花祭りの俳句 15選 -はなまつり-
花祭りは、その名のように桜の花が盛りを迎えようとする頃に行われる行事です。
美しい花々で飾られた花御堂(はなみどう)、お釈迦様の誕生仏像、甘茶などから、春という季節が存分に感じられます。
このページには、花祭りが詠み込まれた俳句の中から 15句を選びました。春の行事らしい雰囲気に満ちたものばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。
花祭りの俳句 15選
花御堂
「花祭」「花まつり」が季語として詠まれた句を集め、俳句の文字の五十音順に並べました。
なお、これらは俳句において春の季語として扱われます。
【参考】 花祭りと甘茶の関係は?
おしろひの 剥げたる稚児も 花まつり
【作者】百合山羽公(ゆりやま うこう)
【補足】花祭りには、着飾った子供が参加する稚児行列(ちごぎょうれつ)を行う寺院もあります。
「おしろい」の語源は「お白い」で、「白粉」という漢字があてられます。
「剥げたる」の読み方は「はげたる」です。
片や蓋 片や蓋除り 花祭
【作者】永田耕衣(ながた こうい)
【補足】「蓋」「除り」の読み方は、それぞれ「ふた」「とり(=取り)」です。
十字路の 花祭こそ 王府の地
【作者】飯田蛇笏(いいだ だこつ)
僧もする 稚児の化粧や 花まつり
【作者】石田雨圃子(いしだ うぼし)
鳶は舞ひ 鴉は流れ 花まつり
【作者】大峯 顕(おおみね あきら)
【補足】「鳶」「鴉」の読み方は、それぞれ「とび」「からす」です。
花祭 いつか日傘を 忘れし寺
【作者】阿部みどり女(あべ みどりじょ)
【補足】日傘(ひがさ)は、日差しをさえぎるための傘です。
花祭の 白象生死 無限にして
【作者】長谷川かな女(はせがわ かなじょ)
【補足】中国・北魏(ほくぎ)時代に、都・洛陽(らくよう)の長秋寺には釈迦が白象に乗って空を飛んでいる像が飾られていたといわれています。
花祭 始まるとかや 町の寺
【作者】山口青邨(やまぐち せいそん)
【補足】「~とかや」は「~とかいう」という意味です。
花まつり はてし落花に さまよひぬ
【作者】百合山羽公
花まつり 母の背ぬくし 風甘し
【作者】楠本憲吉(くすもと けんきち)
【補足】「ぬくし(温し)」は「暖かい」という意味です。
張りぼての 象のかるさも 花まつり
【作者】平畑静塔(ひらはた せいとう)
【補足】張りぼて(=張り子)とは、型に紙を張り重ねて、乾いた後に型を取り除いて作ったものをいいます。
抽斗の 奥に生薬 花まつり
【作者】桂 信子(かつら のぶこ)
【補足】「抽斗」の読み方は「ひきだし」です。生薬(きぐすり)とは、まだ刻んだり調合していない漢方の薬草のことです。
松蝉の 声の嗄れたる 花祭
【作者】吉武月二郎(よしたけ つきじろう)
【補足】松蝉(まつぜみ)はハルゼミのことで、俳句では夏の季語となります。「嗄れたる」の読み方は「かれたる」です。
みづうみに 入る瀬を越えて 花まつり
【作者】飯田龍太(いいだ りゅうた)
わらべらに 天かがやきて 花祭
【作者】飯田蛇笏
【補足】「わらべら」は、子供たちという意味です。
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