「験を担ぐ」の意味と由来は? ゲン=縁起?
「験(げん)を担ぐ」あるいは「縁起(えんぎ)を担ぐ」ということには、様々なものがあります。言ってみれば、人の数だけあるのかもしれません。
また、自分では「験を担いでいる、縁起を担いでいる」とハッキリ意識していなくても、毎日の生活の中で自然と行なってしまうのが、「験担ぎ(げんかつぎ)」「縁起担ぎ(えんぎかつぎ)」というものかもしれません。
このページでは、験を担ぐことの意味、由来、理由、実例などをみていくことにしましょう。
「験を担ぐ」の意味は?
「験を担ぐ」とは
以前に行なって良い結果が出た行為などを、再び良い結果が出るようにとの願いを込めて、繰り返して行なうこと
をいいます。また、
些細(ささい)なことに対しても、良い前兆であるか、あるいは悪い前兆であるかを考えたり気にしたりすること
も「験を担ぐ」と言い表わされます。
似たような言葉に「縁起を担ぐ」というものがありますが、これと「験を担ぐ」には密接な関係があります。
そこで、次に「験を担ぐ」の由来をみていきましょう。
「験を担ぐ」の由来は?
「験を担ぐ」という表現は、古くには「縁起を担ぐ」というものでした。この「縁起(えんぎ)」が、江戸時代に流行した逆さ言葉によって「ぎえん」となり、やがて「げん」に変化して、「験」の漢字が当てられたと考えられています。
表 現 | 変 化 |
縁起を担ぐ | えんぎ |
↓ | ↓ |
(逆さ言葉) | ぎえん |
↓ | ↓ |
験を担ぐ | げん |
「縁起」は仏教用語ですが、一般で使われる場合は、良いこと・悪いことが起こるきざし、前兆の意味となります。
そして、「担ぐ(かつぐ)」は「気にする」という意味で使われています。
縁起に関しては、次のような表現があります。
- 縁起が良い(茶柱が立つなど)、縁起が悪い
- 縁起物(だるま、招き猫など)
- 縁起を祝う(良いことがあるように祝い祈る)
- 縁起直し(さいさきが悪いのを、取り消すように祝い直すこと)
- 縁起を担ぐ
また、「験」は修行や祈祷(きとう)の効果、効き目という意味です。ですから、縁起の逆さ言葉に「験」の字を当てたのも納得できる気がします。
そして現在では、験を担ぐ=縁起を担ぐ といった使われ方をしているわけです。
なお、縁起や験に関連したジンクスという言葉があります。これは「縁起の悪い言い伝えや行為」という意味で、もともと悪い意味合いのものです。
しかし、現代の日本では縁起が良いという意味でも使われています。
験を担ぐのは何故?
験を担ぐことの説明に、「前後即因果の誤謬(ごびゅう=誤り)」がしばしば持ち出されます。
これは、ある事柄の後に別の事柄が起きた場合に、「前の事柄が原因となって、後の事柄が起きた」と判断してしまうことです。
後の事柄が良い場合と悪い場合に分けて、人の心理を考えてみると次のようになります。
【良いことの場合】
Aの行為の後に、B(良いこと)が起こった
⇒ Aを行なえば、良いことが起こるはずだ
【悪いことの場合】
Aの行為の後に、B(悪いこと)が起こった
⇒ 悪いことが起こらないように、Aは避けるべきだ
験担ぎ(縁起担ぎ)の実例
よく耳にするような験担ぎの例を、いくつか挙げてみましょう。
- 試験の前日にカツ丼を食べる[勝つ]
- 試験では五角形の鉛筆を使う[合格]
- 毎朝、仏壇に向かい手を合わせる
- 朝風呂に入る
- お茶に梅干しを入れて飲む
- 靴を必ず右(あるいは左)から履く
- その日のラッキーカラーを身に付けて外出する
- 五円玉をお守りとして持ち歩く[ご縁]
- 建物には必ず右足(あるいは左足)から入る
- 勝負事などに勝ち続けているときは髭をそらない
たとえ他人から見れば効果がないように思えても、当人が縁起が良いと考えて行なっていることは験担ぎであるといえるでしょう。
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