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短編小説のおすすめ 12 -珠玉の短編-

本を読む女性

私は小説を読むのが大好きです。ジャンルにこだわらずに何でも読みますが、どちらかといえば短編小説の方が多い気がします。

ちょっとした隙間時間や、寝る前のひと時に読むには、短編がうってつけです。

このページには、短編小説の中でも「おすすめ」といえるようなものを 100集めようと考えました。少しずつ更新していきますので、よろしければチェックしてみて下さい。

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短編小説のおすすめ 12/100

【更新中です】 φ (. .  ) 

 

いなか、の、じけん

【作者】夢野久作(ゆめの きゅうさく)

【補足】文庫本では 60ページほどの短編です。作者の郷里の実話に基づいたもので、20の話が収められています。

【名フレーズ】イイエ、違います。まるでウラハラです…… by 後家さん

【私感】怪奇性や幻想性が特徴とされる作者の小説の中で異色の作品といえます。久作曰く「間の抜けた」話が楽しめます。

 

逆行

【作者】太宰 治(だざい おさむ)

【補足】分庫本で 16ページほどの短編です。太宰の処女短編集『晩年』に含まれていて、4つの短編からなります。

【名フレーズ】甲斐ない努力の美しさ。われはその美に心をひかれた。

【私感】2つ目の『盗賊』が私のお気に入りです。ときに詩を思わせるような、流れるような文章に太宰の才能の非凡さが感じられす。

 

月光と硫酸

【作者】久生十蘭(ひさお じゅうらん)

 

山月記

【作者】中島敦(なかじま あつし)

【補足】文庫本では 10ページほどの短編です。中島敦の代表作とされています。

【名フレーズ】 隴西の李徴は博学才穎、天宝の末年、若くして名を虎榜に連ね、ついで江南尉に補せられたが、性、狷介、自ら恃むところ頗る厚く、賤吏に甘んずるを潔しとしなかった

【私感】冒頭の格調高い一文(↑)で、この小説の世界へ引きずり込まれてしまいます。何度読み返しても、素晴らしいとしか思えない小説です。

 

心理試験

【作者】江戸川乱歩(えどがわ らんぽ)

【補足】文庫本では 40ページほどの短編です。名探偵の明智小五郎(あけち こごろう)が事件を解決する一編です。

【名フレーズ】それとなく彼をここへ呼ぶ訳には行きませんかしら、そうすれば、僕はきっと真相をつき止めて御目おめにかけますがね by 明智小五郎

【私感】ドストエフスキーの『罪と罰』を彷彿とさせる設定が、読む者を小説世界に引き込みます。そして、いつしか犯罪を犯した主人公の心境になっている自分に気が付きます。

 

ダス・ゲマイネ

【作者】太宰 治(だざい おさむ)

【補足】分庫本では 30ページほどの短編です。題名の『ダス・ゲマイネ』はドイツ語で「通俗性」といった意味で、太宰の出身地・津軽の言葉「ん・だすけ・まいね=それだからだめなんだ」をもじったものともいわれています。

【名フレーズ】――こうしてお互いに生きているというのは、なんだか、なつかしいことでもあるな by 馬場

【私感】色彩感覚がとても豊かな作品で、小説家・太宰も登場するという前衛的な小説です。私は少なくとも 100回以上は読み返していますが、とにかく面白いとしか言いようがありません。

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偸盗(ちゅうとう)

【作者】芥川 龍之介(あくたがわ  りゅうのすけ)

【補足】文庫本では 80ページほどの短編です。偸盗とは「盗人、盗むこと」の意です。芥川自身によれば「僕の書いたもんじゃ一番悪い」とのことですが…

【名フレーズ】あなたのためなら、わたしたれを殺してもいい by 沙金

【私感】平安時代を舞台とした王朝物で、『羅生門(らしょうもん)』の続編ともいわれることがありますが、こちらの方が読み応えがあります。ヒロイン(?)の沙金(しゃきん)のバイタリティーが凄まじくて圧倒的です。

 

【作者】太宰 治(だざい おさむ)

【補足】分庫本で 20ページほどの短編です。太宰の処女短編集『晩年』の巻頭を飾る作品です。

【名フレーズ】われは山賊。うぬが袴をかすめとらむ。

【私感】フランスの詩人・ヴェルレエヌの詩の引用から始まり「どうにか、なる。」で終わります。構成しているのは、一行のフレーズ、数行~数十行の物語などで、それぞれには関連がないものが並べられた前衛的な小説です。

 

褒姒(ほうじ)の笑い

【作者】井上靖(いのうえ やすし)

【補足】文庫本では 12ページほどの短編です。中国・西周時代の幽王の妃(きさき)となった傾国の美女・褒姒にまつわる作品です。

【名フレーズ】十五、六歳になると、褒姒の美貌は輝き出し、国内で誰一人知らぬ者はない程になったが、どういうものか、褒姒は決して笑うことのない娘として生育していた。

【私感】褒姒はどのようにして笑うに至るのか、そしてその結末は… 物語の展開もスピーディーなので、一気に読み終えてしまいます。

 

盆おどり

【作者】小泉八雲(こいずみ やくも)=ラフカディオ・ハーン

【補足】文庫本では 10ページほどの短編です。作者が初めて見た盆おどりを、妖しくも美しく描写した作品です。

【名フレーズ】めぐる月のしたで、踊りの輪のまんなかにいるわたしは、魔法の輪のなかにいる人間のような気がした。

【私感】お盆の月の晩、お寺の境内での盆踊りの光景が幻想的に表現されています。日本をこよなく愛した作者の気持ちが伝わってきます。

 

雪渡り

【作者】宮沢 賢治(みやざわ けんじ)

【補足】分庫本では 10ページほどの短編です。賢治のデビュー作とされています。

【名フレーズ】そいじゃきつねが人をだますなんて偽(うそ)かしら by 四朗

【私感】2人の兄妹が狐の幻燈会に招待されるという童話で、読み返すたびに、忘れていた子供の心を思い出させてくれます。とても幻想的な美しさを持った小説です。

 

夢十夜

【作者】夏目漱石(なつめ そうせき)

【補足】文庫本では 30ページほどの短編です。第一夜から第十夜までの十章で構成されています。

【名フレーズ】百年、私の墓の傍に坐って待っていて下さい。きっと逢いに来ますから by 女

【私感】夢の展開に違和感を感じるものの、それは夢なのだから仕方ないと、いつしか納得してしまうような小説です。十の夢のいずれも、終わり方が絶妙です。

 

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