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夏目漱石の俳句 100選 -春・夏・秋・冬の俳句-

愚陀佛庵

夏目漱石の作品では『吾輩は猫である』や『坊っちゃん』などの小説が有名ですが、愚陀仏(ぐだぶつ)という俳号を持ち多くの俳句も創作しています。

正岡子規との出会いから文学的な影響を受けたと考えられる漱石ですが、子規が「奇想天外の句多し」と評したともいわれるように、漱石の句には独特のユーモアが感じられるものも数多くあります。

このページには、夏目漱石の俳句の中から、季語によって分けた春、夏、秋、冬の俳句をそれぞれ 25句ずつ、合計で 100句を選びました。是非とも、これらをゆっくりと楽しんでみて下さい。

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目次

夏目漱石の春の俳句 25

 

暁の 夢かとぞ思ふ 朧かな

【季語】朧(おぼろ)

 

 

いざ梅見 合点と端折る 衣の裾

【季語】梅見

【補足】合点(がってん、がてん)とは、「承知、うなづくこと」の意です。また、「端折る」の読みは「はしょる」です。

 

 

いの字より はの字むつかし 梅の花

【季語】梅の花

 

 

鶯や 隣の娘 何故のぞく

【季語】鶯

 

 

梅の花 不肖なれども 梅の花

【季語】梅の花

【補足】不肖(ふしょう)とは「未熟なこと」を意味し、この句では作者の漱石自身のことを指しています。

 

 

朧の夜 五右衛門風呂に うなる客

【季語】朧

【補足】五右衛門風呂とは、盗賊の石川五右衛門(いしかわ ごえもん)が釜茹で(かまゆで)の刑に処せられたという話に基づいてつくられた風呂のことをいいます。 

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蟹に負けて 飯蛸の足 五本なり

【季語】飯蛸(いいだこ)

 

 

君帰らず 何処の花を 見にいたか

【季語】花

【補足】「何処」の読みは「いずこ」です。

 

 

ごんと鳴る 鐘をつきけり 春の暮

【季語】春の暮

 

 

里の子の 草鞋かけ行く 梅の枝

【季語】梅

【補足】「草鞋」の読みは「わらじ」です。

 

 

詩神とは 朧夜に出る 化ものか

【季語】朧夜

【補足】詩神(ししん)とは、詩をつかさどる神のことです。

 

 

辻占の もし君ならば 朧月

【季語】朧月

【補足】辻占(つじうら)とは占いの一種で、辻(=十字路)に立って行なうことからこう呼ばれました。

古めかしい街燈

 

 

どこやらで 我名よぶなり 春の山

【季語】春の山

 

 

菜の花や 門前の小僧 経を読む

【季語】菜の花

【補足】「門前の小僧 習わぬ経を読む」をふまえた句ですね。

 

 

名は櫻 物の見事に 散る事よ

【季語】櫻

 

 

奈良漬に 梅に其香を なつかしむ

【季語】梅

【補足】「其」の読みは「その」です。

 

 

錦絵に 此春雨や 八代目

【季語】春雨(はるさめ)

【補足】この句の八代目とは、歌舞伎役者の八代目・市川団十郎(いちかわ だんじゅうろう)のことを指しています。

 

 

登りたる 凌雲郭の  霞かな

【季語】霞(かすみ)

【補足】凌雲郭(りょううんかく)は東京の浅草にあった 12階の建物で、関東大震災によって半壊、後に解体されました。浅草凌雲郭、十二階などとも呼ばれていました。

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花曇り 御八つに食ふは 団子哉

【季語】花曇り

【補足】御八つ(おやつ)は八つ時(やつどき=午後三時頃)に食べることから名付けられたものです。

三色団子

 

 

春雨の 隣の琴は 六段か

【季語】春雨

 

 

春雨や 柳の中を 濡れて行く

【季語】春雨

 

 

日は永し 三十三間 堂長し

【季語】日は永し

【補足】三十三間堂(さんじゅうさんげんどう)は京都・東山の妙法院(みょうほういん)の仏堂で、正式名称は蓮華王院本堂(れんげおういんほんどう)です。

 

 

待つ宵の 夢ともならず 梨の花

【季語】梨の花

 

 

桃咲くや いまだに流行る 漢方医

【季語】桃

【補足】明治時代になると西洋医学が重視されるようになり、従来の伝統的な医療を行なう医師のことを漢方医(かんぽうい)と呼ぶようになりました。

 

