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短歌で『月』を詠んだもの 30 -春・夏・秋・冬の月-

満月と五重塔の影

夜空に浮かぶ月は、古くからとても魅力的で身近な存在だったといえるでしょう。今までに数多くの和歌、短歌、俳句などに詠み込まれてきました。

満ち欠けによって毎日その形を変える、天候によっては見ることができないなどといったことも、人々が月を愛する気持ちを高めてくれます。

このページには、月を詠んだ短歌を 30首集めて春・夏・秋・冬の部に分けました。それぞれの季節によって異なる趣きが楽しめますので、どうかゆっくりと鑑賞してみて下さい。

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目次

春の月の短歌


  春  


三日月と夜桜

 

打ちなびく 柳をみればのどかなる 朧月夜も風はありけり

【作者】樋口一葉(ひぐち いちよう)

【補足】朧月夜(おぼろづきよ)とは、ぼんやりかすんで光の薄い月が出ている夜のことをいいます。

 

咲く花に 人はくるひて見かへらぬ 山した庵の春のよの月

【作者】樋口一葉

【補足】(いおり)とは、質素で小さな家のことです。

 

何事の おもひありやと問ふほどの 友得まほしき春のよの月

【作者】樋口一葉

【補足】「友得まほしき」は「友を得たい」という希望を意味しています。

 

春の月 ときは木かこむ山門と さくらのつつむ御塔のなかに

【作者】与謝野晶子(よさの あきこ)

【補足】山門(さんもん)とは、寺の正門のことです。

 

ふる郷を かなたの空とながむれば 窓にさし入るおぼろ月かな

【作者】正岡子規(まさおか しき)

【補足】「ふる郷」の読み方は「ふるさと」です。

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夏の月の短歌


  夏  


夏の夜空の月

 

うき草の 中より魚のいづるごと 夏木立をば上りくる月

【作者】与謝野晶子

【補足】「夏木立」の読み方は「なつこだち」です。「をば」は「を」を強めた言い方です。

 

白金の 糸のやうにも森の木を しかと繋げる夏の月光

【作者】与謝野晶子

【補足】「繋げる」の読みは「つなげる」です。

 

そとに出て 月に立てれば夏の雲 明るき空をちかく飛べるも

【作者】中村憲吉(なかむら けんきち)

 

たけの髪 をとめ二人に月うすき 今宵しら蓮色まどはずや

【作者】与謝野晶子

【補足】「たけの髪」とは、髪の毛が長いことを表現している言葉です。「しら蓮(しらはす)」は白い蓮の花のことです。

 

旅のやど 水に端居の僧の君を いみじと泣きぬ夏の夜の月

【作者】与謝野晶子

【補足】「いみじ」は良いことにも使われますが、この歌では「ひどい」という意味です。

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秋の月の短歌


  秋  


秋の夜の月

 

秋のよの さやけきほどは笹の葉の はかげにもるる宿の月影

【作者】正岡子規

【補足】月影(つきかげ)とは、月の光のことをいいます。

 

秋の夜の 月夜の照れば樟の木の しげき諸葉に黄金かゞやく

【作者】長塚 節(ながつか たかし)

【補足】樟の木(くすのき)は常緑高木の名前で、「楠」という字で表記されることもあります。諸葉(もろば)も植物名です。

 

秋もはや 今宵を踊りをさめなる 秋の月夜の更けにけるかな

【作者】島木赤彦(しまき あかひこ)

【補足】「踊り」とは、盆踊りのことです。

 

あす花見 こよひ月見といふめるも 人の命のはかられてこそ

【作者】正岡子規

 

おきあまる なみだの露としらねばや 袂の上に月ぞやどれる

【作者】正岡子規

【補足】「おきあまる」とは、置く場所がなくなるほど(置く)という意味です。「袂」の読みは「たもと」です。

 

さ夜ふかき 霧の奥べに照らふもの 月の下びに水かあるらし

【作者】島木赤彦

【補足】「さ夜」は、「夜」に「さ(小)」を付けて語調を整えたものです。

 

大の月 海の中からまんまろく まろびいづれば吾泣かむとす

【作者】北原白秋(きたはら はくしゅう)

【補足】「まろびいづれば」は「転がり出たので」の意味です。「吾(=文語の第一人称代名詞)」の読みは「われ」です。

 

はれながら てる稲妻は月のいろと いづれまさると光あらそふ

【作者】正岡子規

杯の中に映っている満月

 

かへらんと おり立つ庭の草むらに こほろぎ鳴きて月薄曇る

【作者】伊藤左千夫(いとう さちお)

 

山門の 大扉の下に立つ我の 息こそ見ゆれ更くる月夜に

【作者】島木赤彦

【補足】「大扉」の読みは「おおど」です。

 

しづかなる 峠をのぼり来しときに 月のひかりは八谷をてらす

【作者】斎藤茂吉(さいとう もきち)

【補足】八谷(やたに)とは、多くの谷のことを意味しています。

 

蔵経に 月の光ぞ満にける 一つころろぐこほろぎの声

【作者】北原白秋

【補足】「ころろぐ(嘶ぐ)」とは、「ころころと音をたてる」という意味です。

 

月よみの 光にぬれて坐れるは 遠き代よりの人のごときか

【作者】斎藤茂吉

【補足】「月よみ(月読)」は、月の異名です。

 

ひんがしの 空の一隈やや白み やや朱につつ月出でんとす

【作者】伊藤左千夫

【補足】「ひんがし」は「東」です。

 

ゆくりなく かかるなげきをきくものか 月蒼ざめて西よりのぼる

【作者】北原白秋

【補足】「ゆくりなく」は「思いがけず」という意味です。「蒼ざめて」の読み方は「あおざめて」です。

 

 

冬の月の短歌


  冬  


寒空の三日月

 

あら磯の 松をよすがにのぼりけり 嵐の後の冬のよの月

【作者】樋口一葉

【補足】「よすがに」は「たよりに(頼りに)」という意味です。

 

信濃路を めぐれる山の半輪に 雪かがやきて月に勝れり

【作者】与謝野晶子

【補足】半輪(はんりん)とは、半円の形のことです。この句は、月そのものを詠んだものではありません。

 

繊月の 乏しき光鉢前の 山茶花の花に或ひは宿れる

【作者】木下利玄

【補足】繊月(せんげつ)とは、三日月のように細い形をした月のことです。

 

中空に 小さくなりて照り透し 悲しきまでに冬の夜の月

【作者】斎藤茂吉

【補足】中空(なかぞら)は、「空の中ほど」を意味しています。

 

みちのべの 枯桑畑は靄へども なほ如月のさむき月かげ

【作者】中村憲吉

【補足】みちのべ(道の辺)とは、みちばた(道端)のことをいいます。「靄」の読みは「もや」です。如月(きさらぎ)は、旧暦の 2月です。

 

 


 関 連 ペ ー ジ 


⇒ 俳句で月を詠んだもの 35

⇒ 月見の俳句 20選

⇒ 秋の短歌 30選

⇒ 有名な短歌【保存版】

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