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恋の短歌 30選 【樋口一葉と与謝野晶子の歌から厳選】

桜草

「恋の短歌」といえば女性、中でも樋口一葉(ひぐち いちよう)と与謝野晶子(よさの あきこ)がすぐに思い浮かびます。

しかし、二人の短歌は対照的で、一葉が「静」であるならば晶子は「動」と表現できます。二人はほとんど同年代ともいえるにもかかわらず、歌だけをみると全く別々の時代の人のようにも感じられます。

このページには、一葉と晶子が詠んだ歌の中から、「恋」を想起するものを選んでみました。これらからは、二人のそれぞれの生き方にも通じるものを感じることもできますので、是非この30首をじっくりと味わってみてください。

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目次

恋の短歌 【樋口一葉の部】

一葉は肺結核によって24歳で亡くなっており、作家として活躍したのは一年と数カ月で、この期間は「奇跡の14ヶ月」と呼ばれています。

しかし、その短い期間に数多くの名作といわれる小説を発表しました。

小説家として身を立てるために師事したのが小説家の半井桃水(なからい とうすい)で、一葉は桃水に恋愛感情を持つようになりました。

しかし、結婚を前提としない恋愛は許されない当時の風潮の中で、二人とも独身でありながらも醜聞(しゅうぶん=スキャンダル)が広まったため、一葉は桃水との恋を諦めました。死後に発表された『一葉日記』には、桃水に対する想いが切々と綴られています。

作家として名を知られるようになる以前に、一葉は歌塾「萩の舎(はぎのや)」に入門し、和歌などを学んでいます。

そして、一葉は何とも古風な趣きが感じられる歌を残していますが、切ない恋愛を題材にしたものも多く含まれています。

それらの歌からは、実生活で桃水との恋を諦めたように、恋の気持ちを胸に秘めたままにしてしまう悲しみといったものが強く感じられます。

一葉の創作は明治時代なので、詠まれた歌を「短歌」としていますが、むしろ「和歌」とした方が相応しいようにも思えます。

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いとゝしく つらかりぬべき別路(わかれじ)を あはぬ今よりしのばるゝ哉

「いとゝしく」は、「一層ひどく」という意味です。

 

 

うき名をば 惜しむあまりに今はただ 逢ふ由もなくなりにけるかな

「うき名を惜しむ」とは、浮き名(恋愛や情事のうわさ)が立つことを嫌うという意味です。

 

 

梅が香の 身にしむばかり夜も更けぬ 契りし友を待つとせし間に

「契(ちぎ)りし」は「約束した」の意です。

 

 

おもふこと すこし洩らさん友もがな うかれてみたき朧月夜に

朧月夜とは、春の夜に月がわずかに霞んでいる光景をいいます。

 

 

書き交す この玉章(たまずさ)のなかりせば 何をか今日の命にはせ

玉章は、手紙や便りの美称です。

 

 

行水の うき名も何か木の葉舟 ながるゝまゝにまかせてをみん

この歌には、「人の噂が煩わしい」という詞書(ことばがき)が付いています。

 

 

来ん人も いまは待たじの雨の夜に なのりもつらき虫の音ぞする

夜の雨を扱った次の歌も、とても風情があります。

散そめし 桜を見れば今宵ふる 雨のうちに春は行くらん

雨の夜

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日頃へし 憂さとつらさをまれに逢ふ 今宵一夜に言ひもつくさん

「日頃へし」は、数日経ってという意味です。

 

 

ひたすらに 厭(いと)ひは果てじ名取川 なき名も恋のうちにぞありける

一葉が名取川を詠み込んだ歌は、他にもいくつかあります。

名取河 浪のぬれぎぬきつる哉 おもふ心もまだかけなくに

 

 

ふみまよふ 恋の心を人とはば ただうばたまのやみ路なりけり

「うばたまの(烏羽玉の)」は枕詞で、「やみ(闇)」にかかっています。烏羽玉(アヤメ科の多年草ヒオウギの実)が黒いことから、「やみ」「夜」「黒」などにかかります。

 

 

よそながら かげだに見んと幾度(いくたび)か 君が門をば過ぎてけるかな

「よそながら」とは「遠く離れていながら」という意味、「かげだに」は「せめて影だけでも」という意味です。

 

