立冬(りっとう)とは? 【2023年版】
秋も 11月ともなると、朝晩に寒さを感じる日も増えてきます。
そんな中で、「立冬(りっとう)」という言葉を見聞きすることがあるのではないでしょうか。そして、この言葉によって、秋も終わっていよいよ冬になるのか… という気持ちにさせられます。
このページでは、立冬についてみていくことにしましょう。
立冬とは? 2023年はいつ?
今年、2023年の立冬は 11月 8日(水)です。
そもそも立冬とは、一年を 24等分した二十四節気(にじゅうしせっき)のうちの一つで、暦の上で冬が始まる日とされています。
しかし、日付は 11月の初めであり、行事でいえば七五三が多なわれる頃です。ですから、まだ冬というには少し早い時期といえるでしょう。
『こよみ便覧』には「冬の気立ち始めて、いよいよ冷ゆれば也」と記載されています。つまり、立冬とは「冬の気配が感じられるころ」ととらえればよいでしょう。
『こよみ便覧』とは、太玄斎(たいげんさい)こと、常陸宍戸藩の第5代藩主・松平頼救(まつだいら よりすけ)の著した暦についての解説書で、天明七年(1787年)に出版されたものです。
ちなみに、二十四節気は古代中国の時代から使われていたものが日本に伝わってきたものです。
二十四節気のうち春分、秋分、夏至、冬至などは、なじみが深いものといえるでしょう。
【関連】 二十四節気の意味とは?
また、二十四節気は期間を表すものとして使われることもあります。その場合は、次の節気・小雪(しょうせつ)の前日までの期間を表わします。
つまり、2023年の場合、11/ 8 ~ 11 /21 の期間を「立冬」ということもあります。
この期間(二十四節気)を、さらに3つに分けたものが七十二候(しちじゅうにこう)と呼ばれるものです。
【立冬の七十二候】
初候:山茶始開(つばきはじめてひらく)
⇒ 「山茶花(さざんか)の花が咲き始めるころ」という意味です。
次候:地始凍(ちはじめてこおる )
⇒ 「地面が凍り始めるころ」という意味です。
末候:金盞香( きんせんこうばし)
⇒ 「水仙の花が咲くころ」という意味です。
また、二十四節気の立春、立夏、立秋、立冬の 4つは四立(しりゅう)と呼ばれ、特に重要な節気とされています。
四立 | |
立春 | りっしゅん |
立夏 | りっか |
立秋 | りっしゅう |
立冬 | りっとう |
立冬の前後の二十四節気は?
立冬の一つ前の二十四節気が「霜降(そうこう)」です。霜降は、霜が降り始める頃といわれています。
そして、立冬のあとは「小雪(しょうせつ)」です。雪が降ったとしても、さほどではないことから小雪と名づけられたといわれています。
さらに、この後は「大雪(たいせつ)」、「冬至(とうじ)」へとつながります。
霜降 ⇒ 立冬 ⇒ 小雪 ⇒ 大雪 ⇒ 冬至
といったぐあいに、二十四節気の漢字の見た目もすこしずつ冬らしくなっていきます。
立冬の食べ物は?
それでは、立冬には何か特別なものを食べる習慣があるのでしょうか。
結論を言えば、特別なものはありません。
冬の季節で有名なものには、冬至のかぼちゃ・ゆずがあります。ですから、立冬にかぼちゃ等を食べるような気がしないでもありません。
私も以前には、立冬と冬至を混同していて、どちらにかぼちゃを食べるのか区別できない時期がありました。
しかし、立冬も冬至も「冬」の文字がつく二十四節気ですが、これらに直接の関連はありません。
特別なものをいただかなくても、だんだん温かいものが恋しくなるのが立冬の頃ではないでしょうか。
立冬の俳句
季節の変わり目ともいえる立冬は、季語として多くの俳句に詠み込まれてきました。
また、「立冬」そのものではなく「冬立つ」「冬に入る」「冬来る」「今朝の冬」という表現で詠まれたものもあります。
それらのうち、立冬の頃の雰囲気がよく伝わってくる俳句をいくつかみていきましょう。
立冬の 川を彩る 胡桃の黄
(阿部みどり女:あべ みどりじょ)
立冬の 火焚けば映る 民家かな
(長谷川かな女:はせがわ かなじょ)
立冬の 紫だちて 熊野灘
(富安風生:とみやす ふうせい)
立冬の 山の樹騒ぐ 音眼にす
(臼田亞浪うすだ あろう)
立冬や 手紙を書けば 手紙来る
(山口青邨:やまぐち せいそん)
立冬や とも枯れしたる 藪からし
(臼田亞浪)
立冬や 窓搏つて透く 鵯の羽根
(石田波郷:いしだ はきょう)
句を作る 心戻りぬ 冬立ちぬ
(日野草城:ひの そうじょう)
冬立ちぬ つかひおろしの 佳きしやぼん
(日野草城)
冬に入る 椿の葉つや まぶしかも
(室生犀星:むろう さいせい)
立冬の俳句をもう少し読みたければ、「立冬の俳句」をご覧になって下さい。
まとめ
- 立冬は「二十四節気」の一つで、暦の上で冬が始まる日とされています。
- 立冬の前の約18日間を「土用(どよう)」といいます。
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