『間違った日本語!』と言われないためのチェック 20
日本語の慣用句やことわざの中には、初めて目にしたときに意味がわからないものがあります。それを辞書などで一つ一つ調べればよいのですが、面倒なときは「おそらく、こういった意味だろう」といった想像で済ませてしまうことがあります。
その想像が正しければ良いのですが、間違っていた場合は正反対の意味で覚えてしまうことにもなります。その結果、後で正しい意味がわかったときに恥ずかしい思いをすることもあります。また、いつまでも誤りに気がつかないで使っている言葉もあるかもしれません。
このページには、「間違った日本語」として取り上げられることも多い慣用句やことわざを集めました。是非、これらをチェックしてみてください。
目次
『間違った日本語!』と言われないために
間違った意味で使われやすい日本語の慣用句、ことわざ等を取り上げています。
先頭の文字の五十音順に並べて、「○」は正しい意味を、「×」は誤った意味を示しています。
うがった
○ 物事の本質をとらえたような
× 疑ってかかるような
【補足】「穴をあける、掘る」という意味の『穿つ(うがつ)』から派生した言葉です。「うがった見方」というような使い方をして、「本質をとらえようとする見方」という意味になります。
確信犯
○ 確信を動機として行われる犯罪、犯罪者
× 悪いと知っていながら犯す罪、人
【補足】正しいと信じて行なっているので、本人に「悪いこと」という意識はありません。
閑話休題
○ それはさておき、さて(話を本題に戻すと)…
× 話は変わって、余談になるが…
【補足】閑話は「むだばなし」という意味です。「余計な話はそれくらいにして…」というニュアンスです。
気が置けない
○ 気を使わない、打ち解けることができる
× 気を使ってしまう、打ち解けられない
【補足】本来は「気が置ける=気がかりで打ち解けられない」という使い方をされた言葉です。これを「ない」で否定しているので、「打ち解けることができる」という意味になります。
姑息
○ 一時的な間に合わせ、その場逃れ
× 卑怯、ずるい
【補足】どちらの意味でも文意が似たものになるので、とても紛らわしいものがあります。「姑息な手段」といった使い方をします。
さわり
○ (話の)聞かせどころ
× (話の)始めの部分
【補足】義太夫(ぎだゆう)の「さわり=他の節づけを取り入れた箇所=目立つ部分」に由来する言葉です。
潮時
○ 物事をするのに一番良い時期、チャンス
× やめどき、引き際
【補足】「潮時を見て~する」といった使い方をします。
敷居が高い
○ 不義理などをしていて、その人の家に行きにくい、入りにくい
× レベルが高い、ハードルが高い、自分には合わない(上品すぎる、高級すぎるなど)
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失笑
○ 思わず笑ってしまう
× 笑いが起きないくらいあきれる、見下した態度で笑う、冷笑する
【補足】笑ってはいけないような場で、思わず吹き出してしまうようなことをいいます。
知恵熱
○ 子供が知恵づくころに出す熱で、一日ぐらいで下がるもの
× 頭を使い過ぎたときに出る熱
【補足】あくまでも子供が出す熱に対して使う言葉です。
陳腐
○ ありふれていて、新しさがないこと
× つまらないこと、くだらないこと
【補足】「陳腐をきらう」といった使い方をします。
情けは人のためならず
○ 情けは自分のためになる
× 情けをかけると、その人のためにならない
【補足】「他人に対する情けは、いつか自分のところへ戻ってくる」というのが本来の意味です。
なしくずし
○ 物事を少しずつ済ませていくこと
× 物事があいまいなまま行われること
【補足】本来は、「借金を少しずつ返していくこと」を意味していました。
煮詰まる
○ もうすぐ結論が出るような状態
× 物事が進まない、行き詰まる
【補足】結論が出そうにもない長時間の会議の状態を「煮詰まった」というのは誤りになります。
にやける
○ 男が、女のようになよなよと、変にしゃれていること
× 薄笑いを浮かべること
爆笑
○ 大勢が大声で笑うこと
× 一人が大声で笑うこと
【補足】「一人で爆笑した」という使い方は間違いです。
破天荒
○ 今までだれもしなかったことをする様子
× 豪快な、大胆な
【補足】「破天荒の試み」といった使い方をします。
耳障り
○ [使用例] 耳障りな話
× [使用例] 耳障りの良い音楽
【補足】「聞いていて、気に障ること」が耳障りの本来の意味です。
役不足
○ 役者の実力に比べて、役がもの足りない
× 大きな役で、役者の力が不足している ⇒ 役者不足を使います
【補足】「役不足」と「役者不足」は、「不足しているのは何か?」を考えて使い分けましょう。
やぶさかでない
○ ~する努力は惜しまない
× しぶしぶ~する、~するのは気がすすまない
【補足】「やぶさか(吝か)」とは、もの惜しみすることをいいます。
間違えやすい日本語
今回のチェックで取り上げたもの以外にも、間違えやすい日本語といわれるものは数多くあります。そのうちのいくつかを気になるものがありましたら、ご覧になってみてください。
また、間違えやすい漢字の読み方などについては、こちらをチェックしてみてください。