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蝶の俳句 50選 -胡蝶・てふてふ-

紫色の花にとまった黄色い蝶

春ののどかな風景に、蝶がひらひらと舞う姿はとてもよく似合います。しかし、春ほどではないにしても、蝶は四季を通じて見ることができます。

俳句においても、春・夏・秋・冬のそれぞれの蝶が取り上げられた多くの作品が残されています。

このページには、様々な蝶が詠まれた俳句を集めましたので、蝶のいる四季それぞれの風景を思い浮かべながら鑑賞してみてください

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目次

春の蝶の俳句

「春の蝶」とせずに、単に「蝶」とした場合も春の季語となります。また、俳句によって「蝶々」は、「ちょうちょ(3音)」と「ちょうちょう(4音)」の読み方があります。

 

あをあをと 空を残して 蝶別れ

【作者】大野林火(おおの りんか)

 

大いなる 門の内より 春の蝶

【作者】阿部みどり女(あべ みどりじょ)

 

かたばみに 同じ色なる 蝶々かな

【作者】村上鬼城(むらかみ きじょう)

【補足】かたばみ(酢漿)はカタバミ科の多年草で、春から秋にかけて黄色い花が咲きます。

 

菖蒲見の 袖にとまりぬ 雨の蝶

【作者】高橋淡路女(たかはし あわじじょ)

【補足】「菖蒲」の読み方は「しょうぶ」です。

 

蝶追うて 春山深く 迷ひけり

【作者】杉田久女(すぎた ひさじょ)

揚羽蝶

 

蝶とぶや 此世に望み ないやうに

【作者】小林一茶(こばやし いっさ)

【補足】「此世」の読み方は「このよ」です。

 

蝶二つ 飛び立つさまの 光かな

【作者】横光利一(よこみつ りいち)

 

蝶を見し こころそのまま 夜となる

【作者】阿部みどり女

 

恙の身 蝶にかはりて 舞はんとも

【作者】阿部みどり女

【補足】(つつが)とは「病気、やまい」という意味です。

 

菜の花の 化したる蝶や 法隆寺

【作者】松瀬青々(まつせ せいせい)

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胡蝶の俳句

胡蝶(こちょう)は「蝶」の異名で、春の季語となります。

 

青空に 見うしなひけり 飛胡蝶

【作者】巒 寥松(みね りょうしょう)

 

鴬の 鳴あつめたる 胡蝶かな

【作者】服部土芳(はっとり とほう)

【補足】「鶯(うぐいす)」も春の季語です。

 

うつくしき 胡蝶のはての 浮世哉

【作者】正岡子規(まさおか しき)

【補足】浮世(うきよ)とは、「(はかない)世の中、(つらい苦しい)世間」を意味します。句末の「哉(かな)」は、詠嘆や感動を表わします。

 

釣り鐘に とまりて眠る 胡蝶かな

【作者】与謝蕪村(よさ ぶそん)

 

見残した 胡蝶の夢や 遅桜

【作者】正岡子規

白い桜の花にとまったモンシロチョウ

 

 

初蝶の俳句

初蝶(はつちょう)とは、春になって初めて見る蝶のことをいいます。初日(はつひ)などと違い、年が明けてから初めての蝶のことではありません。俳句で春の季語となります。

 

初蝶に 日向の景色 つなぎをり

【作者】稲畑汀子(いなはた ていこ)

【補足】「日向」の読み方は「ひなた」です。

 

初蝶の いきおひ猛に 見ゆる哉

【作者】小林一茶

【補足】「猛(もう)」とは、程度が激しい様子を表現する言葉です。

 

初蝶の 一瞬にして 黄なりけり

【作者】阿部みどり女

 

初蝶の うす紫に とび消えし

【作者】星野立子(ほしの たつこ)

 

初蝶を かりそめに追ふ 雀かな

【作者】阿波野青畝(あわの せいほ)

【補足】「かりそめに(仮初に)」は「ちょっとしたひょうしに、ふと」という意味です。

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夏の蝶の俳句

「夏の蝶」「夏蝶(なつちょう)」は、いずれも夏の季語です。

 

杉の間を 音ある如く 夏の蝶

【作者】星野立子

【補足】「如く」の読み方は「ごとく」です。

 

夏蝶に 導かれ住む 都かな

【作者】阿部みどり女

 

