く花の姿が目に浮かんでくるような作品ばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。

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冬桜の俳句 30選

「冬桜」が詠み込まれた俳句を集め、句の文字の五十音順に並べました。

「冬桜(フユザクラ)」は、コバザクラ(小葉桜、木葉桜)の別名で、春と、秋から冬にかけての二季に花を咲かせます。

なお、俳句においては、冬に咲く桜を広く「冬桜」として扱います。

 

 

頂に 駕籠を置きたし 冬桜

【作者】星野紗一(ほしの さいち)

【補足】「駕籠」の読み方は「かご」です。

 

うすべにの 寂のまばらに 冬桜

【作者】佐藤鬼房(さとう おにふさ)

【補足】「寂」は「さび、じゃく、せき」と読まれます。

 

梅よりも 白しと思ふ 冬桜

【作者】後藤比奈夫(ごとう ひなお)

 

大いなる 翳に咲きいで 冬桜

【作者】大野林火(おおの りんか)

【補足】「翳」の読み方は「かげ」です。

 

返り咲く 花とも見しが 冬ざくら

【作者】石塚友二(いしづか ともじ)

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九十の 母の喜び 冬桜

【作者】高木晴子(たかぎ はるこ)

 

月光の 玉くだけちる 冬ざくら

【作者】石原八束(いしはら やつか)

 

咲き満つる こともあらずよ 冬桜

【作者】岸田稚魚(きしだ ちぎょ)

 

水滴を 落すごと散る 冬桜

【作者】大野林火

 

近づけば 塔かろくなる 冬桜

【作者】上田五千石(うえだ ごせんごく)

【補足】「かろくなる」は「軽くなる」の意です。

冬桜

 

散りしくと いふことのあり 冬桜

【作者】行方克巳(なめかた かつみ)

【補足】「散りしく」とは、花などが散って一面に敷きつめることをいいます。

 

次に散るまでの花びら 冬桜

【作者】佐藤鬼房

 

つぶやきの 息にくもれる 冬桜

【作者】上田日差子(うえだ ひざし)

 

妻もまた 気がついてをり 冬ざくら

【作者】高澤良一(たかざわ よしかず)

 

吐く息を こらへてゐたり 冬桜

【作者】神蔵 器(かみくら うつわ)

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日蔭ゆゑ 花あきらかに 冬桜

【作者】清崎敏郎(きよさき としお)

【補足】「日蔭」の読み方は「ひかげ」です。

 

一重かと 見れば八重なり 冬桜

【読み】ひとえかと みればやえなり ふゆざくら

【作者】右城暮石(うしろ ぼせき)

 

ひとつ枝に 飛花落葉や 冬ざくら

【作者】与謝蕪村(よさ ぶそん)

【補足】飛花落葉(ひからくよう)とは、咲いた花もやがては散り、青葉も秋には枯れ落ちるということを意味し、 人生のはかなさ・世の無常であることのたとえに使われます。

 

一弁を 吐ける莟や 冬桜

【作者】富安風生(とみやす ふうせい)

【補足】「一弁」「莟」の読み方は、それぞれ「ひとひら、いちべん」「つぼみ」です。

 

昼月に 垂り枝のゆれて 冬桜

【作者】飯田蛇笏(いいだ だこつ)

【補足】「昼月」の読み方は「ひるづき」です。垂り枝(しだりえ)とは、垂れ下がった枝のことをいいます。

 

冬桜 海に日の射す ひとところ

【作者】岸田稚魚

 

冬桜 うろこを落す 泪かな

【作者】神蔵 器

【補足】「泪」の読み方は「なみだ(=涙)」です。

冬桜

 

冬桜 咲きみつも花 重ならず

【作者】松崎鉄之介(まつざき てつのすけ)

【補足】「咲きみつ」とは、花が満開になること、また、一面に咲くことを意味します。

 

冬桜 手にし札所へ 秩父の娘

【作者】皆川盤水(みながわ ばんすい)

【補足】札所(ふだしょ)とは、巡礼者が参詣のしるしとして札を受けたり納めたりする所のことです。

 

冬桜 とほきうしほの 音とどく

【作者】藤田湘子(ふじた しょうし)

【補足】「とほきうしほ」を漢字表記すれば、「遠き潮」となります。

 

冬桜 濡れて雨情を まとひけり

【作者】稲畑汀子(いなはた ていこ)

 

冬桜 一ひら解けし 夕霧忌

【作者】清崎敏郎

【補足】夕霧忌(ゆうぎりき)は、江戸時代前期の大坂新町扇屋の遊妓・夕霧太夫の忌日で、旧暦の一月六日(七日とも)です。

 

冬桜 干し重ねたる 和紙の息

【作者】殿村莵絲子(とのむら としこ)

 

御手洗の 少し先には 冬桜

【作者】京極杞陽(きょうごく きよう)

【補足】御手洗(みたらし)とは、神社で参詣者が参拝する前に手を洗い、口をすすぐ所のことです。

 

耳たぶの ふくふく育つ 冬桜

【作者】上田日差子

 

 


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⇒ 桜の俳句

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28452
湯豆腐の俳句 30選 -ゆどうふ- https://idea1616.com/yudofu-haiku/ Sun, 17 Mar 2024 06:10:10 +0000 https://idea1616.com/?p=28439 湯気が立つ湯豆腐の鍋

真冬の寒い日に鍋からすくって食べる湯豆腐は、とても格別なものです。

そして、「湯豆腐」は俳句において冬の季語でもあり、多くの作品に詠み込まれてきました。

このページには、「湯豆腐」が詠まれた俳句を多く集めました。厳しい寒さの冬の雰囲気に満ちた作品ばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。

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湯豆腐の俳句 30選

「湯豆腐」が詠み込まれた俳句を集め、句の文字の五十音順に並べました。

どうぞ、ごゆっくりとご鑑賞下さい。

 

 

三ケ日 昨日と過ぎて 湯豆腐す

【作者】小沢碧童(おざわ へきどう)

 

常闇の 身を湯豆腐に あたためぬ

【作者】村越化石(むらこし かせき)

【補足】常闇(とこやみ)とは、永久に暗闇であること、永遠の闇を意味します。

 

永らへて 湯豆腐とはよく 付合へり

【作者】清水基吉(しみず もときち)

 

二年や 獄出て湯豆腐 肩ゆする

【作者】秋元不死男(あきもと ふじお)

 

先づ酒の 荒湯豆腐や 手を打つて

【作者】石川桂郎(いしかわ けいろう)

【補足】「先づ」の読み方は「ず」です。

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湯豆腐に 命儲けの 涙かも

【作者】村越化石

 

湯豆腐に うつくしき火の 廻りけり

【作者】萩原麦草(はぎわら ばくそう)

 

湯豆腐に 咲いて萎れぬ 花かつを

【作者】石塚友二(いしづか ともじ)

【補足】花かつおとは、荒節(あらぶし=かつおぶしの原料)を使った「かつおの削り節」のことです。

 

湯豆腐に 添へてひそかや 象牙箸

【作者】久米正雄(くめ まさお)

【補足】「象牙箸」の読み方は「ぞうげばし」です。

 

湯豆腐に 塔頭の酒 やゝ辛し

【作者】百合山羽公(ゆりやま うこう)

【補足】塔頭(たっちゅう)とは、大寺に所属する小寺院のことをいいます。

木桶の湯豆腐

 

湯豆腐に 微塵の脂 泛きにけり

【読み】ゆどうふに みじんのあぶら うきにけり

【作者】高澤良一(たかkざわ よしかず)

 

湯豆腐に 眼鏡曇らせ 禍福なし

【作者】鈴木真砂女(すずき まさじょ)

【補足】禍福(かふく)とは、「わざわい」と「しあわせ」のことをいいます。

 

湯豆腐の 暁寒し 恋ころも

【作者】尾崎紅葉(おざき こうよう)

【補足】「恋ころも」とは、「恋の着物」の意で、恋を衣に見立てた言葉です。

 

湯豆腐の 崩れ易しや 遠きデモ

【作者】鍵和田秞子(かぎわだ ゆうこ)

 

湯豆腐の 掬ふに合はす 息のあり

【作者】稲畑汀子(いなはた ていこ)

【補足】「掬ふ」の読み方は「すくう」です。

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湯豆腐の せめて隣を よんで見る

【作者】尾崎紅葉

 

湯豆腐の 一つ崩れず をはりまで

【作者】水原秋桜子(みずはら しゅうおうし)

 

湯豆腐の 一と間根岸は 雨か雪

【作者】長谷川かな女(はせがわ かなじょ)

【補足】根岸(ねぎし)は、東京・台東区の地名です。この地には、子規庵(しきあん:正岡子規の旧居)と老舗(しにせの)豆富料理の店があります。

 

湯豆腐の まづ箸にして 葱甘し

【作者】石川桂郎

【補足】「葱」の読み方は「ねぎ」です。

 

湯豆腐の 夭々たるを 舌が待つ

【作者】能村登四郎(のむら としろう)

【補足】「夭々(ようよう)」とは、若々しく美しいさまを表現する言葉です。

 

湯豆腐や いとぐち何も なかりけり

【作者】石原八束(いしはら やつか)

 

湯豆腐や いのちのはての うすあかり

【作者】久保田万太郎(くぼた まんたろう)

小さい鍋の湯豆腐

 

湯豆腐や 木と紙の家に 住みてこそ

【作者】瀧 春一(たき しゅんいち)

 

湯豆腐や 持薬の酒の 一二杯

【作者】久保田万太郎

【補足】持薬(じやく)とは、用心のためいつも持っている薬のことをいいます。

 

湯豆腐や 姿見せねど 行きとどき

【作者】中村汀女(なかむら ていじょ)

 

湯豆腐や 澄める夜は灯も 淡きもの

【作者】渡辺水巴(わたなべ すいは)

 

湯豆腐や 菜の花桶に たくましき

【作者】渡辺水巴

 

湯豆腐や 軒まで充つる 夜の靄

【読み】ゆどうふや のきまでみつる よるのもや

【作者】長谷川かな女

 

湯豆腐や 再び懸けし 夜雨のこと

【作者】野村喜舟(のむら きしゅう)

【補足】夜雨(やう、よさめ)とは、夜降る雨のことです。

 

湯豆腐や 又帰るべき 夜の雪

【作者】野村喜舟

 

 


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「冬の星」の俳句 30選 -ふゆのほし- https://idea1616.com/fuyunohoshi-haiku/ Mon, 11 Mar 2024 05:30:58 +0000 https://idea1616.com/?p=28420 冬の夜の星空

冬の夜空にある星は、寒々として凍っているかのように思えることがあります。

このような「冬の星」は俳句において冬の季語でもあり、多くの作品に詠み込まれてきました。

このページには、冬の星に関する季語が詠み込まれた俳句を集めました。寒さが厳しい冬の雰囲気に満ちた作品ばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。

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「冬の星」の俳句 30選

「冬の星」「寒の星」「寒星」「凍星」が詠み込まれた俳句を集め、句の文字の五十音順に並べました。

どうぞ、ごゆっくりとご鑑賞下さい。

 

 

足音に 追ひつかれさう 冬の星

【作者】高木晴子(たかぎ はるこ)

【補足】中句は歴史的仮名遣いで表記されていて、現代仮名遣いであれば「おいつかれそう」となります。

 

いつまでも 一つのままに 冬の星

【作者】富安風生(とみやす ふうせい)

 

凍星の 綺羅をつくして 墓地の天

【作者】柴田白葉女(しばた はくようじょ)

【補足】凍星(いてぼし)は、冬の夜空の星のことで、「冬の星」と同じく冬の季語です。

 

凍星の 高きに祈る 父癒えよ

【作者】菖蒲あや(しょうぶ あや)

【補足】「癒えよ」の読み方は「えよ」です。

 

凍星の われをゆるさぬ 光かな

【作者】鈴木真砂女(すずき まさじょ)

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凍星や 瞳と呼べば 星鎮む

【作者】赤尾兜子(あかお とうし)

 

寒星と またたき交す 受験苦よ

【作者】平畑静塔(ひらはた せいとう)

【補足】寒星(かんせい)も冬の夜空の星のことで、冬の季語です。

 

寒星に どの夜もどこかに 雲白し

【作者】篠原 梵(しのはら ぼん)

 

寒星の 天の中空 はなやかに

【作者】山口誓子(やまぐち せいし)

【補足】中空(なかぞら、ちゅうくう)とは、空の中ほどのことをいいます。

 

寒星の 光髪膚に ほとばしる

【作者】内藤吐天(ないとう とてん)

【補足】髪膚(はっぷ)とは、髪の毛と膚(はだ=肌)のことで、転じて「からだ」を意味します。

冬の森と星空

 

寒星の ひとつを引きて わが燈火

【作者】岡本 眸(おかもと ひとみ)

 

