「たまげる」の意味はわかるけど、語源は何? という人のために
あなたは普段、「たまげる、たまげた」という言葉を使いますか?
私は、子どもの頃によく使っていました。「おったまげた!」や「ぶったまげた!」という語の響きが面白かったような気がします。
今でも、人がこの言葉を話すのを聞くと、コミカルな印象を受けてしまうのですが、一般的にはどうなのでしょうか?
最近、この言葉を久しぶりに聞いて、語源は何かなと気になったので、少し調べてみることにしました。
たまげるの意味は?
意味はもちろん、「とても驚く、びっくりする」ということです。漢字では、「魂消る」と書かれます。
「魂(たましい)が消えてなくなってしまうほどの思いをする」ということです。
現代の小説でも、この言葉は多く見受けられますが、「魂切るような悲鳴」という表現もみかけます。私は最初、誤植かと思っていたのですが、そうではありませんでした。
「魂切る」の意味は「魂消る」と同じで、「びっくりする」ということです。
どうも、意識的に「魂切る」を使っているようです。
そして、この「魂切る」のほうが歴史が古いようです。次の由来・語源の項でまとめます。
たまげるの語源は?
現代で使っている「魂消る(たまげる=びっくりすること)」は、時代とともに表記、発音、意味が変化してきました。
時代 | 表記 | 読み方 | 意味 |
鎌倉 | 魂切る | たまきる | おびえる |
室町 | 魂消る | たまぎる | おどろく |
江戸 | 魂消る | たまげる | おどろく |
上の表のように、室町時代には意味が「おどろく」に変わっていて、江戸時代には現代と同じ使われ方をするようになりました。
西行(さいぎょう)の『山家集(さんかしゅう)』に有名な句があります。
いとほしや さらに心の幼(をさな)びて 魂切れ(たまきれ)らるる 恋もするかな
この句も、「魂切る(たまきる)」を「おびえる」の意味で解釈できます。私は次のように読み解いています。
『なんといじらしいことよ ますます心が子供のようになって おびえてしまうような 恋をしてしまうとは』
まとめ
- 「たまげる」は、表記、意味が時代とともに変化してきた言葉です。
- 江戸時代には、現代と同じような使われ方をしていました。