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余寒の俳句 30選 -よかん-

雨の中の梅の花

立春になってもまだ寒さが残っていることを「余寒」という言葉で表現しますが、この「余寒」は俳句において春の季語でもあり、多くの作品に詠み込まれてきました。

このページには、「余寒」が詠まれた俳句を多く集めました。まだ春になりきってはいない頃の雰囲気に満ちた作品ばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。

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目次

「余寒」の俳句 30選

「余寒」が詠み込まれた俳句を集め、句の文字の五十音順に並べました。

どうぞ、ごゆっくりとご鑑賞下さい。

 

 

石と亀 根気くらべの 余寒かな

【作者】阿波野青畝(あわの せいほ)

 

一枚の 紙衣久しき 余寒哉

【作者】正岡子規(まさおか しき)

【補足】紙衣(かみこ=紙子)とは、紙で作った衣服のことです。

 

一点の 雲のそそげる 余寒かな

【作者】前田普羅(まえだ ふら)

 

鶯は きかぬ気でなく 余寒かな

【作者】小林一茶(こばやし いっさ)

 

奥山に 大雪やある 余寒かな

【作者】原 石鼎(はら せきてい)

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おほきにと いひ口ごもる 余寒かな

【作者】室生犀星(むろう さいせい)

 

街路樹に 仰ぐ日ふるふ 余寒かな

【作者】飯田蛇笏(いいだ だこつ)

 

かんばしく 珈琲たぎる 余寒かな

【作者】日野草城(ひの そうじょう)

【補足】「かんばしく」は「こうばしく、かぐわしく」の意です。

 

伐り伏せの 竹四五本の 余寒かな

【作者】上田五千石(うえだ ごせんごく)

【補足】「伐り伏せ」の読み方は「せ」です。

 

紅梅に 霙のかゝる 余寒かな

【作者】正岡子規

【補足】「霙」の読み方は「みぞれ」です。

一輪の紅梅

 

篠を刈る 余寒の山の 深さかな

【作者】芥川龍之介(あくたがわ りゅうのすけ)

 

燭光の ここにはなやぐ 余寒かな

【作者】飯田蛇笏

【補足】「燭光」の読み方は「しょっこう」です。

 

しら梅に 余寒の雲の かゝる也

【作者】高井几董(たかい きとう)

 

章魚うすく そぐ俎の 余寒かな

【作者】鈴木真砂女(すずき まさじょ)

【補足】「章魚」の読み方は「たこ(=蛸)」です。

 

だまされて 紅梅うらむ 余寒哉

【作者】正岡子規

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二三文 財布の底の 余寒哉

【作者】正岡子規

 

庭の雪 落葉ににじむ 余寒哉

【作者】瀧井孝作(たきい こうさく)

 

抜き残す 赤蕪いくつ 余寒哉

【作者】芥川龍之介

 

人の文 開きて読みし 余寒かな

【作者】長谷川かな女(はせがわ かなじょ)

 

日はありて 余寒しみぬく 松葉かな

【作者】室生犀星

松葉と青空

 

ふるさとに 背を向けて寝る 余寒かな

【作者】鈴木真砂女

 

干柿の なまなかあまき 余寒かな

【作者】久保田万太郎(くぼた まんたろう)

【補足】「なまなか(生半)」とは、中途半端であることをいいます。

 

水に落ちし 椿の氷る 余寒かな

【作者】高井几董

 

ものの葉の まだものめかぬ 余寒かな

【作者】加賀千代女(かがのちよじょ)

【補足】「ものの葉」は、広く草木の葉のことをいいます。「ものめかぬ」は「それらしくない」という意味です。

 

門掃けば 夕焼さむる 余寒かな

【作者】金尾梅の門(かなお うめのかど)

 

藪蔭に 梅一輪の 余寒かな

【作者】寺田寅彦(てらだ とらひこ)

 

山吹に 枯枝まじる 余寒かな

【作者】室生犀星

 

宵しばし 母屋に遊ぶ 余寒かな

【作者】村山故郷(むらやま こきょう)

【補足】母屋(おもや)とは、すまいの中心となる建物のことです。

 

用のなき 雪のたゞ降る 余寒かな

【作者】井上井月(いのうえ せいげつ)

 

余寒をば 叱りにござる 隠居哉

【作者】尾崎紅葉(おざき こうよう)

 

 


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