清明の俳句 -せいめい- 【有名俳人の名作から厳選】
4月の初め頃には、二十四節気の一つである「清明(せいめい)」があります。
この「清明」は俳句の季語でもあり、多くの俳句作品に詠まれています。
このページには、清明が詠み込まれた俳句を、有名俳人の作品から選びました。春らしい清々しい雰囲気に満ちたものばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。
目次
清明の俳句
「清明」「清明節」が詠まれた句を集め、俳句の文字の五十音順に並べました。
なお、これらは俳句において春の季語として扱われます。
挿木して 清明の日の 風呂焚けり
【作者】皆川白陀(みながわ はくだ)
【補足】挿木(さしき)とは、植物の枝や茎などを地中にさして根を出させることです。
清明節の 朝しめりよし 芋を植う
【作者】西山泊雲(にしやま はくうん)
【補足】朝しめりとは、朝に露などで物が湿ったり濡れていることをいいます。
清明に 梅開かんと しつつあり
【作者】深川正一郎(ふかがわ しょういちろう)
清明の 風きらきらと 一里塚
【作者】甘田正翠(かんだ せいすい)
【補足】一里塚(いちりづか)とは、全国の諸街道に一里(=約 3.9km)ごとに土を盛って松や榎(えのき)などの樹木を植えて、道のりの目標としたものです。
清明の 琴鳴り花火 天に爆づ
【作者】岸 風三楼(きし ふうさんろう)
【補足】「爆づ(はづ)」は「はじける」という意味です。
清明の 月の遊びは 何もせず
【作者】平井照敏(ひらい しょうびん)
清明の 波打ちのべし 上総かな
【作者】大嶽青児(おおたけ せいじ)
【補足】上総(かずさ)は地名で(現在の千葉の中央部)、古くには「かみつふさ」と呼ばれていましたが、後に「かづさ」へと変化しました。
清明の 紛々の雨 先づ聴かむ
【作者】相生垣瓜人(あいおいがき かじん)
【補足】紛々(ふんぷん)とは、入り乱れる様子を表現する言葉です。「先ず」の読み方は「まず」です。
清明の 水菜歯ごたへ よかりけり
【作者】鈴木真砂女(すずき まさごじょ)
【補足】水菜(みずな)はアブラナ科の越年草で、京菜(きょうな)と呼ばれることもあります。若い茎は食用とされています。
清明の 路ゆく媼が 念珠かな
【作者】飯田蛇笏(いいだ だこつ)
【補足】「路」の読み方は「みち」です。媼(おうな)とは、年をとった女性のことで、男性の場合は「翁(おきな)」といいます。念珠(ねんじゅ)とは「じゅず(珠数)」のことです。
清明や 街道の松 高く立つ
【作者】桂 信子(かつら のぶこ)
清明や 神域よりの 流れ水
【作者】下村 宏(しもむら ひろし)
【補足】神域(しんいき)とは、神社の境内(けいだい)などを意味します。
清明や 翠微に岐る 駅路
【作者】松瀬青々(まつせ せいせい)
【補足】翠微(すいび)とは、薄い緑色の意です。「岐る」「駅路」の読み方は、それぞれ「わかる、わかれる」「うまやみち、うまやじ」です。
鳥ゐるや 清明節の つちくれに
【作者】吉岡 禅寺洞(よしおか ぜんじどう)
【補足】「つちくれ(土塊)」は「土のかたまり」という意味です。
一つ葉や 清明の滝 懸りたる
【作者】 阿波野青畝(あわの せいほ)
【補足】一つ葉(ヒトツバ)は、羊歯植物(しだしょくぶつ)の一種です。
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