寒星の 真只中に いま息す

【作者】相馬遷子(そうま せんし)

 

寒星は ただ天に倚る 海の上

【作者】山口誓子

【補足】「倚る」の読み方は「る」で、「よる(寄る)、よりそう(寄りそう)」の意です。

 

寒星や 仰げばすでに 声は無き

【作者】相馬遷子

 

寒星や 悲しみいつか 諦めに

【作者】菖蒲あや

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寒星や 神の算盤 たゞひそか

【作者】中村草田男(なかむら くさたお)

【補足】「算盤」の読み方は「そろばん」です。

 

寒星や 地上に逃ぐる ところなし

【作者】岸風三楼(きし ふうさんろう)

 

寒星や 世にある歎き 除けがたし

【作者】阿部みどり女(あべ みどりじょ)

【補足】「除けがたし」の読み方は「けがたし、けがたし」です。

 

月光の あまねくわたり 寒の星

【作者】松村蒼石(まつむら そうせき)

【補足】(かん)とは、二十四節気の小寒から立春までの約30日間をいいます。「あまねく(遍く、普く)」とは、「広く、すべてに」という意味です。

【参考】 寒の入りとは?  寒の季語【一覧】

 

死をもつて 消息わかる 寒の星

【作者】能村研三(のむら けんぞう)

 

塵芥の捨場 寒星かゞやけり

【作者】右城暮石(うしろ ぼせき)

【補足】塵芥(じんかい)とは、「ごみ」や「ちりあくた」のことをいいます。

 

ちかぢかと 命を燃やす 寒の星

【作者】相馬遷子

冬の雪原と星空

 

地にひびくばかり輝やき 寒の星

【作者】松村蒼石

 

天上の 茶会に召され 冬の星

【作者】阿部みどり女

 

眠られず 冬の星夜を 閉め出して

【作者】田川飛旅子(たがわ ひりょし)

 

庇合に 一つ見ゆるや 冬の星

【作者】日野草城(ひの そうじょう)

【補足】庇合(ひあわい)とは、建てこんでいる家々の廂(ひさし)と廂とが突き出ている狭い所のことをいいます。

 

吹き晴れて くらき大地と 寒の星

【作者】篠原 梵

 

冬の星 仰ぎて通夜の 聖堂に

【作者】稲畑汀子(いなはた ていこ)

 

冬の星 暗し山の灯 真赤なり

【作者】阿部みどり女

 

冬の星 らんらんたるを 怖れけり

【作者】富安風生

 

 


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28420
日向ぼこの俳句 40選 -ひなたぼこ- https://idea1616.com/hinataboko-haiku/ Tue, 05 Mar 2024 03:58:42 +0000 https://idea1616.com/?p=28407 日の当たる縁側

寒い冬の日であっても、日当たりの良いところで日向ぼこをしていると、とても穏やかな気持ちになることがあります。

このような「日向ぼこ」は俳句において冬の季語でもあり、多くの作品に詠み込まれてきました。

このページには、「日向ぼこ」「日向ぼこり」が詠まれた俳句を多く集めました。冬の日の穏やかな雰囲気に満ちた作品ばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。

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日向ぼこの俳句 40選

「日向ぼこ」「日向ぼこり」が詠み込まれた俳句を集め、句の文字の五十音順に並べました。

どうぞ、ごゆっくりとご鑑賞下さい。

なお、「日向ぼこ」は、「日向ぼっこ」「日向ぼこう」「日向ぼこり」ということもあります。

 

 

吾子とゐて 吾子をわするゝ 日向ぼこ

【作者】五十崎古郷(いかざき こきょう)

【補足】吾子(あこ)とは、「わが子」のことです。

 

いくたびも 日を失ひぬ 日向ぼこ

【作者】後藤夜半(ごとう やはん)

 

うとうとと 生死の外や 日向ぼこ

【作者】村上鬼城(むらかみ きじょう)

 

御地蔵と 日向ぼこして 鳴ち鳥

【読み】おじぞうと ひなたぼこして なくちどり

【作者】小林一茶(こばやし いっさ)

 

かたまつて 同じ事務服 日向ぼこ

【作者】岡本 眸(おかもと ひとみ)

 

くるめきは 日にわれにあり 日向ぼこ

【作者】皆吉爽雨(みなよし そうう)

【補足】「くるめき(転めき、眩めき)」とは、「目がくらむこと、めまい」のことをいいます。

 

けふの日の 燃え極まりし 日向ぼこ

【作者】松本たかし(まつもと たかし)

 

凩や 崖下はよき 日向ぼこ

【作者】野村喜舟(のむら きしゅう)

【補足】「凩」の読み方は「こがらし(=木枯し)」です。

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子とありて 燃えつるる耳 日向ぼこ

【作者】皆吉爽雨

【補足】「燃えつるる耳」は「燃えてしまった耳」という意味です。

 

この年の ひとつの夢と 日向ぼこ

【作者】村越化石(むらこし かせき)

 

三猿と ならび腰かけ 日向ぼこ

【作者】福田蓼汀(ふくだ りょうてい)

【補足】三猿(さんえん)とは、日光東照宮(にっこうとうしょうぐう)にある猿の像で、「見ざる・聞かざる・言わざる」の姿をしています。

 

死を悼み 生をわらひて 日向ぼこ

【作者】京極杞陽(きょうごく きよう)

【補足】「悼(いた)む」とは、人の死を悲しみなげくことをいいます。

 

前世にも 日向ぼこりに 飽かざりし

【作者】相生垣瓜人(あいおいがき かじん)

【補足】前世(ぜんせ)とは、現世(げんせ:=この世)に生まれ出る前の世のことをいいます。

 

焚火して 日向ぼこして 漁師老い

【作者】鈴木真砂女(すずき まさじょ)

【補足】「焚火」の読み方は「たきび」です。

 

ちかよりて 老婦したしく 日向ぼこ

【作者】飯田蛇笏(いいだ だこつ)

 

伝へ聞く 友の栄華や 日向ぼこ

【作者】日野草城(ひの そうじょう)

お寺の鐘撞き堂

 

丁寧に 仏具を磨き 日向ぼこ

【作者】鈴木花蓑(すずき はなみの)

 

時惜しみ 惜しまず日向ぼこりかな

【作者】石塚友二(いしづか ともじ)

 

ともあれと 日向ぼこりに 招じけり

【作者】中村汀女(なかむら ていじょ)

 

撫で下す 顔の荒れゐる 日向ぼこ

【作者】松本たかし

 

なにもなき 元日もよし 日向ぼこ

【作者】中 勘助(なか かんすけ)

 

人として 淋しき人の 日向ぼこ

【作者】京極杞陽

 

人を恋ふ 日にめぐり逢ひ 日向ぼこ

【作者】後藤夜半

 

人を見る 目細く日向ぼこりかな

【作者】高浜虚子(たかはま きょし)

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日向ぼこ あの世さみしきかも知れぬ

【作者】岡本 眸

 

日向ぼこ 一家の舵を とりながら

【作者】京極杞陽

【補足】「舵」の読み方は「かじ」です。

 

日向ぼこ かうしてゐても 腹が減る

【作者】鈴木花蓑

 

日向ぼこ して光陰を 惜みをり

【作者】後藤夜半

【補足】光陰(こういん)とは、月日・歳月のことを意味します。

 

日向ぼこ してにこ~と 待たれゐし

【作者】星野立子(ほしの たつこ)

【補足】「待たれゐし」は「お待ちになっていた」の意と解します。

 

日向ぼこ してゐるさまの 見下され

【作者】波多野爽波(はたの そうは)

 

日向ぼこ し乍ら出来るほどの用

【作者】稲畑汀子(いなはた ていこ)

【補足】「し乍ら」の読み方は「しながら」です。

 

日向ぼこ 何やら心 せかれゐる

【作者】阿部みどり女(あべ み どりじょ)

日本家屋の縁

 

日向ぼこ 日向がいやに なりにけり

【作者】久保田万太郎(くぼた まんたろう)

 

日向ぼこ 呼ばれて去れば それきりに

【作者】中村汀女

 

日向ぼこ 笑ひくづれて 散りにけり

【作者】富安風生(とみやす ふうせい)

 

ふところに 手紙かくして 日向ぼこ

【作者】鈴木真砂女

 

まなうらは 火の海となる 日向ぼこ

【作者】阿部みどり女

【補足】「まなうら(眼裏)」とは、目の奥・まぶたの裏のことです。

 

まなぶたは 今万華鏡 日向ぼこ

【作者】加藤三七子(かとう みなこ)

【補足】「まなぶた(瞼)」とは、「まぶた(=目の蓋の意)」のことです。

 

両膝に 幸せ集め 日向ぼこ

【作者】村越化石

 

ゐながらに 日向ぼこりの 小書斎

【作者】上村占魚(うえむら せんぎょ)

 

 


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28407
短日・日短の俳句 30選 -たんじつ、ひみじか- https://idea1616.com/tanjitsu-haiku/ Thu, 29 Feb 2024 04:14:07 +0000 https://idea1616.com/?p=28391 冬の枯葉と日の光

冬の日が追われるかのように短いことを「短日」という言葉で表現することがあります。

この「短日」は俳句において冬の季語でもあり、多くの作品に詠み込まれてきました。

このページには、「短日」「日短」が詠まれた俳句を多く集めました。短い冬の日の雰囲気に満ちた作品ばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。

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短日・日短の俳句 30選

「短日」「日短」が詠み込まれた俳句を集め、句の文字の五十音順に並べました。

どうぞ、ごゆっくりとご鑑賞下さい。

 

 

いもうとの 告別式よ 日短か

【作者】京極杞陽(きょうごく きよう)

 

いやなこと 聞けば聞き腹 日短き

【作者】久保田万太郎(くぼた まんたろう)

【補足】「聞けば聞き腹」とは、(聞かなければ知らずにすんでいたものを)聞いたばかりに腹立たしくなるということを意味します。

 

うせものを こだはり探す 日短か

【作者】高浜虚子(たかはま きょし)

【補足】「うせもの(失せ物)」 とは、紛失や盗難で失った物のことです。

 

帯留を 身よりはづして 日短し

【作者】桂 信子(かつら のぶこ)

 

枯れ果てし 真菰の水や 日短か

【作者】高野素十(たかの すじゅう)

【補足】真菰(まこも)は、イネ科の多年草です。

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京に行く 一つの用意 日短か

【作者】高浜年尾(たかはま としお)

 

キラ~と 栂の緑に 日短かし

【作者】前田普羅(まえだ ふら)

【補足】(つが)は、マツ科の常緑高木の名前です。

 

ざぶ~と あがり湯あびて 日短き

【作者】久保田万太郎

 

滝壺を 見て短日の 底にゐる

【作者】岡本 眸(おかもと ひとみ)

 

畳屋の 来てゐる庭や 日短かし

【作者】阿部みどり女(あべ みどりじょ)

日本家屋と庭

 

短日の 石つまづけと ばかりなる

【作者】久保田万太郎

 

短日の 海あることの やゝ淋し

【作者】高野素十

 

短日の 暗き活字を 子も読める

【作者】中村汀女(なかむら ていじょ)

 

短日の この鳩の豆 買へといふ

【作者】中村汀女

 

短日の づしりとすわる 土間の臼

【作者】石原舟月(いしはら しゅうげつ)

【補足】「臼」の読み方は「うす(=穀物を砕いて粉としたり、餅をついたりする器)」です。

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短日の 時計狂ひしまま動く

【作者】阿部みどり女

 

短日の 白墨は折れ易きかな

【作者】行方克巳(なめかた かつみ)

 

短日の 午より月の 濃かりけり

【作者】皆吉爽雨(みなよし そうう)

【補足】「午」の読み方は「うま(≒昼)」です。

 

短日の 灯をともす間の 筆を措く

【作者】後藤夜半(ごとう やはん)

 

短日の 日を見月を見 月高し

【作者】皆吉爽雨

 

短日の 松の葉末の なほ暮れず

【作者】山口誓子(やまぐち せいし)

【補足】葉末(はずえ)とは、葉のさきのことをいいます。

 

短日の 耳に瀬の音 のこりけり

【作者】久保田万太郎

冬の風景

 

妻よわが 短日の頬 燃ゆるかな

【作者】石田波郷(いしだ はきょう)

 

一人ゐて 短日の音 なかりけり

【作者】阿部みどり女

 

日短き 少彦名の 祭かな

【作者】後藤夜半

【補足】少彦名(すくなひこな)は、日本神話における皇産霊神(たかみむすひのかみ)の子の名前です。

 

日短く つくづくいやな ふかなさけ

【作者】飯田蛇笏(いいだ だこつ)

【補足】「ふかなさけ(深情け)」とは、情が度を越して深いこと、また、その情のことです。

 

日短く 掃き出す妻に 立ちにけり

【作者】河野静雲(こうの せいうん)

 