 

世を忍ぶ 男姿や 花吹雪

【季語】花吹雪

花吹雪

 

 

夏目漱石の夏の俳句 25

 

思ひ切つて 五分に刈りたる 袷かな

【季語】袷

【補足】「袷(あわせ)」とは、裏地がある着物のことです。

 

 

泳ぎ上り 河童驚く 暑かな

【季語】暑

 

 

帰ろふと 泣かずに笑へ 時鳥

【季語】時鳥(ほととぎす)

 

 

雷の 図にのりすぎて 落にけり

【季語】雷

 

 

京に行かば 寺に宿かれ 時鳥

【季語】時鳥

 

 

蝙蝠や 賊の酒呑む 古館

【季語】蝙蝠(こうもり)

 

 

涼しさや 昼寐の貌に 青松葉

【季語】涼しさ

【補足】「昼寐」は「ひるね」、「貌」は「かお」と読みます。

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銭湯に 客のいさかふ  暑かな

【季語】暑

 

 

祖母様の 大振袖や 土用干

【季語】土用干(どようぼし)

【補足】土用干しとは、夏の土用に行なわれる年中行事です。

なお、土用は年に 4回あります。

 ⇒ 土用は年に 4回もある?

 

 

筍や 思ひがけなき 垣根より

【季語】筍

 

 

叩かれて 昼の 蚊を吐く 木魚哉

【季語】蚊

【補足】「哉」の読みは「かな」です。なお、「か」、「や」と読むこともあります。

 

 

溜池に 蛙闘ふ 卯月かな

【季語】卯月(うづき)

【補足】卯月は旧暦 4月の異称です。

三四郎池

 

 

となりから 月曇らする 蚊やり哉

【季語】蚊やり

 

 

土用にして 灸を据うべき 頭痛あり

【季語】土用

 

 

鳴きもせで ぐさと刺す蚊や 田原坂

【季語】蚊

【補足】田原坂(たばるざか)は熊本にあり、西南戦争(せいなんせんそう)では戦いが繰り広げられた場所です。

 

 

鳴くならば 満月になけ ほととぎす

【季語】ほととぎす

【補足】この句は正岡子規に送った手紙に書かれていたものです。

 

 

能もなき 教師とならん あら涼し

【季語】涼し

 

 

日は落ちて 海の底より 暑かな

【季語】暑

 

 

二人寐の 蚊帳も程なく 狭からん

【季語】蚊帳

 

 

仏壇に 尻を向けたる 団扇かな

【季語】団扇(うちわ)

 

 

蛍狩 われを小川に 落しけり

【季語】蛍狩(ほたるがり)

【補足】蛍狩りは「蛍見(ほたるみ)」、「蛍見物」などともいわれます。

 

 

短夜や 夜討をかくる ひまもなく

【季語】短夜(みじかよ)

 

 

無人島の 天子とならば 涼しかろ

【季語】涼し

【補足】天子(てんし)とは「一国の王」のことをいいます。

 

 

蘭湯に 浴すと書て 詩人なり

【季語】蘭湯(らんとう)

【補足】蘭湯とは、風呂に蘭の葉を入れて沸かしたもので、端午の節句に行なわれていました。これが後の菖蒲湯(しょうぶゆ)の由来といわれています。

 

 

我も人 白きもの着る 涼みかな

【季語】涼み

緑陰

 

 

夏目漱石の秋の俳句 25

 

秋風と 共に生えしか 初白髪

【季語】秋風

 

 

朝貌や 惚れた女も 二三日

【季語】朝貌

 

 

行燈に いろはかきけり 秋の旅

【季語】秋

【補足】「行燈」の読みは「あんどん」です。

 

 

化学とは 花火を造る 術ならん

【季語】花火

 

 

砧うつ 真夜中頃に 句を得たり

【季語】砧(きぬた)うつ

 

 

京の菓子は 唐紅の 紅葉哉

【季語】紅葉

 

 

粟刈らう なれど案山子の 淋しかろ

【季語】案山子(かかし)

 

 

これ見よと 云はぬ許りに 月が出る

【季語】月

【補足】「許り」の読みは「ばかり」です。

 

 

酒なくて 詩なくて月の 静かさよ

【季語】月

 

 

爺と婆 さびしき秋の 彼岸かな

【季語】秋の彼岸

 

 

接待や 御僧は柿を いくつ喰ふ

【季語】柿

 

