葡萄の俳句 30選 -ふどう-
葡萄はとても爽やかな果物で、秋という季節を強く感じさせてくれます。
そして、「葡萄」は俳句において夏の季語でもあり、多くの作品に詠み込まれてきました。
このページには、葡萄が詠まれた俳句を多く集めました。秋の雰囲気に満ちた作品ばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。
目次
- 1 葡萄の俳句 30選
- 1.1 嘘ついて 軽く葡萄の 種吐きぬ
- 1.2 おぼろなり 彫りし葡萄は 金にして
- 1.3 枯れなんと せしをぶだうの 盛りかな
- 1.4 くぐり摘む 葡萄の雨を ふりかぶり
- 1.5 黒葡萄 天の甘露を うらやまず
- 1.6 この部屋も 葡萄をおきて 芳しき
- 1.7 三尺の 庭を掩ふや 葡萄棚
- 1.8 鹹き 一日なりし 黒葡萄
- 1.9 雫かと 鳥もあやぶむ ぶだうかな
- 1.10 収穫や 葡萄の垂るる 地の明るさ
- 1.11 秋扇や つまみのせたる 葡萄房
- 1.12 心臓を 透視の如き 葡萄哉
- 1.13 透かし見る 葡萄の種や 掌
- 1.14 すでに秋 葡萄の葉先 うら返り
- 1.15 朝刊を 大きくひらき 葡萄食ふ
- 1.16 掌に 葡萄を置いて 別れけり
- 1.17 一籠の 葡萄をさげて 園主来る
- 1.18 一粒も 欠けざる葡萄 選び買ふ
- 1.19 人に贈る ぶだうのふさを 分ちけり
- 1.20 人の死へ 緊りに緊り 葡萄山
- 1.21 一房の 葡萄重たき たなごころ
- 1.22 ビードロの 皿に盛りたる 葡萄哉
- 1.23 佛壇の 葡萄を落す 鼠哉
- 1.24 葡萄あまし しづかに友の 死をいかる
- 1.25 葡萄食ふ 一語一語の 如くにて
- 1.26 葡萄棚 洩るゝ日影の 微塵かな
- 1.27 葡萄の種 吐き出して事を 決しけり
- 1.28 ほしいまゝに 葡萄取らしむ 葡萄園
- 1.29 宮様の 道に影さす 葡萄かな
- 1.30 紫の ぶだうを置いて 雨の音
葡萄の俳句 30選
季語の「葡萄」が詠み込まれた俳句を集め、句の文字の五十音順に並べました。
どうぞ、ごゆっくりとご鑑賞下さい。
嘘ついて 軽く葡萄の 種吐きぬ
【作者】菖蒲あや(しょうぶ あや)
おぼろなり 彫りし葡萄は 金にして
【作者】山口青邨(やまぐりち せいそん)
枯れなんと せしをぶだうの 盛りかな
【作者】与謝蕪村(よさ ぶそん)
くぐり摘む 葡萄の雨を ふりかぶり
【作者】杉田久女(すぎた ひさじょ)
黒葡萄 天の甘露を うらやまず
【作者】小林一茶(こばやし いっさ)
【補足】甘露(かんろ)とは、中国の伝説で、天子が仁政(じんせい:情け深い政治)を行うと天が降らせるという甘い露(つゆ)のことです。
この部屋も 葡萄をおきて 芳しき
【作者】山口青邨
【補足】「芳しき」の読み方は「かぐわしき、かんばしき」です。
三尺の 庭を掩ふや 葡萄棚
【作者】正岡子規(まさおか しき)
【補足】三尺(さんじゃく)は、約 90センチメートルです。
鹹き 一日なりし 黒葡萄
【作者】友岡子郷(ともおか しきょう)
【補足】「鹹き」の読み方は「しおはゆき(=塩分が多い)」です。
雫かと 鳥もあやぶむ ぶだうかな
【作者】加賀千代女(かがのちよじょ)
収穫や 葡萄の垂るる 地の明るさ
【作者】大野林火(おおの りんか)
秋扇や つまみのせたる 葡萄房
【作者】長谷川かな女(はせがわ かなじょ)
【補足】秋扇(しゅうせん)とは、秋になって用いられなくなった扇の意で、役に立たないもののたとえです。また、寵愛を失った女性のことを意味することがあります。
心臓を 透視の如き 葡萄哉
【作者】瀧井孝作(たきい こうさく)
透かし見る 葡萄の種や 掌
【作者】会津八一(あいづ やいち)
【補足】「掌」の読み方は「たなごごろ、てのひら」です。
すでに秋 葡萄の葉先 うら返り
【作者】野見山朱鳥(のみやま あすか)
朝刊を 大きくひらき 葡萄食ふ
【作者】石田波郷(いしだ はきょう)
掌に 葡萄を置いて 別れけり
【作者】前田普羅(まえだ ふら)
一籠の 葡萄をさげて 園主来る
【作者】山口青邨
一粒も 欠けざる葡萄 選び買ふ
【作者】右城暮石(うしろ ぼせき)
人に贈る ぶだうのふさを 分ちけり
【作者】寺田寅彦(てらだ とらひこ)
人の死へ 緊りに緊り 葡萄山
【作者】三橋鷹女(みつはし たかじょ)
【補足】「緊り」の読み方は「しまり」です。
一房の 葡萄重たき たなごころ
【作者】阿部みどり女(あべ みどりじょ)
ビードロの 皿に盛りたる 葡萄哉
【作者】寺田寅彦
佛壇の 葡萄を落す 鼠哉
【作者】正岡子規
【補足】「佛」は「仏」の旧遺体です。
葡萄あまし しづかに友の 死をいかる
【作者】西東三鬼(さいとう さんき)
葡萄食ふ 一語一語の 如くにて
【作者】中村草田男(なかむら くさたお)
葡萄棚 洩るゝ日影の 微塵かな
【作者】川端茅舎(かわばた ぼうしゃ)
【補足】「微塵」の読み方は「みじん、びじん」です。
葡萄の種 吐き出して事を 決しけり
【作者】高浜虚子(たかはま きょし)
ほしいまゝに 葡萄取らしむ 葡萄園
【作者】正岡子規
宮様の 道に影さす 葡萄かな
【作者】前田普羅
【補足】宮様(みやさま)は、皇族の敬称です。
紫の ぶだうを置いて 雨の音
【作者】細見綾子(ほそみ あやこ)
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