日短かや かせぐに追ひつく 貧乏神

【作者】小林一茶(こばやし いっさ)

 

墓地抜けて 家路へ急ぐ 日短か

【作者】福田蓼汀(ふくだ りょうてい)

 

町角に 短日の靄 よどみそむ

【作者】相馬遷子(そうま せんし)

【補足】「靄」の読み方は「もや」です。

 

 


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28391
咳の俳句 30選 -せき、しわぶき- https://idea1616.com/seki-haiku/ Fri, 23 Feb 2024 06:58:17 +0000 https://idea1616.com/?p=28377 金柑の花

風邪をひいたり、のどを痛めたときなどに出る咳は、どうも鬱陶しくて仕方がありません。

このような「咳」は俳句において冬の季語でもあり、多くの作品に詠み込まれてきました。

このページには、「咳」が詠まれた俳句を多く集めました。咳による心境がよく伝わってくる作品ばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。

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咳の俳句 30選

「咳」が詠み込まれた俳句を集め、句の文字の五十音順に並べました。

どうぞ、ごゆっくりとご鑑賞下さい。

 

 

あかあかと 雛栄ゆれども 咳地獄

【作者】石田波郷(いしだ はきょう)

 

あの咳は 父よ溝板ふんで来る

【作者】菖蒲あや(しょうぶ あや)

【補足】溝板(みぞいた、どぶいた)とは、溝の上をおおう板(=いわゆる「どぶいた」)のことをいいます。

 

あはれなり 咳入りてさへ なまめけば

【作者】久保田万太郎(くぼた まんたろう)

【補足】「なまめく(艶く、生めく)」とは、ういういしいさま、上品なさま、優雅なさま、奥ゆかしいさまなどを表現する言葉です。

 

入日の冷え 家のそこここ 母の咳

【作者】大野林火(おおの りんか)

【補足】入日(いりひ)とは、夕日、落日のことです。

 

鴬が ぎよつとするぞよ 咳ばらひ

【作者】小林一茶(こばやし いっさ)

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丑満の 雪に覚めゐて 咳殺す

【作者】臼田亞浪(うすだ あろう)

【補足】丑満(うしみつ=丑三つ)とは、およそ午前 2時から 2時半にあたる時のことをいいます。

 

うつせみの 咳なりやこのさびしさは

【作者】筑紫磐井(つくし ばんせい)

【補足】うつせみ(現人)とは、「この世、この世に現存する人」という意味です。

 

から咳に 真昼の深さ 白牡丹

【作者】鍵和田秞子(かぎわだ ゆうこ)

 

さびしさや 咳を見かえる 大き部屋

【作者】古沢太穂(ふるさわ たいほ)

 

咳き入りて 身のぬくもりし 夜寒かな

【作者】日野草城(ひの そうじょう)

【補足】「夜寒(よさむ)」は秋の季語です。

冬の夜空

 

咳かすか かすか喀血 とくとくと

【作者】川端茅舎(かわばた ぼうしゃ)

【補足】喀血(かっけつ)とは、血液を咳とともに吐くことをいいます。

 

咳そそる 夜気に窓さす 落葉かな

【作者】富田木歩(とみた もっぽ)

 

咳きつのる 目を日輪の ゆきもどり

【作者】加藤楸邨(かとう しゅうそん)

【補足】日輪(にちりん)とは太陽のことをいい、これに対して、月のことを「月輪(がちりん)」といいます。

 

咳く人に 白湯まゐらする 夜寒かな

【作者】高井几董(たかい きとう)

【補足】白湯(さゆ、しらゆ)とは、何もまぜない湯のことです。

 

咳の後 きらりと妻の 泪眼よ

【作者】能村登四郎(のむら としろう)

【補足】「泪眼(=涙目)」の読み方は「なみだめ」です。

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咳の子の うるみし瞳 我を見る

【作者】星野立子(ほしの たつこ)

 

咳の子の なぞなぞあそび きりもなや

【作者】中村汀女(なかむら ていじょ)

 

咳のなか 何か言はれし きゝもらす

【作者】能村登四郎

 

咳ひとつ 赤子のしたる 夜寒かな

【作者】芥川龍之介(あくたがわ りゅうのすけ)

【補足】赤子(あかご=赤児)とは、生まれて間のない子供、赤ん坊のことをいいます。

 

咳ひとつ 壷のくらがり 駈けめぐり

【作者】加藤楸邨

 

咳をして 言ひ途切れたるままのこと

【作者】細見綾子(ほそみ あやこ)

 

咳をする 母を見あげてゐる子かな

【作者】中村汀女

 

たんたんの 咳を出したる 夜寒かな

【作者】芥川龍之介

【補足】前書から、「たんたん」は咳をした赤ん坊の愛称とされています。(芥川の次男の名が「多加志:たかし」)

夜空の三日月

 

刀自の読む 咳まじりなり 歌留多とる

【作者】皆吉爽雨(みなよし そうう)

【補足】刀自(とじ)とは、家事をつかさどる女性のことをいいます。

 

とめどなく 咳きつゝ甕を 洗ひをり

【作者】清原枴童(きよはら かいどう)

【補足】「甕」の読み方は「かめ(=液体を入れる底の深い容器)」です。

 

初咳と いへばめでたく きこえけり

【作者】日野草城

 

ひたとやむ 咳の薬や 寒の内

【作者】筏井竹の門(いかだい たけのかど)

【補足】寒の内(かんのうち)とは、小寒(しょうかん)から立春(りっしゅん)までの約 1カ月間をいい、小寒は「寒の入り」、立春は「寒の明け」とも呼ばれます。

 

ふるさとは ひとりの咳の あとの闇

【作者】飯田龍太(いいだ りゅうた)

 

ランドセル 咳込む吾子の 背に重く

【作者】稲畑汀子(いなはた ていこ)

【補足】吾子(あこ)とは、「わが子」を意味します。

 

わが咳が たたしめし冬の 蝶は舞ふ

【作者】加藤楸邨

 

 


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⇒ 「息白し」の俳句

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28377
スキーの俳句 30選 https://idea1616.com/suki-haiku/ Sat, 17 Feb 2024 04:34:37 +0000 https://idea1616.com/?p=28363 雪山のスキー場

スキーは冬のスポーツとして人気があり、シーズンには多くのスキー場で賑わいをみせています。

そして、「スキー」は俳句において冬の季語でもあり、多くの作品に詠み込まれてきました。

このページには、「スキー」が詠まれた俳句を多く集めました。スキーが行われている雪山の雰囲気に満ちた作品ばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。

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スキーの俳句 30選

「スキー」が詠み込まれた俳句を集め、句の文字の五十音順に並べました。

どうぞ、ごゆっくりとご鑑賞下さい。

 

 

垢じみし スキージャケット着て美男

【作者】行方克己(なめかた かつみ)

【補足】「垢じみし」は「垢が染みついて汚れた」という意味です。

 

編みゐるは スキー手袋らしき縞

【作者】上村占魚(うえむら せんぎょ)

 

生きてゐる うちはスキーを 老紳士

【作者】京極杞陽(きょうごく きよう)

 

急ぎ来る スキーを肩に 顔をあげ

【作者】藤後左右(とうご さゆう)

 

色刷の 草花の絵と スキーかな

【作者】京極杞陽

【補足】色刷(いろずり)とは、2色以上の色を用いて印刷することです。

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硬雪に 焚く炭俵 スキー会

【作者】山口誓子(やまぐち せいし)

【補足】硬雪(かたゆき)とは、積もった雪が固まっているもののことです。

 

スキー靴 ぬがずにおそき昼餐とる

【作者】橋本多佳子(はしもと たかこ)

【補足】昼餐(ひるげ)とは、昼食のことをいいます。

 

スキー術 変な呼吸が いゝ呼吸

【作者】京極杞陽

 

スキー嬢 蜜柑をむけり 男らに

【作者】岸風三楼(きし ふうさんろう)

【補足】「蜜柑」の読み方は「みかん」です。

 

スキーの子 バスに会釈や 追縋り

【読み】すきーのこ ばすにえしゃくや おいすがり

【作者】川端茅舎(かわばた ぼうしゃ)

スキーをしている子供

 

スキー穿き この子可愛や 家はどこ

【作者】富安風生(とみやす ふうせい)

【補足】「穿き」の読み方は「き」です。

 

スキー服 赤く男の群に伍す

【作者】野見山朱鳥(のみやま あすか)

【補足】「伍する」とは、「仲間に入る、肩を並べる」という意味です。

 

スキー服 黒き処女は 吾に従く

【読み】スキーふく くろきおとめは われにつく

【作者】石川桂郎(いしかわ けいろう)

 

スキー帽 かぶり糠味噌 かき廻す

【作者】菖蒲あや(しょうぶ あや)

【補足】「糠味噌」の読み方は「ぬかみそ」です。

 

スキーヤの その右肩の 聳ゆるや

【作者】竹下しづの女(たけした しづのじょ)

【補足】「聳ゆるや」の読み方は「そびゆるや」です。

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すべり来る スキー映画に 大映し

【作者】高浜虚子(たかはま きょし)

 

積雪に すぐ乗るスキー 倒しけり

【作者】長谷川かな女(はせがわ かなじょ)

 

雪嶺の 見えしざわめき スキーバス

【作者】行方克己

【補足】雪嶺(せつれい)とは、雪をいただいている山の峰、雪山のことをいいます。

 

立てかけて ありし小さな スキーかな

【作者】行方克巳

 

小さき子 スキーの杖に 赤き旗

【作者】高野素十(たかの すじゅう)

 

直立の スキーに手掛け 立ち憩ふ

【作者】山口誓子

【補足】「立ち憩ふ」の読み方は「いこう」です。

 

名にし負ふ 雪の山々 スキー行

【作者】鈴木花蓑(すずき はなみの)

【補足】「名にし負ふ」とは「名前として持っている」という意味です。

雪山

 

日輪に 天の羅網や スキー宿

【作者】松瀬青々(まつせ せいせい)

【補足】日輪(にちりん)とは、太陽のことです。羅網(らもう)は、極楽浄土にあるという、宝珠をつづり網として装飾としたものです。

 

父母連れて 少年スキー行にあり

【作者】松村蒼石(まつむら そうせき)

 

星のせて スキーリフトの 返し来る

【作者】行方克巳

 

山々の 夕映のくる スキー場

【作者】京極杞陽

【補足】夕映(ゆうばえ)とは、夕日に空が赤く染まること、いわゆる夕焼けのことをいいます。

 

ゆきずりの スキー仲間の 合言葉

【作者】上村占魚

【補足】「ゆきずり(行き摩り、行き摺り)」とは、「道ですれ違うこと、通りすがり、その場かぎり」という意味です。

 

雪やんで ゐたりしスキー小屋につく

【作者】波多野爽波(はたの そうは)

 

湯ぼてりの なほあまねくて スキー見る

【作者】日野草城(ひの そうじょう)

【補足】「湯ぼてり」は「湯による火照り(ほてり)」と解します。

 

をとめ子の スキーころげの 雪つけて

【作者】上村占魚

【補足】「をとめ子」は、年若い娘・少女を意味します。

 

 


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⇒ 雪の種類、言葉、表現【一覧表】

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28363
枯葉の俳句 30選 -かれは- https://idea1616.com/kareha-haiku/ Sun, 11 Feb 2024 04:46:10 +0000 https://idea1616.com/?p=28349 冬景色の中の枯葉

冬の寒い時期に、枯葉に覆われた地面を見ていると、寒気が一層強く感じられてきます。

そして、「枯葉」は俳句において冬の季語でもあり、多くの作品に詠み込まれてきました。

このページには、「枯葉」が詠まれた俳句を多く集めました。寂しい冬の雰囲気に満ちた作品ばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。

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枯葉の俳句 30選

「枯葉」が詠み込まれた俳句を集め、句の文字の五十音順に並べました。

どうぞ、ごゆっくりとご鑑賞下さい。

 

 

水馬 枯葉かかえて 遡る

【作者】正岡子規(まさおか しき)

【補足】「水馬」の読み方は「アメンボ」で、「水黽」「飴棒」「飴坊」などと表記されることもあります。

 

いちじくの 枯葉が乗つて 僧の下駄

【作者】井上 雪(いのうえ ゆき)

 

一枚の 枯葉に触るる 風の音

【作者】稲畑汀子(いなはた ていこ)

 

今落ちし 枯葉や水に そり返り

【作者】星野立子(ほしの たつこ)

 

色かへぬ 松をあはれむ 枯葉哉

【作者】正岡子規

【補足】句末の「哉(かな)」は、詠嘆を表現する助字(じょじ)です。

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老松の 枯葉を誘ふ 凍つよし

【作者】前田普羅(まえだ ふら)

【補足】老松(おいまつ)とは、年月を経た松のことをいい、長寿の象徴とされます。

 

