雨蛙の俳句 25選 -あまがえる-
蛙の中でも小さめな雨蛙は、とても愛らしい存在で古くから人々に愛されてきました。
俳句においても、雨蛙は季語として、多くの俳人によって数多くの作品に詠み込まれてきました。
このページには、雨蛙が詠み込まれた俳句の中から 25句を選びました。雨蛙の姿が目に浮かぶようなものばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。
目次
- 1 雨蛙の俳句 25
- 1.1 雨蛙 いつも地の神 うつむきて
- 1.2 雨蛙 緯度北よりの 空へ鳴く
- 1.3 雨蛙 樫のそよぎに 雲忙し
- 1.4 雨蛙 カンナの花に 鳴きにけり
- 1.5 雨蛙 黒き仏の 宙に鳴く
- 1.6 雨蛙 とびて細枝に かかりけり
- 1.7 雨蛙 鳴いて牧場 ひつそりと
- 1.8 雨蛙 啼くや一面 桑畠
- 1.9 あまがへる 芭蕉にのりて そよぎけり
- 1.10 雨蛙 人を恃みて うたがはず
- 1.11 雨蛙 見ゆるがごとく 鳴きにけり
- 1.12 雨蛙 めんどうくさき 余生かな
- 1.13 雨呼ぶや 観世音寺の 雨蛙
- 1.14 或る時は 雨蛙なき 雨来る
- 1.15 うたかたに 賑ふ水面 雨蛙
- 1.16 曇り来て 諸仏面伏す 雨蛙
- 1.17 淋しさや とらが泪の 雨蛙
- 1.18 皿おけば そのまんなかに 雨蛙
- 1.19 千年の 松をかゝへて 雨蛙
- 1.20 蕗の葉に 雨蛙ゐる つひに暮れ
- 1.21 ふるさとに 帰れば真闇 雨蛙
- 1.22 みささぎの 曇りたまへり 雨蛙
- 1.23 山霧や 虫にまじりて 雨蛙
- 1.24 山の子の いつもひとりで 雨蛙
- 1.25 寄せ書の 灯を吹く風や 雨蛙
雨蛙の俳句 25
雨蛙が詠まれた句を集め、俳句の文字の五十音順に並べました。
なお、雨蛙は俳句において夏の季語として扱われます。
雨蛙 いつも地の神 うつむきて
【作者】百合山羽公(ゆりやま うこう)
雨蛙 緯度北よりの 空へ鳴く
【作者】中村草田男(なかむら くさたお)
雨蛙 樫のそよぎに 雲忙し
【作者】 飯田蛇笏(いいだ だこつ)
【補足】樫(かし)はブナ科の常緑高木です。
雨蛙 カンナの花に 鳴きにけり
【作者】原 石鼎(はら せきてい)
【補足】カンナは夏から秋にかけて花を咲かせます。
雨蛙 黒き仏の 宙に鳴く
【作者】山口誓子(やまぐち せいし)
【補足】「宙」の読み方は「そら」です。
雨蛙 とびて細枝に かかりけり
【作者】飯田蛇笏
【補足】細枝(しもと)とは、若い小枝のことをいいます。
雨蛙 鳴いて牧場 ひつそりと
【作者】高浜年尾(たかはま としお)
雨蛙 啼くや一面 桑畠
【作者】野村喜舟(のむら きしゅう)
【補足】「啼く」の読み方は「なく」です。
あまがへる 芭蕉にのりて そよぎけり
【作者】宝井其角(たからい きかく)
【補足】芭蕉(ばしょう)は、バショウ科の多年草です。
雨蛙 人を恃みて うたがはず
【作者】富安風生(とみやすふうせい)
【補足】「恃みて」の読み方は「たのみて」です。
雨蛙 見ゆるがごとく 鳴きにけり
【作者】日野草城(ひの そうじょう)
雨蛙 めんどうくさき 余生かな
【作者】永田耕衣(ながた こうい)
雨呼ぶや 観世音寺の 雨蛙
【作者】山口青邨(やまぐちせいそん)
或る時は 雨蛙なき 雨来る
【作者】高野素十(たかの すじゅう)
うたかたに 賑ふ水面 雨蛙
【作者】稲畑汀子(いなはた ていこ)
【補足】「うたかた(泡沫)」とは、水面に浮かぶ泡(あわ)のことです。「賑ふ」の読み方は「にぎわう」です。
曇り来て 諸仏面伏す 雨蛙
【作者】水原秋桜子(みずはら しゅうおうし)
【補足】諸仏(しょぶつ)とは、「もろもろの(=いろいろな)仏」という意味です。
淋しさや とらが泪の 雨蛙
【作者】服部土芳(はっとり とほう)
【補足】「泪」の読み方は「なみだ」です。旧暦 5月28日に降る雨のことを「虎が雨(とらがあめ)、虎が涙(とらがなみだ)」といいます。
皿おけば そのまんなかに 雨蛙
【作者】山口青邨
千年の 松をかゝへて 雨蛙
【作者】正岡子規(まさおか しき)
蕗の葉に 雨蛙ゐる つひに暮れ
【作者】山口青邨
【補足】蕗(ふき)は、キク科フキ属の多年草です。
ふるさとに 帰れば真闇 雨蛙
【作者】山口青邨
みささぎの 曇りたまへり 雨蛙
【作者】日野草城
【補足】みささぎ(陵)とは、天皇や皇后の墓のことです。
山霧や 虫にまじりて 雨蛙
【作者】飯田蛇笏
山の子の いつもひとりで 雨蛙
【作者】中村汀女(なかむら ていじょ)
寄せ書の 灯を吹く風や 雨蛙
【作者】渡辺水巴(わたなべ すいは)
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