蟷螂の俳句 30選 -かまきり、とうろう-
蟷螂(かまきり)は肉食性の昆虫で、オスがメスに共食いされてしまうこともあることは知られています。
そして、「蟷螂」は俳句において秋の季語でもあり、多くの作品に詠み込まれてきました。
このページには、「蟷螂」が詠まれた俳句を多く集めました。蟷螂がいる秋の雰囲気に満ちた作品ばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。
目次
- 1 蟷螂の俳句 30選
- 1.1 秋風や 蟷螂肥て 蝶細し
- 1.2 危ふさよ 蟷螂蜂を ねらひよる
- 1.3 息詰めて 見る蟷螂の 食ふものを
- 1.4 一点も 無き蟷螂の まなこかな
- 1.5 螽飛ぶ 草に蟷螂 じつとして
- 1.6 蟷螂が 片手かけたり つり鐘に
- 1.7 蟷螂が ゐてしみじみと わが家なり
- 1.8 蟷螂に 隠元採る手 控へけり
- 1.9 蟷螂に 午後の紅茶の 香る窓
- 1.10 蟷螂に 身をかはしたる 螽かな
- 1.11 蟷螂の 夫は妻に 喰はれける
- 1.12 蟷螂の すぐに鎌振る 卑怯かな
- 1.13 蟷螂の 反りかへり見る 冬近き
- 1.14 蟷螂の 何を以てか 立腹す
- 1.15 かまきりの はひ渡る也 鍋のつる
- 1.16 蟷螂の 廂をのぼる 野分哉
- 1.17 かまきりの ゆるぎいでしが ものをはむ
- 1.18 蟷螂の をりをり人に 似たりけり
- 1.19 かまきりも 少きとしの 秋祭
- 1.20 蟷螂や 露ひきこぼす 萩の杖
- 1.21 草むらや 蟷螂蝶を 捕へたり
- 1.22 玄関に また蟷螂の 入りて来し
- 1.23 コスモスを 越えて蟷螂 青天ヘ
- 1.24 三角の 顔して蟷螂 世に出でし
- 1.25 白露を こぼしてわたる 蟷螂かな
- 1.26 死に遅れたる蟷螂を 蔑めり
- 1.27 とび終りたる蟷螂が 鶏の前
- 1.28 人われを 蟷螂と呼ぶ 許すまじ
- 1.29 吹かれきし 蟷螂すがる 細柱
- 1.30 招かざる 蟷螂舞へり 文化祭
蟷螂の俳句 30選
秋の季語である「蟷螂」が詠み込まれた俳句を集め、句の文字の五十音順に並べました。
どうぞ、ごゆっくりとご鑑賞下さい。
秋風や 蟷螂肥て 蝶細し
【作者】正岡子規(まさおか しき)
危ふさよ 蟷螂蜂を ねらひよる
【作者】寺田寅彦(てらだ とらひこ)
息詰めて 見る蟷螂の 食ふものを
【作者】右城暮石(うしろ ぼせき)
一点も 無き蟷螂の まなこかな
【作者】京極杞陽(きょうごく きよう)
【補足】「まなこ(眼)」は「目、目玉」のことをいいます。
螽飛ぶ 草に蟷螂 じつとして
【作者】河東碧梧桐(かわひがし へきごとう)
【補足】「螽」の読み方は「いなご」です。
蟷螂が 片手かけたり つり鐘に
【作者】小林一茶(こばやし いっさ)
蟷螂が ゐてしみじみと わが家なり
【作者】加倉井秋を(かくらい あきを)
蟷螂に 隠元採る手 控へけり
【作者】西山泊雲(にしやま はくうん)
【補足】隠元(いんげん)は、「隠元豆(いんげんまめ)」(いんげんまめを)略したものです。
蟷螂に 午後の紅茶の 香る窓
【作者】宮武寒々(みやたけ かんかん)
蟷螂に 身をかはしたる 螽かな
【作者】会津八一(あいづ やいち)
蟷螂の 夫は妻に 喰はれける
【作者】森 鴎外(もり おうがい)
蟷螂の すぐに鎌振る 卑怯かな
【作者】正岡子規
【補足】「卑怯」の読み方は「ひきょう」です。
蟷螂の 反りかへり見る 冬近き
【作者】山口青邨(やまぐち せいそん)
蟷螂の 何を以てか 立腹す
【作者】夏目漱石(なつめ そうせき)
【補足】「以てか」の読み方は「もってか」です。
かまきりの はひ渡る也 鍋のつる
【作者】正岡子規
蟷螂の 廂をのぼる 野分哉
【作者】金尾梅の門(かなお うめのかど)
【補足】「廂」の読み方は「ひさし」です。
かまきりの ゆるぎいでしが ものをはむ
【作者】吉岡禅寺洞(よしおか ぜんじどう)
【補足】「はむ(食む)」とは「食べる」という意味です。
蟷螂の をりをり人に 似たりけり
【作者】相生垣瓜人(あいおいがき かじん)
【補足】「をりをり(折々)」とは、「その時その時」という意味です。
かまきりも 少きとしの 秋祭
【作者】百合山羽公(ゆりやま うこう)
蟷螂や 露ひきこぼす 萩の杖
【作者】立花北枝(たちあな ほくし)
草むらや 蟷螂蝶を 捕へたり
【作者】高浜虚子(たかはま きょし)
玄関に また蟷螂の 入りて来し
【作者】右城暮石
コスモスを 越えて蟷螂 青天ヘ
【作者】阿部みどり女(あべ みどりじょ)
三角の 顔して蟷螂 世に出でし
【作者】阿部みどり女
白露を こぼしてわたる 蟷螂かな
【作者】五十嵐播水(いがらし ばんすい)
死に遅れたる蟷螂を 蔑めり
【作者】上田五千石(うえだ ごせんごく)
【補足】「蔑めり」の読み方は「さげすめり」です。
とび終りたる蟷螂が 鶏の前
【作者】加藤楸邨(かとう しゅうそん)
【補足】下五の「鶏」は「とり」と読みたいところです。
人われを 蟷螂と呼ぶ 許すまじ
【作者】古館曹人(ふるたち そうじん)
【補足】「許すまじ」は「絶対に許さない」という意味です。
吹かれきし 蟷螂すがる 細柱
【作者】今井つる女(いまい つるじょ)
招かざる 蟷螂舞へり 文化祭
【作者】百合山羽公
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