風うけて 蘆の枯葉や 流れ行く

【作者】星野立子

【補足】蘆(あし)はイネ科の多年草で、「葦」や「葭」とも表記されます。

 

枯葉鳴る くぬ木林の 月夜かな

【作者】正岡子規

【補足】「くぬぎ(櫟、橡、椚、櫪)」はブナ科の落葉高木です。

 

枯葉鳴る 静かさに居り お元日

【作者】臼田亞浪(うすだ あろう)

 

枯葉のため 小鳥のために 石の椅子

【作者】西東三鬼(さいとう さんき)

【補足】「椅子」の読み方は「いす」です。

椅子の上の一枚の枯葉

 

凩や 枯葉の走る 塔の屋根

【作者】寺田寅彦(てらだ とらひこ)

【補足】「凩」の読み方は「こがらし(=木枯し)」です。

 

子雀のよにまろび来る 枯葉かな

【作者】富田木歩(とみだ もっぽ)

【意味】小雀のように転がってくる枯葉だなあ

 

定まらぬ 枯葉の行方 追はずとも

【作者】稲畑汀子

【補足】「行方」の読み方は「ゆくえ」です。

 

白き蔓 白き枯葉の 烏瓜

【読み】しろきつる しろきかれはの からすうり

【作者】後藤夜半(ごとう やはん)

【補足】烏瓜は、ウリ科の蔓性多年草です。

 

炭斗に 菊の枯葉の こぼれけり

【作者】金尾梅の門(かなお うめのかど)

【補足】炭斗(すみとり=炭取)とは、炭をいれておく入れ物のことです。

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夕照に ひらつく磯の 枯葉哉

【作者】向井去来(むかい きょらい)

【補足】夕照(せきしょう)とは、夕日の光、夕焼けのことをいいます。

 

高燈籠 枯葉と共に 卸しけり

【作者】藤野古白(ふじの こはく)

【補足】「高燈籠」の読み方は「たかとうろう」です。

 

焚かんとす 枯葉にまじる 霰哉

【読み】たかんとす かれはにまじる あられかな

【作者】夏目漱石(なつめ そうせき)

 

つきさゝる 枯葉一枚 枝の先

【作者】高浜虚子(たかはま きょし)

 

ねだられて 妻が枯葉に 句をしるす

【作者】横山白虹(よこやま はっこう)

 

花ちりし あとの枯葉や 墓椿

【作者】飯田蛇笏(いいだ だこつ)

 

日だまりの 枯葉いつとき 芳しき

【作者】石橋秀野(いしばし ひでの)

【補足】「芳しき」の読み方は「かぐわしき、かんばしき、こうばしき」です。

枯葉に当たる日の光

 

一ひらの 枯葉に雪の くぼみをり

【作者】高野素十(たかの すじゅう)

 

昼の虫 枯葉のごとく 母睡り

【作者】古賀まり子(こが まりこ)

【補足】「睡り」の読み方は「ねむり(≒眠り)」です。

 

吹落す 杉の枯葉や 雪の上

【作者】野村泊月(のむら はくげつ)

 

冬ざれや 雨にぬれたる 枯葉竹

【作者】永井荷風(ながい かふう)

【補足】「冬ざれ」とは、寂しい冬の風物の様子を表現する言葉です。

 

降り積めば 枯葉も心 温もらす

【作者】鈴木真砂女(すずき まさじょ)

【補足】「温もらす」の読み方は「ぬくもらす」です。

 

朴枯葉 地に全きを 掌にしたり

【読み】ほおかれは ちにまったきを てにしたり

【作者】下村ひろし(しもむら ひろし)

【補足】(ほお)は、モクレン科の落葉高木です。

 

物をいふ 風の枯葉を 顧る

【作者】高浜虚子

【補足】「顧る」の読み方は「かえりみる」です。

 

りんだうや 枯葉がちなる 花咲きぬ

【作者】与謝蕪村(よさ ぶそん)

 

 


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28349
「冬の空」「冬空」の俳句 30選 -ふゆのそら- https://idea1616.com/fuyunosora-haiku/ Mon, 05 Feb 2024 05:10:14 +0000 https://idea1616.com/?p=28302 冬の空

雲に覆われていて日が射してくる気配が感じられないような冬空を見ていると、寒さが一段と増してくるように思えてしまいます。

このような「冬の空」「冬空」は俳句において冬の季語でもあり、多くの作品に詠み込まれてきました。

このページには、「冬の空」「冬空」が詠まれた俳句を多く集めました。寒さが厳しい冬の雰囲気に満ちた作品ばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。

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「冬の空」「冬空」の俳句 30選

「冬の空」「冬空」が詠み込まれた俳句を集め、句の文字の五十音順に並べました。

どうぞ、ごゆっくりとご鑑賞下さい。

 

 

一塵もなき冬空に 日を満たし

【作者】上村占魚(うえむら せんぎょ)

【補足】一塵(いちじん)とは、「ひとつの塵(ちり)」のことで、転じて「きわめてこまかいこと」を意味することもあります。

 

いつの間に 昼の月出て 冬の空

【作者】内藤鳴雪(ないとう めいせつ)

 

裏庭に 冬空の立ちはだかれる

【作者】波多野爽波(はたの そうは)

 

京紅や 紅差し指に 冬の空

【作者】岡井省二(おかい しょうじ)

【補足】京紅(きょうべに)とは、紅花(べにばな:キク科ベニバナ属の植物)の色素を分解したもので、古くには口紅としても用いられました。紅差し指(べにさしゆび)とは、薬指のことです。

 

四角な空 万葉集にはなき冬空

【作者】加藤楸邨(かとう しゅうそん)

【補足】万葉集(まんようしゅう)は、現存している日本最古の歌集で、全20巻からなり約4500首の歌が収められています。

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散るものを 誘ふ碧さの 冬の空

【作者】後藤比奈夫(ごとう ひなお)

【補足】「碧さ」の読み方は「あおさ」です。

 

天ぷらの 海老の尾赤き 冬の空

【作者】波多野爽波

 

戸袋に かくれゐる戸や 冬の空

【作者】波多野爽波

【補足】戸袋(とぶくろ)とは、引き戸が収納される(箱状の)部分のことです。

 

日を追うて 歩む月あり 冬の空

【作者】松本たかし(まつもと たかし)

 

冬空に 雲現はれし 羅漢かな

【作者】高野素十(たかの すじゅう)

【補足】羅漢(らかん)とは、阿羅漢(あらかん)の略で、仏、悟りに達した者のことを意味します。

僧侶の石像と冬の空

 

冬空に 大樹の梢 朽ちてなし

【読み】ふゆぞらに たいじゅのこずえ くちてなし

【作者】高浜虚子(たかはま きょし)

 

冬空に 堪へて女も 鱈を裂

【読み】ふゆぞらに たえておんなも たらをさく

【作者】細見綾子(ほそみ あやこ)

 

冬空に 鳩を見上げて 松葉杖

【作者】京極杞陽(きょうごく きよう)

 

冬空に 父母の声あり 誕生日

【作者】岡本 眸(おかもと ひとみ)

 

冬空の 青きより風 吹き起る

【作者】橋 閒石(はし かんせき)

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冬空の いづくに御名を 呼ばん哉

【作者】細見綾子

【補足】御名(ぎょめい)とは、天皇の名を意味します。

 

冬空の 疵とはならぬ 鴉かな

【読み】ふゆぞらの きずとはならぬ からすかな

【作者】阿部みどり女(あべ みどりじょ)

 

冬空の 鳶や没後の日を浴びて

【作者】上田五千石(うえだ ごせんごく)

【補足】「鳶」の読み方は「とび」です。

 

冬空の 鋼色なす 切通し

【作者】大野林火(おおの りんか)

【補足】鋼色(はがねいろ)とは、光沢のある白色のことをいいます。

 

冬空の 汚れか玻璃の 汚れかと

【作者】波多野爽波

【補足】玻璃(はり)は、ガラスの異称です。

 

冬空は 澄みて大地は 潤へり

【作者】中村草田男(なかむら くさたお)

【補足】「潤へり」の読み方は「うるおえり」です。

 

冬空や 風に吹かれて 沈む月

【作者】永井荷風(ながい かふう)

 

冬空や 大樹暮んとする静寂

【作者】飯田蛇笏(いいだ だこつ)

夕暮れ時の冬の空

 

冬空を かくす大きなものを干す

【作者】波多野爽波

 

冬の空 昨日につづき 今日もあり

【作者】波多野爽波

 

冬の空 少し濁りしかと思ふ

【作者】高浜虚子

 

冬の空 水美しく ありしのみ

【作者】飯田龍太(いいだ りゅうた)

 

冬の空より電線の 伸びきたる

【作者】友岡子郷(ともおか しきょう)

 

牡丹にも この色なくて 冬の空

【作者】松瀬青々(まつせ せいせい)

 

郵便が 冬の空より 来てをりぬ

【作者】波多野爽波

 

老幼を 愛する如し 冬の空

【作者】永田耕衣(ながた こうい)

【補足】老幼(ろうよう)とは、老人と幼児のことをいいます。

 

 


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28302
冬木立の俳句 30選 -ふゆこだち- https://idea1616.com/fuyukodachi-haiku/ Mon, 29 Jan 2024 06:12:12 +0000 https://idea1616.com/?p=28282 冬木立と日射し

冬の林、森、並木などを「冬木立」という言葉で言い表すことがあります。

この「冬木立」は俳句において冬の季語でもあり、多くの作品に詠み込まれてきました。

このページには、「冬木立」が詠まれた俳句を多く集めました。冬の寒さが伝わってくるような作品ばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。

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冬木立の俳句 30選

「冬木立」が詠み込まれた俳句を集め、句の文字の五十音順に並べました。

どうぞ、ごゆっくりとご鑑賞下さい。

 

 

あかつきの 息をひそめて 冬木立

【作者】石原舟月(いしはら しゅうげつ)

【補足】「あかつき(暁)」とは、夜明け・明け方のことをいいます。

 

明るさの 戻りたるより 冬木立

【作者】稲畑汀子(いなはた ていこ)

 

曙や あかねの中の 冬木立

【作者】高井几董(たかい きとう)

【補足】(あけぼの)とは、夜がほのぼのと明けはじめる頃のことです。

 

斧入れて 香におどろくや 冬木立

【作者】与謝蕪村(よさ ぶそん)

 

乾鮭も 登るけしきや 冬木立

【作者】与謝蕪村

【補足】乾鮭(からざけ)とは、鮭の腸(はらわた)を取って素乾(すぼし:日光や火にあてないで乾かすこと)にしたものです。

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兄弟を 隠して透ける 冬木立

【作者】正岡子規(まさおか しき)

 

小鳥さへ 啼かず冬木立 靜かなり

【作者】正岡子規

【補足】「啼く」の読み方は「く(=鳴く)」です。

 

さはつたら 手も切やせん 冬木立

【作者】小林一茶(こばやし いっさ)

 

終止符を こころに遠く 冬木立

【作者】三橋鷹女(みつはし たかじょ)

 

土手道や 酒売る家の 冬木立

【作者】河東碧梧桐(かわひがし へきととう)

冬木立

 

何もなし 只冬木立 古社

【作者】正岡子規

【補足】古社(ふるやしろ)とは、古い神社のことをいいます。

 

墓守の 娘に逢ひぬ 冬木立

【作者】寺田寅彦(てらだ とらひこ)

 

冬木立 家居ゆゝしき 梺かな

【作者】与謝蕪村

【補足】家居(いえい)とは、家にいることです。「梺(麓の俗字)」の読み方は「ふもと」です。

 

冬木立 奥は社の 鏡かな

【作者】藤野古白(ふじの こはく)

 

冬木立 女の好きな 神もあれ

【作者】正岡子規

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冬木立 ここ清貧の 僧あらむ

【作者】加藤暁台(かとう きょうたい)

【補足】清貧(せいひん)とは、私欲がなく行いが清らかで、そのために貧しく暮らしていることをいいます。

 

冬木立 五重の塔の 聳えけり

【作者】正岡子規

【補足】「聳えけり」の読み方は「そびえけり」です。

 

冬木立 静かな暗さ ありにけり

【作者】高浜年尾(たかはま としお)

 

冬木立 したしみがたく 歩きけり

【作者】日野草城(ひの そうじょう)

 

冬木立 僧園に人 ありやなし

【作者】臼田亞浪(うすだ あろう)

【補足】僧園(そうえん)とは、寺院の建物のことです。

 

冬木立 鳥啼きやんで 飛ぶ音す

【作者】正岡子規

 

冬木立 はねをすぼめて うつる鳥

【作者】中 勘助()

木の枝にとまっている鳥

 

冬木立 遙かに富士の 見ゆる哉

【作者】正岡子規

 

冬木立 ひしめくものを 身のうちに

【作者】桂 信子(かつら のぶこ)

 

