コスモスの俳句 35選 -秋桜(こすもす)-
コスモスの花は色も豊富で、秋になると私たちの目を楽しませてくれます。
その可憐な姿は、秋の風景に欠かせないものともいえるでしょう。どことなく「はかなさ」を感じる花でもあり、とても身近で親しみが持てます。
このページには、コスモスについて詠まれた句を集めました。コスモスの花が咲いている秋の光景が目に浮かぶようなものばかりですので、是非ともこれらを鑑賞してみて下さい。
目次
- 1 コスモスの俳句について
- 2 コスモスの俳句 30選
- 2.1 コスモスに 藍濃き衣を 好み著る
- 2.2 コスモスに 雨ありけらし 朝日影
- 2.3 コスモスに 風ある日かな 咲き殖ゆる
- 2.4 コスモスに 烟るが如し 月あかり
- 2.5 コスモスに みんな薄翅を 立てし虫
- 2.6 コスモスの 相搏つ影や 壁の午後
- 2.7 コスモスの 紅のみ咲いて 嬉しけれ
- 2.8 コスモスの 色の分れ目 通れさう
- 2.9 コスモスの 花あそびをる 虚空かな
- 2.10 コスモスの 花咲きしなひ 立もどり
- 2.11 コスモスの 花に蚊帳乾す 田家かな
- 2.12 コスモスの 花のしげきに 月日あり
- 2.13 コスモスの 花ゆれて来て 唇に
- 2.14 コスモスの 晴れといはばや 嵐あと
- 2.15 コスモスの 広きみだれに 夜のとばり
- 2.16 コスモスの 乱れふし居り 月の下
- 2.17 コスモスの 向ふむきより しぐれきぬ
- 2.18 コスモスの 夕やさしく 物語
- 2.19 コスモスの よく動きゐる 花の数
- 2.20 コスモスの 夜の花びらの 冷えわたり
- 2.21 コスモスの 夜は一色に 花そむき
- 2.22 コスモスや 風に撓みて もれもなし
- 2.23 コスモスや 蝶も吹かれて 風つよし
- 2.24 コスモスや 妻がやさしく 子がやさしく
- 2.25 コスモスや 二戸相倚れる 柿葺
- 2.26 コスモスや 墓銘に彫りし 愛の文字
- 2.27 コスモスや 明治大正 狭霧こめ
- 2.28 コスモスを 離れし蝶に 谿深し
- 2.29 日曜の 空とコスモスと 晴れにけり
- 2.30 ぽつぽつと お手玉はやり 秋桜
コスモスの俳句について
このページには秋の季語である「コスモス」が詠み込まれた句を集めて(1句のみ「秋桜」)、俳句の文字の五十音順に並べました。
なお、コスモスは「アキザクラ」とも呼ばれますが、この花が日本に伝わったのは明治時代の半ばといわれていて、「秋桜」を「コスモス」と読むようになったのは、それほど古いことではありません。
コスモスの俳句 30選
コスモスに 藍濃き衣を 好み著る
【作者】三橋鷹女(みつはし たかじょ)
【補足】
「著る」の読みは「きる(=着る)」です。
次の句も、鷹女がコスモスを詠んだものです。
コスモスの 散りしきるとき 醜(しこ)のわれ
コスモスに 雨ありけらし 朝日影
【作者】水原秋桜子(みずはら しゅうおうし)
【意味】コスモスに雨があった(=降った)らしい。朝の太陽の光(が当たっている)…
コスモスに 風ある日かな 咲き殖ゆる
【作者】杉田久女(すぎた ひさじょ)
【意味】コスモスに(吹く)風がある日… (花が)咲いて増えていく(ことでしょう)
【補足】
「殖ゆる」の読みは「ふゆる」です。
次の句も久女が詠んだものです。
コスモスくらし 雲の中ゆく 月の暈(かさ)
コスモスに 烟るが如し 月あかり
【作者】久保田万太郎(くぼた まんたろう)
【補足】
