夏炉冬扇と同じ意味をもつ四字熟語を13コ集めてみました!
四字熟語というものは、中学の国語で習ったような記憶があります。
「次の四字熟語の意味を書きなさい。」という問題などは、知っていれば答えられますが、知らないものは困ってしまいます。
私もそのような問題では、使われている漢字を頼りになんとか想像で答えると、まったく違った意味だったということがよくありました。
このページでは「夏炉冬扇(かろとうせん)」という四字熟語を取り上げて、使い方、同義語、関連する熟語などについて、みていくことにしましょう。
夏炉冬扇の意味と由来は?
夏炉冬扇とは、夏の炉(ろ=火鉢や囲炉裏)と冬の扇、つまり役に立たないもののたとえです。また、君主の信頼を失った部下のことや、男性に捨てられた女性のたとえとして使われることもあります。
出典は『論衡(ろんこう)』の「逢遇篇(ほうぐうへん)」です。
江戸時代の俳諧師・松尾芭蕉(まつおばしょう)が、自分の俳風について述べるときに、この「夏炉冬扇」を用いて表現しています。
また、冬扇夏炉(とうせんかろ)といわれることもありますが、意味は夏炉冬扇とまったく同じです。
夏炉冬扇の同義語、類語 -四字熟語-
夏炉冬扇と同じように、「役に立たないもの」、「無用のもの」を意味する言葉は数多くあります。それのうち四字熟語のものを挙げてみしょう。動物が含まれているものが多くみられますね。
なお、「 」内は字句そのものの意味をあらわしています。
屋上架屋(おくじょうかおく)
「屋根の上に屋根をつくる」という意味です。
画蛇添足(がだてんそく)
「蛇の絵に足を描き加える」ことです。
一般的には「蛇足(だそく)」という言葉で使われることが多いですね。
牛溲馬勃(ぎゅうしゅうばぼつ)
「牛の尿と馬の糞(ふん)」のことです。
牛糞馬涎(ぎゅうふんばせん)
「牛の糞と馬のよだれ」のことです。
牀上施牀(しょうじょうししょう)
「床の上に床を張る」という意味です。
対牛弾琴(たいぎゅうだんきん)
「牛に向かって琴を弾く」ことです。
対驢撫琴(たいろぶきん)
「ロバに向かって琴を奏でる」ことです。
泥車瓦狗(でいしゃがこう)
「泥でつくった車と瓦の犬」という意味です。
陶犬瓦鶏(とうけんがけい)
「焼き物の犬と瓦の鶏」という意味です。
螳螂之斧(とうろうのおの)
「カマキリの前足」という意味です。
屠竜之技(とりゅうのわざ、とりょうのぎ)
「竜を殺す技」という意味です。
馬耳東風(ばじとうふう)
「馬の耳に東から風が吹く」という意味です。
六菖十菊(りくしょうじゅうぎく)
「5月6日の菖蒲(しょうぶ)と9月10日の菊」という意味です。
菖蒲は5月5日の端午(たんご)の節句で、また菊は9月9日の重陽(ちょうよう)の節句で必要とされるものなので、1日遅れているわけですね。
夏炉冬扇の同義語、類語 -ことわざ-
夏炉冬扇と同義のことわざには、次のようなものがあります。
月夜に提灯(ちょうちん)
「月夜に提灯 夏火鉢」ともいいます。
昼の行灯(あんどん)
行灯は江戸時代に一般に普及した照明器具です。
無用の長物
仏教に由来する言葉です。大乗仏教において僧が身辺に備えるのは十八物(じゅうはちもつ=三衣、経、鉢などの法具)であり、それ以外のものを「無用の長物(じょうもつ)」といいます。
夏・冬が含まれている四字熟語
四季のうちでは春や秋を含むものが多いのですが、夏や冬が使われているものも多くあります。一部を挙げてみましょう。
夏雲奇峰(かうんきほう)
夏の入道雲が変わった峰の形になることをいいます。
夏下冬上(かかとうじょう)
炭火を起こす場合に、夏は炭の下に種火を置き、冬は炭に上に種火を置くとうまくいくということです。
夏癸殷辛(かきいんしん)
暴君のたとえです。
夏候拾芥(かこうしゅうかい)
学問をおさめるのは大切だということです。
夏虫疑氷(かちゅうぎひょう)
知識や見聞が狭いことのたとえです。
九夏三伏(きゅうかさんぷく)
夏の一番熱い時期のことをいいます。
冬夏青青(とうかせいせい)
信念や節操が常に変わらないことのたとえです。
冬日之温(とうじつのおん)
君主から部下への恩恵が優しくあたたかいことをいいます。
曼倩三冬(まんせいさんとう)
優れた才能を持つ者は、短い期間で教養を身に付けることができるということです。
まとめ
- 夏炉冬扇は、「役にたたないもの」、「無用のもの」という意味を持ちますが、「君主の信頼を失った部下」や、「男性に捨てられた女性」のたとえとして使われることもあります。
- 5 字熟語については、こちらをご覧ください。