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日本の文豪といえば…  作家 50人の【一覧】 -プロフィール・特徴・代表作-

万年筆とインク

文豪といえば、あなたは誰の名前が思い浮かべますか?

人によって「文豪」の基準は違うでしょうし、選ぶ際には好みも影響してくるかもしれません。しかし、一般的に文豪として評価されている作家には共通したものがあるといえるでしょう。

このページには、文豪の名にふさわしいと考えられる作家を 50人集めました。ここに名前を挙げた作家は、すべて有名な人々です。できるだけ客観的に選んだつもりですが、いかがでしょうか。そのあたりをチェックしていただければと思います。

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目次

日本の文豪 50人について

「文豪」と呼ぶに値すると考えられる作家を選定し、名前の五十音順に並べました。【プロフィール】には、ペンネームの由来なども含めて記載しました。

また、「本名」の項目(作家名と違う人物のみ)には、漢字の表記が違う場合、読み方が違う場合などを記載してあります。

なお、この 50人についてまとめてみて、若くして亡くなった作家が多い結果となりました。なかでも 30代までに没した作家は以下のようになります。(名前の五十音順)

作家名 没年齢
芥川龍之介 35
尾崎紅葉 35
織田作之助 33
梶井基次郎 31
国木田独歩 36
小林多喜二 29
太宰治 38
中島敦 33
樋口一葉 24
宮沢賢治 37

なかでも、24歳で亡くなった樋口一葉にいたっては、もう言葉がありません。

もしこれらの作家たちが、せめて倍ほどの人生を送っていたら、はたしてどれだけの名作を生み出していただろうかと考えると惜しくてなりません。

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日本の文豪 50人

 

芥川龍之介(あくたがわ りゅうのすけ)

■ 1892 ~ 1927年(満35歳没)

【プロフィール】

母親が精神を病んだため、生後9ヶ月で芥川家の養子となりました。

多くの傑作を世に出しながらも心を病むようになり、1927年(昭和2年)に心中未遂事件を起こし、その年の 7月に自宅で睡眠薬を飲んで自殺しました。

龍之介は夏目漱石の門下となり、生涯にわたって漱石を尊敬し続けていました。


【文学の特長】 新思潮派、新技巧派、芸術至上主義

【代表作】

  • 羅生門
  • 芋粥
  • 蜘蛛の糸
  • 藪の中
  • 河童
  • 或阿呆の一生

 

 

安部公房(あべ こうぼう)

■ 本名:安部公房(あべ きみふさ)

■ 1924 ~ 1993年(満68歳没)

【プロフィール】

東京大学医学部を卒業した3年後、27歳で芥川賞を受賞して文学の道を進みました。公房の作品は国際的にも高い評価を受けており、晩年にはノーベル文学賞の候補に名前が挙げられていました。


【文学の特長】 シュールレアリズム、幻想文学、ポストモダン文学、第二次戦後派

【代表作】

  • 壁-S・カルマ氏の犯罪
  • 砂の女
  • 他人の顔
  • 燃え尽きた地図
  • 箱男
  • 密会

 

 

有島武郎(ありしま たけお)

■ 1878 ~ 1923年(満45歳没)

【プロフィール】

大蔵省の官僚の父を持つ武郎は、アメリカに留学してハバフォード大学大学院、ハーバード大学で学びました。帰国した後に同人誌『白樺』に参加し、白樺派の中心的存在として活躍しました。

しかし、やがて創作活動の勢いが衰えをみせるようになり、1923年(大正12年)に人妻であった女性と軽井沢の別荘で心中しました。


【文学の特長】 白樺派

【代表作】

  • 或る女
  • 惜しみなく愛は奪う(評論)
  • カインの末裔
  • 生まれいづる悩み
  • 小さき者へ

 

 

石川達三(いしかわ たつぞう)

■ 1905 ~ 1985年(満79歳没)

【プロフィール】

父親の転勤にともない、秋田、東京、岡山などで少年期を過ごしました。ブラジルでの移民の監督者としての経験をもとに『蒼氓』を書き、1935年に第1回・芥川賞を受賞しました。

また、1938年には『生きてゐる兵隊』が発禁処分となりました。


【文学の特長】社会派、正義派

【代表作】

  • 蒼氓
  • 生きてゐる兵隊
  • 青春の蹉跌

 

 

