「しょっぱい」って方言ですか? 今まで普通に使ってきたけど…
今まで何気なく使っていた「しょっぱい」という言葉ですが、最近になって「しょっぱいは関東圏の方言」という記述をみかけました。
私は関東在住ですが、今までそのように考えたことはありませんでした。
関西と関東では、言葉遣いに違いがあるとは思っていても、実際に直面しないかぎりあまり意識することはないでしょう。
一口に日本語といっても、方言まで含めて考えると、同じ言語とは思えないようなことも数多くあります。
そこで、このページでは方言に関することについて考えてみました。
からい・塩からい・しょっぱい
現在では、「しょっぱい」という言葉は「情けない」、「つまらない」といった意味でも使われています。
漢字を使えば「塩っぱい」の表記になるはずです。
プロレスやプロボクシングの試合の後で、勝った選手が『しょっぱい試合ですみません…』といったコメントをすることがありますね。
この「しょっぱい」は、もともとは大相撲の世界で「弱い」という意味で使われていました。
弱い力士はよく投げられて、塩がまかれる土俵に這ってばかりいるということです。
味覚に対して使う「からい」などは、国内でも地域差がかなり大きいといえるでしょう。
からい・塩からい・しょっぱいの使い分けをまとめてみました。
関西 | 関東 | |
からい | 舌を刺激するような味の全般に使う | 舌を刺激するような味、塩味を除く |
塩からい | 「からい」のうちで、塩味を強調する場合 | 塩味の場合に使う |
しょっぱい | ― |
関西圏では、からし、わさびといった香辛料によるものと塩味を特に分けてないで「からい」と表現します。
そして、塩味を強調するときには「塩からい」を使います。
これに対して関東では、塩味の場合は言葉が違くなるわけです。
私は、塩味の場合に「しょっぱい」を使い、塩味が特に強いときは「塩からい」を使っています。
そして、関西では「しょっぱい」を使わないんですね。
これは、私にとっては衝撃でした。
関西で塩味の強いものを食べたときに『しょっぱい!』と言っても、わかってもらえないのですから。
方言の由来
方言という言葉が記述されている文献で、現在残されている最も古いのは『東大寺諷誦文稿(とうだいじふうしょうぶんこう)』です。
この中に「此当国方言、毛人方言、飛騨方言、東国方言」という記述があります。
これは平安時代の初期に成立したとされていて、この頃から方言という考え方があったことを示しています。
明治時代になってからは、学校教育・軍隊のなかで標準語が推し進められるようになりました。
国の政策として、方言を排除しようとしたのです。
しかし、実際には方言がなくなることはありませんでした。
その後、ラジオやテレビの普及によって標準語が全国に浸透していきました。
現在では、方言を守るための保存会がつくられたりしていますし、テレビの番組でも方言を強調する演出がみられたりしますね。
気になる方言
ずっと気になっていた方言があるので、いくつか挙げてみます。
「どさ」「ゆさ」
小学校の2年か3年の夏休みの宿題で、国語の問題でした。
○つぎの会話を標準語にしなさい。
「どさ」
「ゆさ」
この問題は、家族に聞いても解りませんでした。
夏休み明けにクラスの友達に聞いて回ったら、一人だけ知っていました。
その友達によれば、「お母さんに聞いたら教えてくれた」とのことでした。
これは、知らなければ答えられないので、無理がありますよね。
ましてや、関東圏の小学生には完全に無理な問題です。
ちなみに、答えは
「どこへ行くの?」
「お風呂へ行くんだよ」
です。
ずおん
これは、すべて津軽弁で書かれた「雀こ」という太宰治の小説に出てくる言葉です。
意味が解らないながらも、印象的で忘れられない言葉です。
長え長え昔噺(むがしこ)、知らへがな。
山の中に橡(とち)の木いっぽんあったずおん。
そのてっぺんさ、からす一羽来てとまったずおん。
からすあ、があて啼(な)けば、橡の実あ、一つぼたんて落づるずおん。
また、からすあ、があて啼けば、橡の実あ、一つぼたんて落づるずおん。
また、からすあ、があて啼けば、橡の実あ、一つぼたんて落づるずおん。
「~だそうです」という意味です。
一度、正式な発音とイントネーションで聞いてみたいと思っています。
ぼっけえ、きょうてえ
「ぼっけえ、きょうてえ」は岩井志麻子の小説の題名で、岡山弁で「とても怖い」という意味です。
「もんげえ」も「とても」という意味なんですね。
この小説では岡山の方言が多用されていて、それが恐怖感を高めていると評価されています。
この言葉も、正式な発音で聞いてみたいものです。
まとめ
- 方言は、平安時代の初期には既に意識されていました。
- 明治時代以降に、国策として標準語を推し進められてきました。