夏の蝶 高みより影 おとしくる

【作者】久保田万太郎(くぼた まんたろう)

 

夏の蝶 日かげ日なたと 飛びにけり

【作者】高浜虚子(たかはま きょし)

 

水打てば 夏蝶そこに 生れけり

【作者】高浜虚子

白い花にとまった白い蝶

 

 

梅雨の蝶の俳句

梅雨の蝶(=梅雨の時期に見かける蝶)は夏の季語です。

 

大椎の 中よりいでし 梅雨の蝶

【作者】阿部みどり女

【補足】「大椎」の読み方は「おおしい」です。

 

最後まで 生きぬくは誰 梅雨の蝶

【作者】星野立子

 

竹林の 奥の日向を 梅雨の蝶

【作者】星野立子

【補足】「竹林」の読み方は「ちくりん」です。

 

梅雨の蝶 草むらを出て 大空へ

【作者】阿部みどり女

 

梅雨の蝶 見てゐて眠し 旅戻り

【作者】高浜年尾(たかはま としお)

雨上がりの花にとまった蝶

 

 

秋の蝶の俳句

「秋の蝶」「秋蝶(あきちょう)」は、いずれも秋の季語です。

 

秋蝶の この黄の濃さよ 小さゝよ

【作者】星野立子

 

秋蝶の 繽紛として 旅情かな

【作者】富安風生(とみやす ふうせい)

【補足】繽紛(ひんぷん)とは、多くのものが入り乱れている様子を表現する言葉です。

 

秋の蝶 いかなる花を 夜の宿

【作者】松岡青蘿(まつおか せいら)

 

秋の蝶 山に私を 置き去りぬ

【作者】阿部みどり女

 

欠けそめし 日にとびかくれ 秋の蝶

【作者】高橋淡路女

【補足】「欠けそめし(欠け初めし)」は「欠けはじめた(=地平線に沈みはじめた)」という意味です。

 

しら~と 羽に日のさすや 秋の蝶

【作者】松岡青蘿

 

何事の 心いそぎぞ 秋の蝶

【作者】正岡子規

 

ひとたびは 高くも舞へり 秋の蝶

【作者】上村占魚(うえむら せんぎょ)

 

ひら~と 飛んでわりなし 秋の蝶

【作者】久保田万太郎

【補足】「わりなし」は「いじらしい」という意味です。

 

見失ひ 又見失ふ 秋の蝶

【作者】高浜虚子

コスモスの花にとまった蝶

 

 

冬の蝶の俳句

「冬の蝶」「冬蝶(ふゆちょう)」は、いずれも冬の季語です。

 

冬蝶の 濃き影を見る 芝の上

【作者】松本たかし(まつもと たかし)

 

冬の蝶 いつしか旅の 日をかさね

【作者】橋本多佳子(はしもと たかこ)

 

冬の蝶 凩の里に 飛びにけり

【作者】室生犀星(むろう さいせい)

【補足】「凩」の読み方は「こがらし」です。

 

冬の蝶 人に見られて あがりけり

【作者】富安風生

 

冬の蝶 見てあはれなる こと多く

【作者】山口青邨(やまぐち せいそん)

 

 

凍蝶の俳句

凍蝶(いてちょう)とは、とまったまま死んだように動かない蝶のことをいいます。「冬の蝶、冬蝶」と同様に冬の季語となります。

 

凍蝶に かゞみ疲れて 立上る

【作者】星野立子

 

凍蝶に 指ふるるまで ちかづきぬ

【作者】橋本多佳子

 

凍蝶の とまりかたぶく 翅かな

【作者】高橋淡路女

【補足】「翅」の読み方は「つばさ」です。

 

凍蝶は 源氏の帖に なかりけり

【作者】尾崎迷堂(おざき めいどう)

【補足】「帖」の読み方は「じょう」です。

 

月明し 凍蝶翅を 立て直す

【作者】橋本多佳子

【補足】「月明し」の読み方は「つきあかし」です。

羽を広げて飛び立とうとする蝶

 


 関 連 ペ ー ジ 


⇒ 春の俳句 30選

⇒ 夏の俳句 30選

⇒ 秋の俳句 30選

⇒ 冬の俳句 30選

⇒ 有名な俳句 30選

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