霜降の俳句 20選 -そうこう-
そろそろ冬の訪れも感じられようかという 10月の下旬に、二十四節気の一つの「霜降」があります。
この「霜降」は、俳句においては秋の季語であり、俳句作品にも用いられている言葉です。
このページには、霜降が詠み込まれた俳句を集めました。秋もめっきりと深まった頃の雰囲気を、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。
目次
- 1 霜降の俳句 20選
- 1.1 霜降の 青すぎる天 ありにけり
- 1.2 霜降の 陶ものつくる 翁かな
- 1.3 霜降の日とや 立山 よく晴れて
- 1.4 霜降の 二日前なる 霜にかな
- 1.5 霜降や あの世から垂れ 自在鉤
- 1.6 霜降や 書き込みありし 古書を買ふ
- 1.7 霜降や 傷つくものも 美しく
- 1.8 霜降や 草かげあたり さやぎそむ
- 1.9 霜降や 雲にもさやぎ きくころか
- 1.10 霜降や さりげなく来て 去るあきつ
- 1.11 霜降や 父に習ひし 紙縒綴ぢ
- 1.12 霜降や 電球一個のみ買ひに
- 1.13 霜降や 鳥のねぐらを 身に近く
- 1.14 霜降や ねむりぐすりを 酒で嚥み
- 1.15 霜降や 骨一本が 折れし傘
- 1.16 霜降や 立方体の 鯨肉
- 1.17 霜降や リフォームちらし またも入る
- 1.18 霜降を 過ぎし湖面の 藻のみどり
- 1.19 抱き入れし 護謨の冷たし 霜降に
- 1.20 柚の照の 霜降といふ 山の凪
霜降の俳句 20選
どうぞ、ごゆっくりとご鑑賞下さい。
霜降の 青すぎる天 ありにけり
【作者】大橋敦子(おおはし あつこ)
霜降の 陶ものつくる 翁かな
【作者】飯田蛇笏(いいだ だこつ)
【補足】「陶もの」「翁」の読み方は、それぞれ「すえもの(=やきもの、陶器)」「おきな(=男の老人、女性の場合は媼:おうな)」です。
霜降(そうこう)に近い時期の二十四節気(にじゅうしせっき)を並べると、次の表のようになります。
秋分 | 9月23日ごろ |
寒露 | 10月 8日ごろ |
霜降 | 10月23日ごろ |
立冬 | 11月 7日ごろ |
小雪 | 11月22日ごろ |
霜降の日とや 立山 よく晴れて
【作者】長沼三津夫(ながぬま みつお)
【補足】「霜降の日とや」は「霜降の日とかいうことだ」といった意味になります。立山(たてやま)は、富山にある山の名前です。
霜降の 二日前なる 霜にかな
【作者】久保青山(くぼ せいざん)
霜降や あの世から垂れ 自在鉤
【作者】奥田筆子(おくだ ふでこ)
【補足】自在鉤(じざいかぎ)とは、炉・かまどなどの上につるし、鍋・釜などを自在に上下させる装置の鉤のことです。
霜降や 書き込みありし 古書を買ふ
【作者】能村研三
霜降や 傷つくものも 美しく
【作者】村越化石(むらこし かせき)
霜降や 草かげあたり さやぎそむ
【作者】豊田都峰(とよた とほう)
【補足】「さやぎ」とは、さやさやと音がすることで、「そむ」は「~しはじめる」という意味です。
霜降や 雲にもさやぎ きくころか
【作者】豊田都峰
霜降や さりげなく来て 去るあきつ
【作者】阿部ひろし(あべ ひろし)
【補足】「あきつ(秋津、蜻蛉)」とは、トンボの古名です。
霜降や 父に習ひし 紙縒綴ぢ
【作者】能村研三(のむら けんぞう)
【補足】紙縒(こより、かみより)とは、紙を細く切ったものを、ひねって糸のようにしたものです。「綴ぢ」の読み方は「とじ」です。
霜降や 電球一個のみ買ひに
【作者】伊藤白潮(いとう はくちょう)
霜降や 鳥のねぐらを 身に近く
【作者】手塚美佐(てづか みさ)
【補足】「ねぐら(塒)」とは、鳥が寝る所のことをいいます。
霜降や ねむりぐすりを 酒で嚥み
【作者】石川桂郎(いしかわ けいろう)
【補足】「嚥み」の読み方は「のみ(≒飲み)」です。
霜降や 骨一本が 折れし傘
【作者】佐藤喜仙(さとう きせん)
霜降や 立方体の 鯨肉
【作者】辻 桃子(つじ ももこ)
【補足】日本では、旧石器時代の貝塚や弥生時代の遺跡などから鯨骨が出土していて、古くから捕鯨が行われていたと考えられています。
「鯨肉」の読み方は「くじらにく、げいにく」です。
霜降や リフォームちらし またも入る
【作者】伊藤白潮
【補足】「ちらし」は、広告のために配る印刷物で、いわゆるビラのことです。
霜降を 過ぎし湖面の 藻のみどり
【作者】伊藤白潮
【補足】藻(も)は、水中に生じる藻類・海草・水草などの総称です。
抱き入れし 護謨の冷たし 霜降に
【作者】長谷川かな女(はせがわ かなじょ)
【補足】「護謨」の読み方は「ごむ(=ゴム)」です。
柚の照の 霜降といふ 山の凪
【作者】斎藤美規(さいとう みき)
【補足】柚(ゆ、ゆう)とは、柚子(ゆず)のことです。照(てり)とは、光沢・つやのことをいいます。「凪」の読み方は「なぎ(=風がやんで波が穏やかになること)」です。
関 連 ペ ー ジ