泉鏡花(いずみ きょうか)

■ 本名:泉 鏡太郎(いずみ きょうたろう)

■ 1873 ~ 1939年(満65歳没)

【プロフィール】

尾崎紅葉の『二人比丘尼 色懺悔』を読んで文学を志し、後に門下となって紅葉を師事しましたが、その態度は崇拝といえるほどであったといわれています。

徳田秋声の「紅葉はお菓子が好きでたくさん食べたから胃を悪くして死んだのだ」という言葉に怒った鏡花は、火鉢を飛び越えて秋声に殴りかかったというエピソードがあります。

鏡花が潔癖症だったことは文壇でも有名で、「腐」の字を嫌って豆腐(とうふ)を豆府と書くほどでした。また、生ものを食べないどころか、もらった菓子などはあぶってから食べていました。


【文学の特長】浪漫主義、幻想文学、観念小説

【代表作】

  • 高野聖
  • 婦系図
  • 歌行燈
  • 外科室

高野山

 

 

井伏鱒二(いぶせ ますじ)

■ 本名:井伏 滿壽二(いぶせ ますじ)

■ 1898 ~ 1993年(満95歳没)

【プロフィール】

ペンネームは釣りが好きだったことから付けられたもので、佐藤春夫に師事していました。1938年(昭和13年)には『ジョン万次郎漂流記』で第6回・直木賞を受賞しています。

鱒二の弟子となったのが太宰治で、鱒二の仲介によって甲府で結婚式を挙げました。


【文学の特長】新興芸術派

【代表作】

  • 山椒魚
  • 黒い雨
  • ジョン万次郎漂流記
  • 本日休診

 

 

江戸川乱歩(えどがわ らんぽ)

■ 本名:平井太郎(ひらい たろう)

■ 1894 ~ 1965年(満70歳没)

【プロフィール】

ペンネームはアメリカの作家エドガー・アラン・ポーからとられたものです。戦後は新人作家の発掘にも力を入れ、高木彬光、大薮春彦、筒井康隆らを見出しています。

探偵・明智小五郎(あけち こごろう)が登場する小説は有名で、とても人気があります。

人々からは、尊敬を込めた「大乱歩」という呼び方をされました。


【文学の特長】推理小説、探偵小説

【代表作】

  • D坂の殺人事件
  • 陰獣
  • 人間椅子
  • 屋根裏の散歩者
  • 怪人二十面相
  • パノラマ島奇談
  • 押絵と旅する男

 

 

尾崎紅葉(おざき こうよう)

■ 本名:尾崎徳太郎(おざき とくたろう)

■ 1868 ~ 1903年(満35歳没)

【プロフィール】

紅葉は口語文と文語文を巧みに折衷した文体・雅俗折衷を用いて流行作家となり、明治時代の文壇は幸田露伴とともに「紅露時代」といわれています。

紅葉の『金色夜叉』は、「前編」「中編」「後編」「続金色夜叉」「続続金色夜叉」「新続金色夜叉」の6編から成りますが、執筆中に亡くなったために未完成の作品です。


【文学の特長】写実主義、擬古典主義

【代表作】

  • 二人比丘尼色懺悔
  • 伽羅枕
  • 三人妻
  • 金色夜叉
  • 多情多恨

 

 

織田作之助(おだ さくのすけ)

■ 本名:鈴木作之助 [出生時] ⇒ 織田作之助

■ 1913 ~ 1947年(満33歳没)

【プロフィール】

はじめは劇作家を目指していましたが、フランスの作家・スタンダールの影響から小説家となる道を選びました。

処女作の『雨』が注目されて人気を集めるようになり、「オダサク」という愛称で親しまれるようになりました。


【文学の特長】無頼派、新戯作派

【代表作】

  • 夫婦善哉
  • 青春の逆説
  • 俗臭
  • 土曜婦人

 

 

梶井基次郎(かじい もとじろう)

■ 1901 ~ 1932年(満31歳没)

【プロフィール】

肺結核によって31歳の若さで亡くなった基次郎は 20余りの短編小説しか残していませんが、それらは「不朽の名作」「珠玉の名品」といわれるほどの高い評価を受けています。

しかし、その評価が確立して独自の地位を得たのは、基次郎が亡くなった後のことでした。


【文学の特長】自然主義

【代表作】

  • 檸檬
  • 桜の樹の下には
  • 城のある町にて
  • 冬の日
  • ある心の風景

満開の桜の木

 