 

其許は 案山子に似たる 和尚かな

【季語】案山子

【補足】「其許」の読みは「そこもと」で、二人称の「そなた」と同義です。

お寺の和室

 

 

月東 君は今頃 寐て居るか

【季語】月

 

 

つくづくと 行燈の夜の 長さかな

【季語】夜の長さ

 

 

仏より 痩せて哀れや 曼珠沙華

【季語】曼珠沙華(まんじゅしゃげ)

【補足】曼珠沙華は彼岸花(ひがんばな)の別名です。

 

 

骨許りに なりて案山子の 浮世かな

【季語】案山子

 

 

本名は 頓とわからず 草の花

【季語】草の花

【補足】「頓と」の読みは「とんと」です。

 

 

曼珠沙花 あつけらかんと 道の端

【季語】曼珠沙華

 

 

無性なる 案山子朽ちけり 立ちながら

【季語】案山子

 

 

名月や 故郷遠き 影法師

【季語】名月

 

 

真夜中は 淋しかろうに 御月様

【季語】御月様

 

 

明月や 丸きは僧の 影法師

【季語】明月

 

 

明月や 無筆なれども 酒は呑む

【季語】明月

 

 

山寺に 湯ざめを侮る 今朝の秋

【季語】今朝の秋

 

 

行秋や 博多の帯の 解け易き

【季語】行秋

地面に落ちた紅葉

 

 

夏目漱石の冬の俳句 25

 

雨に雪 霰となつて 寒念仏

【季語】寒念仏(かんねんぶつ)

 

 

埋火や 南京茶碗 塩煎餅

【季語】埋火

【補足】「埋火」の読みは「うずみび」です。

 

 

面白し 雪の中より 出る蘇鉄

【季語】雪

【補足】蘇鉄(そてつ)は九州南部や南西諸島に多く分布する植物です。

 

 

吉良殿の うたれぬ江戸は 雪の中

【季語】雪

 

 

凩に 裸で御はす 仁王哉

【季語】凩

 

 

凩や 鐘をつくなら 踏む張つて

【季語】凩

 

 

西行の 白状したる 寒さかな

【季語】寒さ

 

 

山賊の 顔のみ明かき 榾火かな

【季語】榾火(ほたび)

【補足】榾火は焚火(たきび)と同義です。

 

 

白旗の 源氏や木曾の 冬木立

【季語】冬木立

 

 

水仙の 花鼻かぜの 枕元

【季語】水仙の花

 

 

善か悪か 風呂吹を喰つて 合点せよ

【季語】風呂吹(ふろふき)

【補足】風呂吹きとは大根や蕪(かぶ)を厚切りにして煮たもので、息を吹いてさましながら食べることから名付けられました。

 

 

焚火して 居眠りけりな 網代守

【季語】焚火

【補足】網代守(あじろもり)とは、網代(=川で魚をとる仕掛け)の番人のことをいいます。

 

 

旅にして 申訳なく 暮るる年

【季語】暮るる年

道後温泉の提灯

 

 

冷たくて やがて恐ろし 瀬戸火鉢

【季語】火鉢

 

 

到来の 亥の子を見れば 黄な粉なり

【季語】亥の子

【補足】旧暦 10月の最初の亥(い)の日には、亥の子餅を食べる風習があります。

 

 

寐る門を 初雪ぢやとて 叩きけり

【季語】初雪

 

 

河豚汁や 死んだ夢見る 夜もあり

【季語】河豚汁(ふぐじる)

 

 

弁慶に 五条の月の 寒さ哉

【季語】寒さ

 

 

本来の 面目如何 雪達磨

【季語】雪達磨

【補足】「面目躍如」の読みは「めんぼくやくじょ」です。

 

 

短かくて 毛布つぎ足す 蒲団かな

【季語】蒲団(ふとん)

 

 

むつかしや 何もなき家の 煤払

【季語】煤払(すすはらい)

 

 

餅搗や 小首かたげし 鶏の面

【季語】餅搗(もちつき)

 

 

雪の日や 火燵をすべる 土佐日記

【季語】雪

【補足】「火燵」の読みは「こたつ」です。

 

 

行年を 家賃上げたり 麹町

【季語】行年(ゆくとし)

 

 

温泉をぬるみ 出るに出られぬ 寒さ哉

【季語】寒さ

【補足】「温泉」の読みは「ゆ」です。

 

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