冬木立 不動の火焔 燃えにけり

【作者】正岡子規

 

風呂敷の 紺を匂はす 冬木立

【作者】桂 信子

 

満月の ほうとのぼりぬ 冬木立

【作者】中 勘助

 

港より 一すぢ続く 冬木立

【作者】高木晴子(たかぎ はるこ)

 

村もなし 只冬木立 まばらなり

【作者】正岡子規

 

山寺に 豆麩引くなり 冬木立

【作者】小林一茶

【補足】「豆麩」の読み方は「とうふ」です。

 

 


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28282
鷹の俳句 30選 -たか- https://idea1616.com/taka-haiku/ Tue, 23 Jan 2024 07:20:17 +0000 https://idea1616.com/?p=28236 空を舞う鷹

古くから鷹狩に使われてきたことなどから、鷹には勇猛な印象があります。

この「鷹」は俳句において冬の季語でもあり、多くの作品に詠み込まれてきました。

このページには、「鷹」が詠まれた俳句を多く集めました。勇ましく空を駆ける鷹の姿が目に浮かんでくるような作品ばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。

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鷹の俳句 30選

「鷹」が詠み込まれた俳句を集め、句の文字の五十音順に並べました。

どうぞ、ごゆっくりとご鑑賞下さい。

 

 

あら鷹の 眼血ばしる 吹雪かな

【作者】正岡子規(まさおか しき)

【補足】「あら鷹(新鷹、荒鷹)」とは、鷹狩用に捕らえたばかりで、まだ馴れていない鷹のことをいいます。「眼」の読み方は「まなこ」です。

 

一点の 鷹呑みほして 天澄めり

【作者】平井照敏(ひらい しょうびん)

 

嬉しさを 鷹に見せたる 扇かな

【作者】服部嵐雪(はっとり らんせつ)

 

鴎らに 鷹を消したる 空の冴え

【作者】上田五千石(うえだ ごせんごく)

【補足】「鴎」の読み方は「かもめ」です。

 

かれ芦や 鴨見なくせし 鷹の声

【作者】炭 太祇(たん たいぎ)

【補足】「芦」の読み方は「あし(蘆)」です。

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飼はれては 鷹ほどのものも 落葉浴ぶ

【作者】篠田悌二郎(しのだ ていじろう)

 

寒景を うかがふ鷹に 夕あかね

【作者】飯田蛇笏(いいだ だこつ)

【補足】寒景(かんけい)とは、寒々とした冬の景色のことをいいます。

 

木の下に 赤子寝せあり 鷹舞へり

【作者】中村草田男(なかむら くさたお)

 

国敗れたりし山河を 鷹知れり

【作者】阿波野青畝(あわの せいほ)

【補足】中国の詩人・杜甫(とほ)の詩『春望(しゅんぼう)』の冒頭に「国破れて山河あり城春にして草木深し」とあります。

 

この鷹や 君の覚えも 鳥屋勝

【作者】高浜虚子(たかはま きょし)

【補足】鳥屋勝(とやまさり)とは、鷹が鳥屋籠(とやごもり:羽の抜け替わる間、鳥屋にこもること)した後、前よりも優れた姿になることです。

青空と鷹の顔

 

しぐれ忌を 山にあそべば 鷹の翳

【作者】上田五千石

【補足】しぐれ忌(時雨忌)とは、松尾芭蕉(まつおばしょう) の忌日で旧暦の10月12日です。芭蕉忌(ばしょうき)、翁忌(おきなき)、桃青忌(とうせいき)ともいわれます。「翳」の読み方は「かげ」です。

 

品をかえ 毛をかえよむや 鷹百首

【作者】井原西鶴(いはら さいかく)

 

白菊に 鷹据はりたる 静かなり

【作者】長谷川かな女(はせがわ かなじょ)

 

しら雲に 鷹まふ嶽の 年惜しむ

【作者】飯田蛇笏

【補足】「嶽」の読み方は「たけ、がく」です。

 

すさましや 嵐に向ふ 鷹の顏

【作者】正岡子規

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双鷹の 次第に遠く 舞ひ連るゝ

【作者】高野素十(たかの すじゅう)

【補足】「双鷹」の読み方は「そうよう」です。

 

鷹すでに 雲を凌げり 雲ながる

【作者】加藤楸邨(かとう しゅうそん)

【補足】「凌げり」の読み方は「しのげり」です。

 

鷹それて 夕日吹きちる 嵐哉

【作者】正岡子規

 

鷹それて むなしく月と なる夜かな

【作者】加藤暁台(かとう きょうたい)

 

小さなる 鷹とはつきり 今は見ゆ

【作者】後藤夜半(ごとう やはん)

 

はげしさや 鳥もがれたる 鷹の声

【作者】炭 太祇

 

人一人 鷹放したる 野道哉

【作者】正岡子規

野に放たれた鷹

 

旭は浪を 離れぎはなり 鷹の声

【読み】ひはなみを はなれぎわなり たかのこえ

【作者】井上井月(いのうえ せいげつ)

 

まぼろしの 鷹を行かしめ 杖に寄る

【作者】村越化石(むらこし かせき)

 

見よ蛇を 樹海に落し 鷹舞へり

【作者】及川 貞(おいかわ てい)

 

やゝぬるむ 雨をよぎりし 鷹一つ

【作者】原 石鼎(はら せきてい)

 

ゆるやかに 舞へるきびしき 鷹の羽

【作者】後藤夜半

 

連峰の しののめ鷹を 見失ふ

【作者】及川 貞

【補足】「しののめ(東雲)」とは、「明け方、明け方に東の空にたなびく雲」を意味します。

 

わが骨を 見てゐる鷹と 思ひけり

【作者】秋元不死男(あきもと ふじお)

 

鷲騒ぐ 隣の檻に 鷹静か

【作者】高浜虚子

【補足】「檻」の読み方は「おり」です。

 

 


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28236
「冬の月」の俳句 30選 -ふゆのつき- https://idea1616.com/fuyunotsuki-haiku/ Tue, 16 Jan 2024 15:20:42 +0000 https://idea1616.com/?p=28200 冬の月

冬の寒空に見られる月は、白くて明るいときなどには、氷のような印象を受けます。

このような「冬の月」は俳句において冬の季語でもあり、多くの作品に詠み込まれてきました。

このページには、「冬の月」が詠まれた俳句を多く集めました。寒さが厳しい冬の雰囲気に満ちた作品ばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。

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「冬の月」の俳句 30選

「冬の月」が詠み込まれた俳句を集め、句の文字の五十音順に並べました。

どうぞ、ごゆっくりとご鑑賞下さい。

 

 

いつも見る ものとは違ふ 冬の月

【作者】上島鬼貫(うえじま おにつら)

 

うきて行く 雲の寒さや 冬の月

【作者】斯波園女(しば そのめ)

 

うしろから ひそかに出たり 冬の月

【作者】正岡子規(まさおか しき)

 

縁日や 人散りかかる 冬の月

【作者】寺田寅彦(てらだ とらひこ)

【補足】縁日(えんにち)とは、神仏に特別の縁があるとして供養・祭典を行う日のことで、この日に参詣すると大きな功徳があるとされています。

 

厠の扉 叩く子がゐて 冬の月

【作者】松村蒼石(まつむら そうせき)

【補足】(かわや)とは、便所のことをいいます。

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桐の実の 鳴る程なりて 冬の月

【作者】井上井月(いのうえ せいげつ)

 

しめなほす 奥の草履や 冬の月

【作者】広瀬惟然(ひろせ いぜん)

【補足】「草履」の読み方は「ぞうり」です。

 

宿坊へ 案内の僧や 冬の月

【作者】野村泊月(のむら はくげつ)

【補足】宿坊(しゅくぼう)とは、寺社の参詣人のための宿舎のことで、宿院(すくいん)ということもあります。また、僧侶が生活する所を意味することもあります(=僧坊:そうぼう)。

 

竹の幹 太く勁くて 冬の月

【作者】柴田白葉女(しばた はくようじょ)

【補足】「勁くて」の読み方は「つよくて」です。

 

次に見し時は天心 冬の月

【作者】稲畑汀子(いなはた ていこ)

【補足】天心(てんしん)とは、天の中心のこといいます(=中天)。

冬の月

 

出迎ふる人 亡くて門の冬の月

【作者】寺田寅彦

 

ともどもに 別るゝ心 冬の月

【作者】稲畑汀子

 

泣くもあり 泣かねば冬の月を見る

【作者】石原八束(いしはら やつか)

 

病院の 門を出づれば 冬の月

【作者】寺田寅彦

【補足】「出づれば」の読み方は「づれば」です。

 

笛の音の いつからやみて 冬の月

【作者】横井也有(よこい やゆう)

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冬の月 いざよふこともなく上る

【作者】高浜年尾(たかはま としお)

【補足】「いざよう」とは、進もうとして進まないことをいいます。

 

冬の月 おどろとなりし 糸芒

【作者】阿部みどり女(あべ みどりじょ)

【補足】「おどろ(棘、荊棘)」とは、草木が乱れ茂ることをいいます。「糸芒」の読み方は「いとすすき(=ススキの変種)」です。

 

冬の月 かこみ輝き 星数多

【作者】高木晴子(たかぎ はるこ)

 

冬の月 雲にかかれば 暈を持ち

【作者】阿部みどり女

【補足】「暈」の読み方は「かさ」です。

 

冬の月 淋しがられて 冴えにけり

【作者】藤野古白(ふじの こはく)

 

冬の月 寂莫として 高きかな

【作者】日野草城(ひの そうじょう)

【補足】寂寞(せきばく)とは、ひっそりとして寂しい様子を表現する言葉です。

 

冬の月 高くなりつつ 靄離れぬ

【作者】篠原 梵(しのはら ぼん)

【補足】「靄」の読み方は「もや」です。

冬の月

 

冬の月 提灯つりて 道具市

【作者】松瀬青々(まつせ せいせい)

【補足】「提灯」の読み方は「ちょうちん」です。

 

冬の月 母と子の距離 凍てついて

【作者】河野静雲(こうの せいうん)

 

冬の月より放たれし 星一つ

【作者】星野立子(ほしの たつこ)

 

冬の月 をみなの髪の 匂ひかな

【作者】野村喜舟(のむら きしゅう)

【補足】「をみな」は「美女、佳人」を意味します。

 

塀添ひに 風流れをり 冬の月

【作者】臼田亞浪(うすだ あろう)

 

松ばやし ぬけねばならず 冬の月

【作者】久保田万太郎(くぼた まんたろう)

 

松よりも 杉に影ある 冬の月

【作者】井上井月

 

屋根の上に 火事見る人や 冬の月

【作者】正岡子規

 

 


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28200
冬薔薇の俳句 30選 -ふゆそうび、ふゆばら- https://idea1616.com/fuyusobi-haiku/ Thu, 11 Jan 2024 04:27:00 +0000 https://idea1616.com/?p=28180 赤い薔薇の花

冬に咲く薔薇のことを「冬薔薇」という言葉で表現することがあります。

この「冬薔薇」は俳句において冬の季語でもあり、多くの作品に詠み込まれてきました。

このページには、「冬薔薇」「冬の薔薇」「寒薔薇」が詠まれた俳句を集めました。厳しい寒さの中で咲く薔薇の姿が目に浮かんでくるような作品ばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。

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冬薔薇の俳句 30選

「冬薔薇」「冬の薔薇」「寒薔薇」が詠み込まれた俳句を集め、句の文字の五十音順に並べました。

なお、漢字の「薔薇」は、「ばら」「そうび」「しょうび」と読まれます。

どうそ、ごゆっくりとご鑑賞下さい。

 

 

朝なれば 食器の音も 冬の薔薇

【作者】細見綾子(ほそみ あやこ)

 

あま照らす 日のしたゝりに 寒薔薇

【作者】西島麦南(にしじま ばくなん)

【補足】「あま照らす」とは、「天に光り輝いていらっしゃる、天下を治めておいでになる」という意味です。

 

一疋の 雄の夜明けぬ 冬薔薇

【作者】石塚友二(いしづか ともじ)

【補足】「疋」の読み方は「ひき(=匹)」です。

 

菊枯れて 冬薔薇蕾む 小庭かな

【作者】正岡子規(まさおか しき)

 

銀座には 銀座の生活 冬薔薇

【作者】高木晴子(たかぎ はるこ)

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婚約を 心に許す 冬薔薇

【作者】羽部洞然(はぶ どうねん)

 

さし溢す 水珠なせり 寒薔薇

【読み】さしこぼす みずたまなせり かんそうび

【作者】西島麦南

【補足】句頭の「さし」は、動詞について語勢を強めたり、あるいは調える接頭語です。

 

咲きかはり 枝をかへたる 冬薔薇

【作者】高浜年尾(たかはま としお)

 

咲きなやむ 冬薔薇の香の きこえけり

【作者】西島麦南

 