 

川端康成(かわばた やすなり)

■ 1899 ~ 1972年(満72歳没)

【プロフィール】

1968年には、日本人として初めてノーベル文学賞を受賞しました。『雪国』は代表作の一つで、海外でも高い評価を受けています。

そして、1972年4月に川端のガス自殺が報じられ、日本のみならず海外にまで衝撃を与えました。


【文学の特長】新感覚派、振興芸術派

【代表作】

  • 雪国
  • 伊豆の踊子
  • 山の音
  • 古都
  • 眠れる美女
  • 掌の小説

 

 

菊池寛(きくち かん)

■ 本名:菊池 寛(きくち ひろし)

■ 1888 ~ 1948年(満59歳没)

【プロフィール】

1923年に雑誌「文芸春秋」を私費で創刊して成功を収めました。また、芥川賞と直木賞を設立したのも菊池です。

名前を「ひろし」、「かん」のどちらで呼ばれても気にしなかったけれども、「菊地」と誤った字で書かれると非常に機嫌が悪くなったといわれています。


【文学の特長】新現実主義、新思潮派

【代表作】

  • 恩讐の彼方に
  • 父帰る
  • 藤十郎の恋
  • 真珠婦人

 

 

国木田独歩(くにきだ どっぽ)

■ 本名:国木田亀吉 ⇒ 国木田哲夫 [改名]

■ 1871 ~ 1908年(満36歳没)

【プロフィール】

肺結核にかかり療養生活を送るなか、 36歳の若さで亡くなりました。

夏目漱石、芥川龍之介も独歩の作品を高く評価していました。『武蔵野』は自然文学の代表作として広く読まれています。


【文学の特長】自然主義、浪漫主義

【代表作】

  • 武蔵野
  • 牛肉と馬鈴薯
  • 春の鳥
  • 竹の木戸

 

 

黒岩涙香(くろいわ るいこう)

■ 本名:黒岩周六(くろいわ しゅうろく)

■ 1862 ~ 1920年(満57歳没)

【プロフィール】

ペンネームは「黒い・悪い・子」を意識したものともいわれます。他に、涙香小史、冷眼士、香骨居士なども使用しました。

涙香は 100を超える外国の小説を翻案して発表しています。


【文学の特長】翻案小説、探偵小説

【代表作】

  • 月世界旅行 [翻訳]
  • 鉄仮面 [翻訳]
  • 白髪鬼(復讐) [翻訳]
  • 幽霊塔 [翻訳]
  • 巌窟王(モンテ・クリスト伯) [翻訳]
  • 噫無情(ああ無情、レ・ミゼラブル) [翻訳]
  • 八十万年後の社会(タイム・マシン) [翻訳]
  • 無惨

 

 

小泉八雲(こいずみ やくも)

■ 本名:Patrick Lafcadio Hearn ⇒ 小泉八雲 [帰化]

■ 1850 ~ 1904年(満54歳没)

【プロフィール】

パトリック・ラフカディオ・ハーンが出生名で、日本国籍を取得してから「小泉八雲」を名乗りました。

ギリシャで生まれ、アイルランド、イギリス、フランス、アメリカと様々な国で暮らし、日本では14年を過ごしました。

日本文化を欧米に紹介する書物を多く残した八雲は、日本人以上に日本を好んでいたのかもしれません。


【文学の特長】再話文学

【代表作】

  • 知られざる日本の面影
  • 骨董
  • 怪談

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幸田露伴(こうだ ろはん)

■ 本名:幸田成行(こうだ しげゆき)

■ 1867 ~ 1947年(満80歳没)

【プロフィール】

坪内逍遥の『小説神髄』『当世書生気質』を読んで、露伴は文学の道を志したといわれています。ペンネームの「露伴」は、「里遠し いざ露と寝ん 草枕」という俳句からとったものです。

明治時代には尾崎紅葉とともに「紅露時代」といわれたように、近代文学の進展に大きな影響を与えました。

長女の幸田文(あや)も作家となり、『父』『流れる』『おとうと』などの作品を残しています。


【文学の特長】理想主義、写実主義

【代表作】

  • 風流仏
  • 五重塔
  • 運命

 

 

小林多喜二(こばやし たきじ)

