「天高し」の俳句 50選 -てんたかし-
秋に空が晴れ渡って、天がとても高く見えることがあります。これは清々しく爽やかで、とても気持ちが良いものです。
そして、「天高し」は俳句において秋の季語でもあり、多くの作品に詠み込まれてきました。
このページには、「天高し」が詠まれた俳句を多く集めました。秋ならではの高い空の雰囲気に満ちた作品ばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。
目次
- 1 「天高し」の俳句 30選
- 1.1 石あれば 腰を下ろして 天高し
- 1.2 解決の 目途も立ちたる 天高し
- 1.3 競走馬 出払ひし牧 天高し
- 1.4 切株に 腰下ろす老 天高し
- 1.5 校庭に 引く白線や 天高し
- 1.6 散骨の 意志以て仰ぐ 天高し
- 1.7 神饌の 鶏は籠中に 天高し
- 1.8 生命線 しかと繋がり 天高し
- 1.9 天高き ことのあきらか 富士仰ぐ
- 1.10 天高く 浅間嶺の胴 肥ゆるごと
- 1.11 天高し三解脱門 高ければ
- 1.12 天高く 大枚はたく 響きあり
- 1.13 天高く 宙乗りもまた 高かりし
- 1.14 天高く 梯子は足裏 知りつくし
- 1.15 天高し 天草灘の 詩碑も高し
- 1.16 天高し 麟麟の首は もう伸びず
- 1.17 天高し 句碑の心に 触るる旅
- 1.18 天高し 托鉢僧の 鉦揺れて
- 1.19 天高し 天命といふ 言葉ふと
- 1.20 天高し 何粍減りし わが身丈
- 1.21 天高し 庭師の音の はじまりぬ
- 1.22 東尋坊 片道切符で 天高し
- 1.23 飛ぶ鳥の 自在にまこと 天高し
- 1.24 羽衣の 松の上なる 天高し
- 1.25 風禍置き 去りてゆきしも 天高し
- 1.26 福州の 林則徐像 天高し
- 1.27 松島や 秋天高く 鳶渡る
- 1.28 摩天崖の 牧畑に馬 天高し
- 1.29 迷ひなく 予定こなして 天高し
- 1.30 みづうみに 降りたつよりの 天高し
「天高し」の俳句 30選
「天高し」が詠み込まれた俳句を集め、句の文字の五十音順に並べました。
なお、「天高し」は秋の季語です。
石あれば 腰を下ろして 天高し
【作者】村越化石(むらこし かせき)
解決の 目途も立ちたる 天高し
【作者】稲畑汀子(いなはた ていこ)
【補足】目途(もくと)とは「めあて、見込み」のことです。同じ意味を持つ言葉に「めど」がありますが、こちらは「目処」の漢字が使われます。
競走馬 出払ひし牧 天高し
【作者】松崎鉄之介(まつざき てつのすけ)
切株に 腰下ろす老 天高し
【作者】村越化石
【補足】老(ろう)は、年長者・年とって物事ををよく知っている人のことを意味します。
校庭に 引く白線や 天高し
【作者】堀 一郎(ほり いちろう)
散骨の 意志以て仰ぐ 天高し
【作者】泉田秋硯(いずた しゅうけん)
【補足】散骨(さんこつ)とは、粉状にした遺骨を山や海などにまくことです。
神饌の 鶏は籠中に 天高し
【作者】鷹羽狩行(たかは しゅぎょう)
【補足】神饌(しんせん)とは、神に供える酒食のことをいいます。
【補足】「鶏」の読みは「とり」です。
生命線 しかと繋がり 天高し
【作者】水原春郎(みずはら はるお)
【補足】「繋がり」の読み方は「つながり」です。
天高き ことのあきらか 富士仰ぐ
【作者】鷹羽狩行
天高く 浅間嶺の胴 肥ゆるごと
【作者】林 翔(はやし しょう)
【補足】浅間嶺(せんげんれい)は、東京の檜原村(ひのはらむら)にある山の名前です。
天高し三解脱門 高ければ
【作者】鷹羽狩行
【補足】三解脱門(さんげだつもん)は、東京・増上寺(ぞうじょうじ)にある門で、重要文化財に指定されています。
天高く 大枚はたく 響きあり
【作者】中原道夫(なかはら みちお)
【補足】「大枚(たいまい)をはたく」とは「多額の金を使う、持っている金を使い切る」という意味です。
天高く 宙乗りもまた 高かりし
【作者】安住 敦(あずみ あつし)
【補足】宙乗り(ちゅうのり)とは、芝居や曲芸などで、人体を宙に吊り上げて行なう演技のことをいいます。
天高く 梯子は足裏 知りつくし
【作者】中原道夫
【補足】「梯子」の読み方は「はしご」です。
天高し 天草灘の 詩碑も高し
【作者】松崎鉄之介
【補足】天草灘(あまくさなだ)は、熊本県南西部・天草諸島の下島西方の海域を指します。
天高し 麟麟の首は もう伸びず
【作者】三浦如水(みうら じょすい)
【補足】「麒麟」の読み方は「きりん」です。
天高し 句碑の心に 触るる旅
【作者】稲畑汀子
【補足】句碑(くひ)とは、俳句を彫りつけた石碑のことです。
天高し 托鉢僧の 鉦揺れて
【作者】坊城俊樹(ぼうじょう としき)
【補足】托鉢僧(たくはつそう)とは、修行のために経文を唱えながら歩き、食べ物や金の施しを受けて回る僧のことです。
天高し 天命といふ 言葉ふと
【作者】大串 章(おおぐし あきら)
【補足】天命(てんめい)とは、天から与えられた寿命、身に備わっていて変えられない運命のことをいいます。
天高し 何粍減りし わが身丈
【作者】林 翔
【補足】「粍」の読み方は「ミリ(メートル)」です。身丈(みたけ)とは、衣服の襟(えり)から裾(すそ)までの、背すじの長さをいいます。
天高し 庭師の音の はじまりぬ
【作者】稲畑汀子
【補足】庭師(にわし)とは、庭園を造ったり手入れをしたりする職業の人のことです。
東尋坊 片道切符で 天高し
【作者】保坂加津夫(ほさか かつお)
【補足】東尋坊(とうじんぼう)は、福井県坂井市にある崖(がけ)の名前です。
飛ぶ鳥の 自在にまこと 天高し
【作者】林 翔
羽衣の 松の上なる 天高し
【作者】鷹羽狩行
【補足】羽衣(はごろも)は、天人(てんにん)が着て空を飛ぶことができるという、鳥の羽でつくった美しい衣のことです。
風禍置き 去りてゆきしも 天高し
【作者】稲畑汀子
【補足】風禍(ふうか)とは、風によってもたらされた災難のことです。
福州の 林則徐像 天高し
【作者】松崎鉄之介
【補足】福州(ふくしゅう)は、中国・福建省(ふっけんしゅう)の省都です。林則徐(りん そくじょ) は、中国・清代の官僚、政治家です。
松島や 秋天高く 鳶渡る
【作者】菖蒲あや(しょうぶ あや)
【補足】日本三景の一つに数えられる松島(まつしま)は、宮城県の中部に位置します。
摩天崖の 牧畑に馬 天高し
【作者】松崎鉄之介
【補足】摩天崖(まてんがい)は、島根県隠岐郡西ノ島町浦郷にある崖の名前です。牧畑(まきはた)とは、畑を区切って放牧と耕作を輪換する畑のことです。
迷ひなく 予定こなして 天高し
【作者】稲畑汀子
みづうみに 降りたつよりの 天高し
【作者】豊田都峰(とよた とほう)
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