散るまへの 光にゆだね 冬薔薇

【作者】鍵和田釉子(かぎわだ ゆうこ)

薄いピンク色の薔薇

 

札所にも 咲けば似合ひて 冬薔薇

【作者】稲畑汀子(いなはた ていこ)

【補足】札所(ふだしょ)とは、三十三か所の観音や八十八か所の大師などの霊場(れいじょう=神仏の霊験があらたかな場所)のことをいいます。また、参詣者が参詣のしるしとして札を受け取る所を意味することもあります。

 

冬薔薇 石の天使に 石の羽根

【作者】中村草田男(なかむら くさたお)

 

冬薔薇 一輪風に 揉まれをり

【作者】高浜虚子(たかはま きょし)

 

冬薔薇 咲くや海越え来し吾子に

【作者】羽部洞然

【補足】吾子(あこ)とは、「わが子」を意味します。

 

冬の薔薇 すさまじきまで 向うむき

【作者】加藤楸邨(かとう しゅうそん)

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冬の薔薇 日々事なきは つまらなく

【作者】鈴木真砂女(すずき まさじょ)

 

冬ばらに 落葉乏しく なりにけり

【作者】阿部みどり女(あべ みどりじょ)

 

冬薔薇に かならず人の 遠くより

【作者】古舘曹人(ふるたち そうじん)

 

冬ばらに 華美な下着や 椅子の客

【作者】阿部みどり女

【補足】華美(かび)とは、はなやかで美しいこと、はでやかなことを意味します。「椅子」の読み方は「いす」です。

 

冬ばらに 静夜明けゆく 聖母の図

【作者】柴田白葉女(しばた はくようじょ)

【補足】静夜(せいや)とは、静かな夜のことをいいます。聖母(せいぼ)は、聖人の生母、イエスの母マリアを意味します。

 

冬薔薇に 名づけて真珠日和かな

【作者】久保田万太郎(くぼた まんたろう)

【補足】「真珠日和」の読み方は「しんじゅびより」です。

 

冬薔薇の 花弁の渇き 神学校

【作者】上田五千石(うえだ ごせんごく)

【補足】神学校(しんがっこう)とは、キリスト教神学の研究と、教職者・教会奉仕者の養成とを行う学校のことです。

黄色い薔薇の花

 

冬薔薇の 咲いてしをれて 人遠き

【作者】日野草城(ひの そうじょう)

 

冬薔薇の 咲くほかはなく 咲きにけり

【作者】日野草城

 

冬ばらの 真紅に未来 うるほへり

【作者】柴田白葉女

 

冬薔薇は 色濃く影の 淡きかも

【作者】水原秋桜子(みずはら しゅうおうし)

 

冬薔薇や 仕事で逢ひて 好きな人

【作者】岡本 眸(おかもと ひとみ)

 

冬ばらや 父に愛され 子に愛され

【作者】星野立子(ほしの たつこ)

 

文芸は 具象抽象 冬の薔薇

【作者】阿波野青畝(あわの せいほ)

【補足】具象(ぐしょう)とは、形をとって現れること、また、その形のことで、「抽象(ちゅうしょう)」はその対義語です。

 

無名氏の 薔薇咲かせたり 冬の木戸

【作者】石塚友二

【補足】無名氏(むめいし)とは、名前の分からない人のことをいいます。

 

 


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28180
兎の俳句 30選 -うさぎ- https://idea1616.com/usagi-haiku/ Fri, 05 Jan 2024 05:08:11 +0000 https://idea1616.com/?p=28155 白い兎

ペットとして飼われる兎には白いものが多く、その姿は可憐で可愛らしさにあふれています。

この「兎」は俳句において冬の季語でもあり、多くの作品に詠み込まれてきました。

このページには、「兎」が詠まれた俳句を多く集めました。兎の愛くるしい姿が目に浮かんでくるような作品ばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。

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兎の俳句 30選

「兎」が詠み込まれた俳句を集め、句の文字の五十音順に並べました。

兎は農作物などを食い荒らすので、冬に「兎狩り」が行われます。このことから、「兎」は冬の季語とされています。

どうぞ、ごゆっくりとご鑑賞下さい。

 

 

足跡の 兎と知れて こはさなく

【作者】稲畑汀子(いなはた ていこ)

【補足】「足跡」の読み方は「あしあと」です。

 

あたたかき 雪がふるふる 兎の目

【作者】上田五千石(うえだ ごせんごく)

 

争はぬ 兎の耳や かたつぶり

【作者】榎本其角(えのもと きかく)

【補足】かたつぶり(蝸牛)とは、カタツムリのことです。他に、「でんでんむし」「ででむし」「まいまいつぶり」「まいまい」「かぎゅう」などとも呼ばれます

 

兎ゆきし あとのみ散りて 深雪なり

【作者】及川 貞(おいかわ てい)

【補足】深雪(みゆき)とは、深く積もった雪のことですが、雪の美称としても使われる言葉です。

 

撃たれし血 口に含みて 兎死す

【作者】野見山朱鳥(のみやま あすか)

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独活掘りの またつかまへぬ 兎の子

【作者】吉武月二郎(よしたけ つきじろう)

【補足】独活(うど)はウコギ科の多年草です。

 

置炬燵 雪の兎は 解けにけり

【作者】正岡子規(まさおか しき)

【補足】置炬燵(おきごたつ=置火燵)とは、やぐらの中に炉を入れて、移動できるようにしたこたつのことです。

 

檻かじる兎夜半も 梅が散る

【作者】坪内稔典(つぼうち としのり)

【補足】「檻」の読み方は「おり」です。夜半(やはん)とは、夜中・真夜中のことをいいます。

 

寒の暮 兎の箱に 足ふれて

【作者】百合山羽公(ゆりやま うこう)

 

仔兎の 耳透く富士の 山開き

【作者】飯田龍太(いいだ りゅうた)

【補足】「仔兎」の読み方は「こうさぎ」です。山開き(やまびらき)とは、その年に初めて登山を許すことです。

雪に覆われた富士山

 

声もなく 兎動きぬ 花卯木

【作者】服部嵐雪(はっとり らんせつ)

【補足】卯木(うつぎ=空木)は、ユキノシタ科の落葉低木です。卯木の花のことを「花卯木」「卯の花」といいます。

 

猿どのの 夜寒訪ひゆく 兎かな

【作者】与謝蕪村(よさ ぶそん)

【補足】夜寒(よさむ)とは、夜の寒いことをいいます。

 

柴刈の 鼻先をとぶ 兎かな

【作者】吉武月二郎

 

少年の 夜々の夢なる 兎罠

【作者】石塚友二(いしづか ともじ)

 

水滴の 兎を秋の灯に放つ

【作者】相生垣瓜人(あいおいがき かじん)

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炭焼が 兎の罠を 掛けに行く

【作者】滝沢伊代次(たきざわ いよじ)

【補足】炭焼(すみやき)とは、木材を焼いて炭を作ることを職業とする人のことです。

 

抱いてゆく 兎遊ばす 花野かな

【作者】野村泊月(のむら はくげつ)

【補足】花野(はなの)とは、花の咲いている野辺のことです。

 

短日の 兎に白き山ばかり

【作者】宇佐美 魚目(うさみ ぎょもく)

【補足】短日(たんじつ)とは、冬の昼間の短い日のことをいいます。

 

茶の花に 兎の耳の さはるかな

【作者】加藤暁台(かとう きょうたい)

【補足】茶の花とは、茶の木に咲く白い花のことです。

 

冬嶺青く 睡りさめたる 兎の瞳

【作者】加藤楸邨(かとう しゅうそん)

【補足】「睡り」の読み方は「ねむり(=眠り)」です。

 

木賊原 小兎はねる 霰かな

【作者】幸田露伴(こうだ ろはん)

【補足】木賊原(とくさわら)は、北海道帯広市の地名です。

 

年逝くや 兎は頬を 震はせて

【作者】飯島晴子(いいじま はるこ)

【補足】「年逝く」の読み方は「としゆく」です。

兎の石像

 

二羽と言ひ 兎は耳を 提げらるる

【作者】殿村菟絲子(とのむら としこ)

【補足】兎はかつて「羽(わ)」で数えられていましたが、現在では「匹(ひき)」を用いるのがふさわしいとされています。

 

初雪に 兎の皮の髭作れ

【作者】松尾芭蕉(まつお ばしょう)

 

針金の 輪のみにあはれ 兎罠

【作者】福田蓼汀(ふくだ りょうてい)

 

吹越に 大きな耳の 兎かな

【作者】加藤秋邨

【補足】吹越(ふっこし)という地名は、青森県上北郡と秋田県能代市にあります。

 

万両は 兎の眼もち 赤きかな

【作者】加賀千代女(かがの ちよじょ)

【補足】万両(まんりょう)は、ヤブコウジ科の常緑小低木で、赤い球形の実をつけます。

 

無月なる 庭に出てゐし 家兎

【作者】原 裕(はら ゆたか)

【補足】無月(むげつ)とは、空が曇っていて月が見えないことをいいます。

 

山越えて来る獅子舞に 兎網

【作者】米沢吾亦紅(よねざわ われもこう)

 

夜ざくらの 下にあそべる 兎かな

【作者】岸 風三楼(きし ふうさんろう)

 

 


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28155
門松の俳句 30選 -かどまつ- https://idea1616.com/kadomatsu-haiku/ Sun, 31 Dec 2023 16:01:52 +0000 https://idea1616.com/?p=28143 門松

新年のお祝いとして立てる門松は、とてもお正月らしい風景を生み出してくれます。

そして、「門松」は俳句において新年の季語でもあり、多くの作品に詠み込まれてきました。

このページには、「門松」「門の松」が詠まれた俳句を多く集めました。おめでたい新年の雰囲気に満ちた作品ばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。

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門松の俳句 30選

「門松」「門の松」が詠み込まれた俳句を集め、句の文字の五十音順に並べました。

どうぞ、ごゆっくりとご鑑賞下さい。

 

 

大いなる門松 日本の星宿る

【作者】中村草田男(なかむら くさたお)

 

風吹て 門松うたふ けさの春

【作者】正岡子規(まさおか しき)

 

門の松 背戸の大松 みどりなり

【作者】泉 鏡花(いずみ きょうか)

【補足】背戸(せど)とは、裏口、家のうしろを意味します。

 

門松に こぼれてありぬ 龍の玉

【作者】中村汀女(なかむら ていじょ)

【補足】「龍の玉(りゅうのたま)」とは、龍の髯(りゅうのひげ:キジカクシ科の常緑多年草の名前、「蛇の髭(じゃのひげ)」ともいう)の実のことです。

 

門松に ひそと子遊ぶ町の月

【作者】富田木歩(とみた もっぽ)

【補足】「ひそと」は「ひっそりと」と同義です。

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門松に ぬれ身すり寄する 雨の鹿

【作者】大谷光演(おおたに こうえん)

 

門松の 笹の葉喰めり 初荷馬

【作者】高橋淡路女(たかはし あわじじょ)

【補足】「喰めり」の読み方は「はめり」です。

 

門松の すこしゆがんでいる日向

【作者】桂 信子(かつら のぶこ)

【補足】「日向」の読み方は「ひなた」です。

 

門松の たちそめし町や 雁渡る

【作者】渡辺水巴(わたなべ すいは)

【補足】「たちそめし(立ち初めし)」は「立ちはじめた」という意味です。

 

門松の ややかたむくを 直し入る

【作者】原 石鼎(はら せきてい)

門松

 

門松の 雪のあたたかに 降りにけり

【作者】岩田涼菟(いわた りょうと)

 

門松は かざらぬよりも 跡さびし

【作者】服部土芳(はっとり とほう)

 

門松や あひだあひだの 枯柳

【作者】富安風生(とみやす ふうせい)

 

門松や おもへば一夜 三十年

【作者】松尾芭蕉(まつお ばしょう)

 

門松や 佐渡と越後は 筋向ひ

【作者】森川許六(もりかわ きょりく)

【補足】「筋向ひ(すじむかい)」とは、斜めに向かいあうことをいいます。

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門松や 死出の山路の 一里塚

【作者】小西来山(こにし らいざん)

【補足】死出の山路(しでのやまじ)とは、死出の山(=人が死後に行く冥途 (めいど) にあるという険しい山)の山道のことです。

 

門松や 上手下手なき 筆使ひ

【作者】正岡子規

 

門松や 月明らかに 応へ無し

【作者】渡辺水巴

【補足】「応へ」の読み方は「こたえ」です。

 

門松や ひとりし聞けば 夜の雨

【作者】小林一茶(こばやし いっさ)

 

門松や 雪のあしたの 材木屋

【作者】飯田蛇笏(いいだ だこつ)

【補足】この句の「あした」は「朝(あさ)」の意味です。

 