 ■ 1903 ~ 1933年(満29歳没)

【プロフィール】

文芸雑誌「戦旗」に発表した『蟹工船』によって、プロレタリア文学の旗手として一躍注目を集めました。しかし、当時の特別高等警察(特高)によって要注意人物としてマークされることにもなり、後に逮捕されて拷問を受け死に至りました。

なお、『一九二八年三月十五日』という作品中には特高による拷問の描写があり、これが特高の怒りを買ったといわれています。


【文学の特長】プロレタリア文学、戦旗派

【代表作】

  • 蟹工船
  • 不在地主
  • 党生活者

 

 

坂口安吾(さかぐち あんご)

■ 本名:坂口炳五(さかぐち へいご)

■ 1906 ~ 1955年(満48歳没)

【プロフィール】

純文学だけでなく、推理小説、歴史小説、随筆など幅広い分野の作品を執筆しました。

安吾の自伝的小説『いづこへ』の中の「偉大なる落伍者」という言葉はよく知られています。


【文学の特長】無頼派、新戯作派

【代表作】

  • 白痴
  • 桜の森の満開の下
  • 不連続殺人事件
  • 堕落論(評論)

 

 

佐藤春夫(さとう はるお)

■ 1892 ~ 1964年(満72歳没)

【プロフィール】

井伏鱒二、太宰治、稲垣足穂、檀一雄、吉行淳之介、柴田錬三郎、遠藤周作など多くの弟子を持ち、「門弟三千人」といわれました。

春夫は谷崎潤一郎の妻であった千代と結婚しましたが、当時は新聞などで「細君譲渡事件」として報道されて話題となりました。


【文学の特長】浪漫主義、耽美派

【代表作】

  • 田園の憂鬱
  • 都会の憂鬱
  • 李太白(詩文集)

 

 

里見弴(さとみ とん)

■ 本名:山内英夫(やまのうち ひでお)

■ 1888 ~ 1983年(満94歳没)

【プロフィール】

ペンネームは、電話帳をめくっていき「トン」と指で突いたのが里見という姓であったことから決められました。

有島武郎が兄であり、武郎の心中事件の際に弴は「兄貴はあんまり女を知らないからあんなことで死んだんだ」と言ったとされています。


【文学の特長】白樺派

【代表作】

  • 善心悪心
  • 多情仏心
  • 恋ごころ
  • 今年竹

鎌倉の風景

 

 

志賀直哉(しが なおや)

■ 1883 ~ 1971年(満88歳没)

【プロフィール】

多くの小説家からも高い評価を得た直哉は、作品「小僧の神様」の題名から「小説の神様」と呼ばれました。

戦後に「フランス語を公用語にすべし」という主張をしたことがありました。


【文学の特長】白樺派、私小説

【代表作】

  • 暗夜行路
  • 城の崎にて
  • 赤西蠣太
  • 和解
  • 小僧の神様

 

 

司馬遼太郎(しば りょうたろう)

■ 本名:福田定一(ふくだ ていいち)

■ 1923 ~ 1996年(満72歳没)

【プロフィール】

新聞記者時代に『梟の城』で直木賞を受賞し、その後新聞社を退職して作家となり、戦国時代、幕末・明治時代を舞台とした小説を数多く発表しました。

ペンネームは「司馬遷に遼(はるか)に及ばざる日本の者(=太郎)」から付けられたものです。


【文学の特長】歴史小説、推理小説

【代表作】

  • 梟の城
  • 風神の門
  • 竜馬がゆく
  • 燃えよ剣
  • 国盗り物語
  • 坂の上の雲
  • 項羽と劉邦

 

 

島崎藤村(しまざき とうそん)

■ 本名:島崎春樹(しまざき はるき)

■ 1872 ~ 1943年(満71歳没)

【プロフィール】

藤村は姪・こま子と不倫関係になって妊娠させ、スキャンダルとなりました。この関係を断つためにフランスへ渡って約3年を過ごしますが、帰国後には再び関係が続きました。


【文学の特長】自然主義、浪漫主義

【代表作】

  • 若菜集(詩集)
  • 破戒
  • 新生
  • 夜明け前

 

 

高見順(たかみ じゅん)

■ 本名:高間芳雄(たかま よしお)

■ 1907 ~ 1965年(満58歳没)

