歳暮の俳句 20選 -せいぼ、さいぼ-
年の暮が近づいてくると、あわただしさとともに寂しさが感じられるようになります。
そして、「歳暮」は俳句において冬の季語でもあり、多くの作品に詠み込まれてきました。
このページには、「歳暮」が詠まれた俳句を多く集めました。年末の雰囲気に満ちた作品ばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。
目次
- 1 歳暮の俳句 20選
- 1.1 活き海老が あはれ跳ねゐる 歳暮かな
- 1.2 一椀の 歳暮の砂糖に 童話読む
- 1.3 うなぎ屋が 歳暮によこす 味醂かな
- 1.4 お歳暮に 大きな鴨と 思ふかな
- 1.5 お歳暮の 雉子の尾長 吊りながめ
- 1.6 お歳暮の しるべの道の 一日かな
- 1.7 お歳暮や 京の老舗の 包み紙
- 1.8 竃の火 歳暮の使ひ あたり行く
- 1.9 鴨の脚 冷たかりける 歳暮かな
- 1.10 薬鍋 やりて嬉しき 歳暮かな
- 1.11 師へ父へ 歳暮まゐらす 山の薯
- 1.12 歳暮鮭 とけばこぼるる 結び文
- 1.13 歳暮とて 五粒もらひし 花の種
- 1.14 歳暮とも つかず贈りて 戀に似る
- 1.15 歳暮とも 何ともなしに 山の雲
- 1.16 月冴て 市の歳暮の あはれなり
- 1.17 届きたる 歳暮の鮭を 子に持たす
- 1.18 ないそでを なをふる雪の 歳暮かな
- 1.19 曳売の 本屋が歳暮 呉れにけり
- 1.20 ひたむきに 歳暮つかいひの 急ぐなり
歳暮の俳句 20選
「歳暮」が詠み込まれた俳句を集め、句の文字の五十音順に並べました。
どうぞ、ごゆっくりとご鑑賞下さい。
活き海老が あはれ跳ねゐる 歳暮かな
【作者】村山故郷(むらやま こきょう)
【補足】「活き海老」の読み方は「いきえび」です。
一椀の 歳暮の砂糖に 童話読む
【作者】原子公平(はらこ こうへい)
うなぎ屋が 歳暮によこす 味醂かな
【作者】龍岡 晋(たつおか しん)
【補足】「味醂」の読み方は「みりん」です。
お歳暮に 大きな鴨と 思ふかな
【作者】阿波野青畝(あわの せいほ)
お歳暮の 雉子の尾長 吊りながめ
【作者】皆吉爽雨(みなよし そうう)
【補足】「雉子」の読み方は「きぎす、きじ」です。
お歳暮の しるべの道の 一日かな
【作者】阿波野青畝
【補足】「一日」の読み方は「ひとひ」です。
お歳暮や 京の老舗の 包み紙
【作者】村山故郷
【補足】「老舗」の読み方は「しにせ(=代々続いてい同じ商売をしている格式や信用がある店)」です。
竃の火 歳暮の使ひ あたり行く
【作者】喜谷六花(きたに りっか)
【補足】「竈」の読み方は「かまど」です。
鴨の脚 冷たかりける 歳暮かな
【作者】岡本松濱(おかもと しょうひん)
薬鍋 やりて嬉しき 歳暮かな
【作者】立花北枝(たちばな ほくし)
【補足】薬鍋(くすりなべ)とは、薬を煎じるときに用いる鍋のことをいいます。
師へ父へ 歳暮まゐらす 山の薯
【作者】松本たかし(まつもと たかし)
【補足】「薯」の読み方は「いも」です。
歳暮鮭 とけばこぼるる 結び文
【作者】阿部慧月(あべ けいげつ)
【補足】結び文(むすびぶみ)とは、巻きたたんで両端をひねり結び、封印として墨を引いた書状のことで、恋文に用いることが多くみられます。
歳暮とて 五粒もらひし 花の種
【作者】如月真菜(きさらぎ まな)
歳暮とも つかず贈りて 戀に似る
【作者】上村占魚(うえむら せんぎょ)
【補足】「戀」は「恋」の旧字体です。
歳暮とも 何ともなしに 山の雲
【作者】正岡子規(まさおか しき)
月冴て 市の歳暮の あはれなり
【作者】正岡子規
届きたる 歳暮の鮭を 子に持たす
【作者】安住 敦(あずみ あつし)
ないそでを なをふる雪の 歳暮かな
【作者】井上井月(いのうえ せいげつ)
曳売の 本屋が歳暮 呉れにけり
【作者】石田波郷(いしだ はきょう)
【補足】曳売(ひきうり)とは、値引きして売ることです。
ひたむきに 歳暮つかいひの 急ぐなり
【作者】岡本松濱
【補足】「ひたむき(直向き)」とは、一つの事に熱中している様子を表現する言葉です。
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