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春の短歌 ベスト20!

赤いチューリップの花

春は穏やかで過ごしやすく、自然も色彩豊かな景色を見せてくれます。冬の寒さからも解放されたという喜びも加わるので、楽しさも感じられる季節です。

そして、古くから春には和歌や短歌が数多く詠まれてきました。

今回は、春のイメージを持った歌を集めてみました。これらから春という季節を感じてみてください。

 

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目次

春の短歌について

「春」と関連がない歌もあるかもしれませんが、私が春を想起するものを選びました。
「字余り」、「字足らず」の歌は選んでいません。
並んでいる順番は、五十音順です。

 

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春の短歌 ベスト20

 

鶯の ねぐらやぬれんくれ竹の 根岸の里に春雨ぞふる

【作者】正岡子規(まさおか しき)

「くれ竹(呉竹)」はハチク(淡竹)の別名で、唐竹(からたけ)とも呼ばれます。中国の呉(ご)から渡来したので、この名が付けられました。

根岸(ねぎし)は東京の地名で、この地で子規は亡くなりました。

 

 

うしろより きぬきせまつる春の宵 そぞろや髪の乱れて落ちぬ

【作者】与謝野鉄幹(よさの てっかん)

後に婦人となる晶子との不倫関係に対して、当時の世間から様々な誹謗(ひぼう)や中傷を受けました。結婚後に晶子は12人の子どもを出産しました。

鉄幹は晶子らと共に、東京・お茶の水に文化学院を創設しています。

 

 

かかげても しめりがちなるともし火に 音なき春の雨を知るかな

【作者】樋口一葉(ひぐち いちよう)

一葉は幼少時代から読書が好きで、曲亭馬琴(きょくてい ばきん)の『南総里見八犬伝(なんそうさとみはっけんでん)』を7歳の時に読破したといわれています。

 

 

くれなゐの とばりをもるるともし火の 光かすかに更(ふ)くる春の夜

【作者】正岡子規

「とばり」は、夜の闇を帳(とばり=垂れ衣:たれぎぬ、垂れ布:たれぬの)に例えていう言葉です。

 

 

櫻さく 上野の岡ゆ見おろせば 根岸の里に柳垂れたり

【作者】正岡子規

歌中の「ゆ」は、「~より」を意味しています。

 

上野の山の桜

 

 

さくら花 おそしと待ちし世の人を 驚かすまで咲きし今日かな

【作者】樋口一葉

一葉には渋谷三郎という許婚(いいなずけ)がいましたが、父親の死後に婚約は解消されました。その原因は、渋谷から多額の結納金を要求されたことといわれています。

 

 

誰が夢を 出でてきぬらん桜花 匂へる園に遊ぶこてふは

【作者】樋口一葉

「こてふ」は昆虫の「ちょう(蝶)」のことです。

 

 

ながらへて あれば涙のいづるまで 最上の川の春ををしまむ

【作者】斉藤茂吉(さいとう もきち)

「ながらへて」は、長く生き続けての意です。

 

 

七つの子 かたはらに来てわが歌を すこしづつ読む春の夕ぐれ

【作者】与謝野晶子(よさの あきこ)

「かたはらに」とは、「そばに、わきに」という意味です。

 

 

菜の花の 黄色小雨にとけあひて ほのににじめる昼のあかるみ

【作者】木下利玄(きのした りげん)

「ほのに」とは、「かすかに、わずかに」の意味です。

 

菜の花

 

 

春雨の 音を枕に聞く夜半は 夢の直路(ただじ)ものどけかりけり

【作者】樋口一葉

直路とは、「夢の中で通うまっすぐな道」のことで、夢の中では思っている人のもとに行けることからできた言葉です。

「のどけかりけり」は、「のどか(長閑)なことだなあ」という意味です。

 

 

春過ぎて 木蔭に小く咲きいでぬ 末の子に似る山吹の花

【作者】与謝野晶子

山吹は古歌にも多く詠まれている花です。

 

 

春の日は きらひわたりてみよしのの 吉野の山はふかぶかと見ゆ

【作者】斉藤茂吉

「みよしのの」は枕詞で、吉野に掛かります。また、「みよしの」は吉野を誉めたたえていう言葉です。

 

 

春の雪 をんなの人の八つ口の 傘をこぼれて匂ふみちわる

【作者】木下利玄

「八つ口(やつくち)」とは、着物のわき(脇)のあきの部分のことで、身八つ口(みやつぐち)ともいいます。

「みちわる(道悪)」とは、道でぬかったり歩きにくいようなところのことです。

 

 

春の夜の 月はすがしく照りにけり 木の芽ひらきてやや影に立つ

【作者】土田耕平(つちだ こうへい)

「すがしく(清しく)」とは、「すがすがしく、さわやかに気持ち良く」という意味です。

 

春の月夜

 

 

ひるもなほ 星みるひとの眼にも似る さびしきつかれ早春のたび

【作者】宮沢賢治(みやざわ けんじ)

賢治は詩人、童話作家であり、数多くの名作を残しました。しかし、生前に刊行されたのは詩集『春と修羅』と、童話集『注文の多い料理店』だけでした。

急性肺炎のために満37歳で亡くなりました。

 

 

み佛の 御堂(みどう)に垂るる藤なみの 花のむらさき未だともしも

【作者】斉藤茂吉

御堂とは、仏像を安置したお堂のことをいいます。

 

 

行く春を 送るとなしに旅衣 さそはれてこそ立そめにけれ

【作者】樋口一葉

紙幣に肖像が採用された女性は、神功皇后(じんぐう こうごう)と樋口一葉の二人だけです。

 

 

若き身の くたびれ心それに似る うす紅いろの桜草かな

【作者】与謝野晶子

桜草は江戸時代に育種が進んで、品種は数百種類に及びます。

 

 

わが庭の 彼岸桜は巡礼の むすめの如し風吹けば泣く

【作者】与謝野晶子

彼岸桜(ひがんざくら)と緋寒桜(ひかんざくら=寒緋桜)は別の種類の花です。

 

桜吹雪

 

 

【関連項目】

短歌だけでなく、俳句やからも春を感じてみて下さい。

⇒ 春の俳句 ベスト20

 

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