【プロフィール】

1933年に治安維持法違反の疑いで検挙されましたが、転向を表明することによって釈放されました。

『故旧忘れ得べき』は第1回芥川賞の候補となった作品です。


【文学の特長】転向文学

【代表作】

  • 故旧忘れ得べき
  • 如何なる星の下に
  • いやな感じ
  • 死の淵より(詩集)

 

 

太宰治(だざい おさむ)

■ 本名:津島修治(つしま しゅうじ)

■ 1909 ~ 1948年(満38歳没)

【プロフィール】

太宰の作品『逆光』は第1回芥川賞の候補となりましたが、受賞はできず次席となりました。

『如是我聞(にょぜがもん)』には「志賀直哉という作家がある。アマチュアである。六大学リーグ戦である。」という文章がありますが、当時の作家が志賀直哉にたてつくことは、事実上の文壇追放を意味していたと言われています。


【文学の特長】無頼派、新戯作派

【代表作】

  • 富嶽百景
  • 走れメロス
  • 津軽
  • お伽草子
  • パンドラの匣
  • ヴィヨンの妻
  • 斜陽
  • 人間失格

 

 

谷崎潤一郎(たにざき じゅんいちろう)

■ 1886 ~ 1965年(満79歳没)

【プロフィール】

谷崎の作品はノーベル文学賞の候補に少なくとも 7回選ばれるなど、日本のみならず世界的にも高い評価を受けています。

近代の日本文学を代表する作家であり、「文豪」や「大谷崎」の名で呼ばれました。

谷崎のライフワークともいえる源氏物語の現代語訳は「谷崎源氏」とも呼ばれ、執筆中には自宅を平安朝に改装しました。


【文学の特長】耽美主義、古典主義、悪魔主義

【代表作】

  • 刺青
  • 母を恋ふる記
  • 痴人の愛
  • 蓼喰ふ虫
  • 春琴抄
  • 細雪
  • 瘋癲老人日記

 

 

田山花袋(たやま かたい)

■ 本名:田山録弥(たやま ろくや)

■ 1872 ~ 1930年(満58歳没)

【プロフィール】

花袋は国木田独歩、島崎藤村、柳田國男らと交友がありました。

上毛かるた(花袋が生まれた群馬の郷土かるた)の「ほ」は「誇る文豪 田山花袋」です。


【文学の特長】自然主義

【代表作】

  • 蒲団
  • 田舎教師

 

 

坪内逍遥(つぼうち しょうよう)

■ 本名:坪内雄蔵(つぼうち ゆうぞう)

■ 1859 ~ 1935年(満75歳没)

【プロフィール】

逍遥が 1885年(明治18年)に発表した評論『小説真髄』は、日本の近代文学に大きな影響を及ぼしました。

また、シェイクスピア全集の翻訳でも知られていますが、逍遥の「ハムレット」翻訳劇を鑑賞した夏目漱石は批判的な意見を述べました。

松本清張は、逍遥に関する評伝的な小説『文豪』を発表しています。


【文学の特長】写実主義

【代表作】

  • 当世書生気質
  • 小説真髄(文学論)

 

 

徳田秋声(とくだ しゅうせい)

■ 本名:徳田末雄(とくだ すえお)

■ 1872 ~ 1943年(満71歳没)

【プロフィール】 

尾崎紅葉の弟子となった秋声は、やがて泉鏡花、小栗風葉、柳川春葉とともに紅葉門下の四天王と呼ばれるようになりました。

「都新聞(東京新聞の前身)」に連載されていた秋声の最後の長編小説『縮図』は、当時の情報局から干渉を受けて中絶し未完となりました。


【文学の特長】自然主義

【代表作】

  • 新所帯
  • あらくれ
  • 仮装人物
  • 縮図

 

 

徳冨蘆花(とくとみ ろか)

■ 本名:徳冨健次郎(とくとみ けんじろう)

■ 1868 ~ 1927年(満58歳没)

【プロフィール】

ペンネームは、蘆花の随筆『自然と人生』の記述「『蘆の花は見所とてもなく』と清少納言は書きぬ。然もその見所なきを余は却って愛するなり」からとったものです。

また、姓の「徳冨」の「冨」の字(「うかんむり」ではなく「わかんむり」)の表記にこだわっていました。


【文学の特長】浪漫主義

【代表作】

  • 不如帰
  • 自然と人生(随筆)
  • 思出の記
  • 黒潮

菊池渓谷の四十三万滝

 