門松や 例のもぐらの穴のそば

【作者】滝井孝作(たきい こうさく)

 

元日や 門松に照る 朝日影

【作者】正岡子規

【補足】朝日影(あさひかげ)とは、朝日の光のことです。

朝日が当たる門松

 

きのふこそ 峰に寂しき 門の松

【作者】西山宗因(にしやま そういん)

 

子が買つて来し門松を わが立てて

【作者】安住 敦(あずみ あつし)

 

今年また 門松とりに あの山へ

【作者】細見綾子(ほそみ あやこ)

 

此隅に 門松立てり 江戸の春

【作者】正岡子規

【補足】「此隅」の読み方は「このすみ」です。

 

月雪の ためにもしたし 門の松

【作者】向井去来(むかい きょらい)

 

天神の敷石 料亭の門松へ

【作者】山口青邨(やまぐち せいそん)

 

病床に 豆門松の 置きどころ

【作者】百合山羽公(ゆりやま うこう)

 

名月や 客を窺ふ 門の松

【作者】立花北枝(たちばな ほくし)

【補足】「窺ふ」の読み方は「うかがう」です。

 

 


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28143
餅の俳句 30選 -もち- https://idea1616.com/mochi-haiku/ Fri, 29 Dec 2023 07:21:10 +0000 https://idea1616.com/?p=28124 餅

新しい年を迎えて、清々しい気持ちで食べるお正月の餅は格別なものです。また、お正月でなくても、私たちが餅を食べる機会は多いといえるでしょう。

そして、「餅」は俳句において冬の季語でもあり、多くの作品に詠み込まれてきました。

このページには、「餅」が詠まれた俳句を多く集めました。どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。

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餅の俳句 30選

「餅」が詠み込まれた俳句を集め、句の文字の五十音順に並べました。

どうぞ、ごゆっくりとご鑑賞下さい。

 

 

明日は夜鴉 孤つ家の燈に 餅ふくれ

【作者】三橋鷹女(みつはし たかじょ)

【補足】孤つ家(ひとつや=一つ家)とは、一軒家(いっけんや)のことをいいます。

 

いくさなきを ねがひつかへす 夜の餅

【作者】大野林火(おおの りんか)

 

一片の餅温かく 年迎ふ

【作者】橋 閒石(はし かんせき)

 

一片の餅に血がさす 誰か死ぬ

【作者】三橋鷹女

 

いちにちの大方 餅を焼く匂ひ

【作者】桂 信子(かつら のぶこ)

【補足】大方(おおかた)とは、ほぼ全体、大部分を意味します。

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大き手に 恍惚と餅 伸されゐる

【作者】能村登四郎(のむら としろう)

 

かまくらに 餅焼く誰の 母ならむ

【作者】上田五千石(うえだ ごせんごく)

 

元旦の 餅を焦せし あろじかな

【作者】日野草城(ひの そうじょう)

【補足】「焦せし」の読み方は「じらせし」です。「あろじ」とは、「主(あるじ)、主人」のことです。

 

旧正の 餅送りくる人いまも

【作者】山口青邨(やまぐち せいそん)

【補足】旧正(きゅうしょう)は、旧正月(きゅうしょうがつ=旧暦の正月)を略した言い方です。

 

切りごろの やや過ぎし餅 切りにけり

【作者】能村登四郎

切り餅

 

伐りし竹 積んで餅箱 その上に

【作者】波多野爽波(はたの そうは)

【補足】「伐りし」の読み方は「りし」です。

 

子ら来ねば 餅も減らずよ 七日粥

【作者】安住 敦(あずみ あつし)

【補足】七日粥(なのかがゆ)とは、一年の無病息災を願って 1月 7に食べる粥のことです。

 

四捨五入 すれば五十と 餅を焼く

【作者】星野立子(ほしの たつこ)

 

実物の 餅反り返る 雛祭

【作者】右城暮石(うしろ ぼせき)

 

新鋭の ごとし火に乗る 餅あまた

【作者】秋元不死男(あきもと ふじお)

【補足】「あまた(数多)」とは、「多く、たくさん」を意味します。

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捨て水が 地面流るる 餅の味

【作者】永田耕衣(ながた こうい)

 

台湾の 餅の甘さの 気に入りぬ

【作者】後藤夜半(ごとう やはん)

 

寺に干す 切餅撒きし 紙の如

【作者】山口誓子(やまぐち せいし)

【補足】「如」の読み方は「ごと」です。

 

どの道も 見えて居るなり 餅の味

【作者】永田耕衣

 

二三片 餅を焙るや 年の内

【作者】能村登四郎

【補足】「焙る」の読み方は「あぶる(=炙る)」です。

 

人近き 餅のひかりや 冬の海

【作者】永田耕衣

 

冬の日や よらで過ぎ行く 餅の茶屋

【作者】正岡子規(まさおか しき)

【補足】「よらで」は、「寄らないで、寄らずに」の意です。

晴れの冬の日射し

 

弁慶の 餅くふてゐる 祭哉

【作者】正岡子規

【補足】武蔵坊弁慶(むさいぼうべんけい)は、平安時代末期の僧兵(そうへい:僧形の武者)で、源義経(みなもとのよしつね)の従者です。

 

まるめたる 手のあとつきし 餅来る

【作者】細見綾子(ほそみ あやこ)

 

むつちりと 手応へ寒の餅とどく

【作者】能村登四郎

【補足】「手応へ」の読み方は「てごたえ」です。

 

めでたさも 一茶位や 雜煮餅

【作者】正岡子規

【補足】この句は、つぎの小林一茶の句を意識したものと考えます。

   めでたさも 中くらいなり おらが春

 

厄落し 餅の居直る 白さかな

【作者】百合山羽公(ゆりやま うこう)

 

山光る 餅の白さも 幾夜経て

【作者】飯田龍太(いいだ りゅうた)

 

ゆうぐれは 不思議かな 餅ふくれだし

【作者】橋閒石

 

夜の餅に すこしつめたき 母の顔

【作者】飯田龍太

 

 


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28124
初富士の俳句 30選 -はつふじ- https://idea1616.com/hatsufuji-haiku/ Sun, 24 Dec 2023 04:48:51 +0000 https://idea1616.com/?p=28107 富士山と初日の出

年があらたまってから、初めて見る富士山のことを「初富士」という言葉で表現します。

この「初富士」は俳句において新年の季語でもあり、多くの作品に詠み込まれてきました。

このページには、「初富士」が詠まれた俳句を多く集めました。新年の清々しい雰囲気に満ちた作品ばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。

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初富士の俳句 30選

「初富士」が詠み込まれた俳句を集め、句の文字の五十音順に並べました。

どうぞ、ごゆっくりとご鑑賞下さい。

 

 

一本の襞 初富士を 支へたる

【作者】皆吉爽雨(みなよし そうう)

【補足】「襞」の読み方は「ひだ」です。

 

薄雲の 中に初富士 ありにけり

【作者】久米正雄(くめ まさお)

 

雲行きて 初富士に著く こともなし

【作者】相生垣 瓜人(あいおいがき かじん)

【補足】「著く」の読み方は「く(=着く)」です。

 

初富士に 後ろ向なる 渡舟小屋

【作者】鈴木花蓑(すずき はなみの)

【補足】「渡舟小屋」の読み方は「わたしごや」です。

 

初富士に かくすべき身も なかりけり

【作者】中村汀女(なかむら ていじょ)

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初富士に 工場地区の 音止みぬ

【作者】瀧 春一(たき しゅんいち)

 

初富士に 珈琲さゝぐ ボーイあり

【作者】長谷川かな女(はせがわ かなじょ)

【補足】「珈琲」の読み方は「コーヒー」です。

 

初富士に ふるさとの山 なべて侍す

【作者】藤田湘子(ふじた しょうし)

【補足】「なべて(並べて)」は「一様に、一面に」という意味です。

 

初富士の 大きかりける 汀かな

【作者】富安風生(とみやす ふうせい)

【補足】(みぎわ)とは、水際(みずぎわ)・渚(なぎさ)を意味します。

 

初富士の かなしきまでに 遠きかな

【作者】山口青邨(やまぐち せいそん)

富士山からの初日の出

 

初富士の 鳥居ともなる 夫婦岩

【作者】山口誓子(やまぐち せいし)

【補足】「夫婦岩」の読み方は「めおといわ」です。この名の名所が、三重、千葉、群馬にあります。

 

初富士の 夕栄もなく 暮れにけり

【作者】大谷碧雲居(おおたに へきうんきょ)

【補足】「夕栄」の読み方は「ゆうばえ(=夕映え)」です。

 

初富士は 枯木林を ぬきん出たり

【作者】高浜年尾(たかはま としお)

 

初富士は 蓮の枯れゐる 田のはてに

【作者】瀧 春一

 

初富士へ 荒濤船を押しあげる

【作者】石田波郷(いしだ はきょう)

【補足】「荒濤」の読み方は「あらなみ」です。

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初富士へ 化粧が濃いと ひとり言

【作者】田川飛旅子(たがわ ひりょし)

 

初富士や 石段下りて 稚児ケ淵

【作者】川端茅舎(かわばた ぼうしゃ)

【補足】神奈川にある稚児ケ淵(ちごがふち)は、隆起現象で生じた海食台地です。

 

初富士や 海道長き わが県

【作者】百合山羽公(ゆりやま うこう)

【補足】海道(かいどう)とは、海辺の道、諸国に通じる主要な道路のことをいいます。「県」の読み方は「あがた」です。

 

初富士や 坂数々の 小石川

【作者】野村喜舟(のむら きしゅう)

【補足】小石川(こいしかわ)は、東京の地名です。複数の台地があり、坂が多いことで知られています。

 

初富士や 草庵を出て 十歩なる

【作者】高浜虚子(たかはま きょし)

 

初富士や 鷹二羽 比肩しつつ舞ふ

【作者】中村草田男(なかむら くさたお)

【補足】比肩(ひけん)とは、かたを並べることをいいます。

 

初富士や ねむりゐし語の 今朝めざめ

【作者】加藤楸邨(かとう しゅうそん)

富士山と快晴の青空

 

初富士や 母を珠とも たとふれば

【作者】中村汀女

【補足】(たま)とは、美しいもの、大切なものを意味します。

 

初富士や 双親 草の庵にあり

【作者】高浜虚子

【補足】双親(もろおや、ふたおや)とは、両親のことをいいます。

 

初不二を 枯草 山の肩に見つ

【作者】水原秋桜子(みずはら しゅうおうし)

【補足】不二(ふじ)は、富士山のことです。

 

初富士や 蜜柑ちりばめ 蜜柑山

【作者】石田波郷

 

初富士を 三度拝みて 家に居り

【作者】萩原麦草(はぎわら ばくそう)

 

日うらゝに 初富士 うすれ消えにけり

【作者】高橋淡路女(たかはし あわじじょ)

【補足】「うらら(麗ら=麗らか)」とは、空が晴れて、日影が明るくおだやかな様子をいいます。

 

父母の家 継ぎて初富士 まのあたり

【作者】萩原麦草

 

道ばたの家に 初富士 聳えけり

【作者】百合山羽公

【補足】「聳えけり」の読み方は「そびえけり」です。

 

 


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28107
歌留多の俳句 30選 -かるた- https://idea1616.com/karuta-haiku/ Sat, 23 Dec 2023 03:56:02 +0000 https://idea1616.com/?p=28089 百人一首の歌留多

年が明けた清々しい気分で、家族や親しい人たちと楽しむお正月の歌留多は、とても楽しいものです。

この「歌留多」は俳句において新年の季語でもあり、多くの作品に詠み込まれてきました。

このページには、「歌留多」が詠まれた俳句を多く集めました。新年の嬉しい雰囲気に満ちた作品ばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。

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歌留多の俳句 30選

「歌留多」が詠み込まれた俳句を集め、句の文字の五十音順に並べました。

どうぞ、ごゆっくりとご鑑賞下さい。

 

 

一枚の 歌留多の砂に 埋れんと

【作者】波多野爽波(はたの そうは)

 

歌がるた 覚えて恋の苦を知らず

【作者】上田五千石(うえだ ごせんごく)

【補足】歌がるたとは、百人一首などの和歌を用いたカルタのことをいいます。

 

歌かるた 女ばかりの夜は更けぬ

【作者】正岡子規(まさおか しき)

【補足】「更けぬ」の読み方は「ふけぬ(=「更けた」の意)」です。

 

歌かるた 読み人かへて とりにけり

【作者】村上鬼城(むらかみ きじょう)

 

欝々と 歌留多の裏の 曇る夜や

【作者】久米正雄(くめ まさお)

【補足】「欝々」の読み方は「うつうつ」です。

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うばはれし 紺の裏おく 歌留多かな

【作者】皆吉爽雨(みなよし そうう)

【補足】「うばはれし」を漢字表記すれば「奪われし」となります。

 