 

わかれんと 思ふばかりも恋しきを いかにかせまし逢はぬ月日を

「いかにかせまし」は、「どうしたらいいのでしょう」という意味です。

 

 

我がおもふ 人の宿には無くもがな かはりやすかるあぢさゐの花

「もがな」は、「~ならいいなあ」という意味です。

 

 

我ながら こころよわくも洩らしけり 忍びはてんとおもひしものを

一葉の繊細さがよく表れている歌です。

 

 

われはさは 恋する身なり人ごとに きけるが如き物おもひそふ

 

百合の花

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恋の短歌 【与謝野晶子の部】

晶子は、歌人の与謝野鉄幹(よさの てっかん)と不倫関係の後に結婚し、12人の子供を出産しました。

世間の目に屈して恋を諦めてしまう一葉とは対照的に、晶子は自分から恋をつかみ取りにゆきます。

それはまさに、彼女の短歌そのもののように思えます。

女性の官能を歌う晶子の作風は、当時の伝統を重んじる歌壇からは反発を受けながらも、世間からは熱狂的な支持を受けました。

一葉と晶子の歳の差は 6歳ほど(一葉:明治 5年生まれ、晶子:明治 11年生まれ)ですが、古典的ともいえる一葉の歌と、かつてない新しさを感じさせる晶子の歌を並べてみると、とても同じ時代の作品とは思えません。

晶子は 5万首にも及ぶ短歌の創作、『源氏物語』の現代語訳、詩作、評論など精力的な活動を行ないました。

※与謝野晶子の短歌のうち、このページのものとは重複しない 100首を別のページに集めてありますので、是非そちらもご覧になってみてください。

【関連】 与謝野晶子の短歌 100選

 

美くしさ 恋のごとしとほめて見ぬ ほろびやすかる磁のうつはもの

「うつはもの(器物)」は、容器、入れ物のことです。

 

 

清水へ 祇園をよぎる桜月夜 こよひ逢ふ人みなうつくしき

晶子の代表作の一つです。

 

 

くろ髪の 千すじの髪のみだれ髪 かつおもひみだれおもいみだるる

区切れによって解釈が違ってきます。

 

 

小百合さく 小草がなかに君待てば 野末(のずえ)にほひて虹あらわれぬ

野末とは、野のはてという意味です。

 

 

その子二十 櫛にながるる黒髪の おごりの春のうつくしきかな

「その子」とは晶子自身とも解釈できます。

 

 

罪おほき 男こらせと肌きよく 黒髪ながくつくられし我れ

晶子の自信が漲っている歌です。

 

 

なにとなく 君に待たるるここちして 出でし花野の夕月夜かな

月夜

 

 

春みじかし 何に不滅の命ぞと ちからある乳を手にさぐらせぬ

この歌を一葉が読んだら、はたしてどう感じたでしょうか。

 

 

人の子の 恋をもとむる唇に 毒ある蜜をわれぬらむ願い

「人の子」とは、「人として生まれたもの」という意味です。

 

 

みだれ髪 おもひ動くぞ秋によき 恋の二十を袂(たもと)に秘めな

この歌は、歌集『小扇』に収録されています。

 

 

みだれ髪を 京の島田にかへし朝 ふしていませの君ゆりおこす

「島田にかへし」は、「島田(女性の髪形の名称)に結い」の意です。

 

 

道を云はず 後を思はず名を問はず ここに恋ひ恋ふ君と我と見る

「道」は道徳と解釈します。

 

 

むねの清水 あふれてつひに濁りけり 君の罪の子我も罪の子

鉄幹との不倫の関係を詠ったものと解釈される歌です。

 

 

やは肌の あつき血汐にふれも見で さびしからずや道を説く君

「さびしからずや」は、「さびしくないのでしょうか」の意です。

 

 

わが恋は 虹にもまして美しき いなづまとこそ似むと願ひぬ

桜の花

 

 


 関 連 ペ ー ジ 


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⇒ 夏の短歌 ベスト20

⇒ 秋の短歌 ベスト20+3

⇒ 冬の短歌 ベスト20

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