「冬の雨」の俳句 30選　－ふゆのあめ－

寒い冬の時期に降る雨は、見ていると寒さが一層増してくるように思えてきます。

そして、「冬の雨」は俳句において冬の季語でもあり、多くの作品に詠み込まれてきました。

このページには、「冬の雨」「冬雨」が詠まれた俳句を多く集めました。いかにも冬といった雰囲気に満ちた作品ばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。

冬の雨の俳句 30選

冬の季語である「冬の雨」と「冬雨」が詠み込まれた俳句を集め、句の文字の五十音順に並べました。

どうぞ、ごゆっくりとご鑑賞下さい。

あさましく　柚子落ちてあり　冬の雨

【作者】原 石鼎(はら せきてい)

【補足】「柚子」の読み方は「ゆず」です。

油絵の　たゞ青きのみ　冬の雨

【作者】山口青邨(やまぐち せいそん)

言ひつのる　顔に鼻あり　冬の雨

【作者】行方克巳(なめかた かつみ)

【補足】「言いつのる」とは、調子に乗っていよいよ激しく言うことを意味します。

いちぢくの　すがれたる実に　冬の雨

【作者】山口青邨

【補足】 「すがれる」とは、草木が盛りを過ぎて枯れはじめることをいいます。

いろいろの　時雨は過ぎて　冬の雨

【作者】正岡子規(まさおか しき)

【補足】「時雨」の読み方は「しぐれ」です。

音やみて　いまだも降れり　冬の雨

【作者】日野草城(ひの そうじょう)

面白し　雪にやならん　冬の雨

【作者】松尾芭蕪(まつお ばしょう)

垣よりに　若き小草や　冬の雨

【作者】炭 太祇(たん たいぎ)

傘ささぬ　子の現れし　冬の雨

【作者】波多野爽波(はたの そうは)

来し人に　手紙たのむや　冬の雨

【作者】五十嵐播水(いがらし ばんすい)

【補足】「来しひと」の読み方は「こしひと」です。

俥屋の　使いはしりや　冬の雨

【作者】星野立子(ほしの たつこ)

【補足】「俥屋」の読み方は「くるまや」です。

掃除しに　上る二階や　冬の雨

【作者】波多野爽波

葬列に　駅長帽も　冬の雨

【作者】亀井糸游(かめい しゆう)

たまさかに　据風呂焚くや　冬の雨

【作者】夏目漱石(なつめ そうせき)

【補足】「たまさかに」は、「たまたま」という意味です。

つきあたり　寺の土塀や　冬の雨

【作者】京極杞陽(きょうごく きよう)

妻が添ふ　厠通ひや　冬の雨

【作者】吉武月二郎(よしたけ つきじろう)

【補足】「厠」の読み方は「かわや(＝べんじょ)」です。

冬雨に　五位鷺の肩　ふてぶてし

【作者】飯島晴子(いいじま はるこ)

【補足】五位鷺(ごいさぎ)は、サギ科に属する鳥の名前です。

冬雨の　小鳥木の瘤　出て鳴けり

【作者】飯田龍太(いいだ りゅうた)

【補足】「瘤」の読み方は「こぶ」です。

冬雨や　襖に映る　佛の灯

【作者】中村汀女(なかむら ていじょ)

【補足】「襖」の読み方は「ふすま」です。「佛」は「仏」の旧字体です。

冬の雨　あはれ帽子の　羽は雉子

【作者】山口青邨

【補足】「雉子」の読み方は「きじ、きぎす」です。

冬の雨　うしろを見ても　冬の雨

【作者】橋 閒石(はし かんせき)

冬の雨　さぶしからめと　人の言ふ

【作者】細見綾子(ほそみ あやこ)

【補足】「さぶしからめ」は「寂しいだろう」という意味です。

冬の雨　軒に来てゐる　旅寝かな

【作者】鈴木真砂女(すずき まさじょ)

冬の雨　火箸をもして　遊びけり

【作者】小林一茶(こばやし いっさ)

【補足】「火箸」の読み方は「ひばし」です。

冬の雨　やむけしき見せ　美しき

【作者】星野立子

冬の雨　やんでゐしまた　降るならむ

【作者】波多野爽波

勉強は　一つ机や　冬の雨

【作者】永井龍男(ながい たつお)

店の灯に　さめざめと降る　冬の雨

【作者】山口青邨

【補足】「灯」の読み方は「ひ」です。

藪の中　暗くなりつゝ　冬の雨

【作者】高浜年尾(たかはま としお)

【補足】「藪」の読み方は「やぶ」です。

宵やみの　すぐれて暗し　冬の雨

【作者】炭 太祇

【補足】宵闇(よいやみ)とは、宵(＝日が暮れてからしばらくの間)の薄暗さのことをいいます。

　関　連　ペ　ー　ジ　

⇒　雨の種類、言葉、表現【一覧表】

　　⇒　雨の俳句を楽しむためのヒント

　　⇒　冬の俳句【有名俳人の名作から厳選】

　　⇒　冬の季語【一覧】

⇒　有名な俳句【永久保存版】

⇒　有名な俳人【リスト】

Tweet