「ひょっとこ」と「おかめ」の意味と由来って何ですか?
ひょっとことおかめは、古くから縁起物として親しまれてきました。やはり、思わず笑いを誘うような表情が人気につながっているのでしょう。しかし、その由来となると、ちょっと見当がつかないようなところがあります。
このページでは、ひょっとこ、おかめの意味や由来を確認していきましょう。
ひょっとこの意味と由来は?
「ひょっとこ」とは、口をとがらせて、おどけたような顔をした男のお面のことです。また、そのような表情も「ひょっとこ」「ひょっとこ顔」といい、「潮吹き面(しおふきめん)」ということもあります。
ひょっとこには、次のように色々なバリエーションがありますが、いずれも面白い印象を持っている点が共通しています。
- 片方の目が、もう一方よりも小さいものがある
- とがらせた口を曲げたものが多くみられる
- 鉢巻き、頬かむりなどをしているものがある
- ひょっとこの面を付けた場合、頬かむりをすることが多い
ひょっとこは、田楽の舞いや祭りの踊りの中でも道化として振る舞うことから、コミカルな面は一般的にも浸透していますね。
ひょっとこの名前の由来は、竈(かまど)の火を竹筒(たけづつ)などで吹く男という意味の「ひおとこ(火男)」であり、これが転じて「ひょっとっこ」になったとする説が有力です。
また、口の形が徳利(とっくり)に似ていることから、もとは「ひとっくり(非徳利)」といわれていたものが変化したとする説もあります。しかし、こちらの説よりも、『ひおとこ ⇒ ひょっとこ』の変化の方が自然といえるでしょう。
さらに、東北地方に伝わるいくつかの民話に「ひょうとく」「うんとく」などの名前があり、これらから派生したのが「ひょっとこ」の名称ともいわれてています。
ひょっとこの面の形状は、狂言に用いられる「空吹(うそぶき)の面」に由来しています。これは、目が丸くて口をとがらせたもので、室町時代以降に完成されて、現代まで引き継がれているものです。たしかに、空吹の面には「ひょっとこ」の面影がありますね。
ひょっとこは、「おかめ」「おたふく」とセットにして縁起物とされることも多くみられます。次では、そのおかめについてみていきましょう。
おかめの意味と由来は?
「おかめ」とは、丸い顔、広い額、低い鼻の女性のお面のことです。また、このような顔だちのことも「おかめ」といいます。おかめの表記や呼び方には、次のように様々なものがあります。
- お亀(おかめ)
- 阿亀(おかめ)
- お多福(おたふく)
- 阿多福(おたふく)
- お福(おふく)
- 御福(おふく)
- 乙(おと)
- 御前(おとごぜ)
- 乙御前(おとごぜ)
おかめの名前の由来には、次のような説があります。
- 顔の形が甕(かめ=水などを入れる容器)に似ている
- 室町時代の巫女(みこ)の名前からとった
また、おたふくの名前の由来にも説がいくつかあり、代表的なのは次のものです。
- 「福が多い」という意味を込めた
- 顔の形が、ふくらんだ魚のフグ(フク)に似ている
- 狂言の乙(おと)、乙御前(おとごぜ)の発音が変化した
おかめ、おたふくのいずれについても、決定的なものはありませんが、おかめに関しては「顔の形が甕に似ている」を、おたふくについては「福が多い」を私は支持しています。
このおかめ(おたふく)の面の由来は、日本神話に登場する、日本の最古の女性の踊り子「アメノウズメ」とされています。アメノウズメは、神楽等を行った女官(にょかん=宮廷に仕える女性)で、猿女君(さるめのきみ=古代から朝廷の祭祀に関わってきた氏族)の始祖といわれています。
まとめ
- 「ひょっとこ」は、口をとがらせて、おどけたような顔をした男のお面、または、そのような表情のことです。
- ひょっとこの名前の由来は、「ひおとこ(火男)」が転じたとする説が有力です。
- ひょっとこの面の由来は、狂言に用いられる「空吹(うそぶき)の面」です。
- 「おかめ」とは、丸い顔、広い額、低い鼻の女性のお面、または、そのような顔だちのことです
- おかめ(おたふく)の名前の由来については諸説がありますが、決定的なものはありません。
- おかめ(おたふく)の面の由来は、日本の最古の女性の踊り子「アメノウズメ」とされています。