遅日の俳句 30選 -ちじつ-

春の日射しを受ける庭

春の日は暮れるのが遅いことから「遅日(ちじつ)」という言葉で表現されることがあります。

この「遅日」は俳句において春の季語でもあり、多くの作品に詠み込まれてきました。

このページには、「遅日」が詠まれた俳句を多く集めました。のどかな春といった雰囲気に満ちた作品ばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。

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目次

遅日の俳句 30選

「遅日」が詠み込まれた俳句を集め、句の文字の五十音順に並べました。

どうぞ、ごゆっくりとご鑑賞下さい。

 

 

生簀籠 波間に浮ける 遅日かな

【作者】鈴木真砂女(すずき まさじょ)

【補足】生簀(いけす)とは、 漁獲した水産動物や料理用の魚などを水中に生かしておく装置のことです。

 

一熟の木をあたたむる 遅日かな

【作者】原 裕(はら ゆたか)

【補足】一熟(いちじゅく)は、イチジク(クワ科イチジク属の落葉高木)の別名です。

 

裏山に 登れば遅日 尚在りぬ

【作者】松本たかし(まつもと たかし)

【補足】「尚」の読み方は「なお」です。

 

温室のまはり 遅日の子等あそぶ

【作者】長谷川かな女(はせがわ かなじょ)

 

梁の この家にゐる 遅日かな

【作者】八木林之介(やぎ りんのすけ)

【補足】「梁」の読み方は「うつばり、はり」です。

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かもめ飛ぶ 観潮の帆の 遅日かな

【作者】飯田蛇笏(いいだ だこつ)

【補足】観潮(かんちょう)とは、潮の流れるさま、潮の満ち引き、海面の動きなどを観賞することです。

 

虚子百句 遅日に偲びまゐらする

【作者】阿部みどり女(あべ みどりじょ)

【補足】「偲び」の読み方は「しのび」です。

 

軽雷の あとの遅日を もてあます

【作者】水原秋桜子(みずはら しゅうおうし)

【補足】軽雷(けいらい)とは、小さな雷鳴、かすかな雷(かみなり)の響きを意味します。

 

濃き薔薇が 大輪となる 遅日かな

【作者】及川 貞(おいかわ てい)

【補足】「薔薇」の読み方は「ばら」です。

 

黒髪を 剪りそびれたる 遅日かな

【作者】仙田洋子(せんだ ようこ)

【補足】「剪り」の読み方は「り」です。

白い桜の花

 

黒板の 遅日の文字の 消し残し

【作者】中村汀女(なかむら ていじょ)

 

この庭の 遅日の石の いつまでも

【作者】高浜虚子(たかはま きょし)

 

試写室を 出てから先きの 遅日かな

【作者】永井龍男(ながい たつお)

 

沈丁の 花も過ぎたる 遅日かな

【作者】五十崎古郷(いかざき こきょう)

【補足】沈丁(じんちょう)とは、沈丁花(じんちょうげ;ジンチョウゲ科の常緑低木)を略したものです。

 

砂山を 降りて遅日の 果てにけり

【作者】文挟夫佐恵(ふばさみ ふさえ)

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立仕事 坐仕事や 浜遅日

【作者】松本たかし

 

旅人に 遅日の海の 暮れそむる

【作者】稲畑汀子(いなはた ていこ)

【補足】「暮れそむる」は「暮れ始める」の意です。

 

遠鴉 遅日の寺の 屋根浮きて

【作者】河野南畦(こうの なんけい)

 

並びゆく 遅日の歩幅 誰か酔ふ

【作者】原 裕

 

縄とびの 端もたさるる 遅日かな

【作者】橋 閒石(はし かんせき)

 

人形の 笑ふ仕草や 泣く遅日

【作者】長谷川かな女

【補足】「仕草」の読み方は「しぐさ:身ぶり、動作、所作」です。

 

練稚児の 冠かたむく 遅日かな

【作者】長谷川かな女

【補足】「練稚児」の読み方は「ねりちご」です。

稚児の冠

 

野の遅日 声を揃へて 杭を打つ

【作者】阿部みどり女

【補足】「揃へて」の読み方は「そろえて」です。

 

海苔巻の すこし乾ける 遅日かな

【作者】高澤良一(たかざわ よしかず)

 

一人居の 遅日の庭に 出でて見る

【作者】高木晴子(たかぎ はるこ)

【補足】一人居(ひとりい)とは、ただ一人でいること、一人だけで暮らすことをいいます。

 

ふりかかる病難 遅日の壁の冷え

【作者】柴田白葉女(しばた はくようじょ)

【補足】 病難(びょうなん)とは、病気にかかること、病気の災難を意味します。

 

風呂敷の 水色をとく 遅日かな

【作者】井上 雪(いのうえ ゆき)

 

松伐つて 積む家近き 遅日かな

【作者】長谷川かな女

【補足】「伐って」の読み方は「って」です。

 

彌撒のあと 遅日の火山 くゆり立つ

【作者】堀口星眠(ほりぐち せいみん)

【補足】彌撒(ミサ) は、ローマ‐カトリック教会の儀式です。

 

弥陀如来 尨然と遅日 照りたまふ

【作者】渡辺水巴(わたなべ すいは)

【補足】「弥陀如来(みだにょらい)」は、阿弥陀如来(あみだにょらい:大乗仏教における信仰対象である如来の一尊)の略です。

 

 


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