 

永井荷風(ながい かふう)

■ 本名:永井莊吉(ながい そうきち)

■ 1879 ~ 1959年(満79歳没)

【プロフィール】

森鴎外らの推薦で慶應義塾大学文学部の主任教授の職につき、文化勲章を受章するなどの名誉にも包まれましたが、晩年は孤独な生活を送りました。


【文学の特長】耽美主義

【代表作】

  • 地獄の花
  • あめりか物語
  • ふらんす物語
  • すみた川
  • 腕くらべ
  • 濹東綺譚
  • 断腸亭日乗

 

 

中里介山(なかざと かいざん)

■ 本名:中里弥之助(なかざと やのすけ)

■ 1885 ~ 1944年(満54歳没)

【プロフィール】

日本の古典文学を愛する一方で、トルストイやヴィクトル・ユーゴーらの外国の小説も好んで読んだと言われています。

『大菩薩峠』がベストセラーになったものの、六畳一間で菜食中心の粗食というストイックな生活スタイルを貫きました。


【文学の特長】時代小説

【代表作】

  • 氷の花
  • 大菩薩峠

 

 

中島敦(なかじま あつし)

■ 1909 ~ 1942年(満33歳没)

【プロフィール】

高等学校の教師、教科書編纂掛としてのパラオ共和国への赴任などを経て、小説家として執筆活動に専念しました。

『光と風と夢』は第15回芥川賞の候補にもなりましたが、受賞には至りませんでした。その後、気管支喘息によって満33歳で亡くなりました。

『山月記』にある以下の文章を読むたびに、中島自身の短い人生を考えずにはいられません。

人生は何事をも為なさぬには余りに長いが、何事かを為すには余りに短い


【文学の特長】

【代表作】

  • 山月記
  • 李陵
  • 名人伝
  • 古潭
  • 光と風と夢

【関連】 中島敦の作品【一覧】  『山月記』のあらすじ

 

 

夏目漱石(なつめ そうせき)

■ 本名:夏目金之助(なつめ きんのすけ)

■ 1867 ~ 1916年(満49歳没)

【プロフィール】

「漱石」は、正岡子規が使っていた多くのペンネームのうちの一つを譲り受けたものです。

『こころ』は 1914年(大正3年)に朝日新聞に連載が開始された長編小説です。それから 100年経った 2014年には、売り上げが700万部を超えました。


【文学の特長】余裕派、反自然主義

【代表作】

  • 吾輩は猫である
  • 坊ちゃん
  • 草枕
  • 三四郎
  • それから
  • 彼岸過迄
  • 行人
  • こころ
  • 明暗

【関連】 夏目漱石の俳句

 

 

林芙美子(はやし ふみこ)

■ 本名:林フミコ

■ 1903 ~ 1951年(満47歳没)

【プロフィール】

下足番、女工、女中、女給など様々な職に就いて生活し、代表作といわれる『放浪記』によって流行作家となりました。

花の命は短くて 苦しきことのみ多かりき」という言葉を好み、色紙などによく書いたといわれています。


【文学の特長】自伝的私小説

【代表作】

  • 放浪記
  • 続放浪記
  • 清貧の書
  • 牡蠣
  • 浮雲
  • めし

 

 

樋口一葉(ひぐち いちよう)

■ 本名:樋口奈津(ひぐち なつ)

■ 1872 ~ 1896年(満24歳没)

【プロフィール】

一葉は『大つごもり』を発表してから注目を浴びるようになり、森鷗外、幸田露伴、斎藤緑雨らも作品を絶賛しました。

この『大つごもり』から亡くなるまでの期間は、「奇蹟の14ヶ月」と呼ばれています。


【文学の特長】浪漫主義

【代表作】

  • 大つごもり
  • ゆく雲
  • にごりえ
  • 十三夜
  • たけくらべ

【関連】 樋口一葉の歌

 

 

二葉亭四迷(ふたばてい しめい)

■ 本名:長谷川辰之助(はせがわ たつのすけ)

■ 1864 ~ 1909年(満45歳没)

