お盆のなすときゅうりの意味を知っていますか?
お盆に、お供え物と一緒に「なす」と「きゅうり」を並べることがあります。
子供の頃にはこれらの意味がよくわかりませんでしたが、後に教えてもらったところ「なるほど」と思えるものがありました。
これらには、とても日本らしくて優しい心づかいが込められているといえるでしょう。
このページでは、お盆のなすときゅうりがどのような意味を持っているのかを中心に、作り方などもみていくことにしましょう。
なすときゅうりの名前と読み方は?
なすときゅうりが表わしているのは動物で、きゅうりが「馬」、なすが「牛」です。これらの馬と牛がペアになっていて、合わせて『精霊馬(しょうりょう うま)』といいます。
精霊とは、日本の古神道(こしんとう)に由来するもので、「しょうりょう」「しょうろう」「しょうらい」などの読み方があります。意味は「亡くなった人の霊や魂」ということです。
なお、キリスト教における三位一体(さんみいったい)の一つは「聖霊(せいれい)、聖神(せいしん)」であり、「聖」の文字を使います。
精霊馬をよくよく見てみると、確かに馬と牛の体格がきゅうりとなすで上手く表現されていますね。
なすときゅうりの意味は?
お盆の時期には、ご先祖様の霊をお迎えして供養をします。そして、ご先祖様が「あの世」と「この世」を移動する際の乗り物が精霊馬です。
そして、こちら(この世)に来られるときには「きゅうりの馬」を使い、お盆の終わりに「なすの牛」で帰られます。これには、「足が速い馬で、早く家に来られますように」と「歩きが遅い牛にお供物を載せて、ごゆっくりお帰りくださいますように」という願いがそれぞれに込められているのです。
これらをまとめると、次のようになります。
材料 | きゅうり | なす |
動物 | 馬 | 牛 |
用途 | 行き | 帰り |
意味 | 早く来られますように | ごゆっくり お帰り下さい |
以上が、一般的な精霊馬の風習です。しかし、この風習がない地域もありますし、「来られるときが牛、帰られるときが馬」とする地域もあります。比較的広い地域で行われていますが、地域によって様々な形態がある風習です。
なすときゅうり(精霊馬)の作り方
作り方はとても簡単で、家庭でもすぐに作れます。割りばし、つまようじ、マッチ棒などをきゅうりとなすに差し込んで4本足として、馬と牛の形に整えます。なすの場合は、「ヘタ」の部分を牛の頭にしましょう。
出来上がった馬と牛は、精霊棚(しょうりょうだな=盆棚)、仏壇などにお供物と一緒に並べます。地域によっては、玄関先に置くこともあるようです。用意できれば、真菰(まこも)やオガラのゴザを敷くと良いでしょう。
馬と牛の向きは、特にこだわらないこともありますが、迎え入れるときには仏壇などに向け、送り出すときは逆にむけるなどの決まりがある地域もあります。古くからのしきたりがある場合には、それに従いましょう。
なすときゅうりの片付け方は?
お盆が終わり、精霊馬が役目を終えたらどうすればよいでしょうか?
かつては、精霊馬を川などに流したりもされていましたが、現在ではそうもいかないことが多いですね。お寺へ焚き上げをお願いしたり、庭先に埋めるということも難しいかもしれません。
家庭で片付ける場合は、塩で清めてから、半紙や白紙に包んで処分するとよいでしょう。
いろいろな精霊馬
先に実際のきゅうりとなすを使った精霊馬の作り方を紹介しましたが、現在は出来合いのものも入手できます。お盆の時期になると、次のようなものをよく見かけます。
- 牛馬がセットになったもの
- ローソクとして火を付けられる牛馬
- 真菰製の精霊馬
なお、セットになったものの中に「ほおずき」が入っていることがありますが、これは道を照らすための提灯の意味合いがあります。
まとめ
- お盆の精霊馬(しょうりょう うま)は、きゅうりで「馬」、なすで「牛」を作ります。
- 精霊馬は、ご先祖様が「あの世」と「この世」を行き来するときの乗り物を意味しています。
- 精霊馬には「足が速い馬で、早く家に来られますように」と「歩きが遅い牛にお供物を載せて、ごゆっくりお帰りくださいますように」という願いが込められています。
- お盆に関連したものを別項目でまとめています。よろしければ、ご覧になってみて下さい。