葉月の俳句 10選 -はづき-
俳句の季語が持つ季節感は旧暦にもとづいていて、現代の暦と比べて一か月ほど遅れたものとなります。
ですから、現代では 8月はまだ夏の盛りですが、旧暦の時代には「葉月」は秋の趣が強かった時期といえるでしょう。
このページには、葉月が詠み込まれた俳句の中から 10句を選びました。葉月という語が持つ雰囲気を見事に表現したものばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。
目次
葉月の俳句 10
葉月が詠み込まれた句を集め、俳句の文字の五十音順に並べました。
なお、葉月は俳句において秋の季語として扱われます。
家遠く ありて葉月の 豆畑
【作者】飯田龍太(いいだ りゅうた)
産声や 唇紅させる 葉月稚児
【作者】長谷川かな女(はせがわ かなじょ)
【補足】「産声」の読み方は「うぶごえ」です。稚児(ちご)の本来の意味は「乳児、幼児」です。
木の実みな 雲呼んでゐる 葉月空
【作者】飯田龍太
黒揚羽 葉月三日の 木叢より
【作者】飯田龍太
【補足】「黒揚羽」の読み方は「くろあげは:蝶の一種」です。木叢(こむら)とは、木の枝の茂った所のことです。
科の木や 葉月ぐもりの 峠茶屋
【作者】佐藤鬼房(さとう おにふさ)
【補足】科の木(しなのき=級の木、榀の木)は、日本特産種の落葉高木の一種です。
ねむる間に 葉月過ぎるか 盆の月
【作者】飯田蛇笏(いいだ だこつ)
【補足】「盆の月(ぼんのつき)」も秋の季語です。
葉月空 海は千筋の 紺に澄み
【作者】中村草田男(なかむら くさたお)
葉月には おぼこ林檎の 落ちやすし
【作者】平畑静塔(ひらはた せいとう)
【補足】「おぼこ」とは、まだ未熟なさまを表現する言葉です。
ひるよりも 夜の汐にほふ 葉月かな
【作者】鈴木真砂女(すずき まさごじょ)
【補足】「汐」の読み方は「しお(=潮)」です。
わが葉月 世を疎めども 故はなし
【作者】日野草城(ひの そうじょう)
【補足】「疎めども」「故」の読み方は、それぞれ「うとめども」「ゆえ(=理由の意)」です。
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