【プロフィール】

ペンネームの「二葉亭四迷」は、坪内雄蔵(坪内逍遥の本名)の名を借りて『浮雲』を出版した自分に対して出た「くたばってしめえ」という言葉からとったといわれています。

小説の創作だけでなく、ロシア文学を多く翻訳したことでも知られています。


【文学の特長】写実主義、言文一致体

【代表作】

  • 浮雲
  • かた恋
  • 其面影
  • 平凡

 

 

堀辰雄(ほり たつお)

■ 1904 ~ 1953年(満48歳没)

【プロフィール】

堀は『風立ちぬ』や『美しい村』のように軽井沢を舞台にした小説を発表しており、実際にもしばしば滞在していました。


【文学の特長】新心理主義、王朝女流文学

【代表作】

  • 聖家族
  • 美しい村
  • 風立ちぬ
  • かげろふの日記
  • 菜穂子
  • 大和路・信濃路

 

 

正宗白鳥(まさむね はくちょう)

■ 本名:正宗忠夫(まさむね ただお)

■ 1879 ~ 1962年(満83歳没)

【プロフィール】

読売新聞社で文芸、演劇などを担当した後、退社して本格的な作家活動に入りました。

1935年(昭和10年)には外務省の呼びかけに応じて、島崎藤村や徳田秋声らとともに日本ペンクラブ(国際ペンクラブの日本センター、一般社団法人)を設立しました。


【文学の特長】自然主義

【代表作】

  • 寂寞
  • 何処へ
  • 入り江のほとり
  • 毒婦のやうな女
  • 最後の女(戯曲)
  • 人間嫌ひ
  • 日本脱出

 

 

三島由紀夫(みしま ゆきお)

■ 本名:平岡公威(ひらおか きみたけ)

■ 1925 ~ 1970年(満45歳没)

【プロフィール】

三島はノーベル文学賞の候補になるなど、世界的にも高い評価を受けた文学者でした。川端康成がノーベル文学賞を受賞した際のインタビューでは「三島由紀夫君が若すぎるということのおかげです」とも答えています。

1970年に陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地でクーデターを決起し、割腹自殺を遂げました。


【文学の特長】第二次戦後派、耽美派、日本浪漫派

【代表作】

  • 花盛りの森
  • 仮面の告白
  • 潮騒
  • 金閣寺
  • 鹿鳴館
  • 憂国
  • 春の雪
  • 豊饒の海

金閣寺

 

 

宮沢賢治(みやざわ けんじ)

■ 1896 ~ 1933年(満37歳没)

【プロフィール】

賢治は作品中の理想郷をイーハトーブ(イーハトブ、イーハトーヴォ)と名付けました。

賢治の代表作とされる『銀河鉄道の夜』は、未定稿であるため様々な解釈がなされています。


【文学の特長】理想主義

【代表作】

  • 注文の多い料理店
  • 銀河鉄道の夜
  • 風の又三郎
  • セロ弾きのゴーシュ
  • 春と修羅(詩集)

【関連】 宮沢賢治の詩

 

 

武者小路実篤(むしゃのこうじ さねあつ)

■ 1885 ~ 1976年(満90歳没)

【プロフィール】

理想郷を実現する目的で、宮崎と埼玉に「新しき村」を建設しました。

色紙に「仲良きことは美しき哉」などの文章と野菜の絵を描いたことでも知られています。


【文学の特長】白樺派、理想主義

【代表作】

  • お目出たき人
  • 幸福者
  • 友情
  • 人間万歳
  • 或る男
  • 愛と死
  • 真理先生

 

 

森鷗外(もり おうがい)

■ 本名:森 林太郎(もり りんたろう)

■ 1862 ~ 1922年(満60歳没)

【プロフィール】

鷗外は 12歳で医学校(現在の東京大学医学部)に入学しました。入学資格が 14歳であったため、年齢を偽ってのことでした。

当時の資料から推測すると、9歳の時に 15歳に相当する学力であったといわれています。


【文学の特長】浪漫主義、高踏派

【代表作】

  • 舞姫
  • ヰタ・セクスアリス
  • 山椒大夫
  • 高瀬舟

【関連】 『舞姫』は実話?