「烟る」「如し」の読みは、それぞれ「けむる」「ごとし」です。
コスモスに みんな薄翅を 立てし虫
【作者】長谷川かな女(はせがわ かなじょ)
【補足】
「薄翅」の読みは「うすは」です。
コスモスの 相搏つ影や 壁の午後
【作者】西山泊雲(にしやま はくうん)
【補足】
「相搏つ」の読みは「あいうつ」です。
コスモスの 紅のみ咲いて 嬉しけれ
【作者】原 石鼎(はら せきてい)
【補足】あか べに
この句の「紅」の読みは「あか」です。
石鼎は次の句でもコスモスを詠んでいます。
コスモス見るや 鼻に日当る 顔向けて
コスモスの 色の分れ目 通れさう
【作者】稲畑汀子(いなはた ていこ)
コスモスの 花あそびをる 虚空かな
【作者】高浜虚子(たかはま きょし)
【補足】虚空(こくう)は、大空のことを意味します。
コスモスの 花咲きしなひ 立もどり
【作者】高浜虚子
コスモスの 花に蚊帳乾す 田家かな
【作者】村上鬼城(むらかみ きじょう)
【補足】
「蚊帳」の読みは「かや」です。
コスモスの 花のしげきに 月日あり
【作者】原 石鼎
【補足】
石鼎の俳句をもう一つ紹介します。
コスモスの 淋しさ誘ふ 糸葉なる
コスモスの 花ゆれて来て 唇に
【作者】星野立子(ほしの たつこ)
コスモスの 晴れといはばや 嵐あと
【作者】水原秋桜子
コスモスの 広きみだれに 夜のとばり
【作者】中村汀女(なかむら ていじょ)
【補足】
「とばり(帳)」とは、部屋の仕切りなどのために垂らす布のことをいい、「夜の帳」は「夜の闇」という意味になります。
コスモスの 乱れふし居り 月の下
【作者】原 石鼎
コスモスの 向ふむきより しぐれきぬ
【作者】加藤楸邨(かとう しゅうそん)
【補足】
しぐれ(時雨)とは、主に秋から冬にかけての降ったり止んだりする雨のことをいいます。
コスモスの 夕やさしく 物語
【作者】松本たかし
【補足】
「夕」の読みは「ゆうべ」で、夕方の意です。
たかしの句をもう一つ挙げましょう。
コスモスや 倒れぬはなき 花盛り
コスモスの よく動きゐる 花の数
【作者】高浜虚子
コスモスの 夜の花びらの 冷えわたり
【作者】中村汀女
コスモスの 夜は一色に 花そむき
【作者】中村汀女
コスモスや 風に撓みて もれもなし
【作者】皆吉爽雨(みなよし そうう)
【補足】
「撓みて」の読みは「たわみて」です。
コスモスや 蝶も吹かれて 風つよし
【作者】西山泊雲
コスモスや 妻がやさしく 子がやさしく
【作者】日野草城(ひの そうじょう)
コスモスや 二戸相倚れる 柿葺
【作者】阿波野青畝(あわの せいほ)
【補足】
「相倚れる」の読みは「あいよれる」で、互いに近づくという意味です。
また、「柿葺」は「こけらぶき」と読み、薄い木材の板をふぃた屋根のことをいいます。
コスモスや 墓銘に彫りし 愛の文字
【作者】富安風生(とみやす ふうせい)
【補足】
墓銘(ぼめい=墓碑銘:ぼひめい)とは、墓石に刻んだ文字、語句、文章などをいいます。
コスモスや 明治大正 狭霧こめ
【作者】三橋鷹女
【補足】狭霧(さぎり)は、霧に「さ」を付けて語調を整えたものです。
コスモスを 離れし蝶に 谿深し
【作者】水原秋桜子
【補足】
「谿」の読みは「たに(=谷)」です。
日曜の 空とコスモスと 晴れにけり
【作者】久保田万太郎
ぽつぽつと お手玉はやり 秋桜
【作者】阿部みどり女
【補足】
この句の「秋桜」の読みは「あきざくら」です。
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