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どくだみの俳句 30選 -十薬-

どくだみの花

小さく十字に開いた「どくだみ」の白い花は可憐で、そこはかとなく夏の気配を漂わせています。

この「どくだみ」は俳句において夏の季語でもあり、多くの作品に詠み込まれてきました。

このページには、「どくだみ」「十薬」が詠まれた俳句を多く集めました。夏の雰囲気が伝わってくる作品ばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。

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目次

どくだみの俳句 30選

夏の季語である「どくだみ」「十薬」が詠み込まれた俳句を集め、句の文字の五十音順に並べました。

どうそ、ごゆっくりとご鑑賞下さい。

 

 

校庭に 十薬茂る わが戦後

【作者】桑原三郎(くわばら さぶろう)

【補足】「十薬(じゅうやく)」は、どくだみの生薬の名前でもあり、民間薬として利用されてきました。

 

黄落を 歩めば吾子の 唄とどく

【作者】原 裕(はら ゆたか)

【補足】黄落(こうらく)とは、木の葉や果実が黄色く色づいて落ちることをいいます。

 

さからはず 十薬をさへ 茂らしむ

【作者】富安風生(とみやす ふうせい)

 

十薬に 一点の雨 廃工場

【作者】桂 信子(かつら のぶこ)

 

十薬の 香の夕ぐれを 跼みゐる

【作者】阿部みどり女(あべ みどりじょ)

【補足】「跔みゐる」の読み方は「かがみいる」です。

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十薬の 白さこの世の 捨て葉書

【作者】鍵和田釉子(かぎわだ ゆうこ)

 

十薬の 匂ひの高き 草を刈る

【作者】高浜虚子(たかはま きょし)

 

十薬の 根の長々と 瓦礫より

【作者】細見綾子(ほそみ あやこ)

【補足】「瓦礫」の読み方は「がれき(=かわらと小石、破壊された建造物の破片など)」です。

 

十薬の 野にまどろみし 顔蒼し

【作者】萩原麦草(はぎわら ばくそう)

【補足】「まどろむ」とは、うとうと眠ることをいいます。

 

十薬の 花咲きたてや 草の中

【作者】星野立子(ほしの たつこ)

どくだみの花

 

十薬の 花にも置きし ベンチかな

【作者】行方克巳(なめかた かつみ)

 

十薬の 花ひつぱつて 蜘蛛の絲

【作者】星野立子

【補足】「蜘蛛」の読み方は「くも」です。「絲」は「糸」の旧字体です。

 

十薬の 花まず梅雨に 入りにけり

【作者】久保田万太郎(くごた まんたろう)

 

十薬の 花も風情や つゆの庵

【作者】中 勘助(なか かんすけ)

【補足】風情(ふぜい)とは、独特の趣(おもむき)や味わいのことです。

 

十薬や うとめどいまの 花さかり

【作者】篠田悌二郎(しのだ ていじろう)

【補足】「うとむ(疎む)」とは、きらうこと、いやだと思うことを意味します。

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十薬を 抜き捨てし香に つき当る

【作者】中村汀女(なかむら ていじょ)

 

丁子散り 十薬ぬれて 群生す

【作者】宮武寒々(みやたけ かんかん)

【補足】丁子(ちょうじ)は、フトモモ科の樹木の名前です。

 

どくだみに 降る雨のみを 近く見る

【作者】秋元不死男(あきもと ふじお)

 

どくだみの くもりのひとを 近づけず

【作者】大野林火(おおの りんか)

 

どくだみの花炎天の 水に咲く

【作者】松村蒼石(まつむら そうせき)

 

どくだみも やさしき若葉 してゐたり

【作者】平井照敏(ひらい しょうびん)

 

毒だみや 十文字白き 夕まぐれ

【作者】石橋秀野(いしばし ひでの)

【補足】夕まぐれ(夕間暮)とは、夕方のうす暗い時分のことをいいます。

 

どくだみや 真昼の闇に 白十字

【作者】川端茅舎(かわばた ぼうしゃ)

どくだみの花

 

どくだみを 蔭干しにして 谿に老ゆ

【作者】加倉井秋を(かくらい あきを)

【補足】「谿」の読み方は「たに(=谷)」です。

 

長雨や 十薬匂ふ 井桁なる

【作者】野村喜舟(のむら きしゅう)

【補足】井桁(いげた)とは、木で「井」の字の形に組んだ井戸の縁(ふち)のことです。

 

熱の眼に 十薬遠し 置きにけり

【作者】石川桂郎(いしかわ けいろう)

 

花終へし 十薬に降る 露の音

【作者】阿部みどり女

 

花言葉 なき十薬は 十字切る

【作者】上田五千石(うえだ ごせんごく)

 

藪跡の 十薬匂ふ 明地かな

【作者】正岡子規(まさおか しき)

 

指に莨 熱くどくだみの 中に立つ

【作者】大野林火

【補足】「蔓」の読み方は「つる」です。

 

 


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