 

 

山岡荘八(やまおか そうはち)

■ 本名:藤野庄蔵(ふじの しょうぞう)

■ 1907 ~ 1978年(満71歳没)

【プロフィール】

『徳川家康』は 17年にわたって複数の新聞(北海道新聞、東京新聞、中日新聞、西日本新聞)に連載された歴史小説(全26巻)で、ビジネス書としても読まれてロングセラーとなっています。


【文学の特長】歴史小説

【代表作】

  • からゆき軍歌
  • 海底戦記
  • 元帥山本五十六
  • 徳川家康

 

 

山田美妙(やまだ びみょう)

■ 本名:山田武太郎(やまだ たけたろう)

■ 1868 ~ 1910年(満42歳没)

【プロフィール】

美妙は言文一致体運動、新体詩運動の先駆者といわれ、「東洋のシェークスピア」と呼ばれたこともありました。

しかし、晩年には文壇から遠ざかり、『大辞典』などの国語辞典の編纂に力を置きました。


【文学の特長】写実主義

【代表作】

  • 新体詞選(尾崎紅葉、丸岡九華との共著)
  • 武蔵野
  • 胡蝶

 

 

山本有三(やまもと ゆうぞう)

■ 本名:山本勇造(やまもと ゆうぞう)

■ 1887 ~ 1974年(満86歳没)

【プロフィール】

小説家の久米正雄と松岡譲が夏目漱石の長女・筆子を巡って争った「破船事件」の際に、久米と仲が悪かった有三は怪文書を夏目家に送り、久米を誹謗中傷したといわれています。


【文学の特長】

【代表作】

  • 女の一生
  • 真実一路
  • 路傍の石

 

 

夢野久作(ゆめの きゅうさく)

■ 本名:杉山泰道(すぎやま やすみち)

■ 1889 ~ 1936年(満47歳没)

【プロフィール】

ペンネームは、彼の作品を読んだ父親が「夢の久作の書いたごたる小説じゃねー」と言ったことから付けられたものです。この「夢の久作」とは、福岡の方言で「夢ばかり見ている変人(=夢想家)」という意味を持っています。

久作の代表作である『ドグラ・マグラ』は、日本探偵小説にける「三大奇書」の一つです。(他は小栗虫太郎の『黒死館殺人事件』、中井英夫の『虚無への供物』)

しかし、たんなる探偵小説や推理小説といったジャンルには収まりきれない展開をみせる小説です。


【文学の特長】幻想文学、怪奇文学

【代表作】

  • ドグラ・マグラ
  • 少女地獄
  • あやかしの鼓
  • ゐなか、の、じけん
  • 死後の恋

 

 

横溝正史(よこみぞ せいし)

■ 本名:横溝正史(よこみぞ まさし)

■ 1902 ~ 1981年(満79歳没)

【プロフィール】

探偵・金田一耕助が登場する数多くの小説は有名で、映画化やテレビドラマ化によって広く知られています。

横溝は閉所恐怖症で電車が大嫌いであったこと、気分転換に編み物をしていたことなどのエピソードが伝えられています。


【文学の特長】推理小説

【代表作】

  • 本陣殺人事件
  • 獄門島
  • 八つ墓村
  • 犬神家の一族
  • 悪魔の手毬唄

 

 

横光利一(よこみつ りいち)

■ 本名:横光利一(よこみつ としかず)

■ 1898 ~ 1947年(満49歳没)

【プロフィール】

利一は川端康成とともに「新感覚派」と呼ばれましたが、この言葉は評論家の千葉亀雄(ちば かめお)が名付けたものです。

また、「文学の神様」や志賀直哉と同じく「小説の神様」とも呼ばれていました。


【文学の特長】新感覚派

【代表作】

  • 日輪
  • 春は馬車に乗って
  • 機械
  • 寝園
  • 上海
  • 紋章
  • 純粋小説論(評論)
  • 旅愁

 

 

吉川英治(よしかわ えいじ)

■ 本名:吉川英次(よしかわ ひでつぐ)

■ 1892 ~ 1962年(満70歳没)

【プロフィール】

大衆文学の代表作となった『宮本武蔵』は、朝日新聞に 4年にわたって連載されたもので、新聞小説としてかつてないほどの人気を集めました。

この小説が生まれるきっかけになったのは、菊池寛(きくち かん)と直木三十五(なおき さんじゅうご)の宮本武蔵に関する論争でした。


【文学の特長】歴史小説、時代小説

【代表作】

  • 鳴門秘帖
  • 宮本武蔵
  • 三国志
  • 新書太閤記
  • 新・平家物語

 

 


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