夢の短歌・和歌 25選  -夢路-

雲の隙間から射す日の光

夢については、和歌、短歌、俳句などの文学作品に多く詠み込まれてきました。

このうち、和歌(近代以前のもの)においては「想っている相手と夢で逢う」という意味合いを含んだものが特に多くみられます。

これに対し、短歌(近代以降のおの)では「夢とどう向き合っていくか」がテーマとされたものが多く感じられます。

このページには、夢特有の光景や心境などが詠み込まれた短歌・和歌を集めましたので、是非とも鑑賞してみて下さい。

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目次

夢の短歌 15選

青紅葉

それでは、近代(明治)以降の歌で「夢の短歌」としてふさわしいものからみていきましょう。

なお、それぞれに【意味】を付けましたが、これは私の意訳であることをお断りしておきます。一般的な通釈とは異なることもあるかもしれませんが、何卒ご了承ください。

 

うたたねの 夢に思ひのやみもせば かくまでうきをかさねまじきを

【意味】うたた寝の夢によって思い(悩むこと)が止むのならば、こうまで辛(つら)いことが重ならないだろうに…

【作者】正岡子規(まさおか しき)

 

うつつなき 病の夢に見えくるは みな忘れたる吾がをさなごと

【意味】病中のぼんやりとした夢で見えてくるのは、みな忘れてしまった私の幼い頃のこと…

【作者】中村憲吉(なかむら けんきち)

 

梅の花 匂へば思ふ生命より 後に残らんあはれなる夢

【意味】梅の花が匂うと思う(こと)。命よりも、後には残らない儚(はかな)い夢(だと)…

【作者】与謝野晶子(よさの あきこ)

 

置きざりに して来りたるものありと 思ひいづれば京の夢ひとつ

【意味】置き去りにして来てしまったものがあると思い出してみれば、(それは)京の夢一つ…

【作者】斎藤茂吉(さいとう もきち)

 

鎌倉は ちさくはかなき夢の跡よ また頼朝の脊を拊つな君

【意味】鎌倉は(今では)小さくて儚い夢の跡(あと)…、また頼朝の背を打つな、君よ…

【作者】与謝野鉄幹(よさの てっかん)

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銀笛の ごとも哀しく単調に 過ぎもゆきにし夢なりしかな

【意味】銀笛(ぎんてき)の(音色)ように哀しく単調に過ぎていった夢だったなあ…

【作者】北原白秋(きたはら はくしゅう)

 

生が歸か 死が歸か夢の世の中に 夢見てなやむ我身なりけり

【意味】生きてもどるのか、(それとも)死におもむくのか。夢の世界の中で、夢を見て悩む私なのであった

【作者】正岡子規

 

その昔 揺籃に寝てあまたたび 夢にみし人か切になつかし

【意味】その昔に、揺籃(ようらん=ゆりかご)に寝ていて何度も夢に見た人か、心から懐かしい

【作者】石川啄木(いしかわ たくぼく)

 

誰が夢を 出でてきぬらん桜花 匂へる園に遊ぶこてふは

【意味】誰の夢から出てきたのでしょう、桜の花が匂う園で遊ぶ小蝶(こちょう)は…

【作者】樋口一葉(ひぐち いちよう)

 

たまくらに 鬢のひとすぢきれし音を 小琴と聞きし春の夜の夢

【意味】手枕(てまくら)をしていて鬢(びん)の一筋(の髪の毛)が切れた音を、小琴(の音)のように聞いた(思えた)春の夜の夢…

【作者】与謝野晶子

小琴

 

血ぞもゆる かさむひと夜の夢のやど 春を行く人神おとしめな

【意味】血が燃えて増えてゆく一夜の夢の宿。春を行く人を、神よ(どうか)、貶(おとし)めないで…

【作者】与謝野晶子

 

遠き人を ふたりしのびしおばしまの その春の山また夢に入る

【意味】疎遠になった人を二人で偲(しの)んでいる欄干越しの春の山、また夢に入ってゆく

【作者】与謝野鉄幹

 

長き夜に いくたび見たる夢のぬし 七世の後の君とこそ思へ

【意味】長い夜に何度も見た夢の主(ぬし)、(それは)七世(ななよ)の後の(巡り合いとなる)あなただと思うのです

【作者】与謝野晶子

 

物おもひ 昼寝に入れる夢の人の 家をしづかによしきり鳴くも

【意味】物思いをし昼寝をして見る夢の中で、人の家を静かに葭切(よしきり=鳥の名前)が鳴くことよ

【作者】島木赤彦(しまき あかひこ) 

 

夜すがらを 山に鳴くなる蝉の音に 夢しらじらと夜谷ありけり

【意味】夜通し山で鳴いている蝉の音、夢とともに白々としてゆく夜の谷であった

【作者】中村憲吉

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夢の和歌 10選

赤い和傘と桜の花

次に、近代(明治)よりも前の歌で「12月の和歌」としてふさわしいものをみていきましょう。

なお、それぞれに【現代語訳】を付けましたが、これは私の意訳であることをお断りしておきます。一般的な通釈とは異なることもあるかもしれませんが、何卒ご了承ください。

また、三十六歌仙については、こちらをご覧になってください。

関連ページ:三十六歌仙とは?

