秋刀魚の俳句 70選 -さんま-

笊の上の秋刀魚

秋の食卓にのる秋刀魚は、私たちにとって馴染み深いものです。特に、脂がのった旬の秋刀魚の味は格別で、秋の味覚を代表するものといえるでしょう。

このような「秋刀魚」は俳句において秋の季語でもあり、多くの作品に詠み込まれてきました。

このページには、秋刀魚が詠まれた俳句の中から 70句を選びました。秋刀魚が彩る秋の雰囲気に満ちた作品ばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。

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目次

秋刀魚の俳句 70選

秋刀魚の群れのような形の雲

「秋刀魚」が詠み込まれた俳句を集め、句の文字の五十音順に並べました。

なお、秋刀魚は秋の季語です。

 

 

青空へ さんまの焼ける 煙濃く

【作者】久保田万太郎(くぼた まんたろう)

 

あす死ぬる いのちかも知らず 秋刀魚焼く

【作者】三橋鷹女(みつはし たかじょ)

 

脂火の 秋刀魚が照らす 鍬の丈

【作者】秋元不死男(あきもと ふじお)

【補足】「鍬」の読み方は「くわ」です。

 

溢れゐる 秋刀魚もとめて 包みゆく

【作者】百合山羽公(ゆりやま うこう)

【補足】「」の読み方は「」です。

 

忿り頭を 離れず秋刀魚 焼きけぶらし

【作者】三橋鷹女

【補足】「忿り」の読み方は「いかり(=怒り)」です。

 

いつまでも いぶれる炭に 秋刀魚焼く

【作者】金子刀水(かねこ とうすい)

 

稲積んで 忙しき夕餉 さんま焦ぐ

【作者】柴田白葉女(しばた はくようじょ)

【補足】夕餉(ゆうげ)とは、夕方の食事(=夕食)のことです。「焦ぐ」の読み方は「ぐ」です。

 

遠方の 雲に暑を置き 青さんま

【作者】飯田龍太(いいだ りゅうた)

 

風の日は 風吹きすさぶ 秋刀魚の値

【作者】石田波郷(いしだ はきょう)

 

空転り して暮れし日の 秋刀魚食ふ

【作者】百合山羽公

【補足】「空転り」の読み方は「からまわり」です。

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黒潮の うねりて秋刀魚 競る町に

【作者】阿波野青畝(あわの せいほ)

【補足】「競る」の読み方は「る」です。

 

ことしまた 秋刀魚を焼いて ゐたりけり

【作者】今井杏太郎(いまい きょうたろう)

 

子等のほかは 皆物憂くて 秋刀魚食う

【作者】楠本憲吉(くすもと けんきち)

【補足】「物憂くて」の読み方は「ものうくて(=なんとなく気が進まなくて)」です。

 

これやこの 旬のさんまも 冷凍魚

【作者】石塚友二(いしづか ともじ)

 

秋刀魚食ひ 出世無縁の 口拭ふ

【作者】福田蓼汀(ふくだ りょうてい)

【補足】「拭う」の読み方は「ぬぐう」です。

 

秋刀魚食ふ 月夜の柚子を もいできて

【作者】加藤秋邨(かとう しゅうそん)

【補足】「柚子」の読み方は「ゆず」です。

 

秋刀魚競る 忘れホースの 水走り

【作者】橋本多佳子(はしもと たかこ)

 

さんま大漁 その一ぴきの 焼かれけり

【作者】久保田万太郎

 

さんま殿 妻の悲嘆を 句で申す

【作者】橋本夢道(はしもと むどう)

 

さんまのあぶら 涙の如く わきにけり

【作者】久保田万太郎

【補足】「如く」の読み方は「ごとく」です。

焼かれている光った秋刀魚

 

秋刀魚の口 尖ればちよんと 切るかなし

【作者】山口青邨(やまぐち せいそん)

【補足】「尖れば」の読み方は「とがれば」です。

 

秋刀魚焼いて 泣きごとなどは 吐くまじよ

【作者】鈴木真砂女(すずき まさじょ)

【補足】「吐くまじよ」は「決して吐かないつもりだ」の意です。

 

秋刀魚焼いて 火逃げし灰の 形かな

【作者】阿波野青畝

 

秋刀魚焼き 妻はたのしきや わが前に

【作者】加藤楸邨(かとう しゅうそん)

 

秋刀魚焼く 烟の雨と なりにけり

【作者】久保田万太郎

【補足】「烟」の読み方は「けむり」です。

 

秋刀魚やく けむり軒より ひたおろし

【作者】原 石鼎(はら せきてい)

 

秋刀魚焼く 煙りの中の 割烹着

【作者】鈴木真砂女

【補足】割烹着(かっぽうぎ)は、家事や料理などをするときに着物の上につけるものです。

 

秋刀魚焼く 煙の中の 妻を見に

【作者】山口誓子(やまぐち せいし)

 

秋刀魚焼く 深夜われらが 苛烈の火

【作者】佐藤鬼房(さとう おにふさ)

【補足】苛烈(かれつ)とは、きびしくはげしいことをいいます。

 

秋刀魚焼く 疲れの目脂 拭きながら

【作者】佐藤鬼房

【補足】「目脂」の読み方は「めやに」です。

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秋刀魚焼く 匂の底へ 日は落ちぬ

【作者】加藤楸邨

 

