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猫柳の俳句 30選 -ねこやなぎ-

猫柳の花穂

その名の通り、猫の尾を連想させる猫柳の果穂は魅力に満ちあふれています。

子供の頃に、活け花に猫柳が使われていると、必ずさわって感触を楽しんでいた記憶があります。

このページには、猫柳が詠まれた俳句の中から 30句を選びました。猫柳特有の果穂が目に浮かぶような作品ばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。

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猫柳の俳句 30選

猫柳が詠み込まれた俳句を集め、句の文字の五十音順に並べました。

「猫柳」は、俳句において春の季語とされます。

 

朝の日は 水辺にはげし 猫柳

【作者】山口青邨(やまぐち せいそん)

 

あたたかや 皮ぬぎ捨てし 猫柳

【作者】杉田久女(すぎた ひさじょ)

 

家こぼつ 埃上がるや 猫柳

【作者】前田普羅(まえだ ふら)

【補足】「こぼつ(毀つ)」は「こわす(壊す)」という意味です。「埃」の読み方は「ほこり」です。

 

一本の 杭ぜの飛沫 猫柳

【作者】西山泊雲(にしやま はくうん)

【補足】杭ぜ(くいぜ)は「杭(くい)」のことです。

 

描かんと 思ふ心に 猫柳

【作者】高野素十(たかの すじゅう)

猫柳と青空

 

帰らざる 猫に雨ふる ねこやなぎ

【作者】加藤秋邨(かとう しゅうそん)

 

川べりに 植木棚あり 猫柳

【作者】鈴木花蓑(すずき はなみの)

 

ぎんねずに 朱ヶのさばしる 猫柳

【作者】飯田蛇笏(いいだ だこつ)

【補足】「ぎんねず」は「銀鼠色(ぎんねずみいろ=白みの勝ったねずみ色)」を略したものです。「朱ヶ」の読み方は「あけ(=朱の色、赤い色)」です。

 

銀の爪 くれなゐの爪 猫柳

【作者】竹下しづの女(たけした しずのじょ)

 

暮れなづみ 花のみそれと 猫柳

【作者】高浜虚子(たかはま きょし)

【補足】「暮なずむ」とは、日が暮れそうでいて、なかなか日が暮れない状態を表現する言葉です。

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早春の 流水早し 猫柳

【作者】西山泊雲

 

遠きこと ばかりをおもひ 猫柳

【作者】飯田龍太(いいだ りゅうた)

 

ときをりの 水のささやき 猫柳

【作者】中村汀女(なかむら ていじょ)

 

としよりに 猫柳朱を 沁じませる

【作者】松村蒼石(まつむら そうせき)

【補足】「沁じませる」の読み方は「じませる」です。

 

猫柳 女の一生 火のごとし

【作者】三橋鷹女(みつはし たかじょ)

猫柳の枝と花穂

 

ねこやなぎ 草籠にして 畔火ふむ

【作者】飯田蛇笏

【補足】畔火(あぜび)とは、田畑の畔を焼く火のことです。

 

猫柳 子供が挿して 咲きにけり

【作者】富安風生(とみやす ふうせい)

【補足】「挿して」の読み方は「して」です。

 

猫柳 四五歩離れて 暮れてをり

【作者】高野素十

 

猫柳 叱咤は胸に かへるばかり

【作者】加藤楸邨

【補足】「叱咤」の読み方は「しった」です。意味は「大声をあげてしかること」「大声をあげて励ますこと」です。

 

猫柳 高嶺は雪を あらたにす

【作者】山口誓子(やまぐち せいし)

【補足】高嶺(たかね)とは、高い嶺(みね)のことです。

猫柳の花穂の上の雪

 

ねこやなぎ 名残りの雨に 日の通る

【作者】飯田蛇笏

 

猫柳 日輪にふれ 膨らめる

【作者】山口青邨

【補足】日輪(にちりん)とは、太陽のことです。「膨らめる」の読み方は「ふくらめる」です。

 

猫柳 日の昃りても 光りけり

【作者】鈴木花蓑

【補足】「昃りても」の読み方は「かげりても」です。

 

猫柳 ほうけては落つ 絨緞に

【作者】山口青邨

【補足】「絨緞」の読み方は「じゅうたん」です。

 

猫柳 ほゝけし上に かゝれる日

【作者】高浜虚子

穏やかな日射しの中の猫柳

 

猫柳 水きらめくは その先に

【作者】高浜年尾(たかはま としお)

 

猫柳 みどりの蕊を 吐いて咲く

【作者】山口青邨

【補足】「蕊」の読み方は「ずい、しべ」で、雄しべ・雌しべの総称です。

 

陽に睡り 月に目覚めて 猫柳

【作者】飯田龍太

【補足】「睡り」の読み方は「ねむりです。

 

ひもすがら 日は枯草に 猫柳

【作者】松村蒼石

【補足】「ひもすがら(終日)」は、一日中という意味です。

 

万葉の 古江の春や 猫柳

【作者】水原秋桜子(みずはら しゅうおうし)

【補足】古江(ふるえ)とは、古びた入江(いりえ)のことをいいます。

水辺の猫柳

 


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