バレンタインの俳句 30選 -Valentine’s Day-
バレンタインという言葉の響きからは、何かしら胸がときめくようなもが感じられます。
「今年は関係がない日かな」とは思っていても、心のどこかで何らかの期待をしているような気持ちにさせられる、それがバレンタインデーの力なのかもしれません。
このページには、バレンタインが詠まれた俳句を選びました。バレンタイン特有の心情が絶妙に表現されている作品ばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。
目次
- 1 バレンタインの俳句 30選
- 1.1 いつも何か 待ちゐし頃の バレンタイン
- 1.2 今だから 話せるバレンタインの日
- 1.3 海原は 塩味バレンタインデー
- 1.4 声群るる 鳥ゐるバレンタインの日
- 1.5 竹やぶの 没日バレンタインデー果つる
- 1.6 茶粥召す バレンタインの日の聖
- 1.7 妻さへも 義理めくバレンタインデー
- 1.8 何事も おこらずバレンタインの日
- 1.9 乳牛の 黒き眼バレンタインの峡
- 1.10 人参を うさぎにバレンタインデー
- 1.11 はゞからず バレンタインの 贈りもの
- 1.12 バレンタイン 誰彼なしに 影加へ
- 1.13 バレンタインデー 外套着せて 貰ひけり
- 1.14 バレンタインデー 書き替へし住所録
- 1.15 バレンタインデー 髪白くなる それも良し
- 1.16 バレンタインデー 心に鍵の 穴ひとつ
- 1.17 バレンタインデー 青畝日記は 記録なし
- 1.18 バレンタインデーを違へず 来し葉書
- 1.19 バレンタインの チヨコ携へて 出講す
- 1.20 バレンタインの日か中年は 傷だらけ
- 1.21 バレンタインの日なり遠くで 犬が吠え
- 1.22 バレンタインの日は老人で ありにけり
- 1.23 バレンタインの日や屋上へ 富士を見に
- 1.24 バレンタイン 結びしリボン 風が解く
- 1.25 ひとごとの 最たる日なり バレンタイン
- 1.26 秘めごとと ならざるバレンタインチョコ
- 1.27 夫婦にも バレンタインの 遊びごと
- 1.28 老教師 菓子受くバレンタインデー
- 1.29 忘れ得ぬ バレンタインの日の言葉
- 1.30 われに一つ バレンタインのチヨコレート
バレンタインの俳句 30選
「バレンタイン」「バレンタインデー」などが詠み込まれた俳句を集め、句の文字の五十音順に並べました。
これらは、俳句において春の季語とされます。
どうか、ごゆっくりとご鑑賞下さい。
いつも何か 待ちゐし頃の バレンタイン
【作者】西村和子(にしむら かずこ)
今だから 話せるバレンタインの日
【作者】指澤紀子
海原は 塩味バレンタインデー
【作者】櫂 未知子(かい みちこ)
【補足】「海原」の読み方は「うなばら(=広々とした海)」です。
声群るる 鳥ゐるバレンタインの日
【作者】花田由子
竹やぶの 没日バレンタインデー果つる
【作者】金田咲子(かなだ さきこ)
【補足】「没日」の読み方は「いりひ(=夕日、落日の意)」です。「果つる」は「終わる」を意味します。
茶粥召す バレンタインの日の聖
【作者】橋本榮治(はしもと えいじ)
【補足】茶粥(ちゃがゆ)とは、米を茶で炊いた粥のことです。聖(ひじり)とは、僧や聖人のことをいいます。
妻さへも 義理めくバレンタインデー
【作者】細谷定行(ほそや さだゆき)
何事も おこらずバレンタインの日
【作者】原田清正(はらだ きよまさ)
乳牛の 黒き眼バレンタインの峡
【作者】大峯あきら(おおみね あきら)
【補足】乳牛(ちちうし、にゅうぎゅう)とは、乳をとるために飼う牝牛のことです。「峡」の読み方は「かい、たに」です。
人参を うさぎにバレンタインデー
【作者】星野麥丘人(ほしの ばくきゅうじん)
【補足】「人参」の読み方は「にんじん」です。
はゞからず バレンタインの 贈りもの
【作者】中村芳子(なかむら よしこ)
【補足】「はばかる(憚る)」とは、遠慮するという意味です。
バレンタイン 誰彼なしに 影加へ
【作者】松澤雅世(まつざわ まさよ)
バレンタインデー 外套着せて 貰ひけり
【作者】松山足羽(まつやま あすわ)
【補足】「外套」の読み方は「がいとう」です。
バレンタインデー 書き替へし住所録
【作者】上田日差子(うえだ ひざし)
バレンタインデー 髪白くなる それも良し
【作者】中嶋秀子
バレンタインデー 心に鍵の 穴ひとつ
【作者】上田日差子
バレンタインデー 青畝日記は 記録なし
【作者】阿波野青畝(あわの せいほ)
【補足】青畝は、高浜虚子(たかはまきょし)に師事した俳人です。
バレンタインデーを違へず 来し葉書
【作者】行方克巳(なめかた かつみ)
【補足】「違へず」の読み方は「たがえず」です。
バレンタインの チヨコ携へて 出講す
【作者】山田みづえ(やまだ みづえ)
【補足】「携へて」の読み方は「たずさえて」です。
バレンタインの日か中年は 傷だらけ
【作者】 稲垣きくの(いながき きくの)
バレンタインの日なり遠くで 犬が吠え
【作者】大江まり江(おおえ まりえ)
バレンタインの日は老人で ありにけり
【作者】多田薙石(ただ ていせき)
バレンタインの日や屋上へ 富士を見に
【作者】奈良文夫(なら ふみお)
バレンタイン 結びしリボン 風が解く
【作者】長谷川かな女(はせがわ かなじょ)
ひとごとの 最たる日なり バレンタイン
【作者】高澤良一(たかざわ よしかず)
【補足】「最たる」とは「程度がもっともはなはだしい、第一番の」という意味です。
秘めごとと ならざるバレンタインチョコ
【作者】稲畑汀子(いなはた ていこ)
【補足】「秘めごと」とは、「秘めて人に知らせない事柄、ないしょごと」という意味です。
夫婦にも バレンタインの 遊びごと
【作者】山田弘子(やまだ ひろこ)
老教師 菓子受くバレンタインデー
【作者】村尾香苗(むらお かなえ)
忘れ得ぬ バレンタインの日の言葉
【作者】堂前悦子
われに一つ バレンタインのチヨコレート
【作者】行方克己
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