お手つきに 恋の歌留多を 繰り返す

【作者】稲畑汀子(いなはた ていこ)

 

片恋の 歌留多に負けて しまひけり

【作者】鈴木真砂女(すずき まさじょ)

 

歌留多歌 老いて肯ふ恋 あまた

【作者】殿村菟絲子(とのむら としこ)

【補足】「肯う」の読み方は「うべなう、うけがう(=「うなずく、よしとする」の意)」です。

 

歌留多会 廊下の冷えてゐたりけり

【作者】岡本 眸(おかもと ひとみ)

木目の廊下

 

かるたして 帰る雨夜や 最合傘

【作者】内藤鳴雪(ないとう めいせつ)

【補足】「雨夜」の読み方は「あまよ」です。

 

歌留多とる 声や門前 過ぐるとき

【作者】岸 風三楼(きし ふうさんろう)

 

かるたとる 手がすばしこく 美しく

【作者】高浜年尾(たかはま としお)

 

歌留多とる 皆美しく 負けまじく

【作者】高浜虚子(たかはま きょし)

 

歌留多の絵 小町は老いず ありにけり

【作者】後藤夜半(ごとう やはん)

【補足】小野小町(おののこまち)は、平安時代前期の歌人で、六歌仙・三十六歌仙の一人です。

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歌留多読む 恋はをみなのいのちにて

【作者】野見山 朱鳥(のみやま あすか)

【補足】「をみな(女=おみな)」とは「おんな、美人、佳人」を意味します。

 

決着の つきたる恋の かるたかな

【作者】阿波野青畝(あわの せいほ)

 

古風なる 筥にねむれる 歌留多かな

【作者】阿波野青畝

【補足】「筥」の読み方は「はこ」で、他に「箱」「函」「匣」「筐」などとも表記されます。

 

こぼれたる かるたの歌の 見えしかな

【作者】後藤夜半

 

こぼれゐし 歌留多順徳院の歌

【作者】阿波野青畝

【補足】順徳院(じゅんとくいん)は、第84代の天皇でしたが、承久の乱(じょうきゅうのらん)によって佐渡へ流されました。

 

祖母のもの 遠き昔の 歌がるた

【作者】高木晴子(たかぎ はるこ)

 

月の暈 かかる歌留多の 夜に入りぬ

【作者】山田弘子(やまだ ひろこ)

【補足】「暈」の読み方は「かさ」です。

暈がかかった月

 

刀自の読む 咳まじりなり 歌留多とる

【作者】皆吉爽雨

【補足】刀自(とじ、とうじ)とは、家事をつかさどる女性のことをいいます。

 

ならべゆき 心とめゆく 歌留多かな

【作者】阿波野青畝

 

二つ三つ 歌も覚えて 歌留多かな

【作者】村上鬼城

 

法師出て 嫌はるゝなり 歌がるた

【作者】阿波野青畝

【補足】法師(ほうし)とは、僧や出家した者を意味します。

 

負歌留多 さみしう笑みて 立ちにけり

【作者】河野静雲(こうの せいうん)

 

招かれて 隣に更けし 歌留多哉

【作者】夏目漱石(なつめ そうせき)

 

むべ山の札よごれゐる 歌留多かな

【作者】高橋淡路女(たかはし あわじじょ)

【補足】「むべ山(=むべ山かるた)」とは、歌ガルタを用いてする遊び方の一つです。

 

読み札の いちまいを欠く 歌がるた

【作者】伊藤白潮(いとう はくちょう)

 

 


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28089
「行く年」の俳句 30選 -ゆくとし- https://idea1616.com/yukutoshi-haiku/ Thu, 21 Dec 2023 08:30:43 +0000 https://idea1616.com/?p=28062 除夜の鐘

年の暮れの押し迫った感じ、年が過ぎ去ってゆく感じを「行く年」という言葉で表現することがあります。

この「行く年」は俳句において冬の季語でもあり、多くの作品に詠み込まれてきました。

このページには、「行く年」が詠まれた俳句を多く集めました。いよいよ今年も終わろうかという雰囲気に満ちた作品ばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。

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「行く年」の俳句 30選

「行く年」「年行く」「年歩む」が詠み込まれた俳句を集め、句の文字の五十音順に並べました。

どうそ。ごゆっくりとご鑑賞下さい。

 

 

年歩む 洗ひし門の したたりに

【作者】皆吉爽雨(みなよし そうう)

 

年行くか 音のみの波 闇に聞く

【作者】及川 貞(おいかわ てい)

 

年行くと 故郷さして 急ぎ足

【作者】正岡子規(まさおか しき)

 

年行くと 満天の星 またたける

【作者】福田蓼汀(ふくだ りょうてい)

【補足】「またたく(瞬く)」とは、星などがちらちらすることをいいます。

 

年行く夜 並び寝る子に われも寝る

【作者】及川 貞

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行く年に 引っ立てられて 行く如し

【作者】相生垣瓜人(あいおいがき かじん)

【補足】「如し」の読み方は「ごとし」です。

 

行く年に 憫笑さるるごとく居り

【作者】百合山羽公(ゆりやま うこう)

【補足】憫笑(びんしょう)とは、あわれみわらうことです。

 

ゆく年の 没り日も月も まろかつし

【作者】皆吉爽雨

【補足】「没り日(いりひ=入り日)」とは、夕方に西に沈もうとする太陽のことをいいます。

 

行く年の 後ろに就いて 行きにけり

【作者】相生垣瓜人

【補足】「就いて」の読み方は「いて」です。

 

ゆく年の 硯を洗ふ 厨かな

【作者】三好達治(みよし たつじ)

【補足】「硯」の読み方は「すずり」です。(くりや)とは、食べ物を調理する所、台所のことをいいます。

硯と墨

 

行く年の 空の隙さへ いそがしき

【作者】上島鬼貫(うえじま おにつら)

 

ゆく年の 月なり真夜も 明るきは

【作者】及川 貞

【補足】真夜(まよ)とは、夜中、真夜中のことをいいます。

 

行く年の 墓ほのぼのと 洗はれし

【作者】大野林火(おおの りんか)

 

ゆく年の ひかりそめたる星仰ぐ

【作者】久保田万太郎(くぼた まんたろう)

【補足】「ひかりそめたる)」は「光り初めた」という意味です。

 

ゆく年の 火のいきいきと 子を照らす

【作者】飯田龍太(いいだ りゅうた)

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ゆく年の 水にうつる灯ばかりかな

【作者】久保田万太郎

 

行く年の 雪五六尺 つもりけり

【作者】正岡子規

【補足】五六尺(ごろくしゃく)は、約 1.5~ 1.8 メートルです。

 

行く年も 風と共にぞ 去らむずる

【作者】相生垣瓜人

 

行く年や 石にくひつく 牡蠣の殼

【作者】正岡子規

【補足】「牡蠣」の読み方は「かき」です。

 

行く年や 老を誉めたる 小町の絵

【作者】斯波園女(しば そのめ)

 

ゆく年や 狐のかけし よだれかけ

【作者】久保田万太郎

 

ゆく年や しきりに岸へ いどむ波

【作者】久保田万太郎

波が立った湖面

 

ゆく年や 書架に撤する 美酒一壺

【作者】会津八一(あいづ やいち)

【補足】書架(しょか)とは、書棚、本棚のことです。「一壺」の読み方は「いっこ、ひとつぼ」です。

 

ゆく年や 蕎麦にかけたる 海苔の艶

【読み】ゆくとしや そばにかけたる のりのつや

【作者】久保田万太郎

 

行く年や 束ね燃やせし 古手紙

【作者】村山故郷(むらやま こきょう)

 

行く年や 猫うづくまる 膝の上

【作者】夏目漱石(なつめ そうせき)

 

行く年や 膝と膝とを つき合せ

【作者】夏目漱石

 

行く年や 人々かへるところあり

【作者】前田普羅(まえだ ふら)

 

行く年や 冥土の花の うつる水

【作者】飯田蛇笏(いいだ だこつ)

【補足】冥土(めいど=冥途)とは、死者の霊魂が行くとされる世界のことです。

 

行としや もどかしきもの 水ばかり

【作者】加賀千代女(かがのちよじょ)

 

 


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28062
「年惜しむ」の俳句 30選 -としおしむ- https://idea1616.com/toshioshimu-haiku/ Tue, 19 Dec 2023 04:56:37 +0000 https://idea1616.com/?p=28041 蠟梅の花

いよいよ今年も終わろうかという頃には、一年を振り返りながら時の流れの早さを感じて「年惜しむ」といった気持ちになります。

この「年惜しむ」は俳句において冬の季語でもあり、多くの作品に詠み込まれてきました。

このページには、「年惜しむ」が詠まれた俳句を多く集めました。歳末のしみじみとした雰囲気に満ちた作品ばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。

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「年惜しむ」の俳句 30選

「年惜しむ」が詠み込まれた俳句を集め、句の文字の五十音順に並べました。

どうぞ、ごゆっくりとご鑑賞下さい。

 

 

悪しきこと 多かりし 年を惜しむかな

【作者】相馬遷子(そうま せんし)

 

あつまりて とどのつまりは 年惜しむ

【作者】長谷川双魚(はせがわ そうぎょ)

【補足】「とどのつまり」とは、「いろいろあったが、つまるところ」「結局」という意味です。

 

雨だれの 大きなたまの 年惜む

【作者】安住 敦(あずみ あつし)

 

犬老いて 涙を垂らし 年惜む

【作者】阿波野青畝(あわの せいほ)

 

絵屏風の 年惜めよと 展く四季

【作者】亀井糸游(かめい しゆう)

【補足】「展く」の読み方は「ひらく」です。

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落る歯の はじめて年の惜きかな

【作者】加藤曉台(かとう きょうたい)

 

暗き水 樹間を流れ 年惜しむ

【作者】細見綾子(ほそみ あやこ)

 

この人を 惜しむ心に 年は逝く

【作者】高野素十(たかの すじゅう)

【補足】「逝く」の読み方は「く、く」です。

 

師の門に 月星明し 年惜しむ

【作者】及川 貞(おいかわ てい)

 

しら雲に 鷹まふ嶽の 年惜しむ

【作者】飯田蛇笏(いいだ だこつ)

【補足】「嶽」の読み方は「たけ(=大きな山、高い山)」です。

空を舞う鷹

 

推敲は 疲るることよ 年惜む

【作者】阿波野青畝

【補足】推敲(すいこう)とは、詩や文章などを良くしようと何度も考え、作り直して、苦心することをいいます。

 

たつぷりと 湯のあり 年を惜しまばや

【作者】相生垣瓜人(あいおいがき かじん)

 

天寿いつなりやと問ひて 年惜む

【作者】阿波野青畝

【補足】天寿(てんじゅ)とは、天から授けられた寿命という意味です。

 

どこみても 空青き 年惜みけり

【作者】久保田万太郎(くぼた まんたろう)

 

年惜しむ 高層街の 夜の雨

【作者】飯田蛇笏

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年惜しむ 心うれひに 変りけり

【作者】高浜虚子(たかはま きょし)

 

年惜しむ 傘寿来よとか 寄せじとか

【作者】皆吉爽雨(みなよし そうう)

【補足】傘寿(さんじゅ)とは、八十歳のこと、また、八十歳の賀の祝いのことをいいます。

 

年惜しむ その日の空の 曇るごと

【作者】上村占魚(うえむら せんぎょ)

 

年惜しむ ために這入りし 櫟山

【作者】能村登四郎(のむら としろう)

【補足】櫟山(くぶぎやま)は、神奈川にある山の名前です。

 

年惜しむ 月櫛形と なりてより

【作者】細見綾子

 

年惜む 濤の白さを 目に余し

【作者】岡本 眸(おかもと ひとみ)

【補足】「濤」の読み方は「なみ(=波)」です。

 

年惜しむ 藪の奥から 風起り

【作者】飯島晴子(いいじま はるこ)

竹藪の烏

 

止り木に 足浮かせ 年惜しみをり

【作者】能村登四郎

 

海苔桶に 落日燃ゆる 年惜しむ

【作者】金尾梅の門(かなお うめのかど)

【補足】「海苔桶」の読み方は「のりおけ」です。

 

箸に豆 つまんで年を惜しみけり

【作者】森 澄雄(もり すみお)

 

人の家の 二階にありて 年惜しむ

【作者】安住 敦

 

百日の 病臥なりける 年惜しむ

【作者】石塚友二(いしづか ともじ)

【補足】病臥(びょうが)とは、病気で床につくことをいいます。

 

筆供養 一管一管 年惜む

【作者】阿波野青畝

 

遍路旅 すませし 年を惜しみけり

【作者】能村登四郎

【補足】遍路(へんろ)とは、四国八十八箇所の霊場(れいじょう)などを巡拝することです。

 

湖を 見てきし心 年惜しむ

【作者】高野素十

 

 


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