 

寝ぬる夜の 夢をはかなみまどろめば いやはかなにもなりまさるかな

【現代語訳】寝てから夜に見た夢を儚(はかな)く思ってうつらうつらしていると、ますます儚いものになっていくことよ

【作者】在原業平(ありわらのなりひら)

【採録】古今和歌集、業平集、定家八代抄など

【補足】業平は六歌仙三十六歌仙の一人です。

【派生歌】

暁に 夢をはかなみまどろめば いやはかななる松風ぞ吹く
 (後鳥羽院)

 

いめの逢ひは 苦しかりけり覚おどろきて 掻き探れども手にも触れねば

【現代語訳】夢の(中での)逢瀬(おうせ)は苦しい(=つらい)ものだなあ。(夢から)覚めて気がついて、(手探りで)探しても手に触れることもないから

【作者】大伴家持(おおとものやかもち)

【採録】万葉集

【補足】家持は、三十六歌仙の一人です。「いめ」は「夢」のことです。

 

うつつには 逢ふよしも無しぬば玉の 夜の夢にを継ぎて見えこそ

【現代語訳】現実には逢う手段もない。(せめて)夜の夢では(あなたを)続けて見ていたい

【作者】大伴旅人(おおとものたびと)

【採録】万葉集

 

君をのみ 思ひ寝にねし夢なれば 我が心から見つるなりけり

【現代語訳】あなたのことだけを思いながら眠って見た夢だから、私の心によって見たものなのだなあ

【作者】凡河内躬恒(おうしこうちのみつね)

【採録】古今和歌集

【補足】躬恒は三十六歌仙の一人です。

【派生歌】

思ひ寝に 我が心からみる夢も 逢ふ夜は人のなさけなりけり
 (藤原忠良)

 

はかなくて 夢にも人を見つる夜は あしたの床ぞおきうかりける

【現代語訳】儚い思いをして、夢にも想っている人を見た夜は、(次の)朝に床から起きにくい

【作者】素性 (そせい)

【採録】古今和歌集

【補足】素性は三十六歌仙の一人です。

黄色い紅葉の葉

 

見し夢の 思ひ出でらるる宵ごとに 言はぬを知るは涙なりけり

【現代語訳】見た夢が思い出される宵(よい=晩)ごとに(思います)、(人には)言わない想いを知っているのは涙なのだと…

【作者】伊勢(いせ)

【採録】和歌集

【補足】伊勢は三十六歌仙の一人です。

 

見ぬも憂し 見てもわりなし夢ゆゑに 物を思はぬ暁もがな

【現代語訳】(夢は)見ないのもつらいし、見ても苦しい。夢によって思い悩むことがない暁(あかつき=夜明けの少し前)があればなあ…

【詞書】暁恋

【作者】俊恵(しゅんえ)

【採録】林葉集

 

やどりして 春の山べに寝たる夜は 夢のうちにも花ぞ散りける

【現代語訳】宿をとって春の山辺に寝た夜は、夢の中でも花が散っていたなあ…

【詞書】山寺にまうでたりけるによめる

【作者】紀貫之(きのつらゆき)

【採録】古今和歌集

【補足】貫之は三十六歌仙の一人です。

【派生歌】

やどりして 春の山べに見し夜半の 夢もまさしき朝嵐かな
 (本居大平)

 

夢にだに 見で明かしつる暁の 恋こそ恋のかぎりなりけれ

【現代語訳】(想う人を)夢にすら見ないで明かしてしまった暁の恋こそ、この上ない恋であったのです

【詞書】あかつきの恋

【作者】和泉式部(いずみしきぶ)

【採録】和泉式部続集

【補足】和泉式部は中古三十六歌仙の一人です。

 

我が思ひを 人に知るれや玉匣 開きあけつと夢にし見ゆる

【現代語訳】私の思いを人に知られてしまったのでしょうか。玉匣(たまくしげ=櫛:くしなどを入れる箱)を開いてあけてしまった夢を見た

【作者】笠女郎(かさのいらつめ)

【採録】万葉集

朱塗りの箱と桜の花

 


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⇒ 短歌で有名な 20首

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