旧暦と新暦に「ずれ」があるのは何故?
暦などをみていると、「旧暦何月何日」という表記に出会うことがあります。
しかし、旧暦とは馴染みが薄いことと、その日付が現在のものとは「ずれている」ので、どうしても違和感を持ってしまいます。
それでも、年中行事によっては、今でも旧暦の日付で行われているものもあります。
このページでは、旧暦、新暦、旧暦と新暦の違いや「ずれ」などをみていくことにしましょう。
新暦とは?
改暦(=暦法が改まること)が行われた場合に,それ以前に使われていた暦が旧暦(きゅうれき)で、現在使われているものが新暦(しんれき)=現行暦となります。
まずは、新暦について確認しておきましょう。
現在の日本の現行暦(新暦)は、世界の多くの国々でも用いられている「グレゴリオ暦」です。
この暦は、太陽の運行(実際には地球の公転)をもとにしてつくられているので、太陽暦(たいようれき)に分類されます。
大まかにいうと、地球は約365日かけて太陽の周りを一回りし、これを 1年とします。
ただし、微妙な誤差があるので、4年に一度366日の年を設けて調整しています。これが「閏年(うるうどし)」になります。
旧暦とは?
日本では明治5年(1872年)に改暦があり、それまでの天保暦(旧暦)から現在のグレゴリオ暦(新暦)に変わりました。
現在の日本で「旧暦」といった場合、この天保暦のことを指すのが一般的です。
この旧暦(天保暦)は、月の満ち欠けをもとにしてつくられているので、大きな分類では太陰暦(たいいんれき)に属します。
「太陰」とは月の別名で、「太陽」に対応する言葉です。
月は約29.5日かけて地球の周りを一回りするので、これを 1カ月とします。そして、12ヶ月を 1年としてみましょう。
すると、1年=354日となってしまい、新暦(グレゴリオ暦)よりも 11日も少ないことになります。
これを20年繰り返すと220日の違いとなり、真夏に 1月1日を迎えることになります。
これを解消するために、約3年に1回(正確には19年に7回)、「閏月(うるうづき)」を加えて 1年を13カ月にして調整します。
4年に一度 は 1日多くして調整する閏年(うるうどし)と、考え方としては同じです。
このようにして出来た暦を、太陰太陽暦 *(たいいんたいようれき)といいます。
* 太陰太陽暦は、太陽太陰暦と呼ばれることもあります。
旧暦の歴史
日本では、1872年の改暦以前にも改暦がありました。それらを確認しましょう。
- 元嘉暦(げんかれき) 飛鳥時代に採用
- 儀鳳暦(ぎっほうれき) - 697年に採用
- 宣明暦(せんみょうれき) - 862年に採用
- 貞享暦(じょうきょうれき) - 1685年に採用
- 宝暦暦(ほうりゃくれき) - 1755年に採用
- 寛政暦(かんせいれき) - 1798年に採用
- 天保暦(てんぽうれき) - 1844に採用
これらはすべて太陰太陽暦でしたから、1872年の天保暦からグレゴリオ暦への改暦に比べれば、改暦による影響は少なかったといえます。
旧暦と新暦の「ずれ」
旧暦と新暦とでは日付にずれがあり、それはおよそ 20 ~ 50日にもなります。
この原因は、両者で 1月1日が違っていることによります。
旧暦・新暦それぞれの日付と 1月1日の関係は次のようになります。
- 旧暦 … 雨水* の日付(新暦・2/19頃)の直前の新月の日が 1月1日
- 新暦 … 春分の日付(新暦・3/20頃)のおよそ 80日前が 1月1日
* 雨水(うすい)とは、二十四節気の一つです。
【参考】 雨水とは?
これらにより、旧暦の 1月1日は、新暦の日付でいうと 1/20 ~ 2/19 頃となります。
そして、新暦を基準にして考えると、旧暦の日付は 20~ 50日ほど遅れたものとなるのです。
日本の様々な行事には、旧暦の時代に決められたものが多くあります。
そのため、旧暦の行事を、日付をそのままで(新暦で)行なうと季節との「ずれ」を感じます。
これを回避するために、月遅れあるいは中暦(ちゅうれき)と呼ばれる方法がとられます。
一例をあげると、旧暦の7月15日に行なわれていた「お盆」を、月遅れの8月15日(新暦)とすることがあります。
これは「旧盆(きゅうぼん)」と呼ばれることもありますが、新暦8月15日が必ず旧暦7月15日になるという意味ではありません。
まとめ
- 一般的に「旧暦」といった場合、現在のグレゴリオ暦の前に使われていた天保暦のこと指します。
- 天保暦は、月の満ち欠けをもとにしてつくられた太陰太陽暦です。
- 旧暦時代に定められた行事を新暦の日付で行う場合、季節のずれを避けるために、月遅れ(中暦)という方法をとることがあります。