「春の夢」の俳句 30選 -はるのゆめ-
「春の夢」という言葉は、はかないもののたとえとして使われることがあります。
そしてまた、「春の夢」は俳句において春の季語でもあり、多くの作品に詠み込まれてきました。
このページには、「春の夢」が詠まれた俳句を多く集めました。のどかな春の雰囲気に満ちた作品ばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。
目次
- 1 「春の夢」の俳句 30選
- 1.1 あるときは ふるさと燃ゆる 春の夢
- 1.2 運河行く 豪華客船 春の夢
- 1.3 石積むに 疲れて覚めて 春の夢
- 1.4 うち笑みて ほとけ現れませ 春の夢
- 1.5 江ノ島も 褪せゐし春の夢 いづこ
- 1.6 御昼まで 忘れずにゐる 春の夢
- 1.7 おほとりの 翅透きをりし 春の夢
- 1.8 貝殻の 櫂こいでゆく 春の夢
- 1.9 獺に 呼びかけられぬ 春の夢
- 1.10 きれぎれに 長々と見し 春の夢
- 1.11 こときれて ゐればよかりし 春の夢
- 1.12 背負ひたる 師の重かりし 春の夢
- 1.13 たわいなき 春夢なれども 汗すこし
- 1.14 鉄鉢を 掌に乗せし 春の夢
- 1.15 とりみだし 母と泣きたる 春の夢
- 1.16 泥沼の 春の夢より 浮上せり
- 1.17 泣きながら 駈けてゐたりし 春の夢
- 1.18 母と姉 語るを春の夢の中
- 1.19 春の夢 あまたの橋を わたるかな
- 1.20 春の夢 うらはづかしく 覚めにけり
- 1.21 春の夢 気の違はぬが うらめしい
- 1.22 春の夢 草むらにまだ 狙撃兵
- 1.23 春の夢 さめざめと師の 泣き給ふ
- 1.24 春の夢 覚めてあしたも この夢を
- 1.25 春の夢 つかのまなりし おもかげよ
- 1.26 春の夢 つづき煌たり 疲れたり
- 1.27 春の夢 みてゐて瞼 ぬれにけり
- 1.28 ひとりねて 尼僧のむすぶ 春の夢
- 1.29 びろうどの 枕に寝たり 春の夢
- 1.30 羅紗売りが 猫となりゆく 春の夢
「春の夢」の俳句 30選
「春の夢」が詠み込まれた俳句を集め、句の文字の五十音順に並べました。
どうぞ、ごゆっくりとご鑑賞下さい。
あるときは ふるさと燃ゆる 春の夢
【作者】藤田湘子(ふじた しょうし)
運河行く 豪華客船 春の夢
【作者】小澤克己(おざわ かつみ)
石積むに 疲れて覚めて 春の夢
【作者】岡本 眸(おかもと ひとみ)
【補足】「覚めて」の読み方は「さめて」です。
うち笑みて ほとけ現れませ 春の夢
【作者】伊丹三樹彦(いたみ みきひこ)
【補足】「うち笑む(うちえむ)」とは、「笑顔になる、にっこりする」という意味です。
江ノ島も 褪せゐし春の夢 いづこ
【作者】石塚友二(いしづか ともじ)
【補足】「褪せゐし」の読み方は「あせいし」です。
御昼まで 忘れずにゐる 春の夢
【作者】桑原三郎(くわばら さぶろう)
おほとりの 翅透きをりし 春の夢
【作者】岡本 眸
【補足】「翅」の読み方は「はね、つばさ」です。
貝殻の 櫂こいでゆく 春の夢
【作者】鷹羽狩行(たかは しゅぎょう)
【補足】櫂(かい)は、水を掻(か)いて舟を進めるための道具です。
獺に 呼びかけられぬ 春の夢
【作者】三橋鷹女(みつはし たかじょ)
【補足】「獺」の読み方は「かわうそ、おそ:イタチ科の哺乳類」です。
きれぎれに 長々と見し 春の夢
【作者】村越化石(むらこし かせき)
こときれて ゐればよかりし 春の夢
【作者】上田五千石(うえだ ごせんごく)
【補足】「こときれる(事切れる)」とは、事が終わること、息が絶えることをいいます。
背負ひたる 師の重かりし 春の夢
【作者】岡本 眸
たわいなき 春夢なれども 汗すこし
【作者】能村登四郎(のむら としろう)
【補足】「たわいない」は、「手ごたえがない、張り合いがない、正気(しょうき)がない」という意味です。「春夢」は「しゅんむ」と読みます。
鉄鉢を 掌に乗せし 春の夢
【作者】長谷川かな女(はせがわ かなじょ)
【補足】「鉄鉢」「掌」の読み方は、それぞれ「てつばち:鉄製の鉢」「てのひら、たなごころ」です。
とりみだし 母と泣きたる 春の夢
【作者】富安風生(とみやす ふうせい)
泥沼の 春の夢より 浮上せり
【作者】上田五千石
泣きながら 駈けてゐたりし 春の夢
【作者】岡本 眸
【補足】「駆けて」の読み方は「かけて」です。
母と姉 語るを春の夢の中
【作者】村越化石
春の夢 あまたの橋を わたるかな
【作者】桂 信子(かつら のぶこ)
【補足】あまた(数多)とは、「多く、たくさん」という意味です。
春の夢 うらはづかしく 覚めにけり
【作者】富安風生
【補足】「うらはづかしい(心恥ずかしい)」とは、「なんとなく恥ずかしい、気恥ずかしい」という意味です。
春の夢 気の違はぬが うらめしい
【作者】小西来山(こにし らいざん)
春の夢 草むらにまだ 狙撃兵
【作者】皆吉 司(みなよし つかさ)
春の夢 さめざめと師の 泣き給ふ
【作者】飯田蛇笏(いいだ だこつ)
【補足】「さめざめ」とは、 しきりに涙を流して静かに泣くさまを表現する言葉です。
春の夢 覚めてあしたも この夢を
【作者】鈴木真砂女(すずき まさじょ)
春の夢 つかのまなりし おもかげよ
【作者】吉屋信子(よしや のぶこ)
【補足】つかのま(束の間)とは、「ごく短い時間、ちょっとの間」を意味します。
春の夢 つづき煌たり 疲れたり
【作者】中村草田男(なかむら くさたお)
【補足】「煌たり」の読み方は「きらめいたり、かがやいたり」です。
春の夢 みてゐて瞼 ぬれにけり
【作者】三橋鷹女
【補足】「瞼」の読み方は「まぶた」です。
ひとりねて 尼僧のむすぶ 春の夢
【作者】飯田蛇笏
びろうどの 枕に寝たり 春の夢
【作者】三橋鷹女
【補足】「びろうど(天鵞絨)」は、綿・絹・毛などで織り、表面を毛羽 (けば) や輪奈 (わな)でおおった、滑らかで光沢のある織物です。
羅紗売りが 猫となりゆく 春の夢
【作者】栗林千津(くりばやし ちづ)
【補足】羅紗(らしゃ)とは、紡毛を密に織って起毛させた、厚地の毛織物のことです。
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