ハイカラのもとの意味は「西洋カブレ」って知ってましたか?
ハイカラという言葉を聞いて、あなたは何を思い浮かべますか?
私なら、明治時代の廂髪(ひさしがみ)の女性が一番先に思いつきます。
しかし、この「ハイカラ」という言葉は、調べてみるとなかなか面白いいきさつもありました。
まずは、ハイカラのもともとの意味からみていきましょう。
目次
ハイカラの意味は?
今では、ハイカラは「お洒落(おしゃれ)」であったり、「時代の先端をいく」といった意味で使われていますが、本来は違ったものでした。
お洒落については、こちらをご覧ください。
⇒ お洒落の意味と由来
ハイカラという言葉が生まれたのは明治時代で、当時は「人、物、生活様式などが西洋風である」といった意味に使われました。
しかし、西洋的であることを称えるのではなく、西洋カブレ・軽薄といったマイナスイメージを伴った言葉でした。
ハイカラに「灰殻(はいから)」という漢字を当てるのも、「吹けば飛ぶような」という意味を込めて軽薄さを強調したものです。
また、ハイカラと対照的な言葉が「バンカラ」で、荒々しさや野蛮さを表現します。
そんな言葉「ハイカラ」でしたが、これを使い始めた本人の行いによって、明治時代を象徴するほどの流行をみせました。
そして、「ハイカラ」が流行語となって広く使われるようになるにつれ、近代的、進歩的、優雅、お洒落など、肯定的な意味が強くなっていきました。
ハイカラの由来は?
ハイカラの語源はもちろん、ワイシャツの高い襟(えり)の英訳の「high collar」から来ています。
この言葉は、明治32~33年頃に、横浜毎日新聞の石川半山(いしかわはんざん)が「ハイカラア党」、「ハイカラア派」などとして使い出したものです。
当時の保守的な人々を表現する「チヨム髷党=ちょんまげ党」に対し、進歩的な人々の気障(きざ)な面を強調する場合に使いました。
ハイカラが世に広まるきっかけとなったのは、石川も出席した、ある人物の送別会での出来事でした。
出席者の一人が、「ハイカラ―は文明的で、その人が清く正しいことをあらわすものだ。普段はハイカラ―を攻撃している石川氏も、今日はハイカラ―を身に付けているではないか。」という演説をしました。
これが満場の喝采を浴び、新聞各紙がこぞって取り上げたので、それ以後に「ハイカラ」が流行語となったのです。
明治の流行語
ハイカラのほかにも、明治時代に生まれて流行した言葉が数多くあります。
そのうちのいくつかを挙げてみます。
御一新(ごいっしん)
維新(いしん)とともに使われましたが、消えてなくなってしまった言葉です。
維新が官製で文語的とすれば、御一新は庶民的で口語に向いた言葉といえるでしょう。
夏目漱石の『それから』には、「御維新のとき……」の漢字に「ごゐっしん」のルビを振ったものもあります。
東亰(とうけい)
この言葉も、今となっては失われてしまいました。
江戸時代から明治時代へと政権も変わり、江戸の町も東京へと改められましたが、明治20年代までは東京と東亰が併用されていました。
旧幕軍側の知識人の著したものには、しばしば見かける表現です。
洋杖(ステッキ)
「老人の杖、書生のステツキ」と言われたように、当時は青年層が外出するときに洋杖を持ち歩くことが流行しました。
なかには、洋杖の中に日本刀を仕込んだ仕込み杖もあり、壮士に人気があったそうです。
摺付木(すりつけぎ)
これは、マッチのことです。
マッチは、明治元年には輸入されていました。
呼びかた、表記が様々に変わり
MATCH ⇒ 摺付木、早付木(はやつけぎ) ⇒ 洋火(マッチ) ⇒ 寸燐(マッチ) ⇒ 燐寸(マッチ)
と移行しました。
戦後までは、燐寸が一般的な表記でした。
暗殺
流行したという表現は適切でないかもしれませんが、明治11年に大久保利通(おおくぼとしみち)が殺害された事件以降に、暗殺という言葉が多用されるようになりました。
以前には「闇討(やみうち)」といわれたことも含めた表現として、一般にも広まっていきました。
ワルツ
いわゆる四分の三拍子の舞踏曲で、鹿鳴館(ろくめいかん)の夜会で流行しました。
この「鹿鳴館時代」は、明治20年頃には終わりを迎えました。
壮士(そうし)
革新的な政治思想をもった青年のことで、明治20年以降の新聞に頻出する言葉です。
当初は維新の志士にも例えられましたが、後には定職のない政治家くずれといったイメージを伴うようになりました。
二輪車
自転車のことで、明治のものは前輪が後輪よりも極端に大きく、いわゆる「ダルマ車」と呼ばれていました。
横浜で明治10年に貸自転車屋が開業し、東京では明治20年頃から流行が始まりました。
まとめ
- 明治時代に生まれた「ハイカラ」という言葉は、当初は西洋風といった意味合いのものでした。
- ハイカラの語源は、ワイシャツの高い襟(えり)の英訳の「high collar」です。
- ハイカラは、明治時代の流行語でした。