秋刀魚焼く 憎しみは鋭き 焔に焼かれ

【作者】三橋鷹女

【補足】「焔」の読み方は「ひ」です。

 

さんま焼く火の 炎の中の さんまの目

【作者】村山故郷(むらやま こきょう)

 

さんま焼くや 煙突の影 のびる頃

【作者】寺山修司(てらやま しゅうじ)

 

秋刀魚焼く 鰥に詩あり 佗しとや

【作者】福田蓼汀

【補足】「鰥」「侘し」の読み方は、それぞれ「やもめ(=配偶者を失って独身でいる人)」「わびし」です。

 

秋刀魚焼く 火をさかんにす またたのし

【作者】山口青邨

 

秋刀魚選り 美貌を波の 日に焼きぬ

【作者】古館曹人(ふるたち そうじん)

【補足】「選り」「美貌」の読み方は、それぞれ「り」「びぼう」です。

 

秋刀魚割る 祖父の手つきと 云はれけり

【作者】高澤良一(たかざわ よしかず)

 

十月や 顳さやに 秋刀魚食ふ

【作者】石田波郷

【補足】「顳」の読み方は「こめかみ」です。

 

受賞作家 夕餉の秋刀魚 焼いてをり

【作者】鈴木真砂女

そろそろ焼き上がる秋刀魚

 

受難図に 棚引く秋刀魚 けむりかな

【作者】秋元不死男

【補足】「棚引く」の読み方は「たなびく」です。

 

障子うつ 蠅に日うとし 秋刀魚焼く

【作者】西島麦南(にしじま ばくなん)

【補足】「障子」の読み方は「しょうじ」です。

 

松籟や 秋刀魚の秋も 了りけり

【作者】石田波郷

【補足】松籟(しょうらい)とは、松に吹く風、それが立てる音のことです。

 

新宅の まだ整はず 秋刀魚焼く

【作者】鈴木花蓑(すずき はなみの)

 

酸橘得し されど秋刀魚は 旬ならず

【作者】高澤良一

【補足】「酢橘」の読み方は「すだち」です。

 

膳の上に 秋刀魚風吹く 月明よ

【作者】大野林火(おおの りんか)

【補足】月明(げつめい)とは、月あかり、月が明るいことをいいます。

 

そこそこに 昼めしすます さんまかな

【作者】久保田万太郎

 

そこらより 秋刀魚の匂ひ 攻めきたる

【作者】加藤秋邨

 

台風を 覚悟のさんま くらひけり

【作者】久保田万太郎

 

旅の帰途 夫待つ妻は 秋刀魚買ふ

【作者】及川 貞(おいかわ てい)

【補足】帰途(きと)とは、「かえりみち」のことです。

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黙りゐて 秋刀魚食ふ顔 してみたり

【作者】加藤秋邨

 

妻よ子よ 黒焦げ秋刀魚 食膳に

【作者】村山古郷(むらやま こきょう)

 

東京に 瓦斯火は赤し 秋刀魚焼く

【作者】石川桂郎(いしかわ けいろう)

【補足】「瓦斯」の読み方は「ガス」です。

 

長箸の 炎振り消し 秋刀魚焼く

【作者】亀井糸游(かめい しゆう)

 

値札のみ 上反り秋刀魚 山積みに

【作者】香西照雄(こうざい てるお)

【補足】「上反り」の読み方は「うわぞり」です。

 

はるばると 秋刀魚は南下 この刻も

【作者】高澤良一

【補足】「刻」の読み方は「とき」です。

 

髯のびて 秋刀魚啖へり 我は街に

【作者】加藤秋邨

【補足】「啖へり」の読み方は「くらえり」です。

 

膝の子の なみだ大粒 秋刀魚食ふ

【作者】堀口星眠(ほりぐち せいみん)

 

火を花と 火を滴りと 秋刀魚焼く

【作者】上田五千石(うえだ ごせんごく)

【補足】「滴り」の読み方は「したたり」です。

 

長箸の 炎振り消し 秋刀魚焼く

【作者】亀井糸游

火に包まれて焼かれる秋刀魚

 

火だるまの 秋刀魚を妻が 食はせけり

【作者】秋元不死男

 

ひとり焼く 秋刀魚はげしき けむりあぐ

【作者】片山桃史(かたやま とうし)

 

人を刺す 太刀の光りの 秋刀魚かな

【作者】鈴木真砂女

【補足】「太刀」の読み方は「たち」です。

 

病床に 初秋刀魚とは 貧ならず

【作者】高浜年尾(たかはま としお)

 

鰤は太り 秋刀魚は痩せて 年の暮

【作者】鈴木真砂女

【補足】「鰤」は冬の季語、 「年の暮」は新年(あるいは暮)の季語です。

 

ほろほろと にがき脂まで 秋刀魚食ふ

【作者】石塚友二

 

病むは癒ゆ 秋刀魚の秋の 到りけり

【作者】石川桂郎

【補足】「癒ゆ」の読み方は「ゆ」です。

 

夕空の 土星に秋刀魚 焼く匂ひ

【作者】川端茅舎(かわばた ぼうしゃ)

 

夕焼が しみる皿ごと 秋刀魚の骨

【作者】橋 閒石(はし かんせき)

 

柚子かけて 口の尖りし 秋刀魚かな

【作者】右城暮石(うしろ ぼせき)

 

 


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