氷の俳句 30選　－こおり－

日本では明治時代になってから、冬以外にも氷で冷やした飲み物が飲めるようになりました。これは、天然氷の採氷事業に成功したからです。

この「氷」は俳句において冬の季語でもあり、多くの作品に詠み込まれてきました。

このページには、「氷」が詠まれた俳句を多く集めてみました。寒さが厳しい冬の雰囲気に満ちた作品ばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。

氷の俳句 30選

「氷」が詠み込まれた俳句を集め、句の文字の五十音順に並べました。

どうぞ、ごゆっくりとご鑑賞下さい。

厚氷　金魚をとぢて　生かしめて

【作者】橋本多佳子(はしもと たかこ)

厚氷　びしりと軋み　たちあがる

【作者】加藤楸邨(かとう しゅうそん)

【補足】「軋み」の読み方は「きしみ」です。

天の川　うすれうすれて　氷りけり

【作者】石原八束(いしはら やつか)

鶯に　ほろりと笹の　氷かな

【作者】立花北枝(たちばな ほくし)

美しき　木の葉を閉ぢし　氷かな

【作者】阿部みどり女(あべ みどりじょ」)

学校が　厭で氷塊　蹴り帰る

【作者】辻田克巳(つじた かつみ)

【補足】「厭で」の読み方は「いやで」です。

鴨おりて　水まであゆむ　氷かな

【作者】服部嵐雪(はっとり らんせつ)

枯芦を　手懸かりにして　氷かな

【作者】立花北枝

監獄の　塀の外なる　氷かな

【作者】京極杞陽(きょうごく きよう)

北向や　こんこん叩く　厚氷

【作者】尾崎紅葉(おざき こうよう)

くらがりの　柄杓にさはる　氷かな

【作者】炭 太祇(たん たいぎ)

【補足】「柄杓」の読み方は「ひしゃく」です。

昏れてゆく　人の顔あり　厚氷

【作者】栗林千津(くりばやし ちづ)

【補足】「昏れてゆく」の読み方は「くれてゆく(＝暮れてゆく)」です。

不忍に　朝日かがやく　氷かな

【作者】正岡子規(まさおか しき)

【補足】不忍(しのばず)は、東京・上野(うえの)の地名です。

十二月　三十日の　氷かな

【作者】今井杏太郎(いまい きょうたろう)

大木の　根をはなれたる　氷かな

【作者】吉武月二郎(よしたけ つきじろう)

つくばいに　散る山茶花の　氷りけり

【作者】夏目漱石

【補足】「つくばい(蹲)」とは、庭の縁側近くに備えてある手水鉢(ちょうずばち＝手や顔を洗う水を入れておく鉢)のことです。

つくばひの　氷の上や　初明り

【作者】阿部みどり女

流れたる　花屋の水の　氷りけり

【作者】河東碧梧桐(かわひがし へきごとう)

名の消ぬ　その魂や　厚氷

【作者】上島鬼貫(うえじま おにつら)

一露も　こぼさぬ菊の　氷かな

【作者】松尾芭蕉(まつお ばしょう)

氷上に　霰こぼして　月夜かな

【作者】臼田亞浪(うすだ あろう)

【補足】「霰」の読み方は「あられ」です。

氷上に　捨てし氷に　夕茜

【作者】中村汀女(なかむら ていじょ)

【補足】夕茜(ゆうあかね)は、夕映え(ゆうばえ)と同義です。

氷上に　吹きとばされぬ　烏瓜

【作者】金尾梅の門(かなお うめのかど)

【補足】烏瓜(からすうり)は、ウリ科の多年草です。

氷上の　礫を吹きて　風鳴れる

【作者】高澤良一(たかざわ よしかず)

【補足】「礫」の読み方は「つぶて(＝小さい石)」です。

古池に　鼠の走る　氷かな

【作者】藤野古白(ふじの こはく)

【補足】「鼠」の読み方は「ねずみ」です。

ふるさとを　遠ざかりたる　氷かな

【作者】横光利一(よこみつ りいち)

水鳥の　浮木に並ぶ　氷かな

【作者】正岡子規

道の上に　きのふの雨の　氷りけり

【作者】今井杏太郎

紫に　蜆のとるゝ　氷かな

【作者】野村喜舟(のむら きしゅう)

【補足】「蜆」の読み方は「しじみ」です。

柳から　残らず動く　氷かな

【作者】加賀千代女(かがのちよじょ)

　関　連　ペ　ー　ジ　

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